ガス溶接技能者

酸素・アセチレンなどの可燃性ガスを使用したガス溶接およびガス溶断作業を安全に実施するために必要な国家資格です。

労働安全衛生法に基づき、可燃性ガスおよび酸素を使用して金属の溶接・溶断作業を行う場合は、有資格者でなければ作業に従事できません。

資格取得により、建設業、製造業、造船業、プラント工事現場などで、金属加工や構造物の修理・溶断作業に携わることができます。

資格の種類と業務範囲

ガス溶接関連の資格は、主に以下の2種類に分かれます。

資格区分 主な業務内容 備考
ガス溶接技能講習修了者 ガス溶接・ガス溶断作業の実施 一般的なガス溶接作業で必要な資格
ガス溶接作業主任者 作業現場での指導・監督、安全管理 一定規模以上の作業現場で選任が義務付けられる

主催
(社)東京労働基準協会連合会

受験資格と難易度

1. 受験資格

ガス溶接技能者資格は、以下の2種類に分かれています。

(1)ガス溶接技能講習修了者

  • 満18歳以上であれば、学歴や職歴に関係なく受講可能です。
  • 実務経験は不要のため、初心者でも資格取得を目指せます。

(2)ガス溶接作業主任者

  • 以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
    • ガス溶接技能講習修了後、実務経験が6か月以上ある者
    • ガス溶接に関する実務経験が1年以上ある者
  • 作業主任者は、一定規模以上のガス溶接作業現場での安全管理・指導が求められます。

2. 難易度

(1)ガス溶接技能講習修了者

項目 内容
合格率 約90〜95%
難易度 易しい
特徴 講習を受けたほとんどの受講者が修了。基本知識と安全意識の確認が中心。
  • 講習形式での試験が中心のため、事前にしっかり受講すれば高確率で合格可能です。
  • 実技試験も基本操作を習得していれば問題なし。

(2)ガス溶接作業主任者

項目 内容
合格率 約60〜70%
難易度 普通
特徴 作業現場での実務経験者向け。法令や安全管理に関する出題が多い。
  • 実務経験がある方は比較的合格しやすいですが、法令問題が難しいこともあります。
  • 現場経験のない方は講習内容を繰り返し復習することが重要です。

試験内容

試験は以下の2区分に分かれており、それぞれで内容が異なります。

  • ガス溶接技能講習修了者:講習形式で実施(学科+実技)
  • ガス溶接作業主任者:筆記試験中心(法令・作業管理が中心)

1. ガス溶接技能講習修了者

(1)試験概要

項目 内容
試験形式 学科試験(選択式・記述式)+実技試験
試験時間 学科:約2時間 / 実技:約2〜3時間
合格基準 学科・実技ともに正答率60%以上
実施機関 労働基準協会、建設業労働災害防止協会など

(2)学科試験内容

科目 出題内容
ガス溶接作業に関する知識 溶接・溶断の原理、燃焼理論、火炎特性
装置および工具の取扱い方法 ガスホース、バーナー、減圧器の構造と使用方法
災害防止および安全管理 爆発・火災の原因、防止策、緊急時対応
関係法令 労働安全衛生法、作業主任者選任義務、使用禁止事項

(3)実技試験内容

項目 実施内容 評価ポイント
器具点検 減圧器、ホース、バーナーの異常確認 点検手順の正確さ、安全確認の有無
着火・消火操作 バーナーの安全な着火、適正火炎の調整 火炎の安定性、トーチ操作
溶接作業 板材溶接、継手接合 溶接ビードの均一性、溶け込み具合
溶断作業 パイプや板の切断作業 切断面の滑らかさ、操作速度
作業終了時の処置 ガス遮断、器具清掃、安全確認 後処理の適正さ

2. ガス溶接作業主任者

(1)試験概要

項目 内容
試験形式 筆記試験(選択式・記述式)
試験時間 約2時間
合格基準 正答率60%以上
実施機関 都道府県労働局または指定機関

(2)出題科目と内容

科目 出題内容
作業指導に関する知識 作業計画、作業員への指導法、安全指導方法
災害防止に関する知識 爆発・火災事例、防止策、緊急時対応
関係法令 労働安全衛生法の遵守事項、主任者の責任範囲
器具および装置の管理 使用前後の点検、異常発見時の対応

3. 合格基準と対策ポイント

項目 合格基準 対策ポイント
学科試験 60%以上 講習テキストの繰り返し復習、過去問題で傾向把握
実技試験 作業手順遵守、安全確認の実施 実技練習を繰り返し、器具の扱いに慣れる
作業主任者試験 法令・安全問題に強くなること 法令は表にまとめ、罰則や基準値を暗記

 

