パソコン技能検定Ⅱ種試験

日本パソコン能力検定委員会(JPTA)が実施する資格試験の一つでパソコンの基本操作・文書作成・表計算・インターネット活用スキルを評価するもので、主に事務職やビジネスの現場で求められるPCスキルを証明できます。

特徴

  • パソコンの基本操作・文書作成・表計算・インターネットの活用スキルを証明できる
  • 実技試験があり、実際にパソコンを操作する試験形式
  • 試験は1級~5級まであり、Ⅱ種試験は主に3級~1級が対象
  • MOS(Microsoft Office Specialist)やIC3よりも日本国内向けの資格

主催
全日本情報学習振興協会

受験資格と難易度

受験資格

パソコン技能検定Ⅱ種試験には受験資格の制限がありません

  • 年齢・学歴・職歴不問(誰でも受験可能)
  • どの級からでも受験できる(飛び級可能)
  • 初めてパソコンを学ぶ人から、実務でPCを使う人まで幅広く対応

ただし、3級以上の試験では、ある程度のパソコン操作スキルが必要なため、事前に基本操作を習得しておくことが望ましいです。

難易度

パソコン技能検定Ⅱ種試験は、1級~5級までのレベルがあり、級が上がるほど難易度が高くなります
特に、3級以上は履歴書に記載できるレベルで、就職・転職時に評価されることが多いです。

難易度 試験内容のレベル 目安レベル
1級(最上級) ★★★★★(難しい) 高度な文書作成・データ分析・マクロ 実務経験者・上級者向け
2級 ★★★★☆(やや難しい) 関数・グラフ・ビジネス文書の作成 事務職向け
3級 ★★★☆☆(普通) 基本的な関数・表計算・文書作成 一般的なパソコンユーザー
4級 ★★☆☆☆(やさしい) 簡単な文書作成・表計算・タイピング 初心者向け
5級 ★☆☆☆☆(とてもやさしい) 文字入力・基本操作 初心者・小学生向け

3級以上の試験は、Word・Excelを使用した実技試験があるため、普段からパソコンを使っている人向けのレベルです。特に1級・2級は業務レベルのスキルが求められるため、試験対策が必要です。

試験内容

筆記試験と実技試験の2部構成で、級が上がるごとに高度なスキルが求められます

試験科目(筆記試験と実技試験)

試験科目 内容 試験形式
筆記試験(理論) IT基礎知識、ハードウェア・ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティ 選択式・記述式
実技試験(操作) Word(文書作成)、Excel(表計算・関数)、PowerPoint(スライド作成・プレゼン) 実際にパソコンを操作する試験

筆記試験はIT基礎知識を問う内容、実技試験はMicrosoft Officeを操作する内容になっています。

級ごとの試験内容(筆記試験+実技試験)

(1)1級(上級レベル・実務経験者向け)

試験時間:90分(筆記試験30分+実技試験60分)
難易度:★★★★★(難しい)
合格率:40~50%

筆記試験(理論)
  • IT戦略・DX(デジタルトランスフォーメーション)の基礎
  • クラウドコンピューティング(SaaS・PaaS・IaaS)
  • セキュリティ対策(ファイアウォール・二要素認証・ゼロトラスト)
  • データベース・SQLの基礎知識
  • ネットワークの仕組み(VPN・LAN・WAN)
実技試験(操作)
  • Word

    • 差し込み印刷(顧客リストと連携)
    • 長文のレイアウト編集(目次・索引・脚注の設定)
    • スタイルとセクション区切りの活用
  • Excel

    • 高度な関数(IF・VLOOKUP・INDEX・MATCH・COUNTIF)
    • ピボットテーブルを使ったデータ分析
    • マクロ(VBA)を利用した作業の自動化
  • PowerPoint

    • スライドマスターを使用したテンプレート作成
    • アニメーション・トランジションの適用
    • プレゼン資料のデザイン(グラフ・表・動画の活用)
合格基準
  • 筆記試験:70%以上
  • 実技試験:80%以上(高度な操作ミスがあると減点)

(2)2級(中上級レベル・業務向け)

試験時間:80分(筆記試験30分+実技試験50分)
難易度:★★★★☆(やや難しい)
合格率:60~70%

筆記試験(理論)
  • ネットワークの基本(LAN・IPアドレス・Wi-Fi)
  • セキュリティ(ウイルス対策・パスワード管理)
  • ビジネスメールのマナー(CC/BCCの使い方)
  • データ管理の基礎(CSV・データベースの概念)
実技試験(操作)
  • Word

    • スタイル設定と段組みの活用
    • ヘッダー・フッターの作成
    • 図表・SmartArtの挿入
  • Excel

    • 関数(IF・VLOOKUP・HLOOKUP・ROUND)
    • 絶対参照・相対参照の活用
    • データの並べ替えとフィルター設定
  • PowerPoint

