中学校・高等学校教諭免許状

中学校・高校で各教科を指導するために必要な国家資格 で文部科学省が定める教育職員免許法に基づき、一定の要件を満たすことで取得できます。

教諭免許状には、以下の3種類があります。

① 一種免許状

  • 大学(学士課程)を卒業 し、所定の単位を修得すると取得可能
  • 中学校・高等学校の教諭免許の一般的な取得方法

② 二種免許状(※中学校のみ)

  • 短期大学(短大)を卒業 し、所定の単位を修得すると取得可能
  • 高等学校の免許状にはこの区分はなし

③ 専修免許状

  • 大学院の修士課程を修了 し、所定の単位を修得すると取得可能
  • より高度な専門性を持つ教員として評価される

主催
文部科学省

受験資格と難易度

1. 受験資格(免許状の取得要件)

中学校・高等学校教諭免許状を取得するためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

① 大学・大学院で必要な単位を修得する(一般的な取得方法)

  • 中学校教諭一種・高等学校教諭一種免許状4年制大学を卒業 し、教職課程の必要単位を修得する。
  • 中学校教諭二種免許状(※中学校のみ):短期大学(短大)を卒業 し、所定の単位を修得する。
  • 専修免許状大学院修士課程を修了 し、必要単位を修得する。

② 教職課程のない大学を卒業した場合、通信教育で単位を修得

  • すでに大学を卒業している場合、通信制大学(放送大学など)で必要単位を修得し、教員免許を取得することが可能。

③ 他の教科の免許を持っている場合、追加取得可能

  • すでに他教科の免許を持っている場合、必要な単位を追加で修得することで、別の教科の免許を取得できる。

④ 教員資格認定試験(高等学校のみ)に合格する

  • 文部科学省が実施する「教員資格認定試験」に合格すると、高等学校教諭の免許を取得可能。
  • 大学で教職課程を履修していない場合の選択肢となるが、合格率は低い。

2. 試験の難易度

教諭免許状の取得自体は、大学・短大・大学院で所定の単位を修得すれば得られるため、難易度はそれほど高くない ですが、公立学校の教員になるためには教員採用試験に合格する必要がある ため、実際の難易度は採用試験によって大きく変わります。

① 教職課程の履修自体の難易度

  • 単位を履修し、卒業すれば免許を取得できるため、一般的な大学の卒業難易度と同程度。
  • 実習(教育実習)や教職課程のレポート・試験が課されるため、一定の努力が必要。

② 教員採用試験の難易度(公立学校の正規教員)

  • 倍率は自治体や教科によって異なる(概ね2~10倍程度)。
  • 主要教科(国語・数学・英語など)は倍率が高め。
  • 理科・技術・家庭科・農業・水産などの専門科目は比較的倍率が低い傾向。
  • 特別支援学校の教員免許を併せ持つと、採用されやすくなる。

試験内容

1. 教員免許取得のための履修内容(大学・短大・大学院)

教員免許状を取得するためには、教育職員免許法で定められた科目を履修し、所定の単位を取得 する必要があります。

① 教職に関する科目

  • 教育原理
  • 教育心理学
  • 教育社会学
  • 教育方法論
  • 特別支援教育概論

② 教科に関する科目

  • 各教科の専門知識(国語・数学・理科・英語など)
  • 教科指導法(実際の授業の進め方を学ぶ)

③ 教育実習

  • 中学校または高等学校での教育実習(3~4週間程度)
  • 指導案作成、授業実施、学級運営などの実践的な経験

④ その他の必修科目

  • 道徳教育
  • 生徒指導・進路指導
  • ICT活用教育

2. 公立学校の教員採用試験の試験内容(都道府県・政令指定都市ごとに異なる)

