組込みシステム(エンベデッドシステム)の開発・設計に関する高度な知識とスキルを証明する国家資格です。
組込みシステムとは、家電製品、車載システム、医療機器、産業機器などに組み込まれた専用のコンピュータシステムのことで、リアルタイム処理や省電力設計が求められます。
■主催
独立行政法人 情報処理推進機構
受験資格と難易度
受験資格
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES試験)は、受験資格に制限がなく、誰でも受験可能です。
ただし、組込みシステムの開発経験や、基本情報技術者試験(FE)・応用情報技術者試験(AP)レベルの知識があると有利です。
受験におすすめの人
- 組込みシステムエンジニア(ハード・ソフトの両方)
- マイコン、FPGA、リアルタイムOSを扱うエンジニアに最適
- 制御システム開発者(自動車・家電・産業機器など)
- IoTエンジニア
- 応用情報技術者試験(AP)合格者・基本情報技術者試験(FE)取得者
- 組込み開発に関心があり、より高度な知識を身につけたい人に最適
未経験者の注意点
- 組込みシステムの知識がないと、特に午後試験の内容が理解しにくい
- いきなり受験するのではなく、**基本情報(FE)→ 応用情報(AP)→ エンベデッド(ES)**とステップアップするのが一般的
難易度
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の中でも上級レベル(レベル4)に位置し、特に組込み開発の専門知識が必要なため難易度が高い試験です。
合格率
- 約15%前後(高度情報処理技術者試験の中でも難関)
- 記述式試験があり、知識だけでなく論理的に説明する能力も必要
試験 |
難易度 |
合格率 |
ITパスポート(IP) |
初級 |
約50% |
基本情報技術者試験(FE) |
初級~中級 |
約25~30% |
応用情報技術者試験(AP) |
中級 |
約20~25% |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES) |
上級(組込み特化) |
約15% |
ネットワークスペシャリスト試験(NW) |
上級(ネットワーク特化) |
約13~15% |
データベーススペシャリスト試験(DB) |
上級(DB特化) |
約13~15% |
試験の難しさ(午前・午後の違い)
試験 |
特徴 |
難易度 |
午前I試験(択一式・30問) |
基本情報・応用情報と共通の問題 |
やや易 |
午前II試験(択一式・25問) |
組込みシステム特有の問題(リアルタイムOS、制御設計) |
普通 |
午後I試験(記述式・2問選択) |
システム設計・ソフトウェア最適化の記述問題 |
難しい |
午後II試験(記述式・1問選択) |
1200~1600字の設計・最適化の記述が必要 |
非常に難しい |
午後試験の難易度が高い理由
- 組込みシステムに関する実務経験が求められる
- 午後試験では、実際の開発・設計に基づいた記述が必要
- ハードウェアとソフトウェアの両方の知識が必要
- ソフトウェア開発(C言語、RTOS)と、ハードウェア設計(マイコン、FPGA)両方の理解が必要
- 論理的な思考と記述力が求められる
- 記述問題では、単なる知識ではなく「設計の意図」や「最適化手法」を論理的に説明する能力が必要
試験内容
1. 試験概要
試験区分 |
試験時間 |
出題形式 |
配点 |
合格基準 |
午前I |
9:30~10:20(50分) |
多肢選択式(四肢択一)30問 |
100点満点 |
60点以上 |
午前II |
10:50~11:30(40分) |
多肢選択式(四肢択一)25問 |
100点満点 |
60点以上 |
午後I |
12:30~14:00(90分) |
記述式 3問中2問を選択 |
100点満点 |
60点以上 |
午後II |
14:30~16:30(120分) |
記述式 2問中1問を選択 |
100点満点 |
60点以上 |
- 午前I試験は、応用情報技術者試験(AP)合格者は免除(合格後2年間有効)
- 午後II試験では、組込みシステムの設計・最適化に関する高度な記述問題が出題される
2. 試験内容
午前試験
午前I(30問・四肢択一)
- 基本情報技術者試験(FE)・応用情報技術者試験(AP)と共通の内容
