情報処理技術者試験の高度区分(レベル4)に属する国家試験でシステムの企画・設計・開発を担当するシステムアーキテクト(SA)としての知識とスキルを証明する資格であり、特に大規模システムの設計・要件定義を担うエンジニア向けの試験です。
■主催
独立行政法人 情報処理推進機構
受験資格と難易度
受験資格
システムアーキテクト試験(SA試験)は、受験資格に制限がなく、誰でも受験可能です。
ただし、試験範囲が広く、特にシステム設計や要件定義の知識・経験があると有利です。
未経験者の注意点
- IT未経験者には難易度が高い(基本情報技術者試験(FE)、応用情報技術者試験(AP)を先に取得するのが一般的)
- 実務経験がないと、午後試験(記述・論述)の対策が難しい
- プログラミング経験がないと、システム設計・要件定義の理解が難しい
難易度
システムアーキテクト試験(SA試験)は、情報処理技術者試験の高度区分(レベル4)に分類され、難関試験の1つとされています。
特に午後II試験(論述式)の難易度が高いため、しっかりとした準備が必要です。
合格率
- 約13~15%前後(年度によって変動)
- 高度試験の中でも難易度は高め(記述・論述試験があるため)
試験 |
難易度 |
合格率 |
ITパスポート(IP) |
初級 |
約50% |
基本情報技術者試験(FE) |
初級~中級 |
約25~30% |
応用情報技術者試験(AP) |
中級 |
約20~25% |
システムアーキテクト試験(SA) |
上級(設計特化) |
約13~15% |
ITストラテジスト試験(ST) |
上級(経営戦略特化) |
約15% |
プロジェクトマネージャ試験(PM) |
上級(管理特化) |
約13~15% |
試験の難しさ(午前・午後の違い)
試験 |
特徴 |
難易度 |
午前I試験(択一式・30問) |
基本情報・応用情報と共通の問題 |
やや易 |
午前II試験(択一式・25問) |
システム設計・要件定義に関する専門知識 |
普通 |
午後I試験(記述式・2問選択) |
システム設計・要件定義の記述問題 |
難しい |
午後II試験(論述式・1問選択) |
1200~1600字の論述試験(実務経験が問われる) |
非常に難しい |
試験内容
1. 試験概要
試験区分 |
試験時間 |
出題形式 |
配点 |
合格基準 |
午前I |
9:30~10:20(50分) |
多肢選択式(四肢択一)30問 |
100点満点 |
60点以上 |
午前II |
10:50~11:30(40分) |
多肢選択式(四肢択一)25問 |
100点満点 |
60点以上 |
午後I |
12:30~14:00(90分) |
記述式 3問中2問を選択 |
100点満点 |
60点以上 |
午後II |
14:30~16:30(120分) |
論述式 2問中1問を選択 |
100点満点 |
60点以上 |
- 午前I試験は、応用情報技術者試験(AP)合格者は免除(合格後2年間有効)
- 午後II試験では、1200~1600字の論述問題が出題される
2. 試験内容
午前試験
午前I(30問・四肢択一)
- 基本情報技術者試験(FE)・応用情報技術者試験(AP)と共通の内容
- ITの基礎知識が問われる
分野 |
主な出題内容 |
基礎理論 |
アルゴリズム、データ構造、計算理論 |
コンピュータシステム |
CPU、メモリ、I/O、OS |
ネットワーク |
通信プロトコル、クラウドコンピューティング |
セキュリティ |
情報セキュリティ、暗号技術 |
プログラミング |
ソフトウェア開発、オブジェクト指向 |
午前II(25問・四肢択一)
分野 |
主な出題内容 |
システム設計 |
要件定義、ソフトウェアアーキテクチャ設計 |
データベース |
ER図、SQL、データモデリング |
システム開発手法 |
ウォーターフォール、アジャイル開発 |
ITサービス管理 |
SLA、ITIL、運用設計 |
午後試験
午後I(記述式・90分・3問中2問選択)
- 600~800字程度の記述が求められる
- システム設計・要件定義に関する問題が中心
分野 |
出題テーマ例 |
システム要件定義 |
業務プロセス分析、システム仕様書作成 |
アーキテクチャ設計 |
MVCモデル、マイクロサービス |
データベース設計 |
正規化、インデックス最適化 |
システムテスト |
単体テスト、統合テスト、受入テスト |
午後II(論述式・120分・2問中1問選択)
- 1200~1600字の記述試験
- 実際の経験をもとに、課題→分析→解決策→効果を論理的に説明
出題テーマ |
内容例 |
システムアーキテクチャ |
企業向けシステムの設計・開発 |
システム開発の課題解決 |
開発効率化、品質向上の施策 |
業務プロセスの最適化 |
DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用 |
プロジェクト管理 |
開発プロセスの改善、リスクマネジメント |
試験対策
1. 試験全体の対策ポイント
試験区分 |
試験形式 |
重要度 |
対策ポイント |
午前I(30問) |
