建物や設備などの施設(ファシリティ)を最適に管理・運用する専門知識を持つことを証明する資格です。企業や自治体などの施設管理業務に携わる人材にとって重要な資格となっています。
【資格の特徴】
- ファシリティマネージャーとしての専門知識を証明できる
- 建築・不動産・設備管理・環境マネジメントなど幅広い分野で活用可能
- 企業や官公庁の施設管理部門、FMコンサルティング業務でのキャリアアップに有利
受験資格と難易度
受験資格
受験資格の条件
- 特に制限なし(誰でも受験可能)
- 実務経験がなくても受験可能だが、建築・不動産・施設管理・エネルギーマネジメントの実務経験があると有利
受験者の主な対象者
- 企業や自治体の施設管理部門の担当者
- 不動産管理会社、建築設計事務所、ビルメンテナンス業界の従事者
- 環境・エネルギーマネジメントに関わる職種
- FM(ファシリティマネジメント)を学びたい学生や転職希望者
試験の難易度
試験 | 難易度 | 合格率 | 難易度のポイント |
---|---|---|---|
ファシリティマネージャー試験 | 中程度~やや難しい | 約50~60% | 出題範囲が広く、経営・建築・設備・環境などの知識が必要 |
難易度のポイント
- 試験範囲が広いため、体系的な学習が必要
- 建築・不動産・設備管理の知識がないと難しく感じる
- 出題形式は択一式(マークシート)なので、記述式試験に比べると対策しやすい
- 過去問をしっかり解けば、十分合格可能なレベル
合格しやすい人の特徴
- 施設管理や不動産業務の経験がある人(実務経験があると理解しやすい)
- 建築・設備管理の基礎知識がある人(電気・空調・防災などの知識が役立つ)
- コスト管理やエネルギー管理の業務に携わっている人
未経験者の合格難易度
- 実務経験がない場合でも、公式テキストと過去問を徹底的に学習すれば合格可能
- 特に「建築・設備管理」の分野は難しいため、重点的に学習する必要がある
試験内容
試験概要
- 試験形式:択一式(マークシート方式)
- 試験時間:150分
- 問題数:100問
- 合格基準:約70%以上の正答率
- 実施回数:年1回(例年2月頃)
- 受験料:約15,000円(変更の可能性あり)
試験の出題範囲(6分野)
試験は、大きく6つの分野に分かれています。
出題分野 | 出題割合 | 重要度 |
---|---|---|
ファシリティマネジメント(FM)の基本概念 | 約10% | ★★★☆☆ |
ファシリティ戦略と計画 | 約15% | ★★★★☆ |
建築・設備管理 | 約30% | ★★★★★ |
コストマネジメント | 約15% | ★★★★☆ |
環境・サステナビリティ | 約15% | ★★★☆☆ |
リスク管理・安全対策 | 約15% | ★★★★☆ |
1. ファシリティマネジメント(FM)の基本概念(約10%)
出題内容
- ファシリティマネジメント(FM)の定義と目的
- FMの国際基準(ISO 41001)と国内のFM推進動向
- FMの歴史と発展
- 企業経営とファシリティマネジメントの関係
- JFMA(日本ファシリティマネジメント推進協会)の役割
ポイント
- FMの基本概念を正確に理解することが重要
- ISO 41001(FMの国際標準規格)についても出題される
2. ファシリティ戦略と計画(約15%)
出題内容
- 施設のライフサイクル管理(計画・設計・運用・更新・廃棄)
- 企業の経営戦略に基づいたFM計画の立案
- BCP(事業継続計画)とFMの役割
- 施設の利用計画(オフィスレイアウト、スペースマネジメント)
- FMのKPI(業績指標)と評価手法
ポイント
- 施設の長期計画とコスト管理のバランスが重要
- BCP(事業継続計画)についての知識も必要
3. 建築・設備管理(約30%)
出題内容
- 建築物の設計・施工・維持管理の基礎知識
- 空調・電気・給排水設備の基本構造と管理方法
- 省エネルギー対策(ZEB、CASBEE、ESCO)
- スマートビルディングとIoT活用
- 建築基準法、消防法、安全管理に関する法律
ポイント
- 最も配点が高く、試験の中で最も重要な分野
- 建築や設備の知識がないと難しいため、重点的に学習する必要がある
4. コストマネジメント(約15%)
出題内容
- 施設管理コストの最適化(CAPEX・OPEX)
- FMにおけるコスト削減手法
- 外部委託(アウトソーシング)と契約管理
- FMの投資対効果(ROI)評価
ポイント
- CAPEX(資本的支出)、OPEX(運営費)の違いを理解することが重要
- コスト管理のフレームワーク(LCC:ライフサイクルコスト)を学ぶ
5. 環境・サステナビリティ(約15%)
出題内容
- 環境負荷低減とサステナブルFM
- SDGsとファシリティマネジメントの関係
- グリーンビルディング(LEED認証、BELS認証)
- エネルギーマネジメントシステム(BEMS)
ポイント
- SDGsや環境マネジメント関連の制度・認証を理解することが重要
