ITパスポート試験

初級システムアドミニストレータが発展してできた資格で、ITの基礎知識を証明する国家資格であり、情報処理技術者試験のエントリーレベル(レベル1)に位置づけられます。

ITに関する基礎知識だけでなく、経営・マネジメント・情報セキュリティの分野もカバーしており、ITを活用するすべての人に役立つ資格です。

主催
独立行政法人 情報処理推進機構

他の情報処理技術者試験との比較

試験名 合格率 難易度(目安) 主な対象者
ITパスポート(iパス) 約50% ★☆☆☆☆(易しい) IT初心者・文系学生・社会人
基本情報技術者(FE) 約25% ★★★☆☆(普通) ITエンジニア・システム管理者
応用情報技術者(AP) 約20% ★★★★☆(やや難しい) IT管理職・コンサルタント

ITパスポート試験と基本情報技術者試験の違い

  • ITパスポートは「ITを活用する側(一般社員・経営者)」向けの基礎試験
  • 基本情報技術者は「ITを開発・管理する側(エンジニア)」向けの専門試験

そのため、ITパスポートは文系・非エンジニアでも合格しやすい資格です。

受験資格と難易度

1. 受験資格

ITパスポート試験(iパス)は、受験資格の制限がなく、誰でも受験可能な国家試験です。

  • 学歴・職歴・年齢の制限なし
  • IT初心者・学生・社会人・主婦など幅広い層が受験可能
  • 試験は全国のCBT会場で随時実施(申し込み後、好きな日時に受験可能)

こんな人におすすめ

  • IT初心者で、基本的なIT知識を身につけたい人
  • 企業の**IT部門以外の社員(営業・事務・経理など)**でIT知識を活かしたい人
  • 就職・転職活動で「ITの基礎知識があること」を証明したい人

2. 試験の難易度と合格率

ITパスポート試験の合格率は約50%前後で、情報処理技術者試験の中では最も易しい試験ですが、ITの基礎知識がない人にとっては一定の学習が必要です。

年度 受験者数 合格率 合格者数
2023年 約120,000人 50.3% 約60,000人
2022年 約110,000人 48.5% 約53,000人
2021年 約105,000人 47.8% 約50,000人

試験の難易度のポイント

  • IT未経験者でも独学で十分合格可能
  • **CBT方式(コンピュータ試験)**のため、選択式問題に慣れれば得点しやすい
  • 基本情報技術者試験(FE)よりも易しく、ビジネスパーソン向け
  • ITの専門用語が多いため、初心者は対策しないと難しく感じる

試験内容

1. 試験の概要

項目 詳細
試験方式 CBT(コンピュータベーステスト)
試験時間 120分(2時間)
出題形式 四肢択一式(100問)
合格基準 総合600点以上(1,000点満点)かつ各分野300点以上
試験日程 全国のCBT試験会場で随時受験可能
受験料 7,500円(税込)

試験の特徴

  • CBT方式のため、試験後すぐに合否が分かる
  • 選択式(マークシート方式)のため、初心者でも学習しやすい
  • ITの基礎知識+経営+セキュリティの3分野を総合的に学べる

2. 試験の出題範囲(3分野)

分野 出題範囲 配点割合
ストラテジ系(経営全般) 経営戦略、マーケティング、財務、法務 約35%
マネジメント系(IT管理) システム開発、プロジェクト管理、サービスマネジメント 約15%
テクノロジ系(IT技術) コンピュータ、ネットワーク、データベース、セキュリティ 約50%

3. ストラテジ系(経営全般)

企業経営やIT戦略に関する知識が問われます。
IT業界だけでなく、一般企業の経営やマーケティングにも役立つ内容です。

主な出題範囲

  • 経営戦略(競争戦略、DX、IT活用)
  • マーケティング(4P分析、SWOT分析、CRM)
  • 財務・会計(貸借対照表、損益計算書、資産運用)
  • 法務(知的財産権、個人情報保護法、コンプライアンス)

