JHFでは、安全なフライト技術と指導能力を持つ指導者を育成するために、段階的な教員資格制度を導入しています。
受験資格と難易度
アシスタント・インストラクター
受験資格
- JHF正会員であること
- JHFパイロット技能証以上を取得していること
- 飛行時間:約50時間以上(実際は60〜80時間あると安心)
- 実地経験:山岳地でのフライト経験が必要
難易度
初心者向けの教員資格であり、比較的取得しやすい。ただし、基本的な指導力や安全管理の知識が求められるため、真剣に準備する必要がある。
ベーシック・インストラクター
受験資格
- アシスタント・インストラクターの資格と一定の実績
- JHFパイロット技能証の保持
- 飛行時間:約100時間以上(実際には150時間前後あると安心)
- 年間のフライト活動や指導経験が問われる
難易度
本格的な指導者としての能力が求められ、筆記・実技ともにしっかりとした対策が必要。安全に対する高い意識と、初心者を導く力が問われる。
アドバンス・インストラクター
受験資格
- ベーシック・インストラクターの資格と長期の実績
- 非常に豊富な飛行時間(300時間以上が目安)
- 中級~上級者への指導経験
- 教育プログラムの作成・管理経験
難易度
最難関の教員資格であり、技術・知識・教育力のすべてが求められる。JHFによる講習や試験も高度で、継続的な学習と実践が必要。
試験内容
JHFの教員資格試験では、筆記試験と実技試験、さらに教員講習の参加が求められます。それぞれの資格で求められる内容が異なります。
アシスタント・インストラクター試験内容
1. 筆記試験
- パラグライダーの構造と操作に関する基礎知識
- 気象学の基礎(風・サーマル・雲の種類など)
- 航空法の基本
- 安全対策と事故防止策
- JHFの規則やスクール運営ルール
2. 実技試験
- 安定した離陸と着陸技術
- グラウンドハンドリング(地上操作)の指導デモ
- 飛行中の姿勢・操作確認
- 初心者への声かけや基本指導の模擬実践
3. 講習会参加
- 2日程度の教員講習に参加(JHF主催)
- 指導者としての心構えや教育理論の基礎を学ぶ
ベーシック・インストラクター試験内容
1. 筆記試験
- 航空気象の応用(気温減率、逆転層など)
- フライトプランの作成能力
- 緊急時の対応(アクシデントマネジメント)
- インストラクターの法的責任
- 教育理論・指導技術
2. 実技試験
- 模擬講習(初心者への座学・実技指導)
- 指導中の安全管理の実演
- 飛行技術の精度(ターン、アプローチ、ランディング)
- 複数生徒への対応能力(状況判断)
3. 講習会参加
- 教員講習において模擬授業、ケーススタディなどを実施
- 教育プログラムの作成実習あり
アドバンス・インストラクター試験内容
1. 筆記試験
- 上級者向けの技術指導に関する理論
- フライト事故の分析と再発防止策
- 大会・イベントの運営と安全管理
- 教育制度の設計、教員の育成方法
2. 実技試験
- 上級生徒を対象とした実践的講習の模擬実施
- 緊急事態への即時対応能力(想定ケースへの対応)
- 教員候補者への指導・アドバイス
3. 講習会参加
- 教員の指導法に関する高度な研修に参加
- 教育方針・安全理念の深い理解と実践
補足情報
- 筆記試験は選択・記述混合形式
- 実技試験はスクール実地で行われることが多い
- 合否は講師による総合評価で決定(点数制だけでなく総合判断)
試験対策
アシスタント・インストラクターの対策
筆記試験対策
- JHF公式ハンドブックを熟読(基礎用語・構造・法律)
- 航空気象の基本(地形と風、熱上昇など)を理解する
- 過去のJHF講習で使われた資料を事前にスクールで入手
実技試験対策
- 安定したテイクオフとランディングを反復練習
- 初心者への声かけや誘導の練習(模擬指導)
- グラウンドハンドリングの見本を見せられるようにする
おすすめ対策法
- インストラクターの指導をよく観察し、記録をとる
- 講習会の内容に沿ってノートをまとめておく
ベーシック・インストラクターの対策
筆記試験対策
- 気象学:温度減率、逆転層、風のシアなどを理解する
- 指導理論:ティーチングメソッドや安全教育手法を学ぶ
- 航空法やインストラクターの責任について条文レベルで確認
実技試験対策
- 初心者向けの模擬講義を反復練習(口頭発表の練習)
- 複数の生徒を想定した安全管理のシミュレーション
- ランディング精度、緊急時対応の確認と復習
おすすめ対策法
- 実際に指導補助に入ることで経験値を積む
- フライトログと反省点を毎回記録する
- 動画で自分の指導を録画し、客観的に見直す
アドバンス・インストラクターの対策
筆記試験対策
- 上級者向け技術理論(サーマルセンタリング、高度制御など)
- 教員養成、教育プログラム設計の知識
- 事故の原因分析、ヒューマンエラー理論の学習
実技試験対策
- ケーススタディ(想定トラブル時の対応)を複数パターン準備
- 他の教員候補者へのフィードバック練習
- 教員会議・講義の模擬ファシリテーション練習
おすすめ対策法
- JHF主催の上級研修に積極的に参加する
- 事故報告書やヒヤリハット事例を研究・分析する
- 他のベテランインストラクターと意見交換を行う
共通の対策ポイント
- JHF発行資料を中心に、講習内容に沿った学習を進める
- 動画学習(YouTubeなどでの飛行技術や指導事例)も有効
- 疑問点は必ず所属スクールのインストラクターに質問する
- 自分の弱点をリストアップし、対策表を作るのが効果的
取得後に出来ること
アシスタント・インストラクター
可能な活動
- 認定スクールでの指導補助
- 地上でのグラウンドハンドリング指導
- 初心者への安全確認やフライト準備のアドバイス
- 教官の監督下で一部の実技指導に参加
制限事項
- 単独での講習や技能証の認定は不可
- スクールの開校や運営責任者にはなれない
ベーシック・インストラクター
可能な活動
- JHF認定スクールでの正式なインストラクターとして活動
- 初級技能証(ノービス証など)の認定と発行
- 初心者〜中級者への講義・実技指導
- スクールでの安全管理や講習企画の実施
- タンデムフライトの指導(別途タンデム資格が必要)
制限事項
- 中・上級技能証の認定は不可
- 教員養成は行えない
アドバンス・インストラクター
可能な活動
- 上級者への専門的な技術指導
- 上級技能証(パイロット証・クロスカントリー証など)の認定
- 教員候補者の育成および講習会の講師活動
- 大会やイベントでの安全管理責任者
- 教育カリキュラムの作成と運営
- スクール代表者・責任者としての登録が可能
その他の権限
- JHFの安全講習・事故対策委員などでの活動
- 公的機関との連携や地域振興イベントへの参画
資格取得後のステップアップ
- フライトログの記録と活動実績の蓄積
- 安全講習・指導者会議への継続的な参加
- 上位資格への挑戦(ベーシック → アドバンス)
- タンデム資格・レスキュー資格などの取得も可能
その他資格一覧
準備中