公益財団法人 実務技能検定協会が実施する検定で、社会人に必要なビジネスマナーや接遇スキルを評価する資格です。
企業で働く上で求められる言葉遣い、身だしなみ、接客、電話応対、報連相(報告・連絡・相談)などのマナーを体系的に学ぶことができます。
ビジネス実務マナー検定には、1級・2級・3級の3つのレベルがあります。級が上がるほど試験内容が実践的になり、求められる知識やスキルが高度になります。
■主催
(財)実務技能検定協会
目次 [閉じる]
受験資格と難易度
受験資格
- 1級:2級合格者が受験可能です。
- 2級・3級:受験資格に制限はなく、誰でも受験できます。
難易度
- 1級:試験範囲が広く、全て記述試験で、二次試験として面接も実施されるため、難易度は高めです。
- 2級・3級:マークシート方式の選択問題が多く、難易度はそれほど高くありません。
具体的な合格率は以下の通りです:
- 1級:29.2%
- 2級:58.5%
- 3級:65.9%
試験内容
試験範囲(共通)
すべての級に共通する試験範囲は以下の通りです。
-
ビジネスマナーの基本
- 挨拶・礼儀作法・身だしなみ
- 敬語の使い方(尊敬語・謙譲語・丁寧語)
- 社会人としての基本姿勢(時間厳守、言葉遣い)
-
社内コミュニケーション
- 報連相(報告・連絡・相談)
- 上司・同僚・部下との接し方
- 指示の受け方・指示の出し方
-
社外対応
- 来客対応・訪問マナー
- 電話応対の基本(受け方・かけ方・取次ぎ)
- 名刺交換のマナー
-
ビジネス文書
- メールの書き方・ビジネスレターの作成
- 社内文書・社外文書の違い
- 文書のフォーマット(お礼状・通知・案内状)
-
冠婚葬祭のマナー
- 結婚式・葬儀・慶弔時の対応
- お祝い・お見舞いのマナー
-
職場のルールと企業倫理
- コンプライアンス・情報管理
- 労働基準法・就業規則の基本
級別の試験内容詳細
試験の難易度が上がるにつれ、より実践的な内容が求められます。
1級(最上級)
試験形式
- 筆記試験(記述式)
- 論述試験(ケーススタディ)
- 面接試験(ロールプレイング)
試験内容
- 企業マナーの指導
- 新人教育・マナー研修の企画・指導
- 社内外の交渉スキル
- 取引先との交渉・クレーム対応
- 管理職としてのマナー
- 部下指導・評価の仕方
- リーダーシップ・経営の基礎
- 組織運営・経営戦略の基礎知識
2級(中級)
試験形式
- 筆記試験(マークシート & 記述式)
試験内容
- 社内外の対応
- 上司・取引先との適切な接し方
- ビジネス敬語
- 適切な敬語の使い方
- 間違いやすい表現の修正
- 電話応対
- クレーム対応
- 取引先への連絡の仕方
- ビジネス文書
- 正しいメールの書き方
- 社外文書のフォーマット
- 訪問・来客対応
- 名刺交換の流れ
- 受付での対応マナー
3級(初級)
試験形式
- 筆記試験(マークシート式)
試験内容
- 基本的なビジネスマナー
- 第一印象(身だしなみ・挨拶・表情)
- 敬語の基礎
- 「です・ます」の正しい使い方
- 社内コミュニケーション
- 報連相の基本
- 電話応対
- 電話の受け方・かけ方
- 名刺交換
- 名刺の渡し方・受け取り方
- 職場の基本ルール
- 遅刻・欠勤時の対応
試験対策
共通の試験対策
1. 公式テキストと過去問を活用する
- 公益財団法人 実務技能検定協会が発行する公式テキストを使用し、基本知識を体系的に学ぶ。
- 過去問を繰り返し解き、出題傾向を把握する。特に、2級・3級はマークシート方式のため、試験形式に慣れることが重要。
2. 敬語の使い方をマスターする
- 尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けを理解する。
- よくある誤用を暗記し、適切な表現に言い換えられるようにする。
- ビジネスシーンでの適切な敬語を例文とともに覚える。
3. ロールプレイングで実践練習を行う
- 電話応対や来客対応を模擬練習する。特に2級・1級では、正しい敬語や対応の流れが試験で問われる。
- 名刺交換の手順を正しく覚え、実際にやってみる。
4. ビジネス文書の書き方を習得する
- 社内文書(報告書・稟議書)と社外文書(通知書・お礼状)の違いを理解する。
- 適切なフォーマットと敬語を用いた文書を作成する練習を行う。
- 特に2級以上では、適切な文章構成が求められるため、模範解答を参考に書く練習をする。
級別の試験対策
1級試験対策
-
ケーススタディを用いた論述対策を行う
- 企業内の問題に対する適切なマナー指導の方法を考える。
- クレーム対応や部下指導の場面を想定し、正しい言葉遣いと行動を整理する。
- 経営視点を取り入れた回答が求められるため、基本的な企業運営の知識も身につける。
-
模擬面接を行い、ロールプレイングに慣れる
- 実際の職場を想定し、上司・部下・取引先との応対をロールプレイングする。
- 面接官からの質問に対して、論理的に回答できるようにする。
- 身だしなみ、姿勢、言葉遣いに注意しながら対応を練習する。
2級試験対策
-
敬語の誤用問題を重点的に学習する
- 間違いやすい敬語の使い方をまとめ、暗記する。
- 尊敬語と謙譲語の使い分けを正しく理解する。
- 「させていただく」「~でございます」など、適切な表現に言い換える練習をする。
-
電話応対と来客対応の流れを暗記する
- 電話の受け方、取次ぎ、かけ方をスムーズにできるようにする。
