トリミング技術・知識・接客マナーなどを総合的に評価する民間資格です。主に、ペット業界で働く人材の育成・評価を目的とした制度で、現場で活きる実践的なスキルを証明できます。
目次
受験資格と難易度
資格等級と受験資格
トリマー資格は「3級 → 2級 → 1級」の3段階で構成されており、等級ごとに受験条件が異なります。
3級(基礎レベル)
- 全国ペット協会認定の専門学校や養成機関の在校生・卒業生
- 年齢・学歴不問(学校を通じて受験する形)
- ペット業界未経験者や学生が対象
- 独学での受験は原則不可(講習・指導を受けることが前提)
2級(実務レベル)
- 3級取得者で、かつ所定の研修または実務経験(約1年以上)を有する者
- 指導者の推薦や、受験校の所定課程修了が必要な場合もあり
- 犬種ごとの基本カットが自力で行える技術が求められます
1級(上級レベル)
- 2級取得後、さらに一定の実務経験・技術研修を積んだ者
- トリマーとしての独立・後進指導が視野に入るレベル
- 試験内容・評価も厳格で、講師レベルの力量が必要とされます
難易度の目安
等級 | 難易度 | 合格率(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|
3級 | ★☆☆☆☆ | 約80〜90% | 初学者向け。基礎確認レベル |
2級 | ★★☆☆☆ | 約60〜70% | 技術力と応用が求められる |
1級 | ★★★★☆ | 約30〜50% | 接客含む総合力・指導者レベルを評価 |
3級の難易度
- 学科も実技も基礎中心(器具の扱い、犬の扱い、衛生管理など)
- 専門学校で学んだ内容をそのまま発揮できれば合格可能
2級の難易度
- 自力でカットを仕上げる力が評価対象
- 技術的な完成度とスピード、安全への配慮などが重要
- 学科では動物看護の基礎や接客マナー、顧客対応なども含まれます
1級の難易度
- 複数犬種に対応できる高い技術力が前提
- プレゼン力、説明力、店舗運営や新人教育の視点も問われる
- 模擬指導やトリミング計画の提案が出題されることもあります
試験内容
試験は「実技試験」と「学科試験」の2部構成です。等級(3級・2級・1級)ごとに、求められる技術・知識のレベルが異なります。
3級(基礎レベル)
実技試験
- シャンプー、ドライ、耳掃除、爪切りなど基本的なグルーミング作業
- 犬を安全に保定し、落ち着かせながら作業ができるかを評価
- バリカン・スリッカー・コームなどの基本器具の正しい使い方
- モデル犬の被毛や皮膚への負担がないように配慮できているかを見る
学科試験
選択式または簡単な記述式
- 犬種の基礎(体型・被毛のタイプ)
- トリミングに使用する器具の名称と用途
- 皮膚・被毛の基本構造
- 衛生管理・事故防止・犬の扱い方の基本
2級(中級レベル)
実技試験
- 指定された犬種に対するカットスタイルの仕上げ(例:プードル、シュナウザーなど)
- カットのスピード・正確性・仕上がりの美しさが求められる
- 被毛の流れや毛質に合わせたカット調整ができるかを審査
- 犬の表情や動きに応じた臨機応変な対応力も評価対象
学科試験
選択式+記述式が中心
- 犬種別のカットスタイルとスタンダード理解
- 被毛・皮膚のトラブルとケア法
- 安全な施術環境の作り方
- 顧客対応の基本(接客マナー・説明力)
1級(上級レベル)
実技試験
- 複数犬種に対応した応用的なカット技術の実演
- 高度なデザインカットや、飼い主の希望に沿ったスタイル提案
- 時間内に精度の高い仕上げ+犬の負担軽減への配慮が求められる
- 作業手順、道具の使い分け、犬の状態把握など総合力を審査
学科試験
記述式・論述形式(講師的視点を含む内容)
- 顧客のニーズに応じたスタイル設計・提案の考え方
- 開業時の法律・衛生・登録制度(動物取扱業など)
- 新人教育やスタッフ育成に関する知識
- トリマーとしての倫理観、事故対応マニュアル
試験時間・形式の目安
等級 | 実技試験時間 | 学科試験形式 |
---|---|---|
3級 | 約60〜90分 | 選択+簡単な記述 |
2級 | 約90〜120分 | 選択+記述中心 |
1級 | 約120〜150分 | 記述+論述 |
試験対策
3級試験対策(基礎)
実技対策
- シャンプー・ブロー・爪切り・耳掃除などの基本動作を丁寧に反復練習
- 犬をリラックスさせながら作業できるよう、保定の仕方や声かけの練習をする
- 器具(バリカン、スリッカー、コームなど)の正しい持ち方・使い方を覚える
- 「安全第一」+「犬への思いやり」を常に意識
