経営とITの橋渡し役となるプロフェッショナル人材「ITコーディネータ」を育成・認定するものでITコーディネータは、企業の経営戦略に基づき、ITを活用した業務改革や情報システムの企画・導入・運用を一貫して支援します。
資格取得には、「ITコーディネータ試験の合格」と「ケース研修の修了」の両方が必要です。試験は年2回実施され、CBT方式で行われます。
受験資格と難易度
受験資格
ITコーディネータ資格を取得するためには、以下の 2つの要件 を満たす必要があります。
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ITコーディネータ試験の合格
- 受験資格に制限はなく、学歴・年齢・職歴などの要件はありません。
- 誰でも受験可能。
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ケース研修の修了
- IT経営の実践を学ぶための研修(約5日間・40時間)。
- 研修ではグループワークや演習を通じて実務能力を高める。
- 研修修了後に「ケース研修修了証」が発行される。
試験とケース研修のどちらを先に受けてもよい ですが、両方を 4年度以内 に修了する必要があります。
難易度
- 合格率は 50%前後 とされており、そこまで難関ではないが、一定の知識が必要。
- 出題範囲は広く、「IT経営推進プロセスガイドライン(ITCプロセスガイドライン)」を中心に、経営戦略・業務プロセス・IT活用・プロジェクト管理・リスク管理 などを幅広くカバー。
- ITの知識だけでなく、経営戦略やビジネスの基礎知識が求められるため、ITエンジニア経験者でも対策が必要。
- 独学での合格も可能だが、公式の「試験対策講座」や参考書を活用すると効率的。
ケース研修の難易度
- 研修は 参加すればほぼ修了できる ため、試験ほどの難しさはない。
- ただし、実践的な内容のため、グループワークや演習に積極的に取り組むことが重要。
試験内容
試験概要
- 試験形式:CBT(コンピュータ試験)、選択式
- 試験時間:120分
- 問題数:100問
- 合格基準:70%以上の正答率
- 受験料:19,800円(税込)
- 試験実施回数:年2回(例年3月・9月)
試験範囲と出題内容
試験は以下の6つの領域から出題されます。ITと経営の両方に関する問題が出題されるのが特徴です。
経営戦略とIT
- 経営戦略の基本概念(SWOT分析、バリューチェーンなど)
- ITを活用した競争優位戦略(デジタル・トランスフォーメーション(DX)、データ活用)
- 経営戦略とIT戦略の整合性
- IT投資の評価(ROI、TCOなど)
業務改革(BPR)とIT活用
- ビジネスプロセスの分析と再設計(BPR)
- 業務フローの可視化(As-Is / To-Be)
- 業務標準化と自動化(RPA、ERP)
- ITシステムを活用した業務改善
ITガバナンスとリスク管理
- ITガバナンスの基本概念(ITIL、COBIT、ISO 27001など)
- ITリスクの種類と管理手法
- サイバーセキュリティ対策(ISMS、ゼロトラスト)
- 法規制対応(個人情報保護法、GDPR、SOX法など)
IT導入・開発のプロジェクト管理
- ITプロジェクトの計画と管理(PMBOK、アジャイル開発)
- システム開発ライフサイクル(ウォーターフォール、アジャイル、DevOps)
- プロジェクトの進捗管理とリスク管理
- ベンダー管理とRFP作成
ITサービスマネジメント
- ITサービスの運用管理(ITIL、SLA)
- システム障害対応(BCP/DR対策)
- ITコスト管理
- クラウドサービスの活用(SaaS、PaaS、IaaS)
DX(デジタル・トランスフォーメーション)
- DXの定義と推進方法
- AI・ビッグデータ・IoTの活用
- データドリブン経営
- DX推進に必要な組織変革
試験の特徴
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経営知識とIT知識の両方が求められる
- ITの専門知識だけでなく、経営戦略やビジネスプロセスの理解が重要。
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「ITCプロセスガイドライン」が試験の中心
- 出題の多くは ITCプロセスガイドラインの内容に基づいているため、事前にしっかり読み込むことが必要。
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事例問題(ケーススタディ)が出題される
- 実際の企業のIT活用事例をもとに、適切なアプローチを選択する問題が出る。
-
用語の理解が重要
- ITIL、COBIT、PMBOK、DXなど、業界標準のフレームワークが頻出する。
試験対策
1. 学習計画を立てる