- 企業のESG(環境・社会・ガバナンス)対応としてのFMの役割が問われる
6. リスク管理・安全対策(約15%)
出題内容
- 労働安全衛生管理(ISO 45001)
- 防災・減災計画(地震、火災、洪水など)
- 施設の防犯・セキュリティ対策(アクセス管理、監視システム)
- 災害対策と施設のレジリエンス強化
ポイント
- 災害リスク管理(地震・火災・水害)についての知識が必須
- ISO 45001(労働安全衛生管理)や防災法規の基本を押さえる
試験対策のポイント
- 公式テキスト「ファシリティマネジメント標準テキスト」を熟読
- 建築・設備管理分野を重点的に学習(最も難易度が高いため)
- 過去問を解いて試験形式に慣れる
- 省エネルギー対策・リスク管理・環境認証の知識を整理
- コストマネジメント(CAPEX・OPEX・LCC)を理解する
試験対策
試験対策のポイント
1. 公式テキストを活用して基礎を固める
- 「ファシリティマネジメント標準テキスト」(JFMA発行) を熟読
- 重要なキーワードをノートにまとめ、理解を深める
- 各章ごとの要点を整理し、何が問われるかを意識する
2. 試験範囲ごとに重点的に学習
- 「建築・設備管理」分野を特に重点的に学ぶ(配点が高く、難易度が高い)
- 「コストマネジメント」「リスク管理・BCP」も頻出分野のため対策を強化
3. 過去問を解いて試験形式に慣れる
- できるだけ多くの過去問を解き、出題傾向を把握する
- 間違えた問題は解説を読み、理解を深める
4. 実務と結びつけて学習を進める
- 施設管理や建築・設備に携わる業務経験があれば、それを活かして学ぶ
- 企業のファシリティマネジメントの成功事例や失敗事例を調べ、具体的なイメージを持つ
分野別試験対策
1. ファシリティマネジメント(FM)の基本概念(約10%)
対策
- FMの定義、目的、歴史を正しく理解する
- ISO 41001(FMの国際規格)を重点的に学習
- FMと経営戦略の関係を整理
2. ファシリティ戦略と計画(約15%)
対策
- 施設のライフサイクル管理(計画・設計・運用・更新・廃棄)を理解
- BCP(事業継続計画)とFMの役割を覚える
- オフィスレイアウト、スペースマネジメントの考え方を整理
3. 建築・設備管理(約30%)【最重要】
対策
- 建築基準法、消防法、安全管理に関する法律を学ぶ
- 空調・電気・給排水設備の構造と管理方法を理解する
- 省エネルギー対策(ZEB、CASBEE、ESCO)を押さえる
- スマートビルディング・IoTの活用事例を調べる
4. コストマネジメント(約15%)
対策
- CAPEX(資本的支出)、OPEX(運営費)の違いを理解する
- FMにおけるコスト削減手法を整理する
- ライフサイクルコスト(LCC)と投資対効果(ROI)を計算できるようにする
5. 環境・サステナビリティ(約15%)
対策
- SDGsや環境マネジメントの制度・認証(LEED、BELS、CASBEE)を押さえる
- ESG投資とFMの関係を理解する
- エネルギーマネジメントシステム(BEMS)を調べる
6. リスク管理・安全対策(約15%)
対策
- ISO 45001(労働安全衛生管理)の基本を理解する
- 防災計画(地震、火災、水害)と施設管理の関係を学ぶ
- 施設の防犯・セキュリティ管理を整理する
学習スケジュール(目安:2~3か月)
学習期間 | 学習内容 |
---|---|
1か月前~3週間前 | 公式テキストの通読、重要ポイントのまとめ |
3週間前~2週間前 | 過去問演習+苦手分野の復習(建築・設備管理、コスト管理を重点的に) |
2週間前~1週間前 | 模擬試験を実施し、時間配分を確認 |
1週間前~試験直前 | 重要ポイントの最終確認、公式テキスト・ノートの見直し |
試験直前の対策
-
過去問を繰り返し解く
- 本番の試験形式に慣れるため、制限時間内で模擬試験を実施
- 間違えた問題を重点的に復習
-
重要キーワードを暗記
- FMの基本概念(ISO 41001、CAPEX・OPEX、LCCなど)を短時間で復習
-
建築・設備管理の要点整理
- 難易度が高いため、公式テキストの該当部分を再確認
合格のための学習時間の目安
受験者のレベル | 推奨学習時間 |
---|---|
建築・不動産・施設管理の経験者 | 50~80時間(1~2か月) |
未経験者(ゼロから学習する場合) | 80~120時間(2~3か月) |
取得後に出来ること
1. 企業・自治体の施設管理部門での活躍
ファシリティマネージャー資格を取得すると、企業や自治体の施設管理部門で戦略的な業務を担当できるようになります。
具体的な業務
- オフィスビル・工場・商業施設の運営・管理
- 施設のライフサイクル管理(計画・設計・運用・更新・廃棄)
- エネルギーマネジメント・省エネ対策の導入
- コスト削減のためのファシリティ戦略の立案
- BCP(事業継続計画)の策定と災害対策の強化
活躍できる業種
- 一般企業の総務・施設管理部門(オフィスビル、工場、データセンターなど)
