日本陸上競技連盟(JAAF)が公認する、
競技会を公正かつ安全に運営するための公式審判資格です。
トラック、フィールド、ロードレースなど、さまざまな競技の判定・運営を担います。
資格の種類(2024年時点)
1. 第3種審判員(入門レベル)
- 初めて審判員になる方向けの基礎資格
- 地区・市町村レベルの大会や中学校大会などで活動可
2. 第2種審判員(中級)
- 第3種としての経験を経て、より広域(県大会・高校大会等)で活動可能
- フィールド審判やスタート係など専門分野の役割も担う
3. 第1種審判員(上級)
- 都道府県以上の大規模大会(インターハイ、全国大会)での活動が可能
- 上級審判や審判長・技術委員としての任務も行う
4. 公認審判員(国際・JAAF認定)
- 国体、全国選手権、世界陸連(WA)公認大会などで活動
- 国際審判資格(WA公認TOなど)取得も目指せる
■
主催(財)日本陸上競技連盟
受験資格と難易度
受験資格(2024年現在)
陸上競技の審判資格は、日本陸上競技連盟(JAAF)公認で、第3種 → 第2種 → 第1種 → 公認審判員(JAAF/国際)のように段階的に昇格していきます。
第3種審判員(初級)
- 満18歳以上(高校生不可)
- 陸上競技の経験は不要(未経験者OK)
- 日本陸連または都道府県陸上競技協会が実施する審判員講習会を受講するだけで取得可能
- 筆記試験や実技試験は基本的になし
最もハードルが低く、「誰でもチャレンジできる」入門資格です。
第2種審判員(中級)
- 第3種審判員の資格を持っていること
- 原則として一定の実務経験(例:複数の大会での審判実績)
- 所定の第2種審判講習会を受講し、筆記試験に合格すること
- 試験は年に1回程度、都道府県単位で実施されます
しっかりとした競技規則の知識が求められますが、経験を積んでいれば難易度は中程度です。
第1種審判員(上級)
- 第2種審判員資格を保有していること
- 3年以上の審判活動実績があること(都道府県協会によって若干異なる)
- 所定の講習会を受講+筆記試験に合格する必要あり
- 実務・責任あるポジションの経験が評価される
上位大会での対応力・判断力が問われるため、難易度はやや高めです。
公認審判員(全国/国際レベル)
- 第1種審判員としての豊富な実績(国体や全国大会など)
- 地区協会・都道府県協会・JAAFからの推薦
- 選抜制・研修会受講・JAAF本部による審査あり
- 一部の国際資格では英語力や国際ルールへの対応力が求められる
非常に限られた人材が対象となるため、難易度は最高レベルです。
試験内容
第3種審判員の試験内容
基本的には「試験なし」、講習受講で取得可
- 受験資格:満18歳以上(高校生は不可)
- 講習時間:半日〜1日(3〜6時間)
- 内容は座学中心で、筆記試験は行わないのが一般的(確認テスト程度)
講習の主な内容
分野 |
内容 |
陸上競技の基本ルール |
トラック競技・フィールド競技・ロードレースの基本的なルール |
審判の役割 |
スタート係、着順係、フィールド審判、監察員などの業務紹介 |
安全管理 |
競技中の事故防止、緊急時の対応 |
審判の心得 |
公平・中立・迅速な判断を行う姿勢や言動 |
※講習終了後に**「第3種審判員証」が発行**され、すぐに大会審判として活動できます。
第2種審判員の試験内容
受験には実務経験と講習受講が必要
- 第3種審判員としての活動実績(通常1年以上)
- 所定の第2種審判員講習会を受講
- 筆記試験あり(マークシート+記述式)
筆記試験の出題範囲
分野 |
出題内容 |
陸上競技規則(国内ルール) |
世界陸連(WA)ルール+JAAF独自の運用基準 |
各種目の判定方法 |
投てき・跳躍・トラック・リレーなど |
審判業務の流れ |
大会前の準備から競技中の進行、結果処理まで |
ケーススタディ |
想定トラブル時の対応判断(例:選手のフライング、失格要件など) |
試験形式・難易度
- 試験時間:約60分
- マーク式+記述問題(10〜20問)
- 合格ラインは60〜70点程度(協会により異なる)
第1種審判員の試験内容
受験条件と講習
- 第2種審判員の資格保有+複数年の活動実績
- 講習では専門分野ごとの深掘りと現場対応の実例分析が中心
試験内容の特徴
分野 |
出題内容 |
高度な競技規則知識 |
技術的・特殊なルールへの理解(例:跳躍時の失敗判定) |
審判の統率・指導力 |
審判長補佐としての調整力や緊急対応の判断力 |
ケーススタディ |
「抗議を受けた時の対応」など、実践型記述問題あり |
倫理・行動規範 |
スポーツマンシップ、公平性、公私混同の防止策など |
試験形式・難易度
- 記述中心(選択問題なしの場合もあり)
- 論理的な判断力・実務経験が重視される
- 難易度は第2種より高く、事前準備が不可欠
試験対策
第3種審判員の試験対策(入門レベル)
基本的には「試験なし」だが、予習しておくと安心
第3種は講習受講だけで資格が取れますが、講義内容をよく理解することで、今後の活動に役立ちます。
対策のポイント
対策項目 |
内容 |
陸上競技の基本ルール |
トラック・フィールド・リレーのルールをざっくり把握 |
フィールド用語 |
ファウル、無効試技、ゾーン、ラインなどの意味 |
審判の種類と役割 |
