PADI(Professional Association of Diving Instructors)は世界的なスクーバダイビング教育機関で、日本では「PADIジャパン」が国内の教育・認定を担当しています。
インストラクター資格を取得すると、PADIの各種講習プログラムを指導・認定できるプロフェッショナルとして活動できます。
■主催
(株)パディジャパン
受験資格と難易度
受験資格
基本要件
- 18歳以上であること
- PADIダイブマスター(DM)または、他団体の同等レベルのプロ資格を取得済みであること
- 100回以上のダイビング経験をログブックで証明できること
- 過去24か月以内にEFR(エマージェンシー・ファースト・レスポンス)資格を取得していること
- 健康診断書の提出(医師の署名があり、ダイビングに適していると認められているもの/1年以内)
推奨される準備
- ナイト、ディープ、ナビゲーションなどの経験
- アシスタント・インストラクター経験(あれば有利)
- 複数の環境(ビーチ、ボート、ドリフト等)でのダイビング実績
試験(IE:Instructor Examination)の難易度
合格基準
- 各評価項目において、PADIが定める最低得点を満たすこと
- 筆記:各科目75点以上が目安
- 実技・プレゼン:インストラクターとしての適正が総合的に評価される
難易度の目安
- 事前にしっかりとIDCで準備すれば、合格率は比較的高め(80〜90%)
- ただし英語対応の試験を選ぶ場合や、理論に弱い方は難易度が上がる
- 筆記よりも「プレゼンテーション能力」や「冷静な対応力」が重要視される
試験内容
PADIインストラクターになるためには、IDC(インストラクター開発コース)を修了した後、「IE(Instructor Examination)」という公式試験に合格する必要があります。IEは、知識・技術・指導力を総合的に評価する試験です。
試験の構成
IEは主に以下の5つのパートで構成されています。
1. 学科試験(Knowledge Development Exam)
- 全5科目(各12問前後の選択式)
- 各科目75%以上の正解で合格
- 出題科目:
- 物理
- 生理
- 器材
- スキルと環境
- RDP(レクリエーショナル・ダイブ・プランナー)の使用法
- すべて日本語で受験可能(英語選択も可能)
2. 限定水域(Confined Water)評価
- 限定水域でのスキル実演と指導の能力を評価
- 評価項目:
- インストラクターとしての模範的スキルのデモンストレーション
- 2つのスキルを生徒に指導する模擬授業
- 生徒のエラーに対する適切な指導・修正
3. 海洋実習(Open Water)評価
- 実際のダイビング環境での指導能力と安全管理能力を評価
- 評価内容:
- 2つのスキルの指導
- 生徒役のダイバーに対する安全な監督
- インストラクターとしての責任感・行動評価
4. プレゼンテーション試験(講義力評価)
- 講義プレゼンテーション(Knowledge Development Presentation)
- 5〜10分程度の学科授業の模擬発表
- 出題されたトピックをIDCで学んだ手法で指導する
- 理解しやすい言葉・例・視覚教材などを用いることが評価される
5. 緊急スキル評価(Rescue Assessment)
- 水面での意識不明ダイバー救助スキルの実演
- 気道確保、人工呼吸の適切な方法、引き上げ・曳航など
- PADIレスキュー・ダイバー相当の知識・技術が求められる
合格基準と難易度
- 各セクションで合格点をクリアすれば全体合格
- 合格率は高め(80〜90%)だが、準備不足や緊張による失敗もある
- 特にプレゼンと海洋実習は、即興性と柔軟な対応が問われる
試験の所要時間と日数
- 試験期間:2日間
- 通常、IDC終了後すぐの週末に開催される
- PADIジャパン公認のIE試験官が全国各地で実施
試験対策
学科試験(Knowledge Exam)対策
出題科目
- 物理
- 生理
- 器材
- スキルと環境
- RDP(レクリエーショナル・ダイブ・プランナー)
対策ポイント
- PADI教材「インストラクターマニュアル」や「ダイブ理論マニュアル」を繰り返し読む
- IDC中に実施される模擬テストを活用して復習
- 特にRDPと酸素中毒、窒素酔いなどの計算問題は繰り返し練習する
- 苦手な科目は図や動画で視覚的に学習
限定水域(Confined Water)対策
評価ポイント
- 模範的なスキルデモ(「見本」として教える)
- エラーの指摘と正しい修正方法の提示
- 明瞭なブリーフィングと安全説明
対策法
- スキルを「スロー」「コントロール」「わかりやすく」見せる練習
- IDC中の指導練習を録画して自己分析する
- 生徒の誤動作にどう対応するか、シナリオ練習しておく
海洋実習(Open Water)対策
評価ポイント
- 生徒の安全な監督
- エラー修正・適切なフィードバック
- 現場での落ち着いた対応
対策法
- ペアやグループ練習で、複数の動きに目を配る練習をする
- IDC中の海洋セッションで常に「インストラクターの視点」を意識する
- トラブル対応例(マスク流れ、緊急浮上など)を事前に整理
プレゼンテーション試験(講義)対策
評価ポイント
- 講義の流れがわかりやすいか
- 例えや図解などを使い、理解しやすい工夫があるか
- 声・テンポ・視線・姿勢などの表現技術
対策法
- 事前に配られる「講義トピックリスト」で練習
- 短時間で要点を伝える「3分講義練習」を毎日行う
- 仲間同士で模擬プレゼン&フィードバックし合う
緊急スキル評価(Rescue)対策
対策法
- 水面での意識不明ダイバー救助を反復練習
- 人工呼吸の手順、曳航姿勢、器材の外し方などを一連で体に覚えさせる
- IDC講師に実技チェックをしてもらい、細かい修正点を確認する
取得後に出来ること
PADIインストラクター資格 取得後にできること
PADIのオープン・ウォーター・スクーバ・インストラクター(OWSI)を取得すると、世界中のPADI登録ダイブセンターやリゾートなどで、公式にダイビング講習やガイド業務を行うことができます。
指導できるPADIプログラム
- オープン・ウォーター・ダイバー(OWD)コース
- アドバンスド・オープン・ウォーター・ダイバーコース
- レスキュー・ダイバーコース
- スクーバ・リビュー(リフレッシュコース)
- 体験ダイビング(Discover Scuba Diving / DSD)
- エントリー・レベルのスペシャルティコース(例:PPB、魚の見分け方など)
活動可能な場所
- PADI登録ダイブショップ(国内・海外)
- リゾート地のダイビングセンター
- マリンスポーツ複合施設
- 独立してフリーランス活動(※条件あり)
- オンラインでの学科講習(eLearning対応)
その他にできること
- ダイビングの安全管理責任者として活動
- EFR(救急法)インストラクター資格を取得すれば、CPR/AED講習も実施可能
- スペシャルティ・インストラクター資格を追加取得して指導範囲を広げる
- MSDT(マスター・スクーバ・ダイバー・トレーナー)へのステップアップ
- IDCスタッフインストラクターとなり、次世代のインストラクター育成にも関与可能
よくある進路
- 常勤インストラクターとしてダイブショップに就職
- 非常勤やフリーで活動(週末ガイドや講習など)
- 海外リゾートでの就職・長期滞在
- 自身のダイビングスクールやツアー事業を開業
登録と年会費について
- PADIプロメンバーとして登録することで活動が可能
- 年会費(約2〜3万円/年)が必要
- 活動報告や継続教育の記録を提出する義務あり
その他資格一覧
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