四肢択一 |
低 |
過去問演習で得点を確保 |
午前II(25問) |
四肢択一 |
中 |
システム設計・要件定義の知識を重点学習 |
午後I(記述式) |
3問中2問選択 |
高 |
記述力を鍛え、過去問分析 |
午後II(論述式) |
2問中1問選択 |
非常に高 |
1200~1600字の論述対策、設計意図の明確化 |
2. 午前試験対策
午前I(基礎知識問題)
対策ポイント
- 応用情報技術者試験(AP)と共通の問題が多いため、過去問を中心に学習
- 午前Iは2年間の免除制度あり(応用情報または高度試験合格者)
おすすめの勉強法
- 5年分の過去問を繰り返し解く(IPA公式サイトの過去問を活用)
- 間違えた問題をノートにまとめる(弱点を克服)
- IT用語集を作成し、短時間で復習できるようにする
午前II(専門知識問題)
対策ポイント
- システムアーキテクト特有の専門知識が問われるため、重点的に学習が必要
- システム設計、データベース設計、開発手法、アーキテクチャの知識を深めることが重要
重点分野
分野 |
重要度 |
内容 |
システム設計 |
★★★★★ |
要件定義、アーキテクチャ設計、クラウド導入 |
データベース設計 |
★★★★☆ |
正規化、インデックス最適化 |
システム開発手法 |
★★★★☆ |
ウォーターフォール、アジャイル開発 |
ITサービス管理 |
★★★☆☆ |
SLA、ITIL、運用設計 |
おすすめの勉強法
- 過去問演習を行い、頻出テーマを分析
- 「要件定義」「システム設計」「アーキテクチャ設計」の基本概念を理解する
- 技術解説書やメーカーの技術資料を活用し、実際の応用事例を学ぶ
3. 午後試験対策
午後I(記述式問題)
対策ポイント
- 600~800字程度の文章を論理的に書く力をつける
- 問題文をよく読み、「何を聞かれているのか」を的確に捉える
- 解答の流れを意識する(課題→分析→解決策→効果)
解答の流れ
- 問題文を分析し、主題を把握する
- 課題を整理し、要点を抜き出す
- 解決策を簡潔に説明し、具体的な効果を示す
おすすめの勉強法
- 過去問を3年分解き、解答例を研究する
- 問題文からキーワードを抜き出し、簡潔な解答を作成する練習
- 模範解答をノートにまとめ、論理的な構成を身につける
午後II(論述式問題)
対策ポイント
- 1200~1600字の記述が求められるため、ストーリーを考えながら書く力を養う
- 過去の実務経験をもとに、論理的な展開を考える
- 事前にテーマごとの論述パターンを準備し、試験当日に応用できるようにする
論述のテンプレート
- 背景・課題の提示(現状の問題点を明確に)
- 課題の分析(なぜその問題が発生しているのか)
- 解決策の提案(実施可能な具体策を提示)
- 効果の説明(企業へのメリットや業務効率化の説明)
- まとめ・今後の展望(最終的な結論と改善の可能性)
4. 効果的な学習スケジュール
期間 |
学習内容 |
試験3ヶ月前 |
午前試験の過去問演習、午後試験の出題傾向を分析 |
試験2ヶ月前 |
午後I・午後IIの過去問を解き、論述のテンプレートを作成 |
試験1ヶ月前 |
午前II試験の頻出分野を重点学習、午後試験の記述練習を強化 |
試験2週間前 |
模試や時間を測った演習を行い、実戦形式で対策 |
試験前日 |
重要ポイントの復習、体調を整える |
5. おすすめの参考書・教材
書籍 |
特徴 |
システムアーキテクト試験対策テキスト&過去問題集 |
午前・午後試験の両方をカバー |
システムアーキテクト 午後試験対策 記述トレーニング |
記述式の解答作成に特化 |
システム設計の基本と実践 |
システム設計の基礎から応用まで学べる |
アーキテクチャ設計のための実践ガイド |
クラウド・マイクロサービス設計の実例が学べる |
取得後に出来ること
1. システム設計・要件定義の専門家として活躍
システムアーキテクト試験の取得により、大規模なITシステムの設計・開発をリードする立場で活躍できます。
システムの構成やアーキテクチャを決定する役割を担うため、プロジェクトの成功に大きく貢献できます。
活かせる職種
職種 |
主な業務内容 |
システムアーキテクト |
システムの構成・設計、技術選定 |
システムエンジニア(SE) |
要件定義、基本設計、詳細設計 |
ITアーキテクト |
クラウド・マイクロサービス設計、技術戦略策定 |
プロジェクトマネージャ(PM) |
システム開発の全体管理、リスクマネジメント |
ITコンサルタント |
クライアント企業のシステム提案・導入支援 |
取得のメリット
- システム開発の「上流工程(要件定義・設計)」を担当できる
- ITアーキテクトとして、技術戦略やシステム設計をリードできる
- システムの最適化や業務効率化の提案ができる
2. 転職・昇進に有利
評価される業界・企業
システムアーキテクト試験の合格は、以下の業界で特に評価されます。
業界 |
活かせるスキル |
IT企業(システム開発) |
システム設計・開発のリーダーとして活躍 |
金融・保険業界 |
大規模システムの要件定義・設計能力を活かせる |