- ITの基礎知識が問われる
分野 |
主な出題内容 |
基礎理論 |
アルゴリズム、データ構造、計算理論 |
コンピュータシステム |
CPU、メモリ、I/O、リアルタイム処理 |
ネットワーク |
通信プロトコル、IoT関連技術 |
セキュリティ |
組込みシステムの脆弱性対策 |
プログラミング |
C言語、アセンブリ言語、デバッグ技法 |
午前II(25問・四肢択一)
分野 |
主な出題内容 |
ハードウェア |
マイコン、FPGA、メモリ管理、電力管理 |
ソフトウェア |
リアルタイムOS(RTOS)、タスク管理 |
通信制御 |
CAN、UART、SPI、I2C |
システム設計 |
モデリング、ミドルウェア開発、ソフトウェアアーキテクチャ |
午後試験
午後I(記述式・90分・3問中2問選択)
- 600~800字程度の記述が求められる
- 組込みシステムの設計・最適化に関する問題が中心
分野 |
出題テーマ例 |
組込みシステム設計 |
制御システムの設計・仕様決定 |
ソフトウェア開発 |
マルチタスク処理、割り込み制御 |
ハードウェア制御 |
メモリマップ、低消費電力設計 |
通信制御 |
IoTデバイスの通信プロトコル設計 |
午後II(記述式・120分・2問中1問選択)
- 1200~1600字の記述試験
- 設計・最適化のストーリーを論理的に説明
- 設計意図や制約条件を踏まえた、最適なシステム構築が問われる
出題テーマ |
内容例 |
組込みシステム最適化 |
低消費電力設計、リアルタイム処理の最適化 |
通信制御の最適化 |
IoTデバイスの通信プロトコル選定 |
安全設計 |
車載システムの安全対策(ISO26262、ASIL) |
システムの信頼性向上 |
フェールセーフ設計、冗長化構成 |
試験対策
1. 試験全体の対策ポイント
試験の特徴と対策ポイント
試験区分 |
試験形式 |
重要度 |
対策ポイント |
午前I(30問) |
四肢択一 |
低 |
過去問演習で得点を確保 |
午前II(25問) |
四肢択一 |
中 |
組込みシステムの専門知識を重点学習 |
午後I(記述式) |
3問中2問選択 |
高 |
記述力を鍛え、過去問分析 |
午後II(記述式) |
2問中1問選択 |
非常に高 |
1200~1600字の記述対策、設計意図の明確化 |
2. 午前試験対策
午前I(基礎知識問題)
対策ポイント
- 応用情報技術者試験(AP)と共通の問題が多いため、過去問を中心に学習
- 午前Iは2年間の免除制度あり(応用情報または高度試験合格者)
おすすめの勉強法
- 5年分の過去問を繰り返し解く(IPA公式サイトの過去問を活用)
- 間違えた問題をノートにまとめる(弱点を克服)
- IT用語集を作成し、短時間で復習できるようにする
午前II(専門知識問題)
対策ポイント
- 組込みシステムの専門知識が問われるため、重点的に学習が必要
- リアルタイムOS、ハードウェア設計、通信プロトコル、低消費電力設計の知識を深めることが重要
重点分野
分野 |
重要度 |
内容 |
ハードウェア |
★★★★☆ |
マイコン、FPGA、メモリ管理、電力管理 |
ソフトウェア |
★★★★★ |
リアルタイムOS(RTOS)、タスク管理 |
通信制御 |
★★★★☆ |
CAN、UART、SPI、I2C |
システム設計 |
★★★★★ |
モデリング、ミドルウェア開発、ソフトウェアアーキテクチャ |
おすすめの勉強法
- 過去問演習を行い、頻出テーマを分析
- 「リアルタイムOS」「ハードウェア制御」「低消費電力設計」の基本概念を理解する
- 技術解説書やメーカーの技術資料を活用し、実際の応用事例を学ぶ
3. 午後試験対策
午後I(記述式問題)
対策ポイント
- 600~800字程度の文章を論理的に書く力をつける
- 問題文をよく読み、「何を聞かれているのか」を的確に捉える
- 解答の流れを意識する(課題→分析→解決策→効果)
解答の流れ
- 問題文を分析し、主題を把握する
- 課題を整理し、要点を抜き出す
- 解決策を簡潔に説明し、具体的な効果を示す
おすすめの勉強法
- 過去問を3年分解き、解答例を研究する
- 問題文からキーワードを抜き出し、簡潔な解答を作成する練習
- 模範解答をノートにまとめ、論理的な構成を身につける
午後II(記述式問題)
対策ポイント
- 1200~1600字の記述が求められるため、ストーリーを考えながら書く力を養う