    • スライドデザインの統一(フォント・色の設定)
    • 発表者ノートの作成
    • 簡単なアニメーションの設定
合格基準
  • 筆記試験:70%以上
  • 実技試験:75%以上

(3)3級(中級レベル・一般向け)

試験時間:70分(筆記試験30分+実技試験40分)
難易度:★★★☆☆(普通)
合格率:75~85%

筆記試験(理論)
  • パソコンの基本用語(ハードウェア・ソフトウェア)
  • OSの基礎知識(Windowsの基本操作)
  • ファイル管理(フォルダ作成、コピー、移動)
  • インターネットの基本(検索、メール送受信)
実技試験(操作)
  • Word

    • 文書作成(フォント設定、段落整列)
    • 表の作成(セルの結合、罫線設定)
    • 画像の挿入と調整
  • Excel

    • 基本関数(SUM・AVERAGE・COUNT)
    • 簡単なグラフ作成(棒グラフ・折れ線グラフ)
    • 列・行の挿入・削除
  • PowerPoint

    • スライドの追加・削除
    • 簡単なプレゼン資料作成
    • 画像やグラフの挿入
合格基準
  • 筆記試験:70%以上
  • 実技試験:70%以上

(4)4級・5級(初級レベル・初心者向け)

試験時間:60分(筆記試験20分+実技試験40分)
難易度:★☆☆☆☆(やさしい)
合格率:80~90%

筆記試験(理論)
  • パソコンの基本操作(電源の入れ方、マウス操作)
  • キーボードの使い方(ローマ字入力・カナ入力)
  • インターネットの使い方(検索・URLの概念)
実技試験(操作)
  • Word:簡単な文章作成(文字入力、フォント変更)
  • Excel:基本的な表の作成(セルの入力、罫線設定)
  • インターネット:ブラウザを開く、検索を行う
合格基準
  • 筆記試験:60%以上
  • 実技試験:65%以上

試験対策

共通の試験対策(全級共通)

① 公式テキスト・問題集を活用する

パソコン技能検定には公式の問題集があり、過去問や模擬試験を解くことで試験の傾向をつかむことができます。

まずは公式テキストで基本を学び、その後、問題集や模擬試験を繰り返し解くことが合格への近道です。

② 実際にパソコンを操作しながら学習する

実技試験ではWord・Excel・PowerPointの操作が求められるため、実際にPCを使いながら学習することが重要です。

  • Word:実際に文章を作成し、フォント変更や表の挿入を練習する
  • Excel:関数を入力し、グラフ作成やデータの並び替えを試す
  • PowerPoint:スライド作成を行い、アニメーションを設定する

③ 模擬試験を繰り返し解く

本番の試験形式に慣れるために、模擬試験を繰り返し解くことが重要です。

模擬試験の活用方法
  • 時間を計りながら本番と同じ環境で練習する
  • 間違えた問題は解説を確認し、理解するまで繰り返す
  • 実技試験の操作をスムーズに行えるようにする

④ ショートカットキーを活用する

試験時間は限られているため、ショートカットキーを使うことで操作時間を短縮できます。

ソフト ショートカットキー 機能
Word Ctrl + B 太字にする
Word Ctrl + Enter 改ページを挿入
Excel Ctrl + Shift + L フィルターの設定・解除
Excel Ctrl + ; 今日の日付を入力
PowerPoint F5 スライドショーを開始

級別の試験対策

(1)1級(上級レベル・実務経験者向け)

対策ポイント

  • Wordの長文編集(目次・索引・脚注・差し込み印刷)を実際に操作する
  • ExcelのピボットテーブルやVBA(マクロ)を活用できるようにする
  • PowerPointでスライドマスターを使い、統一感のあるプレゼン資料を作る練習をする

学習方法

  • Excelの「VLOOKUP関数」「ピボットテーブル」「マクロ(VBA)」を練習する
  • Wordでレポートや報告書の作成を実際に行い、目次やスタイルを活用する
  • PowerPointでスライドデザインやアニメーションを実践する

(2)2級(中上級レベル・業務向け)

対策ポイント

  • Excelの関数(IF・VLOOKUP・HLOOKUP)をマスターする
  • Wordでスタイル設定やヘッダー・フッターを活用する
  • PowerPointでスライドのレイアウトを統一する方法を学ぶ

学習方法

  • Excelのデータ分析機能を使って表やグラフを作成する
  • Wordで見栄えの良いビジネス文書を作成する練習をする
  • PowerPointの発表者ノートやスライドマスターを活用する

(3)3級(中級レベル・一般向け)

対策ポイント

  • Wordで基本的な文書作成(フォント変更・段落整列・表作成)を練習する
  • ExcelのSUM・AVERAGE関数を使い、簡単な表計算を行う
  • PowerPointでスライドを作成し、画像やグラフを挿入する