- 「どのようなご用件でしょうか?」など、適切なフレーズを暗記し、すぐに使えるようにする。
- 名刺交換の正しい手順を覚え、動作を確認しながら実践する。
-
ビジネス文書の記述問題対策を行う
- お礼状や通知文の書き方を練習する。
- 誤字脱字をなくし、正確で分かりやすい文章を書くように意識する。
3級試験対策
-
挨拶・礼儀作法を正しく覚える
- お辞儀の角度(会釈・敬礼・最敬礼)を理解し、使い分けられるようにする。
- 基本の挨拶(おはようございます、よろしくお願いいたします)の正しい使い方を身につける。
-
電話応対の基本フレーズを暗記する
- 電話の第一声「お電話ありがとうございます」などをスムーズに言えるようにする。
- クッション言葉(恐れ入りますが、少々お待ちくださいなど)の使い方を覚える。
-
敬語の基礎を理解する
- 「です・ます」調を適切に使えるようにする。
- よくある間違いをまとめたリストを作成し、適切な表現に言い換える練習をする。
取得後に出来ること
取得することで、社会人としての基本マナーを身につけ、就職・転職・キャリアアップに活かすことが可能になります。取得後にできることを級別に詳しく説明します。
就職・転職活動で有利になる
活用できる場面
- 履歴書に記載することで、企業側にマナーの知識があることをアピールできる
- 就職面接の場面で、正しい敬語や適切な振る舞いができる
- 新卒・転職者が、事務職・営業職・接客業などの仕事を目指す際にプラス評価を得られる
特に役立つ職種
職種 | 検定が活かせるポイント |
---|---|
事務職・秘書 | 正しいビジネス文書作成・電話応対・来客対応 |
営業職 | 取引先との対応、名刺交換、言葉遣い |
接客・販売業 | 敬語の使い方、クレーム対応、接客マナー |
ホテル・航空業界 | 高度な接遇マナー、お客様対応 |
医療事務・受付 | 患者・来客対応、適切な言葉遣い |
特に2級以上を取得すると、実務に活かせるレベルのマナーを身につけていることを証明できるため、採用担当者からの評価が高くなる。
企業内での評価が向上し、昇進・昇給につながる
職場での活用例
- 上司や同僚との適切なコミュニケーションができる
- 新人教育でビジネスマナーを指導する立場になれる
- 社内・社外の対応スキルが向上し、リーダー候補として評価される
- クレーム対応やトラブル時に冷静で適切な対応ができる
特に1級を取得すると、企業のマナー研修や社員教育を担当する立場になれるため、管理職・リーダー職への昇進に役立つ。
実務で役立つスキルを身につける
ビジネスマナーの実践力が向上
ビジネス実務マナー検定で学んだスキルは、日々の業務に直結する実践的な内容が多い。
分野 | 検定で学んだこと | 実務での活用例 |
---|---|---|
敬語の使い方 | 尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分け | 上司・取引先との会話で適切な言葉遣いができる |
電話応対 | 正しい電話の受け方・かけ方 | クレーム対応や取次ぎの場面でスムーズな対応ができる |
名刺交換 | 正しい渡し方・受け取り方 | 初対面のビジネスシーンで相手に好印象を与えられる |
来客対応 | 受付対応・案内の仕方 | 取引先や訪問者を適切に迎えられる |
ビジネス文書 | 社内・社外文書の書き方 | メールや報告書を正しい形式で作成できる |
2級以上の取得者は、ビジネスシーンで求められる基本的なスキルを実践できるレベルにあるため、実際の仕事でも役立つ場面が多い。
接客・サービス業での顧客満足度向上
特に役立つ業界
- ホテル・航空業界(接遇マナーが重要)
- 百貨店・販売業(お客様対応が求められる)
- 飲食業(丁寧な接客が必要)
- 医療・福祉(患者・利用者とのコミュニケーションが重要)
接客業では、お客様に好印象を与える立ち居振る舞いが求められるため、正しいお辞儀・言葉遣い・笑顔などのスキルが直接役立つ。
特に1級・2級の取得者は、接客指導や研修担当として活躍することも可能。
マナー研修・教育担当として活躍できる(1級取得者)
1級取得者ができること
- 企業内のマナー研修の講師として指導ができる
- 新人研修でビジネスマナーを教える立場になれる
- 部下や後輩の教育・指導を担当できる
- 企業の人事・教育部門でマナー講師としての役割を担う
1級取得者は、一般のビジネスマナーを習得するレベルを超え、「マナーの指導者」としての能力があることを証明できるため、管理職や教育担当者としてのキャリアアップにつながる。
級別の活用例
級 | 活用できる場面 |
---|---|
1級 | 企業のマナー研修・社員教育を担当できる。管理職・リーダー職に有利 |
2級 | 事務職・営業職・接客業などの実務で活用できる。履歴書でアピール可能 |
3級 | 就職・転職活動で基本的なマナー知識を証明できる。社会人の基礎力向上 |
事務系資格一覧
秘書技能検定
ビジネス文書検定
日本漢字能力検定
ビジネス・キャリア検定
日本語コミュニケーション能力認定試験
速記技能検定
校正技能検定
校正士
書道
レタリング技能検定
賞状技法士
硬筆書写検定
文部科学省後援毛筆書写技能検定
ファイリング・デザイナー
米国秘書検定(CPS)
テープライター
電子化ファイリング検定
日商珠算能力検定試験
珠算検定
実用マナー検定
計算実務能力検定
電卓技能検定
ビジネス能力検定
ビジネス実務マナー検定
文書処理能力検定
日本語検定
トレース技能検定