厚生労働省に認定された職業相談の専門家として活躍するための資格でJPC(Japan Productivity Center:日本生産性本部)とは、試験実施団体の一つです。
よって、JPCのキャリアコンサルタント資格=国家資格キャリアコンサルタント(JPC実施分)を意味します。
■主催
(財)日本生産性本部
受験資格と難易度
受験資格
誰でも受けられるわけではない
国家資格キャリアコンサルタント試験(JPC実施)には、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
① 厚生労働大臣指定の養成講座を修了している
-
認定された講座(150時間以上)を修了することで受験可能
-
一般的な受験者の9割以上がこのルート
② 実務経験が3年以上(1,000時間以上)ある
-
キャリア支援業務に従事していたことを証明できる場合
③ 技能検定(キャリアコンサルティング技能検定2級)に合格している
-
過去に学科・実技両方に合格していることが条件
難易度(合格率の目安)
区分 | 合格率(おおよその目安) |
---|---|
学科 | 約70〜75%(比較的易しい) |
実技(論述+面接) | 約50〜60%(やや難しい) |
総合合格率 | 約45〜55% |
※ 1回で3科目すべてに合格する必要がありますが、一部合格は次回に持ち越し可能(科目免除)です。
試験内容
学科試験(筆記)【CBT方式】
試験形式
- 四肢択一式 50問
- 制限時間:90分(パソコンを使ったCBT方式)
出題範囲(JPCの場合)
領域 | 内容の例 |
---|---|
キャリア理論 | スーパー、ホランド、シャイン、クランボルツなどの理論 |
カウンセリング理論 | 来談者中心療法、認知行動療法、ソリューションフォーカスなど |
労働関連法令 | 労働基準法、職業安定法、雇用対策法、障害者雇用促進法など |
雇用情勢 | 働き方改革、非正規雇用、若者・中高年支援策など |
キャリアコンサルティングの知識 | 面談技法、倫理、キャリア教育との関係、相談の進め方など |
合格基準
-
100点満点中、70点以上(70%以上)
実技試験①:論述試験(記述式)
試験形式
- 記述式(紙ベース)
- 制限時間:60分
出題形式の例(2024年度傾向)
ケース文(クライエントの相談内容)を読んだ上で、以下を記述する形式
- 相談者の課題・主訴の把握
- キャリアコンサルタントとしての支援方針
- 活用できる理論・支援方法の選定と理由
- クライエントの自律的成長への配慮
採点の観点(JPC基準)
評価軸 | 内容 |
---|---|
事例理解 | クライエントの状況・感情・背景の把握 |
適切な対応 | 理論的・実践的な支援の組み立て |
文章構成 | 論理的にわかりやすく表現されているか |
合格基準
- 総合評価が「C判定(60%未満)」だと不合格
- 「A(80%以上)」「B(60〜79%)」なら合格圏
実技試験②:面接試験(ロールプレイ+口頭試問)
試験構成
- ロールプレイ:10分
- 口頭試問:5分
- 全体で約15分
ロールプレイの流れ
-
事前に「クライエント役」の基本情報を読み取る(2〜3分)
-
ロールプレイ開始(受験者がキャリアコンサルタント役)
-
クライエントの悩みを引き出し、整理し、共感・支援の流れをつくる
-
-
面接官がその場で質問(口頭試問)
評価の観点(JPC評価基準)
評価区分 | 評価内容 |
---|---|
関係構築 | クライエントとの信頼関係を築けているか |
具体的展開 | 主訴の明確化、問題把握が的確か |
理論活用 | 適切なキャリア理論や技法を応用できているか |
自己理解・支援 | 自立的なキャリア選択を促しているか |
専門性・態度 | 職業倫理に基づく姿勢で臨めているか |
合格基準
- 各評価区分で「C判定(不可)」が1つでもあると不合格
- 総合的に「B」以上が求められる
合格基準のまとめ
試験区分 | 合格条件 |
---|---|
学科 | 70点以上(100点満点) |
論述 | 評価AまたはB |
面接 | 各項目Cなし、かつ総合評価B以上 |
※ 学科または実技のいずれかに合格した場合、次回の試験でその科目は免除(1回のみ有効)
試験対策
学科試験対策(択一式)
対策目標
-
70点以上(50問中35問)を安定して取る
主な出題分野と対策方法
出題分野 | 学習ポイント |
---|---|
キャリア理論 | スーパー、ホランド、シャインなどの理論家+キーワードをセットで暗記 |
カウンセリング理論 | 来談者中心療法、認知行動療法、解決志向などの特徴を整理 |
法律・制度 | 労働基準法、職業安定法、障害者雇用促進法などからの用語・定義問題 |
就労知識 | ハローワーク、ジョブカード制度、雇用形態、労働統計の理解 |
倫理・職業観 | キャリア支援における倫理、守秘義務、関係構築の基本など |
具体的な対策方法
- 過去問3回分以上を繰り返し解く(同じ問題で満点を取れるまで)
- 出題頻度の高い理論家の一覧表を自作
- CBT模試(オンライン形式)で時間配分に慣れる
- 用語や法律の知識は、1問1答式のまとめノートを作ると効果的
論述試験対策(記述式)
対策目標
-
課題分析+方針提案を構造的に整理して書く
よく出る設問パターン
- 相談者の主訴(悩みの本質)は何か