- 過去の実務経験をもとに、論理的な展開を考える
- 事前にテーマごとの論述パターンを準備し、試験当日に応用できるようにする
論述のテンプレート
- 背景・課題の提示(現状の問題点を明確に)
- 課題の分析(なぜその問題が発生しているのか)
- 解決策の提案(実施可能な具体策を提示)
- 効果の説明(企業へのメリットや業務効率化の説明)
- まとめ・今後の展望(最終的な結論と改善の可能性)
4. 効果的な学習スケジュール
期間 |
学習内容 |
試験3ヶ月前 |
午前試験の過去問演習、午後試験の出題傾向を分析 |
試験2ヶ月前 |
午後I・午後IIの過去問を解き、論述のテンプレートを作成 |
試験1ヶ月前 |
午前II試験の頻出分野を重点学習、午後試験の記述練習を強化 |
試験2週間前 |
模試や時間を測った演習を行い、実戦形式で対策 |
試験前日 |
重要ポイントの復習、体調を整える |
5. おすすめの参考書・教材
書籍 |
特徴 |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験対策テキスト&過去問題集 |
午前・午後試験の両方をカバー |
エンベデッドシステムスペシャリスト 午後試験対策 記述トレーニング |
記述式の解答作成に特化 |
組込みシステム開発のためのリアルタイムOS入門 |
実践的なRTOSの知識を習得 |
低消費電力設計の基礎と実践 |
ハードウェア設計の最適化を学べる |
取得後に出来ること
1. 組込みシステム開発のエキスパートとして活躍
活かせる職種
職種 |
主な業務内容 |
組込みシステムエンジニア |
IoT機器、家電、車載システムの開発 |
ハードウェアエンジニア |
FPGA・マイコン設計、回路設計 |
ファームウェア開発エンジニア |
組込みソフトウェアの開発 |
制御システム設計エンジニア |
ロボット・産業機器の制御システム設計 |
取得のメリット
- 組込みソフトウェア・ハードウェア開発の専門家として認知される
- マイコン・FPGA・リアルタイムOS(RTOS)の知識を活かせる
- IoTや自動運転技術など、最先端分野で活躍できる
2. 転職・昇進に有利
評価される業界
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、特に以下の業界で高評価を受けます。
業界 |
活かせるスキル |
自動車(車載システム) |
ECU(電子制御ユニット)、ADAS(先進運転支援システム)、ISO26262(機能安全) |
家電メーカー |
IoT家電、AI搭載デバイス、低消費電力設計 |
医療機器 |
医療機器の組込みソフトウェア、安全性設計 |
産業機器(工場・ロボット) |
PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、FA(ファクトリーオートメーション) |
IoT企業 |
センサーデバイス、低消費電力通信、エッジコンピューティング |
昇進・キャリアアップ
- 技術リーダー(TL)、シニアエンジニア、マネージャー職へ昇格しやすい
- プロジェクトマネージャー(PM)として、組込みシステム開発チームを統括する立場になれる
3. 資格手当・報奨金がもらえる
企業によっては、資格取得者に対して資格手当や報奨金を支給する場合があります。
具体例
- 資格手当:毎月 5,000円~20,000円 の支給
- 報奨金(取得時の一時金):10,000円~100,000円 の支給
※支給の有無や金額は企業ごとに異なるため、社内の資格制度を確認することをおすすめします。
4. 独立・フリーランスとしての活躍
エンベデッドシステムスペシャリスト試験を取得すると、フリーランスの組込みエンジニアとして独立することも可能です。
フリーランスとしての活かし方
仕事の種類 |
具体的な業務 |
組込みシステムコンサルタント |
企業の組込み開発支援、DX推進 |
ファームウェア開発 |
組込みソフトウェアの開発(RTOS、マイコン制御) |
ハードウェア設計 |
FPGA設計、基板設計 |
IoTエンジニア |
センサーデバイス開発、エッジAI実装 |
フリーランスのメリット
- 高単価の案件を受注しやすい(時給5,000円以上も可能)
- 企業の開発パートナーとしてコンサルティング業務ができる
5. 他の高度情報処理試験の午前I免除
エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格すると、他の高度情報処理技術者試験(レベル4)の午前I試験が2年間免除されます。
免除対象となる試験
高度試験 |
試験の特徴 |
ネットワークスペシャリスト(NW) |
通信プロトコル、ネットワーク構築 |
ITストラテジスト(ST) |
IT経営戦略、システム企画 |
データベーススペシャリスト(DB) |
SQL最適化、データ管理 |
システムアーキテクト(SA) |
システム設計、アーキテクチャ設計 |
免除制度の活用方法
- 2年間の間に高度試験をもう1つ受験し、キャリアの幅を広げる
- ネットワークやセキュリティ分野の試験と組み合わせて専門性を高める
6. 大学の単位認定・入試優遇
エンベデッドシステムスペシャリスト試験を取得すると、一部の大学・専門学校で単位認定や入試優遇が受けられる場合があります。
単位認定の例
- 情報系の大学・専門学校では、「エンベデッドシステムスペシャリスト試験」を取得していると 一部の単位が免除 されることがある
- 大学院(情報工学・組込みシステム系)への入試優遇として、書類審査で評価されることがある
※詳細は各大学・専門学校の制度を確認する必要があります。
7. 海外の資格・試験との連携
エンベデッドシステムスペシャリスト試験を取得すると、海外の組込みシステム関連資格との親和性が高まり、グローバルに活躍しやすくなります。
関連する海外資格
資格 |
認定機関 |
特徴 |
Certified Embedded Systems Engineer(CESE) |
IEEE |
国際的な組込みシステムエンジニア資格 |
ARM Certified Engineer |
ARM社 |
ARMプロセッサの専門知識を証明 |
Certified IoT Professional |
IoT Certification Institute |
IoT技術の専門資格 |
国際的な仕事のチャンス
- 海外企業の組込みシステム開発案件に関わることができる
- 英語での技術ドキュメント作成・プロジェクト管理のスキルを活かせる
コンピューター系資格一覧
応用情報技術者試験
基本情報技術者
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験
システム監査技術者
ITサービスマネージャ試験
ITパスポート試験
ネットワークスペシャリスト試験
プロジェクトマネージャ
情報処理安全確保支援士試験(RISS)
データベーススペシャリスト試験
Accessビジネスデータベース技能認定試験
Excel表計算処理技能認定試験
Word文書処理技能認定試験
PowerPointプレゼンテーション技能認定試験
Javaプログラミング能力認定試験
COBOLプログラミング能力認定試験
パソコン検定(P検)
C言語プログラミング能力認定試験
情報処理技術者能力認定試験
VisualBasicプログラミング能力認定試験
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
VBAエキスパート
IC3
ワードプロセッサ技能認定試験
パソコン技能検定Ⅱ種試験
EC(電子商取引)実践能力検定
OracleApplication認定コンサルタント
CAD利用技術者試験
ORACLE MASTER(オラクルマスター)
会計ソフト実務能力試験
Server+
A+
コンピュータサービス技能評価試験
J検(情報検定)
Linux+
Network+
UBA能力検定
マイクロソフト認定トレーナー(MCT)
マイクロソフト認定資格プログラム
Linux技術者認定試験
情報セキュリティ検定試験
UMLモデリング技能認定試験
Oracle Certified Java Programmer(OCJP)
CGエンジニア検定
画像処理エンジニア検定
シスコ技術者認定
インターネット検定 .com Master
Cisco技術者認定資格(CCIE)
Turbo-CE/Pro/CI
CIW
RHCE(Red Hat認定エンジニア)
Oracle Solaris 11 System Administrator
PostgreSQL CE
情報ネットワーク施工プロフェッショナル(INIP)
Zend PHP 5 Certification
商PC検定試験