試験範囲が広いため、 計画的な学習 が必要です。おすすめの学習期間は 2〜3か月 ですが、ITや経営の知識レベルに応じて調整しましょう。
学習の流れ
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試験範囲を確認(1週間)
- 「ITCプロセスガイドライン」をざっと読む。
- 各分野(経営戦略、業務改革、IT導入、DXなど)で、自分の得意・不得意を把握。
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基礎知識を学ぶ(2〜4週間)
- ITガバナンス、リスク管理、プロジェクト管理の基本を学ぶ。
- 経営戦略・業務改革(BPR)・DXなど、IT以外の分野を強化。
-
過去問・問題演習(3〜4週間)
- 過去問を解いて、出題パターンを掴む。
- 間違えた問題は 解説をしっかり読み、理解する ことが大切。
-
直前対策(1〜2週間)
- 頻出キーワードの復習。
- ITCプロセスガイドラインの要点を再確認。
2. ITCプロセスガイドラインを徹底理解
試験問題の多くは、 ITCプロセスガイドライン(IT経営推進プロセス) に基づいています。
公式サイトで最新のガイドラインを確認し、次の3つを重点的に学習しましょう。
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IT経営の推進プロセス
- ITを活用した経営戦略の策定方法
- 経営課題の分析(SWOT分析、バリューチェーン)
- IT投資評価(ROI、TCO)
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プロジェクト管理
- IT導入プロジェクトの進め方(ウォーターフォール・アジャイル)
- リスク管理・品質管理・変更管理
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ITサービスマネジメント
- ITILやCOBITの基本概念
- システム運用管理(SLA、BCP)
3. 過去問と模擬試験を活用
過去問を解くことが最も効果的な試験対策 です。過去問や模擬試験を解くことで、 試験の出題傾向 や 自分の弱点 を把握できます。
過去問の活用方法
- 1周目(基礎固め):解説を読みながら解く(間違えた理由を明確にする)
- 2周目(理解強化):時間を測って解く(試験本番を想定)
- 3周目(最終確認):間違えた問題だけを復習する
問題演習で意識するポイント
- 「なぜこの答えなのか?」を理解する
- 「他の選択肢がなぜ間違いなのか?」を考える
- IT経営とIT導入の視点で考える
4. 頻出キーワードを暗記
試験では、 ITと経営の専門用語 が多く出題されます。
以下の頻出キーワードを押さえておきましょう。
経営戦略関連
- SWOT分析
- バリューチェーン
- PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
- KPI(重要業績評価指標)
業務改革(BPR)
- BPM(ビジネスプロセス管理)
- ERP(統合業務システム)
- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
プロジェクト管理
- PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)
- WBS(Work Breakdown Structure)
- スコープ管理
ITガバナンスとリスク管理
- ITIL(ITサービスマネジメント)
- COBIT(ITガバナンスフレームワーク)
- BCP(事業継続計画)
- DR(ディザスタリカバリ)
DX(デジタルトランスフォーメーション)
- AI(人工知能)
- IoT(モノのインターネット)
- データドリブン経営
- クラウドコンピューティング(SaaS、PaaS、IaaS)
5. 学習教材・参考書
試験対策には、 公式の教材や参考書 を活用するのが効率的です。
おすすめの教材
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ITCプロセスガイドライン(公式)
- 試験の基本資料。公式サイトからダウンロード可。
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ITコーディネータ試験対策問題集
- 過去問を解きながら学習できる問題集。
-
経営・IT関連書籍
- 「ITIL」「COBIT」「PMBOK」の入門書もおすすめ。
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オンライン講座(Udemy・YouTube)
- ITコーディネータ試験対策講座を視聴する。
6. 実務経験を活かす
ITコーディネータ試験は、 実務的な視点 で問題が出題されるため、 現場経験がある人は有利 です。
