公益財団法人日本スポーツ協会(JSPO)公認のアスレティックトレーナーは、スポーツ現場で選手の健康管理や傷害予防、応急処置、リハビリテーション、コンディショニングなどを担当する専門家です。
彼らはスポーツドクターやコーチと連携し、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートします。
■主催
(財)日本体育協会
目次
受験資格と難易度
受験資格
1. 養成講習会ルート
- 満20歳以上(受講年の4月1日時点)
- 日本スポーツ協会(JSPO)や加盟団体からの推薦が必要
- 健康状態に問題がなく、講習や実技に支障がないこと
- カリキュラムに定められたすべての講習に参加できること
2. 認定校(免除適応コース)ルート
- JSPOが認める大学・専門学校(免除適応コース)を修了
- 修了により、養成講習会の一部または全部が免除される
- 卒業後、直接検定試験の受験資格が得られる
難易度
合格率の目安
試験区分 | 合格率 |
---|---|
理論試験 | 約20~30% |
実技試験 | 約70% |
総合合格率 | 約20~25% |
試験の構成
- 理論試験:220問(5肢択一)/合格基準:全体70%以上、必修分野80%以上
- 実技試験:テーピング、応急処置、リハビリ計画、症例対応など
高難易度の理由
- スポーツ医科学・リハビリ・救急・運動生理など、広範な知識が必要
- 実技も評価されるため、座学だけでは合格できない
- 講習・実習あわせて600時間以上のカリキュラム
- 推薦制度のある閉鎖的な受験制度で、誰でも簡単に受験できない
試験内容
試験内容
1. 理論試験(筆記試験)
- 形式:5肢択一式・マークシート方式
- 出題数:220問(共通科目+専門科目)
- 試験時間:240分(4時間)
- 合格基準:
- 総合得点70%以上
- 必修項目(約40問)は80%以上の正答が必要
主な出題分野:
- 解剖学・生理学
- 運動学・バイオメカニクス
- スポーツ外傷・障害の評価と処置
- 健康管理とスポーツ医学
- リハビリテーション理論
- コンディショニング・トレーニング論
- スポーツ心理学・栄養学
- 応急処置と救急処置(一次救命処置など)
2. 実技試験(技術評価)
- 対象者:理論試験合格者のみ
- 評価内容:
- 問診・評価:視診・触診・症状把握
- 検査・機能評価:可動域、筋力、バランステスト
- 応急処置・救急対応:捻挫・骨折・一次救命処置など
- テーピング技術:足関節、膝、手首などへの処置
- リハビリテーション計画作成:段階的復帰支援プログラムの提示
3. 現場実習(講習中に実施)
- 実習時間:180時間以上
- 目的:実践対応力の養成(部活・競技団体・地域現場など)
- 評価方法:実習記録・報告書提出と受入評価
試験スケジュールと流れ
- 養成講習会受講 または 認定校卒業
- 講義・実習の修了
- 理論試験 → 合格者のみ実技試験へ
- 実技試験合格 → 資格認定申請
試験対策
筆記試験対策
出題傾向と科目
- 解剖学(骨格・筋肉・関節の構造)
- 生理学(エネルギー代謝、循環器系など)
- スポーツ外傷・障害(打撲、捻挫、脱臼、疲労骨折)
- トレーニング理論・リハビリプログラム設計
- 応急処置・医療制度との連携
対策方法
- 市販の運動学・スポーツ医学参考書を活用し、図とセットで理解
- 出題形式に合わせた記述練習(用語解説・図示説明)
- JSPO講習会資料は最重要テキスト。繰り返し精読
- 用語カード作成(例:筋名+起始・停止・作用)で反復暗記
実技試験対策
試験内容の例
- テーピングの実演(足関節・膝・手首など)
- 評価実技(ROM測定、筋力テスト、触診)
- 応急処置(RICE処置、救急時対応の手順)
- 状況設定に基づいた模擬指導(例:障害予防エクササイズ)
対策方法
- 医療職・競技指導者との実地練習が効果的
- 手技に理由を説明できるかがポイント(「なぜこの処置を行うのか」)
- 鏡・スマホで自分の動作を録画してチェック
- 指導現場での実践経験が最大の学習資源
面接試験対策
主な質問例
- なぜAT資格を取得したいのか
- 過去にどのようなスポーツ指導・ケアを行ってきたか
- 現場での連携・課題意識は?