スタート係、審判長、監察員などの役割を知る |
フラッグの使い方 |
「白=成功、赤=失敗」など審判旗の基本動作 |
おすすめ教材
-
日本陸連の「競技規則ハンドブック」(最新版)
-
地方陸協で配布される講習資料
-
大会をYouTubeで観て審判の動きに注目する
第2種審判員の試験対策(中級レベル)
筆記試験(マーク式+記述式)に備える必要あり
第2種からは本格的に「試験」があります。競技規則だけでなく、現場での判断力も問われます。
対策のポイント
対策項目 |
内容 |
陸上競技規則の理解 |
公認ルール(トラック、跳躍、投てき)を項目別に整理 |
出題されやすい事例 |
失格の基準、リレーのバトンゾーン、跳躍の失敗など |
ケーススタディ |
「こんな時どう判定するか?」という問題に慣れておく |
用語と略語の整理 |
O(成功)X(失敗)など審判用記号の意味も確認 |
おすすめ学習法
方法 |
説明 |
ルールブックを読みながらメモ |
自分なりのまとめノートを作ると記憶に定着 |
模擬問題で練習 |
都道府県陸協が出している過去問・予想問題を解く |
他の審判と情報交換 |
現場経験者から実践的なアドバイスをもらうのも効果的 |
第1種審判員の試験対策(上級レベル)
記述問題・ケース対応問題が中心
第1種では、審判長や主任審判員にふさわしい**「判断力・統率力・倫理観」**が問われます。
対策のポイント
対策項目 |
内容 |
実務対応の知識 |
雨天時の試合中断判断、抗議対応、器具の不具合時の措置など |
ケース記述練習 |
「この状況ではどうすべきか? その理由は?」を論理的に説明できるように |
指導者視点 |
後輩審判への助言、統率、注意指導の方法も重要な評価項目 |
スポーツ倫理 |
公平・中立を守るための姿勢や判断基準を明文化できるようにする |
おすすめ学習法
方法 |
内容 |
模擬記述問題に挑戦 |
実際のトラブル事例に対して、自分なりの判断を書いてみる |
過去の大会での経験を整理 |
どのような判断をして、なぜそうしたかを言語化しておく |
日本陸連の資料を活用 |
「審判マニュアル」や「審判員ハンドブック」の熟読 |
共通のおすすめ教材・ツール
種類 |
内容 |
陸上競技規則集(JAAF発行) |
試験範囲のルールが網羅されている基本資料 |
都道府県陸協の過去問題 |
各地で実施された講習試験の内容が参考に |
JAAF公式YouTube・講習動画 |
審判の動き・ジャッジ例などが視覚的に学べる |
審判日誌 |
自分の活動記録を残すことで復習や昇格時に役立つ |
取得後に出来ること
陸上審判員資格を取得すると、競技会での運営・判定・安全管理に関わる業務に参加できます。
資格の等級に応じて、参加できる大会や担当できる役割が変わります。
第3種審判員ができること
- 市区町村・中学校・地域の大会などで活動可能
- 主な担当業務:
- 計時係(ストップウォッチ)
- 着順係(フィニッシュの順位記録)
- 測定補助(跳躍や投てき記録の計測補助)
- 監察員(スタートライン、ゴール付近での選手監視)
- まだ「審判長」などの責任あるポジションは不可
- 現場経験を積む入口として最適な資格
第2種審判員ができること
- 県大会・高校大会・地方選手権などの中〜大規模大会に参加可能
- 第3種に加えて:
- フィールド審判(跳躍・投てきでの判定)
- スタート係(フライングの確認・スタート合図)
- リレーゾーンの確認など専門性の高い業務も担当可能
- 一部の大会ではブロック責任者や主任係員として配置されることもある
第1種審判員ができること
- **全国大会レベル(インターハイ、国体、日本選手権など)**で活動可能
- 主な役割:
- 審判長や競技責任者の補佐
- 判定責任者(記録認定、失格処理など)
- 審判団の統率・進行管理
- 若手審判員の指導や育成にも携わる
公認審判員(JAAF/国際)ができること
- JAAF主催の全国大会・国際大会で審判として活動
- 公認審判員やTO(テクニカル・オフィサー)は以下も担当:
- 審判団の統括
- 抗議・異議申し立ての最終判断
- 大会運営の技術アドバイザー
- 国際ライセンスを取得すれば、世界陸連(WA)主催大会や五輪でも活動可能
審判員資格取得後のキャリアパス
等級 |
活動範囲 |
将来の展望 |
第3種 |
地区・中学大会 |
経験を積んで第2種を目指す |
第2種 |
県・高校・地方大会 |
専門ポジションや小規模責任者へ昇格 |
第1種 |
全国大会・大規模大会 |
統括審判、審判長補佐などへ |
公認 |
国体・国際大会 |
技術委員・審判育成リーダーとして活躍 |
審判員としての魅力・やりがい
- 選手の努力を正しく評価し、支える役割
- 大会のスムーズな運営を実現する「裏方のプロ」
- 継続すれば、全国や国際舞台でも活動できる
- 現場経験が自分の判断力・責任感・リーダーシップに繋がる
その他スポーツ系資格一覧
スポーツプログラマー
(FTP認定)ピラティスインストラクター
(BASI認定)ピラティスインストラクター
ヨガインストラクター
エアロビックダンスエクササイズ
プロボウラー
アスレティックトレーナー
公認スポーツ指導者
プロ野球審判員
JAF公認審判員
日本ラグビーフットボール協会公認レフリー
陸上競技審判員
健康運動実践指導者