学習方法

  • Wordで基本的なレポートを作成する練習をする
  • Excelの関数を活用して、データの整理や計算を行う
  • PowerPointで3~5枚程度のスライドを作成し、プレゼン練習をする

(4)4級・5級(初級レベル・初心者向け)

対策ポイント

  • 文字入力や基本的なフォルダ管理を練習する
  • Wordで簡単な文章を作成し、フォント変更や行間設定を試す
  • Excelで簡単な表を作成し、セルの色を変える練習をする

学習方法

  • タイピング練習を行い、文字入力のスピードを上げる
  • Word・Excelの基本的な機能を実際に操作しながら学ぶ
  • Web検索やメールの送受信を実際に試す

取得後に出来ること

就職・転職での活用

パソコン技能検定Ⅱ種試験は、事務職・総務職・営業職など、パソコンを使う仕事で評価される資格です。

取得級ごとの活用範囲

取得級 活かせる職種・業務 評価されるスキル
1級(最上級) IT関連職、データ分析、マネージャー職 データ分析・マクロ(VBA)・プレゼンテーション
2級(中上級) 事務職、経理、総務、営業アシスタント Excelの関数・グラフ作成・ビジネス文書作成
3級(中級) 一般事務、受付、営業職 Word・Excelの基本操作、表作成・書類作成
4級・5級(初級) パソコン初心者、学生 文字入力、簡単な表作成、PCの基本操作

就職・転職時のメリット

  • 履歴書に記載できる(3級以上が推奨)
  • 事務職・営業職・IT職の求人で評価される
  • PCスキルを持っていることを証明できるため、未経験職種への転職に有利
  • MOS(Microsoft Office Specialist)と併用すると、より強力なアピールになる

仕事の効率化

パソコン技能検定Ⅱ種試験を取得すると、業務で必要なPCスキルを習得でき、仕事の効率が大幅に向上します。

具体的な活用例

スキル 活かせる業務
Excelの基本操作 データ入力、表計算、簡単なデータ分析
Wordの基本操作 議事録、報告書、社内文書作成
PowerPointの基本操作 プレゼン資料の作成、社内研修の準備
メールの適切な使い方 ビジネスメールの管理、スケジュール調整
インターネットの活用 効率的な情報収集、クラウドサービスの利用

特に、Excelの関数やグラフ作成ができると、データ管理やレポート作成の業務を効率的にこなせるようになります。

キャリアアップ・昇進のチャンス

パソコン技能検定Ⅱ種試験を取得すると、PCスキルを証明できるため、社内での評価が向上し、昇進やキャリアアップにつながる可能性があります。

企業での評価ポイント

  • 業務の効率化ができる人材として評価される
  • パソコンスキルを活かして、チーム内の作業を改善できる
  • 資格手当が支給される企業もある(企業による)
  • 社内研修の講師役として活躍できる可能性もある

特に、2級以上を取得すると、Excelのデータ分析やWordの高度な文書作成スキルを証明できるため、管理職やリーダー職の昇進にも有利です。

他の資格へのステップアップ

パソコン技能検定Ⅱ種試験は、PCスキルの基礎を学ぶ資格なので、取得後はさらに上位の資格を目指すことができます。

次に目指せる資格

資格名 パソコン技能検定Ⅱ種との関連性
MOS(Microsoft Office Specialist) Word・Excel・PowerPointの実務スキルを証明
日商PC検定 ビジネス文書作成・データ分析スキルを評価
ITパスポート(国家資格) ITの基礎知識(ネットワーク・セキュリティ)を学べる
基本情報技術者試験(国家資格) ITエンジニア向けの資格(ITスキルの向上に役立つ)
Excel VBAエキスパート Excelのマクロ・VBAを活用した自動化スキルを証明

MOSや日商PC検定と組み合わせると、より高度なPCスキルを証明できるため、事務職や総務職の転職市場で有利になります。

取得後にやるべきこと

パソコン技能検定Ⅱ種試験を取得した後は、実務で活用することでスキルを定着させることが重要です。

おすすめのスキルアップ方法

  1. PCを日常的に使い、スキルを定着させる

    • Excelでデータ整理をする
    • Wordでレポートや書類を作成する
    • PowerPointで簡単なプレゼン資料を作ってみる
  2. より高度な資格取得を目指す

    • MOSを取得して、Officeスキルを強化する
    • ITパスポート試験を受験し、IT知識を広げる
    • Excel VBAを学び、業務の自動化を目指す
  3. 業務改善に活かす

    • 自分の職場でパソコンを活用した業務改善を提案する
    • Excelの関数を活用して、作業の自動化を行う
    • PowerPointを活用し、社内プレゼンの質を向上させる

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教材

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