4. マネジメント系(IT管理)

システム開発やプロジェクト管理の手法に関する知識が問われます。

主な出題範囲

  • システム開発手法(ウォーターフォール、アジャイル開発)
  • プロジェクト管理(WBS、ガントチャート、進捗管理)
  • ITサービスマネジメント(ITIL、SLA、可用性管理)
  • システム監査(リスク管理、コンプライアンスチェック)

5. テクノロジ系(IT技術)

IT技術の基本が問われる分野で、試験の約50%を占める最重要分野です。
初心者にとっては難しい内容も多いため、重点的に学習する必要があります。

主な出題範囲

  • コンピュータの基礎(CPU・メモリ・ストレージ・OS)
  • ネットワーク(LAN・WAN・Wi-Fi・クラウド・IPアドレス)
  • データベース(SQL・正規化・トランザクション)
  • 情報セキュリティ(暗号化・認証・マルウェア・ファイアウォール)

試験対策

1. 効果的な学習スケジュール(1~3ヶ月プラン)

期間 学習内容
1週目~2週目 ITの基礎(テクノロジ系)を学習(ネットワーク・セキュリティ・データベース)
3週目~4週目 経営(ストラテジ系)・IT管理(マネジメント系)を学習
5週目~6週目 過去問演習(重点分野を復習しながら)
7週目~8週目 模擬試験・試験本番対策(時間を測って解く)

ポイント

  • テクノロジ系(IT技術)を最優先で学習(出題の50%を占める)
  • ストラテジ系(経営)・マネジメント系(IT管理)は重要ポイントを押さえる
  • 試験直前は過去問と模擬試験を活用し、時間配分を練習する

2. 科目別の試験対策

① テクノロジ系(IT技術)対策(50%出題)

  • 「ITパスポート公式テキスト」などを活用し、基本用語を覚える
  • ネットワークやセキュリティの仕組みを図解で理解する
  • 過去問を繰り返し解き、実際の問題の出題傾向を把握する

② ストラテジ系(経営全般)対策(35%出題)

  • 経営用語やマーケティング手法(4P・SWOT)を覚える
  • 財務・会計の基礎(売上・利益・コスト計算)を理解する
  • 暗記よりも、ビジネスの流れとして理解することが大切

③ マネジメント系(IT管理)対策(15%出題)

  • 開発手法(ウォーターフォール・アジャイル)の違いを理解する
  • プロジェクト管理(WBS・ガントチャート)を押さえる
  • 過去問を解きながら、プロジェクト管理の考え方に慣れる

3. 過去問・模擬試験の活用

① 過去問演習の進め方

  • 試験1ヶ月前から過去問を解く(最低3年分)
  • 間違えた問題を分析し、理解を深める
  • 「過去問道場」(無料のWeb問題集)を活用して反復練習

② 模擬試験で本番をシミュレーション

  • 試験2週間前から本番形式(100問・120分)で解く
  • 試験時間内に問題を解く練習を行い、時間配分を調整

取得後に出来ること

1. ITパスポート試験取得後の主なメリット

① ITの基礎知識を証明できる(就職・転職に有利)

  • 企業のITリテラシー向上を証明し、就職・転職時のアピールポイントになる
  • 特にIT未経験者・文系出身者がIT業界に挑戦する際に役立つ
  • 企業のIT部門以外(営業・総務・経理・人事など)でも、ITスキルの評価が上がる

② 社内のIT活用・DX推進に貢献できる

  • ITを活用した業務改善・効率化を提案できるようになる
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の基礎知識が身につく
  • RPA(業務自動化ツール)やクラウドサービスの導入に貢献できる

③ 情報セキュリティ対策に役立つ

  • 企業のセキュリティリスク(情報漏えい・不正アクセス)を防ぐ知識が身につく
  • 安全なパスワード管理やウイルス対策の基本を理解し、社内教育に活かせる
  • 企業のISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)導入をサポートできる

