3次元CAD利用技術者試験

一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が実施する、3D CADの操作技術や設計知識を評価する資格試験です。

製造業や建築業での3D設計のスキルを証明できる資格であり、2D CADとは異なり、立体的な設計・モデリングの知識が求められます。

主催
(社)コンピュータソフトウェア協会

受験資格と難易度

受験資格

3次元CAD利用技術者試験は、2級・準1級・1級の3つのレベルに分かれています。
2級は誰でも受験可能ですが、準1級・1級は下位資格の合格が必須です。

試験区分 受験資格
1級 準1級合格者のみ受験可能
準1級 2級合格者のみ受験可能
2級 誰でも受験可能(初心者向け)

未経験者は2級からスタートし、順番にステップアップする必要があります。

難易度と合格率

試験区分 合格率(目安) 難易度
1級 約10〜20% 非常に難しい(高度な設計・解析スキルが必要)
準1級 約30〜50% 難しい(実務レベルの3Dモデリング能力が必要)
2級 約60〜80% 普通(基礎知識と基本操作が理解できれば合格可能)

2級は初心者でも学習すれば合格可能ですが、準1級・1級は実務経験がないと難しい。

試験内容

① 試験概要

試験区分 試験形式 試験時間 出題範囲 合格基準
1級 実技試験(設計・モデリング) 6時間 高度な3D設計・解析 70%以上
準1級 実技試験(2D→3Dモデリング) 3時間 実務レベルの3Dモデリング 70%以上
2級 CBT(筆記試験) 60分 3D CADの基礎知識・操作 70%以上

2級は理論試験(CBT方式)、準1級・1級は実技試験で、3D CADを実際に操作してモデリングする試験。

② 試験内容(級別詳細)

1級(最難関)

対象者:3D CADの実務経験者・設計者
試験形式:実技試験(課題設計・モデリング)

出題内容

  • 製品設計・機械設計のモデリング
  • 3Dモデルのアセンブリ・干渉チェック
  • 形状解析・応力解析
  • 3Dデータの最適化
  • パラメトリック設計(寸法変更に対応するモデリング)

実際の設計業務に近い課題が出題され、精度・設計意図の理解・時間管理が求められる。

準1級(中級)

対象者:3D CADの基本操作を習得済みの人
試験形式:実技試験(2D図面 → 3Dモデリング)

出題内容

  • 与えられた2D図面をもとに、3Dモデルを作成
  • フィレット・パターン・アセンブリ機能の活用
  • 寸法拘束・制約条件の設定
  • 部品・アセンブリのモデリング

製造業・建築業で求められる3Dモデリングスキルが試される。
時間内に正確な3Dモデルを完成させる能力が必要。

2級(初級)

対象者:初心者・3D CADの基礎を学びたい人
試験形式:CBT方式(コンピュータ試験)

出題内容

  • 3D CADの基本操作(スケッチ・押し出し・回転など)
  • 3D設計の基礎理論(モデリング手法・データ管理)
  • 3D CADの種類と特徴(履歴ベース・ダイレクトモデリング)
  • 3D CADと2D CADの違い
  • 3Dデータの活用(CAE・CAM・BIMとの連携)

基礎知識を問う選択式の問題が中心で、3D CAD未経験者でも学習すれば合格可能。

③ 各試験で使用できる3D CADソフト

3次元CAD利用技術者試験では、特定のCADソフトウェアは指定されておらず、受験者が任意のソフトを使用可能です。
代表的な対応ソフトウェアは以下の通り。

ソフト名 用途
Fusion 360 製造業・プロダクトデザイン向け
SOLIDWORKS 機械・製造業向け
CATIA 自動車・航空機・精密機器向け
Creo(旧Pro/E) エンジニアリング設計向け
NX 高度な製造業向け

試験で使用するソフトに慣れておくことが重要。
Fusion 360やSOLIDWORKSは学習環境が整っており、初心者向けの教材も多いのでおすすめ。

④ 試験対策

1. 2級(筆記試験)の対策

過去問を解く

  • 3D CADの基礎理論やモデリング手法を学ぶ
  • 公式問題集やオンライン問題を活用

3D CADの基本操作を習得

  • 無料のFusion 360やSOLIDWORKSのチュートリアルを活用
  • YouTubeやUdemyなどのオンライン講座を受講

2. 準1級・1級(実技試験)の対策

3D CADの操作を習熟

  • 試験で使用するCADソフトを決め、基本操作をマスター
  • 練習問題を解き、短時間でモデリングできるようにする

時間配分を意識

  • 実技試験は時間内に課題を完成させることが重要
  • 模擬試験を解き、本番と同じ時間で作業する練習をする

3D CADスクール・オンライン講座を活用

  • 独学が難しい場合は、認定スクールや講座を利用
  • Fusion 360やSOLIDWORKSの講座を受講し、実務に近い形で学習

⑤ 資格取得後にできること

1. 3D CADオペレーター・設計者として活躍

  • 製造業(自動車・精密機器・機械設計)での3D設計業務に従事
  • 建築業界でBIM(Building Information Modeling)の活用が可能
  • プロダクトデザイン・CGモデリングの分野でも活躍できる