教員免許を取得した後、公立学校の正規教員として採用されるには、各自治体の教員採用試験に合格する必要があります

試験内容は自治体によって異なりますが、一般的には以下のような試験が実施されます。

① 一般教養試験

  • 国語・数学・英語・社会・理科・時事問題など
  • 高校教員向けには、やや高度な内容が出題される場合がある
  • 教養試験の難易度は自治体によって異なる

② 教職教養試験

  • 教育原理・教育心理学
  • 学習指導要領の理解
  • 道徳教育・特別支援教育・生徒指導

③ 専門教科試験

  • 志望する教科の専門的な知識を問う試験
  • 中学校・高等学校の教科書レベルの内容+応用問題
  • 教科指導法に関する問題も含まれる

④ 論文試験

  • 教育に関するテーマについての論述(800~1200字程度)
  • 例:「理想の教師像」「生徒指導のあり方」「ICTを活用した授業」

⑤ 面接試験

  • 個人面接・集団面接・模擬授業など
  • 教育観や授業実践能力を評価

⑥ 実技試験(教科による)

  • 体育・音楽・美術・家庭科などの実技系教科では実技試験が実施される
  • 例:体育(マット運動・球技)、音楽(楽器演奏・歌唱)、美術(デッサン)

3. 教員資格認定試験(高等学校のみ)

大学で教職課程を履修していない人が、文部科学省が実施する「教員資格認定試験」に合格することで、高等学校の教員免許を取得する方法もある

試験内容

  • 筆記試験(一般教養・教職教養・専門教科)
  • 論文試験
  • 口述試験・模擬授業

合格率は低く、独学では難易度が高いため、対策講座を利用する人も多い

試験対策

1. 教員免許取得のための学習対策(大学・短大・大学院)

教員免許を取得するためには、大学などで指定された単位を履修し、教育実習を完了する必要があります。

① 教職科目の履修対策

  • 教育原理・教育心理学・教育方法論を重点的に学ぶ。
  • レポートや試験があるため、講義内容を整理しながら学習する。
  • 教育実習に向けた準備(授業の進め方、指導案作成)を計画的に行う。

② 専門教科の勉強方法

  • 担当する教科の専門知識を深め、学習指導要領の内容を理解する。
  • 各教科の授業計画を考え、指導案を作成する練習を行う。
  • 中学校・高校の教科書レベルの内容を押さえ、応用問題にも対応できるようにする。

③ 教育実習対策

  • 模擬授業を行い、話し方・板書の仕方を練習する。
  • 指導案を作成し、授業の流れを明確にする。
  • 生徒指導・学級経営についても学び、実習に備える。

2. 教員採用試験の対策(公立学校教員を目指す場合)

教員免許を取得した後、公立学校の正規教員として採用されるには、各自治体の「教員採用試験」に合格する必要があります

① 一般教養試験の対策

  • 高校レベルの国語・数学・英語・社会・理科の基礎知識を復習する。
  • 時事問題(教育関連ニュース)をチェックし、要点をまとめる。
  • 過去問を解き、出題傾向を把握する。

② 教職教養試験の対策

  • 教育原理・教育心理学・学習指導要領の内容を理解する。
  • 教育法規(学校教育法、教育基本法など)を整理して覚える。
  • 特別支援教育や生徒指導に関する知識を深める

③ 専門教科試験の対策

  • 担当教科の高校レベルの内容を押さえ、応用問題も解けるようにする。
  • 過去の出題傾向を分析し、重点的に学習する分野を決める。
  • 教科指導法(授業の進め方、教材の活用)についても学ぶ。

④ 論文試験の対策

  • 教育に関するテーマについて、800~1200字の論述練習を行う。
  • 「理想の教師像」「ICTを活用した授業」「いじめ問題への対応」など、頻出テーマをまとめる。
  • 論理的な文章構成(序論→本論→結論)を意識する。

⑤ 面接試験の対策

  • 「志望動機」「教育観」「生徒指導の経験」などの質問を想定し、回答を準備する。
  • 模擬面接を行い、話し方や表情、態度を確認する。
  • 教育現場での具体的なエピソードを交えながら回答できるようにする。