④ IT関連の上位資格へのステップアップ

ITパスポートを取得後、さらに専門的なITスキルを学ぶことでキャリアアップが可能です。

資格 難易度 主な対象者
基本情報技術者(FE) ★★★☆☆ ITエンジニア・システム管理者
応用情報技術者(AP) ★★★★☆ IT管理職・ITコンサルタント
MOS(Microsoft Office Specialist) ★★☆☆☆ 事務職・営業職(Officeスキル向上)
日商簿記(3級以上) ★★★☆☆ 経理・財務・会計業務

2. ITパスポート試験取得後に活かせる仕事・業務

① 企業のIT活用・業務効率化

  • エクセルのマクロ・関数を活用し、業務を効率化できる
  • 社内のペーパーレス化・クラウド導入をサポートできる
  • Google Workspace、Microsoft 365 などのクラウドツールを活用できる

② 社内ITサポート・ヘルプデスク業務

  • IT初心者向けの社内教育(PCの使い方・セキュリティ対策)を担当
  • ネットワーク・Wi-Fi・プリンターの基本的なトラブル対応ができる
  • リモートワーク環境の整備(VPN・クラウド利用のサポート)ができる

③ 情報セキュリティ管理

  • 不正アクセス・情報漏えい対策の基本を理解し、社内のセキュリティ対策を強化
  • ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の基礎知識を活かし、社内ルールの整備ができる
  • フィッシング詐欺・標的型攻撃メールの対策を社員に教育できる

④ IT営業・ITコンサルティング補助

  • IT製品・サービスの基本を理解し、顧客に説明できるようになる
  • クラウド・SaaS・DX関連の提案営業に活かせる
  • ITコンサルティング業務の基礎知識として活用できる

⑤ 公務員試験・資格手当での活用

  • 一部の公務員試験で「情報処理科目」の免除対象となる
  • 企業によっては「資格手当」として給与がアップする
  • 自治体・官公庁の情報システム部門での業務に役立つ

3. ITパスポート取得者のキャリアパス(将来の進路)

ステップ 取得する資格・スキル 活かせる仕事
STEP 1 ITパスポート IT基礎知識の習得・ITリテラシー向上
STEP 2 基本情報技術者(FE) ITエンジニア・システム管理者
STEP 3 応用情報技術者(AP) IT管理職・ITコンサルタント
STEP 4 AWS・クラウド資格 クラウドエンジニア・DX推進

ポイント

  • ITパスポートは「IT基礎レベル」だが、次のステップとして「基本情報技術者」を目指せる
  • クラウド・DX関連のスキルを学ぶと、さらにキャリアの選択肢が広がる
  • 営業職・事務職でも「IT×ビジネス」の知識を活かし、キャリアアップが可能

おすすめの講習、教材

教材

 講座

コンピューター系資格一覧

応用情報技術者試験
基本情報技術者
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験
システム監査技術者
ITサービスマネージャ試験
ITパスポート試験
ネットワークスペシャリスト試験
プロジェクトマネージャ
情報処理安全確保支援士試験(RISS)
データベーススペシャリスト試験
Accessビジネスデータベース技能認定試験
Excel表計算処理技能認定試験
Word文書処理技能認定試験
PowerPointプレゼンテーション技能認定試験
Javaプログラミング能力認定試験
COBOLプログラミング能力認定試験
パソコン検定(P検)
C言語プログラミング能力認定試験
情報処理技術者能力認定試験
VisualBasicプログラミング能力認定試験
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
VBAエキスパート
IC3
ワードプロセッサ技能認定試験
パソコン技能検定Ⅱ種試験
EC(電子商取引)実践能力検定
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CAD利用技術者試験
ORACLE MASTER(オラクルマスター)
会計ソフト実務能力試験
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A+
コンピュータサービス技能評価試験
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Linux+
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マイクロソフト認定資格プログラム
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