- 自治体・公共施設の管理部門(市役所、学校、病院など)
- 医療・福祉施設の管理(病院、介護施設の施設運営)
2. 不動産・建築・設備管理業界でのキャリアアップ
ファシリティマネジメントの知識は、不動産管理や建築業界でも重要視されています。資格を取得することで、より専門的な業務を担当できるようになります。
具体的な業務
- 不動産管理(PM・BM業務)の最適化
- 建築・設備の維持管理・長寿命化計画の策定
- 環境認証(LEED、BELS、CASBEE)の取得支援
- スマートビルディングやIoTを活用した施設管理
活躍できる業種
- 不動産管理会社(プロパティマネジメント・ビルマネジメント)
- 建築・設備管理会社(ゼネコン・サブコン)
- エネルギーマネジメント企業(ESCO事業者、ZEB導入支援)
3. FMコンサルタント・独立の道も開ける
資格を活かして、企業や自治体向けのコンサルティング業務に携わることも可能です。近年、企業は**コスト削減・環境対策・DX(デジタルトランスフォーメーション)**を推進するため、外部のFM専門家の支援を求めるケースが増えています。
具体的な業務
- 企業のFM戦略立案(コスト最適化・業務効率化)
- 省エネ・カーボンニュートラル戦略の提案
- 不動産ポートフォリオの最適化(資産の有効活用)
- IoT・スマートビルディングの導入支援
活躍できる業種
- FMコンサルティング会社
- 独立系FMコンサルタントとして活動
- SDGs・環境コンサルティング企業
4. ファシリティマネジメントの専門資格を活かしたキャリアアップ
ファシリティマネージャー資格は、他の関連資格と組み合わせることで、さらなるキャリアアップが可能になります。
相性の良い資格・スキル
資格・スキル | 取得後のキャリア拡大 |
---|---|
エネルギー管理士 | 省エネルギー対策、環境マネジメント |
建築物環境衛生管理技術者(ビル管) | ビル管理業務、オフィスビルの設備管理 |
宅地建物取引士(宅建) | 不動産管理・売買・賃貸業務 |
技術士(建設部門) | 建築・設備分野の専門性強化 |
ISO 9001・14001(品質・環境管理) | FMの品質向上・環境認証業務 |
ファシリティマネージャー資格を活かし、エネルギー・環境・不動産・建築・設備分野の専門知識を組み合わせることで、より高度な専門職へとステップアップできます。
5. 転職・キャリアチェンジにも有利
ファシリティマネージャー資格を取得すると、転職市場での評価も向上します。
転職で有利なポイント
- 施設管理・不動産業界の専門資格として高く評価される
- 省エネルギー・コスト削減の実務に活かせるスキルを証明できる
- 総務・経営管理部門での昇進や異動のチャンスが増える
求人市場でのニーズ
- 企業の施設管理部門で即戦力として採用される
- 不動産業界やFMコンサルティング業界での転職がしやすくなる
- 環境・エネルギー関連の業務で、専門知識を持つ人材として評価される
取得後のキャリアパスの例
取得後の職種 | 具体的な業務内容 | 活躍できる業界 |
---|---|---|
施設管理マネージャー | オフィス・商業施設の管理、エネルギーコスト削減 | 企業・自治体・医療機関 |
FMコンサルタント | コスト最適化、環境対策、DX推進 | コンサルティング会社、独立系専門家 |
ビルマネジメント(BM) | 建築・設備の維持管理 | 不動産管理会社 |
不動産ポートフォリオマネージャー | 不動産戦略、資産最適化 | デベロッパー、金融機関 |
エネルギーマネージャー | 省エネルギー施策、ZEB導入支援 | 環境・エネルギー関連企業 |
財務・経営系資格一覧
公認会計士
税理士
中小企業診断士
簿記検定
ファイナンシャル・プランニング技能士
証券アナリスト
簿記能力検定
建設業経理検定
経営士
ファイナンシャル・プランナー
実用数学技能検定
DCプランナー
DCアドバイザー
マーケティング・ビジネス実務検定
MBA
不動産証券化協会認定マスター
モーゲージプランナー
銀行業務検定試験
BATIC(国際会計検定)
CPA(米国公認会計士)
米国公認管理会計士
米国税理士(EA)
PMP試験
CISA(公認情報システム監査人)
CIRP(サーティファイド・IRプランナー)
シニアリスクコンサルタント
ITコーディネータ資格認定制度
ファイナンシャル・リスクマネージャ
アクチュアリー資格試験
二種外務員資格試験
CIA(公認内部監査人)
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
ホスピタリティ検定試験
イベント業務管理者
ファシリティマネージャー
PRプランナー資格認定制度
プロジェクトマネジメント資格
VEリーダー認定試験
販売士検定
セールススキル検定試験
セールスレップ資格認定制度
販路コーディネータ資格認定制度
交渉アナリスト
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)