- ITエンジニア → 経営視点を学ぶ
- 経営コンサルタント → ITガバナンスを学ぶ
- SIerや情報システム部門 → 業務改革やDXを学ぶ
取得後に出来ること
1. 企業のIT戦略・DX推進支援
ITコーディネータは、企業の経営戦略とIT活用を結びつける専門家として、 IT戦略の立案やDX(デジタルトランスフォーメーション) の推進をサポートできます。
- 経営課題に基づいたIT戦略の策定
- IT投資の評価(ROI、TCOの分析)
- クラウド・AI・IoTなどの先端技術導入の支援
- 経営層・現場の間での調整役(CIO補佐的な役割)
活躍できる場面
- 企業のDX推進部門
- 経営戦略・情報システム部門
- IT戦略コンサルタント
2. ITコンサルタント・独立開業
ITコーディネータ資格は、 ITコンサルタントとしての信頼性を高める ため、独立開業やフリーランスのコンサルタントとして活動する際に有利です。
- IT導入・業務改革(BPR)のコンサルティング
- クライアント企業のシステム選定やベンダー選定支援
- IT投資の最適化提案
- DX推進支援
独立・フリーランスのメリット
- 企業のIT課題を解決する専門家として活動
- 企業向けのDX支援サービス提供
- 地方の中小企業向けIT活用支援(IT補助金活用支援など)
- 顧問コンサル契約による収益化
活躍できる場面
- フリーランスのITコンサルタント
- 中小企業診断士と併用して経営支援
- IT補助金のコンサルティング業務
3. ITプロジェクトマネージャー・PMO
ITプロジェクトの管理者(プロジェクトマネージャー、PMO)として、企業の システム導入プロジェクト や 業務改革 に携わることができます。
- プロジェクト計画・要件定義・ベンダー管理
- ITシステムの導入・運用プロジェクト推進
- RFP(提案依頼書)の作成とベンダー評価
- PMBOKやアジャイル開発の知識を活用したプロジェクト管理
活躍できる場面
- SIer(システムインテグレーター)のPMO
- 企業の情報システム部門のプロジェクト推進役
- DX推進プロジェクトのリーダー
4. IT補助金・助成金を活用した中小企業支援
中小企業のIT化やDXを促進するために、 IT導入補助金や各種助成金の活用支援 を行うことができます。
- IT導入補助金の申請支援
- 中小企業向けのITコンサルティング
- 地方の企業の業務効率化支援
- 補助金活用によるIT投資の最適化
活躍できる場面
- 中小企業向けITコンサルティング会社
- 商工会・中小企業支援機関
- IT導入支援事業者として補助金活用サポート
5. 企業内でのキャリアアップ
ITコーディネータ資格は、企業内のIT戦略・情報システム部門での キャリアアップ にも役立ちます。
- 情報システム部門の管理職・マネージャー
- CIO(最高情報責任者)補佐
- 経営戦略部門との橋渡し役
活躍できる場面
- 企業のIT企画・DX推進部門
- 情報システム部門の責任者
- ITサービス管理(ITIL、COBITの知識を活用)
6. 他の資格との組み合わせ
ITコーディネータ資格は、 他のビジネス資格と組み合わせることで相乗効果が期待 できます。
- 中小企業診断士(経営コンサルとの相性抜群)
- PMP(プロジェクトマネジメント専門資格)(プロジェクト管理力を強化)
- ITIL資格(ITサービス管理を強化)
- 情報処理技術者試験(応用情報技術者・ITストラテジスト)(ITの専門性を補完)
財務・経営系資格一覧
公認会計士
税理士
中小企業診断士
簿記検定
ファイナンシャル・プランニング技能士
証券アナリスト
簿記能力検定
建設業経理検定
経営士
ファイナンシャル・プランナー
実用数学技能検定
DCプランナー
DCアドバイザー
マーケティング・ビジネス実務検定
MBA
不動産証券化協会認定マスター
モーゲージプランナー
銀行業務検定試験
BATIC(国際会計検定)
CPA(米国公認会計士)
米国公認管理会計士
米国税理士(EA)
PMP試験
CISA(公認情報システム監査人)
CIRP(サーティファイド・IRプランナー)
シニアリスクコンサルタント
ITコーディネータ資格認定制度
ファイナンシャル・リスクマネージャ
アクチュアリー資格試験
二種外務員資格試験
CIA(公認内部監査人)
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
ホスピタリティ検定試験
イベント業務管理者
ファシリティマネージャー
PRプランナー資格認定制度
プロジェクトマネジメント資格
VEリーダー認定試験
販売士検定
セールススキル検定試験
セールスレップ資格認定制度
販路コーディネータ資格認定制度
交渉アナリスト
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)