学科対策
- 犬種の特徴、用具の名称、基本的な皮膚・被毛の知識を確実に暗記
- 衛生管理やトリミング手順を図で覚えると理解しやすい
- 模擬問題や学校での小テストを何度も繰り返す
2級試験対策(実務対応)
実技対策
- 指定犬種の基本スタイル(例:ラムクリップ、テディベアカット)を反復練習
- 仕上がりのバランス・カットのライン・毛の流れに沿った仕上げに注意
- 時間内(90〜120分)での完成度を上げるため、通し練習を重ねる
- 犬の動きや表情に合わせて、柔軟に対応できるよう訓練
学科対策
- 皮膚・毛の構造やトリミング事故の防止策など、現場を意識した知識を重点的に
- 犬の健康チェック(耳・目・皮膚異常など)の判断ポイントを整理
- 接客マナーやトラブル時の対応もよく出題されるため、接客ロールプレイ練習も有効
1級試験対策(上級・指導者レベル)
実技対策
- 複数犬種の応用カットに対応できる技術力が求められる
- 被毛の質・毛流れ・ボディ構造に応じたカットラインの調整力を磨く
- 模擬試験では講師や先輩からの評価・フィードバックを受けることが重要
- 犬のストレスを軽減しながらも、プロとしての仕上げ精度を維持する練習を重ねる
学科対策
- 記述・論述式の出題に備えて、「なぜその処置をしたか」など理由を自分の言葉で説明する練習をする
- 開業に関する基本知識(動物取扱業、保健所手続き、衛生管理)も確認
- 指導者としての考え方、後輩育成、スタッフ間の連携など管理職的な視点も持つこと
共通の対策ポイント
模擬試験・通し練習
- 実技はタイマーを使って本番と同じ時間で練習する
- モデル犬の毛質・動き・性格に応じた対応方法を複数パターン用意する
- 試験前1か月は、通し練習+仕上がり確認+改善点メモの繰り返し
学科ノートづくり
- 犬種別の特徴やトリミング法を図と表でまとめるノートを作成
- 用語集(皮膚病、寄生虫、器具名)も自分専用で整理
- 学校のテキストに加えて、自分なりのまとめノートがあると理解が深まる
取得後に出来ること
3級取得後にできること(基礎レベル)
ペットサロンや動物病院での就職活動に有利
- 基本的なグルーミングスキル(シャンプー・爪切り・耳掃除など)が証明される
- 学校で学んだ技術の成果として、履歴書や面接でアピールできる
実務研修・見習いトリマーとしての活動
- トリマーアシスタントや見習いとして現場に立つ
- 実務を積むことで、上位資格(2級)への受験要件を満たせる
2級取得後にできること(実務対応レベル)
正規トリマーとして現場で活躍
- 指定犬種のカットスタイルを1人で任される技術者として評価される
- トリミングサロン・ペットホテルなどで即戦力として働ける
顧客対応・リピート獲得への貢献
- トリマーとしてお客様に対応し、スタイル提案や健康管理アドバイスが可能
- リピート客をつけるスキルと信頼性がつく
開業準備の第一ステップ
- 動物取扱業(保管)の登録に向けた実務証明として有効
- 独立や訪問型トリミングなど、小規模事業の立ち上げを目指すことも可能
1級取得後にできること(上級・指導者レベル)
店舗責任者・教育担当者としての昇格
- トリミングサロンで店長・マネージャーとしてのポジションが視野に
- 新人スタッフやアシスタントへの指導・教育を任される
トリマー講師・スクールスタッフとして活動
- 専門学校・養成校などで講師や技術指導者としての登用が可能
- 将来のトリマー育成に携わる道が開かれる
独立開業・ブランド化の実現
- 1級資格は、顧客や取引先に対して高い信頼と技術力の証明になる
- 地域密着型・オーダーメイド型など、個性を活かしたサロン経営が可能
共通してできること(等級問わず)
- 履歴書・プロフィール・名刺に記載できる公的なスキル証明
- ペット業界の就職・転職活動での自己PRに活用
- 顧客・職場・学校内でのスキル認定の基準として信頼性がある
活躍の場
- ペットサロン(正社員・アルバイト・契約)
- 動物病院(グルーミング部門)
- ペットショップ・ペットホテル
- ペット訪問サービス事業
- トリマー養成学校・専門学校(講師・アシスタント)
- 独立開業(個人店舗・移動サロン)
その他動物系資格一覧
トリマー(JKC公認)
トリマー(全国ペット協会公認)
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愛玩動物飼養管理士
愛犬家住宅コーディネーター
初生ヒナ鑑別師
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