製造業(IoT・DX関連) |
生産管理システム、スマート工場の設計 |
公共機関(官公庁・自治体) |
行政システムの設計・運用 |
昇進・キャリアアップのメリット
- システム開発の「上流工程」を担当できるため、管理職やPM職に昇進しやすい
- ITアーキテクトやエンジニアリングマネージャーなど、専門職としての評価が高まる
- ITストラテジストやプロジェクトマネージャ試験(PM)などの上位資格へ挑戦しやすくなる
3. 資格手当・報奨金がもらえる
企業の資格制度の例
資格制度 |
支給額の例 |
資格手当(月額) |
5,000円~20,000円 |
報奨金(取得時の一時金) |
10,000円~100,000円 |
※企業によって異なるため、社内の資格制度を確認するのがおすすめです。
資格取得が評価される理由
- システム開発の全体像を理解し、上流工程を担当できる人材は貴重
- 企業によっては「管理職登用の条件」となる場合がある
- プロジェクトマネージャー(PM)やITコンサルタント職への転向がしやすくなる
4. 他の高度情報処理試験の午前I免除
システムアーキテクト試験に合格すると、他の高度情報処理技術者試験(レベル4)の午前I試験が2年間免除されます。
免除対象となる試験
高度試験 |
試験の特徴 |
ITストラテジスト(ST) |
IT経営戦略、システム企画 |
プロジェクトマネージャ(PM) |
ITプロジェクト管理、リスク管理 |
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) |
組込みシステム開発 |
免除制度の活用方法
- 2年間の間に高度試験をもう1つ受験し、キャリアの幅を広げる
- プロジェクトマネージャ(PM)試験に挑戦し、IT管理職を目指す
5. 大学の単位認定・入試優遇
システムアーキテクト試験を取得すると、一部の大学・専門学校で単位認定や入試優遇を受けられる場合があります。
単位認定の例
学校 |
認定内容 |
情報系大学・専門学校 |
「情報処理」の単位として認定される場合がある |
大学院(MBA・IT系) |
入試の際に書類審査で評価されることがある |
※詳細は各大学の制度を確認する必要があります。
6. フリーランス・独立に活かせる
システムアーキテクト試験を取得すると、ITコンサルタントやフリーランスのシステムエンジニアとして活躍するチャンスが広がります。
活かせる仕事
仕事の種類 |
具体的な業務 |
ITコンサルタント |
企業のシステム設計・要件定義の支援 |
クラウドアーキテクト |
AWS、Azure、GCPの設計・導入 |
フリーランスPM |
ITプロジェクトの計画・進行管理 |
フリーランスのメリット
- 企業のシステムアーキテクトとしてコンサルティング業務ができる
- クラウドエンジニアとして高単価案件(時給5,000円以上)を受注できる
コンピューター系資格一覧
応用情報技術者試験
基本情報技術者
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験
システム監査技術者
ITサービスマネージャ試験
ITパスポート試験
ネットワークスペシャリスト試験
プロジェクトマネージャ
情報処理安全確保支援士試験(RISS)
データベーススペシャリスト試験
Accessビジネスデータベース技能認定試験
Excel表計算処理技能認定試験
Word文書処理技能認定試験
PowerPointプレゼンテーション技能認定試験
Javaプログラミング能力認定試験
COBOLプログラミング能力認定試験
パソコン検定(P検)
C言語プログラミング能力認定試験
情報処理技術者能力認定試験
VisualBasicプログラミング能力認定試験
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
VBAエキスパート
IC3
ワードプロセッサ技能認定試験
パソコン技能検定Ⅱ種試験
EC(電子商取引)実践能力検定
OracleApplication認定コンサルタント
CAD利用技術者試験
ORACLE MASTER(オラクルマスター)
会計ソフト実務能力試験
Server+
A+
コンピュータサービス技能評価試験
J検(情報検定)
Linux+
Network+
UBA能力検定
マイクロソフト認定トレーナー(MCT)
マイクロソフト認定資格プログラム
Linux技術者認定試験
情報セキュリティ検定試験
UMLモデリング技能認定試験
Oracle Certified Java Programmer(OCJP)
CGエンジニア検定
画像処理エンジニア検定
シスコ技術者認定
インターネット検定 .com Master
Cisco技術者認定資格(CCIE)
Turbo-CE/Pro/CI
CIW
RHCE(Red Hat認定エンジニア)
Oracle Solaris 11 System Administrator
PostgreSQL CE
情報ネットワーク施工プロフェッショナル(INIP)
Zend PHP 5 Certification
商PC検定試験