2. 転職・キャリアアップ

  • 3D CADのスキルを証明でき、転職市場での評価が向上
  • 1級取得者は、3D CAD設計のエキスパートとして管理職を目指せる

3. フリーランス・副業での活用

  • 3Dプリンター向けのモデリング業務を請け負うことが可能
  • クラウドソーシングで3D CADの案件を受注できる

試験対策

① 試験対策の基本方針

1. 試験で使用する3D CADソフトを決める

  • SOLIDWORKS・Fusion 360・CATIA・Creo などのソフトから、自分が使いやすいものを選択。
  • 試験本番でスムーズに操作できるように、普段から決まったソフトを使い練習する。

2. 過去問・模擬試験を解く

  • 2級は公式問題集を活用し、過去問を繰り返し解く。
  • 準1級・1級は、3Dモデリング課題を本番と同じ条件で作成する練習をする。

3. 実技試験対策(準1級・1級)

  • 制限時間内に完成させる訓練をする。
  • 作図の手順を整理し、効率よくモデリングできるようにする。
  • フィレット・パターン・アセンブリなど、試験でよく出る機能を重点的に練習。

② 試験レベル別の具体的な対策

2級(筆記試験)対策

公式問題集・模擬試験を活用する

  • 3D CADの基本理論(モデリング手法・データ管理・設計プロセス)を理解する。
  • CBT方式のため、問題集を繰り返し解き、選択肢の中から正しい答えを素早く選ぶ練習をする。

3D CADの基本操作を習得する

  • Fusion 360やSOLIDWORKSの無料版を利用し、基本的なモデリングを練習。
  • 押し出し・回転・スケッチ作成・拘束条件の設定をマスターする。

頻出問題の対策

出題範囲 重要ポイント
3D CADの基本概念 2D CADとの違い、パラメトリック設計
モデリング手法 履歴ベースモデリング・ダイレクトモデリング
データ管理 ファイル形式、アセンブリの管理
設計プロセス スケッチ → 押し出し → フィレットの流れ

準1級(実技試験)対策

試験本番を想定したモデリング練習

  • 過去の試験課題を使い、制限時間内に2D図面から3Dモデルを作成する練習を繰り返す。
  • 試験時間3時間のうち、モデリングに使う時間と見直しの時間を決めておく。

重点的に練習する機能

機能 重要ポイント
フィレット 角の丸め処理を正確に適用する
パターン 同じ形状を繰り返し配置する
アセンブリ 部品の組み合わせ、干渉チェック
拘束条件 寸法・幾何拘束を適切に設定

設計意図を意識する

  • 単に形を作るのではなく、設計意図を考えてモデリングする。
  • 修正しやすいモデルを作るため、適切な拘束やフィーチャーを活用する。

1級(実技試験)対策

設計プロセス全体を理解する

  • 3Dモデリングだけでなく、形状解析やアセンブリ機能を使いこなす。
  • 干渉チェックや応力解析など、製造を意識した設計を学ぶ。

試験対策のポイント

試験内容 重要ポイント
高度なモデリング 複雑な形状の作成、パラメトリック設計
形状解析 体積・質量・重心の計算
アセンブリ 部品同士の干渉チェック、組立時の動作検証
応力解析 強度計算、負荷解析

時間配分を意識した練習

  • 試験時間6時間をフルに使うため、モデリングにかける時間を決めておく。
  • 解析・最適化の時間を確保するため、最初のモデリングをできるだけ短時間で完成させる。

取得後に出来ること

3D CADオペレーター・設計者として活躍

  • 製造業・建築業・プロダクトデザイン業界での3Dモデリング業務に携わる。
  • 2D図面を3Dモデル化し、設計者のサポートを行う。
  • BIM(Building Information Modeling)やCAM(Computer-Aided Manufacturing)に対応できる。
職種 期待される役割
3D CADオペレーター 3Dモデルの作成・修正
設計補助(アシスタント) 設計者のサポート、図面の作成
BIMオペレーター 建築・土木分野の3Dモデリング
製造業の設計担当 機械部品・アセンブリの設計

転職・キャリアアップに有利

  • 3D CADのスキルを証明でき、転職市場での評価が向上する。
  • 1級取得者は、設計リーダーや技術指導者としてのポジションを狙える。
  • 準1級・1級取得者は、設計職やエンジニア職へのキャリアアップが可能。
取得資格 キャリアパス
2級(基礎レベル) 3D CADオペレーター、設計補助
準1級(実務レベル) 設計者、エンジニア、プロダクトデザイナー
1級(高度な設計スキル) 設計リーダー、開発エンジニア、技術指導者

フリーランス・副業での活用

  • 3Dプリンター向けのモデリング業務を請け負うことが可能。
  • クラウドソーシングサイトで3D CAD案件を受注できる。
  • 副業として3Dモデリングや製品デザインの仕事を受けることが可能。

特に1級取得者は、専門性の高い案件を受注しやすくなる。

他の資格と組み合わせてさらに活躍

3次元CAD利用技術者試験の資格を活かし、他の資格と組み合わせることで、より専門性の高いキャリアを築くことが可能です。

組み合わせる資格 メリット
建築士(1級・2級) BIM設計・建築モデリングのスキルが活かせる
機械設計技術者試験 機械設計分野での専門性を高める
土木施工管理技士 土木分野での3D設計に活用
3Dプリンター活用技術検定 3Dプリント業務のスキルを証明

企業が3次元CAD利用技術者試験を評価する理由

  • 3D CADの実務スキルを持つことが証明できる。
  • 設計部門で即戦力として活躍できる人材を採用しやすくなる。
  • BIM・3Dモデリングを導入する企業では、準1級・1級取得者を高く評価する傾向がある。

合格お役立ちサイト

建築系資格一覧

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