- 指導中の成功・失敗体験とその振り返り
対策方法
- 志望動機や過去経験を文章にして事前整理
- 面接練習(ロールプレイ)で伝え方の癖を把握
- 専門用語に偏らず、現場の課題に即した言葉選びを意識
課題提出対策
提出課題の種類(年度により異なる)
- 事例報告書(ケア・指導の記録)
- トレーニングプログラム立案書
- スポーツ障害の対応報告
対策方法
- 客観的な記録(写真、測定データ、日誌)を日頃から蓄積
- 記述の構成:状況 → 評価 → 対応 → 結果 → 考察
- 専門用語と一般用語の使い分けに注意
取得後に出来ること
スポーツ医・科学の専門家として、競技現場、教育現場、医療機関、フィットネス業界など幅広い領域での活動が可能になります。1. 競技スポーツの現場での活動
チームトレーナーとしての帯同
- プロ・実業団・大学・高校・ジュニアチームなどの専属トレーナーとして活動可能
- 選手の傷害予防・応急処置・リハビリ・コンディショニング管理を一手に担う
トップ選手への個別対応
- ナショナルチーム、オリンピック帯同などの選手サポート体制の一員として活躍
- 海外遠征・大会帯同など国際的な活動のチャンスもある
2. 医療・リハビリ分野での活動
医療機関での運動療法支援
- 整形外科クリニック、リハビリ施設において、再発予防・動作指導・日常生活への復帰支援を担う
- 理学療法士・医師との連携により、チーム医療の一員として活動
地域医療と連携した健康支援
- 高齢者や運動初心者向けのロコモ予防・体力維持プログラムの企画・実施
- 地域包括支援センターや自治体と連携する事例もあり
3. 学校・教育機関での活動
学校部活動の外部指導者
- 高校や大学の運動部に専任トレーナーまたは指導補助者として関わる
- 部活動の地域移行により、外部専門人材としてのニーズが拡大中
教育機関での講師・実習指導者
- スポーツ専門学校・大学・養成校で、運動学・トレーナー実習科目の指導者として活躍可能
- 実務経験を活かして、養成プログラムの講師や臨地実習の評価者として関与することも
4. フィットネス・パーソナルトレーニング分野
一般向けトレーニング指導
- スポーツクラブ・パーソナルジムにおいて、身体機能改善や健康増進の指導を行う
- 特に中高年層・女性層に対する障害予防型トレーニングの専門家として注目されている
アスリート向けのパフォーマンス強化
- 各競技に合わせた競技特化型コンディショニングプログラムの提供
- スポーツ塾・スクールでのジュニア選手サポートも可能
5. JSPO・競技団体内での活動
指導者講習の講師
- JSPO主催の共通科目・専門科目の講師として登壇できる
- スポーツ医・科学系の知識を基に、指導者研修の教材作成や実技指導も担当可能
上位資格へのステップアップ
- 公認AT資格保有者は、スポーツプログラマー・クラブマネジャーなど他分野資格との併用がしやすく、複数資格保有者として活躍の幅が広がる
6. 活動の信頼性・待遇向上のメリット
資格保持による信用性の担保
- JSPO公認資格は公的資格として認知度が高く、自治体・学校・医療機関での採用時に有利
- 名刺・履歴書などに資格を明記でき、専門性・倫理性の証明となる
報酬・待遇の向上にもつながる
- 資格保持を条件にした報酬加算・採用優遇制度を導入する団体が増加
- スポーツ庁・文部科学省による外部指導員制度等でも資格者が優遇対象
その他スポーツ系資格一覧
スポーツプログラマー
(FTP認定)ピラティスインストラクター
(BASI認定)ピラティスインストラクター
ヨガインストラクター
エアロビックダンスエクササイズ
プロボウラー
アスレティックトレーナー
公認スポーツ指導者
プロ野球審判員
JAF公認審判員
日本ラグビーフットボール協会公認レフリー
陸上競技審判員
健康運動実践指導者