⑥ 実技試験の対策(教科による)

  • 体育:マット運動、球技、体力測定などの練習を行う。
  • 音楽:楽器演奏(ピアノ・リコーダー)、歌唱指導の練習を行う。
  • 美術:デッサン、絵画、工作の基本技術を習得する。

3. 効果的な試験対策の進め方

① 早めに学習計画を立てる

  • 教員採用試験の出願時期・試験日程を確認し、6ヶ月前から計画的に学習を進める。
  • 苦手分野を把握し、優先的に対策を行う。

② 過去問演習を徹底する

  • 各自治体の過去問を解き、出題傾向を把握する。
  • 試験時間を意識し、模擬試験形式で解く。

③ 最新の教育事情を把握する

  • 教育関連ニュース(学習指導要領の改定、GIGAスクール構想など)をチェックする。
  • 自治体ごとの教育方針を調べ、面接や論文に活かす。

④ 模擬面接・模擬授業の練習をする

  • 学校や塾の講師経験があれば活かし、実際に授業を行う練習をする。
  • 指導案を作成し、論理的に授業を組み立てる力を養う。

取得後に出来ること

1. 学校教育現場での活躍

① 公立中学校・高等学校の正規教員

  • 都道府県・政令指定都市の教員採用試験に合格すると、公立中学校・高校の常勤教諭として勤務可能。
  • 学級担任・部活動指導・生徒指導など、教育全般に携わる。

② 私立中学校・高等学校の教員

  • 各学校法人の採用試験に合格 すれば、私立学校の教員として勤務可能。
  • 独自の教育方針を持つ学校が多く、公立より自由な授業展開ができる場合もある。

③ 非常勤講師・臨時的任用教員

  • 正規採用が決まるまでの間、非常勤講師として働くことも可能。
  • 公立学校では、臨時的任用教員として1年間の契約で勤務する場合もある。

④ 特別支援学校の教員

  • 特別支援学校教諭免許状を併せて取得すれば、特別支援学校で勤務することも可能。
  • 障害のある児童・生徒への専門的な支援を行う。

2. 教育関連の分野での活躍

① 学習塾・予備校の講師

  • 教員免許を活かして、学習塾や予備校で指導することが可能。
  • 中学・高校受験対策、大学受験指導を行う。

② 企業研修・教育関連企業

  • 企業の研修講師として、社員教育を担当することも可能。
  • 教育関連企業(教材開発・学習支援サービス)での勤務も選択肢。

③ 教育委員会・行政機関

  • 教育政策の立案や学校支援事業に携わる。
  • 自治体の教育関連部門で、公立学校の運営・研修企画を担当する。

3. 大学・研究機関での活躍

① 大学院進学・研究者

  • 大学院でさらに学び、教育学の研究者として活動。
  • 教育学・教科教育学の分野で論文を執筆し、教育改革に貢献する。

② 大学の教員(教育学部・教職課程)

  • 将来の教員を育成する大学教員として勤務する道もある。
  • 教職課程の授業を担当し、教育実習の指導も行う。

4. 企業・メディアでの活躍

① 教育コンテンツ制作(出版社・eラーニング)

  • 教科書・参考書の編集、教育コンテンツの開発に携わる。
  • オンライン授業・動画教材の企画・制作を行う。

② 放送・メディア関連

  • 教育番組の監修・制作に関わる仕事もある。
  • 教育ジャーナリストとして、教育に関する記事やコラムを執筆。

5. キャリアアップ・資格の活用

① 校長・教頭・指導主事への昇進

  • 経験を積むことで、学校管理職(教頭・校長)としての道が開ける。
  • 指導主事(教育委員会の指導担当者)として、教育全体の改善に貢献することも可能。

② 免許更新制の研修・スキルアップ

  • 専門性を高めるため、教育関連の研修や資格(特別支援教育士など)を取得する。

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