- 問題の背景・要因をどう捉えるか
- 支援方針をどう構成するか(面談の方向性)
- 活用できるキャリア理論は何か、なぜそれを使うのか
書き方のポイント
- 「課題→分析→対応」の3段構成を意識
- 主語を「キャリアコンサルタントは〜」で書き始めると論理が明確になる
- 感情的・抽象的な表現を避け、具体的・客観的な視点で整理
- 使う理論は1〜2つに絞り、理由を一文で述べる
おすすめ練習法
- 過去問を使って10ケース以上書く(時間を測って訓練)
- 書いた答案を第三者(講師・仲間)に添削してもらう
- 自分の文章の「癖(抽象的・論点ずれ)」を客観的に知ることが大事
面接試験対策(ロールプレイ+口頭試問)
対策目標
-
10分間の相談を「構造的に」組み立てて展開する
ロールプレイの流れと構成(王道型)
-
導入(1分)
自己紹介、信頼関係づくり、話しやすい雰囲気づくり -
主訴の把握(3〜4分)
オープンクエスチョンで自由に話してもらい、感情に共感しながら「何に困っているか」を探る -
焦点化・要約(2〜3分)
話の内容を整理し、問題の構造をクライエントと一緒に言語化 -
支援の方向性の共有(残り1〜2分)
「このような方向で整理していきませんか?」という提案・意思確認
評価の観点(JPC)
- 傾聴・受容・共感の態度
- 面談の構造的展開(まとまり)
- 自立支援・キャリア理論との接続
- 面談時間内に着地できる進行力
具体的な練習法
- ロールプレイ練習を10〜15回以上行う(録音・録画推奨)
- 相手役にはできれば有資格者か講座の仲間
- 練習ごとに「フィードバック→改善点を1つに絞る」ことで質を高める
- 面談終了後に何を聞かれるか(口頭試問)も想定して回答を準備
取得後に出来ること
できることの基本
国家資格キャリアコンサルタントは、「職業能力開発促進法」に基づく専門職
以下のような相談支援業務が法的に可能になります。
■ 対象
-
働く人・働きたい人・学生・転職希望者・再就職希望者など
■ 主な支援内容
項目 | 内容 |
---|---|
キャリアの棚卸し | 職務経歴、スキル、経験の整理と見える化 |
職業選択の支援 | 転職先、キャリアチェンジの方向性アドバイス |
職場適応支援 | 働き方の悩み、人間関係、キャリアの停滞への対応 |
キャリア開発計画 | 長期的なキャリアプランの設計とモチベーション支援 |
就職活動支援 | 履歴書・職務経歴書の作成、模擬面接の実施 |
資格取得後に活躍できるフィールド
① 企業内キャリアコンサルタント(人事・総務など)
- 従業員のキャリア相談窓口を担当
- 育成支援、人事異動・配置転換時の面談
- メンタル不調の一次対応や復職支援にも関与可能
- 働き方改革・リスキリング支援に貢献
② ハローワーク・就労支援施設(公的機関)
- 求職者の職業相談や応募書類の添削支援
- 若年者・女性・シニア・障害者向けの就職支援
- 地方自治体の雇用対策事業やジョブカフェなどでもニーズあり
③ 大学・高校などの教育機関
- 学生の進路指導や就活支援(インターン・エントリー対策)
- キャリア教育・ガイダンス授業の実施
- キャリアセンター職員、就職支援員としての勤務も可能
④ 民間転職支援会社・再就職支援会社
- 再就職支援(退職者向けキャリア相談)
- 転職エージェントのキャリア面談
- 企業向けアウトプレースメント支援(再配置支援)
⑤ フリーランス・副業での活動
- キャリア相談サービスの個人開業
- セミナー・研修講師(キャリア設計、ライフプラン、モチベーションなど)
- オンライン相談(Zoomなど)を活用した副業も可能
キャリアコンサルタント資格を活かせる実例(パターン別)
人物像 | 資格後にできることの例 |
---|---|
人事経験者 | 社内のキャリア面談、制度設計、人材育成との連携 |
教員・講師経験者 | 学校現場での進路支援、キャリア教育講師 |
異業種から転職希望 | 公的支援機関での相談員職、再就職支援会社のスタッフ |
子育て後に社会復帰 | パートや業務委託でのキャリア相談員(週2〜3日勤務) |
副業・起業志望 | オンライン相談、noteやブログで集客し個人事業主として活動 |
資格取得後に求められるスキル
実務で特に重視されるスキル
- 傾聴力・共感力(カウンセリングの基本)
- 問題の構造的把握と支援の組み立て力
- 労働市場・法制度・教育制度の知識
- キャリア理論を背景とした支援方針の設計
- コミュニケーションスキル・説明力
資格取得後の注意点と現実的なキャリアアップ
注意点
- 資格取得=即収入UPとは限らない(特に未経験者)
- 就業経験や人材業界の知識があると強い
- 独立には実績・信頼・発信力が不可欠
継続的キャリアアップの手段
- キャリアコンサルティング技能士(2級/1級)へのステップアップ
- 産業カウンセラー、メンタルヘルス系資格との併用
- キャリア教育コーディネーター、研修講師への展開
キャリアコンサルタント資格は「多様な働き方を支援する専門職」のスタートライン
- 企業・学校・公的機関・独立など多様な場面での活用が可能
- 働き方の変化・人材育成の重要性が増す中で社会的ニーズが高まっている
- 資格取得後の行動(経験・発信・人脈)によって価値を最大化できる
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