試験対策

1. 学科試験対策

(1)効率的な学習法

公式テキストを繰り返し読む

  • 用語や器具の構造、溶接理論を理解

過去問題を中心に勉強

  • 過去3年分の問題を解いて傾向を把握
  • 間違えた問題はノートにまとめて復習

法令・規則は表にまとめて暗記

  • 届出期限、作業主任者選任義務、罰則などは出題頻度が高い

(2)学科の重点分野と対策ポイント

科目 重点ポイント 対策方法
ガス溶接作業の知識 燃焼理論、火炎の種類と特性 図解で火炎の種類を覚える
装置・工具の取扱い バーナー、ホース、減圧器の構造 実物や写真で部品名を暗記
災害防止 爆発・火災の原因と防止策 事故事例を調べ原因と対策を理解
関係法令 労働安全衛生法、作業主任者の責務 条文の数字や罰則を表にまとめる

2. 実技試験対策

(1)実技試験のポイント

作業前点検の徹底

  • 減圧器の緩み、ホースの亀裂、バーナーの異常を確認

正しい着火・火炎調整

  • 酸素バルブを開き、次に可燃性ガスを開いて着火
  • 炎は中性炎に調整(最も多く使われる火炎)

一定の速度で溶接・溶断

  • トーチ角度:約45°
  • 移動速度:速すぎると溶け込み不足、遅すぎると焼き過ぎになる

作業終了時の安全確認

  • ガス遮断→圧力抜き→器具の清掃・収納

(2)実技試験の練習方法

練習項目 ポイント 練習のコツ
器具点検 漏れ確認・異常発見 チェックリストを作り確認手順を習慣化
着火操作 酸素→可燃性ガスの順で開く 安定した炎を作る練習を繰り返す
溶接作業 トーチ角度と距離を一定に保つ スクラップ材で練習し溶け込みを確認
溶断作業 切断速度を均一に 焦らず滑らかな切断面を目指す
作業後処理 ガス遮断・器具清掃 処理手順を声に出して確認する

(3)実技試験の模擬練習(例)

練習時間

週2〜3回、1回1〜2時間

練習課題

  • 直線溶接(10cmの溶接ビードを均一に)
  • パイプの切断(切断面の滑らかさ重視)
  • 器具の組立・分解練習(素早さと正確さを意識)

取得後に出来ること

取得すると、酸素・アセチレンなどの可燃性ガスを用いた金属の溶接・溶断作業に従事できるようになります。
労働安全衛生法により、これらの作業は有資格者でなければ従事できないため、建設現場や工場、造船所などでの作業に必須です。

取得後は、鉄骨の接合、配管切断、構造物の修理や補強作業など幅広い業務が可能となり、現場での重要な役割を担えます。

1. ガス溶接技能講習修了者ができること

(1)金属の溶接・溶断作業

  • 鋼材や配管の切断作業
  • 鉄骨や部材の接合作業
  • 建設現場での補修作業
  • 機械部品の修理・取り付け作業

(2)作業現場での安全管理補助

  • 器具の点検・整備
  • 溶接現場での火災予防対策
  • 作業終了後のガス遮断と器具管理

2. ガス溶接作業主任者ができること

(1)作業現場での指導・監督

  • 作業計画の立案と安全指導
  • 作業員への手順説明と教育
  • 危険箇所の確認と災害防止策の実施

(2)災害防止および緊急時対応

  • 作業前の器具確認と異常時の対応指示
  • 事故発生時の応急措置と報告業務

3. 活躍できる職場・業界

業界 主な業務内容
建設業 鉄骨建方作業、構造物の溶接・切断作業
製造業 部品加工、組立ラインでの溶接作業
造船業 船体構造部の接合作業、船舶部品の修理
プラント工事 高圧配管接続、設備設置作業
自動車修理業 車体修理、部品の取り付け・補修
鉄道関連 レール接続、車両部品の修理

4. 資格取得後のメリット

  • 幅広い業界での就職・転職に有利
  • 作業主任者資格で現場リーダーとして活躍可能
  • 資格手当や年収アップが期待できる
  • 作業現場での信頼度が向上し、重要なポジションを担当できる
  • 安全作業の知識が身につき、災害防止に貢献できる

5. 取得後のキャリアパス

ステップ1: ガス溶接技能講習修了者

  • 溶接作業に従事し、現場経験を積む。

ステップ2: 作業主任者取得 → 現場責任者へ昇格

  • 安全管理者として現場を統括。

ステップ3: 関連資格取得でさらに活躍

  • アーク溶接作業者資格
  • ボイラー溶接士資格
  • 高圧ガス製造保安責任者資格

工業系資格一覧

技術士
ガス溶接技能者
公害防止管理者
ボイラー技士
ボイラー整備士
ボイラー溶接士
ガス溶接作業主任者
ボイラー取扱技能講習
溶接作業指導者
溶接管理技術者
アルミニウム溶接技能者評価試験

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