フラワーアレンジメントやブーケ作成、会場装飾などに関する技能を証明する国家資格であり、厚生労働省が実施する「技能検定制度」の一つです。
花の専門知識や装飾技術を有することを示すため、花業界での信頼性向上やキャリアアップに役立ちます。
この資格は、装飾技能を職業として従事する方を対象としていますが、趣味の延長として取得する人も増えています。
フラワー装飾技能士の等級とレベル
資格は 1級・2級・3級 の3段階に分かれており、レベルや求められる技能が異なります。
等級 | 対象者 | 内容 | レベル |
---|---|---|---|
3級 | 初心者・実務経験のない人向け | 基本的なフラワーアレンジメント・花束作成 | 初級レベル |
2級 | 実務経験2年以上の中級者向け | イベント装飾・複雑な花束・アレンジメント作成 | 実務レベル |
1級 | 実務経験7年以上の上級者向け | 高度な装飾技術、会場全体の装飾プラン作成 | 専門家レベル |
取得するメリット
- 就職・転職で有利:花屋、ブライダル装飾会社、イベント会社での採用に有利
- 独立・開業が可能:自分のフラワーショップやスクールを開設できる
- 顧客やクライアントからの信頼向上:国家資格のため技術の証明になる
- 技術力向上:試験準備を通じて高いレベルの技術が身につく
■主催
中央職業能力開発協会
目次
受験資格と難易度
受験資格
等級 | 受験資格 |
---|---|
1級 | 7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験 |
2級 | 2年以上の実務経験、または専門学校等で所定の課程修了 |
3級 | 実務経験不要。誰でも受験可能 |
受験資格の詳細
1級(上級レベル)
- 対象: プロのフローリストやイベント装飾業者
- 実務経験: 7年以上必要(2級取得者は2年以上の経験で受験可能)
- 求められる技術: 大規模なイベント装飾、ブライダル装飾、店舗ディスプレイの企画・施工
2級(中級レベル)
- 対象: フラワーショップ勤務者、フラワーデザイン専門学校生
- 実務経験: 2年以上の経験が必要(専門学校や職業訓練校の修了者は受験可)
- 求められる技術: 花束やアレンジメントの制作、会場装飾の基礎技術
3級(初級レベル)
- 対象: 初心者や趣味でフラワーアレンジメントを学びたい人
- 実務経験: 不要(誰でも受験可)
- 求められる技術: 花束や小規模な装飾の制作、基本的な花の取り扱い
難易度と合格率
等級 | 難易度 | 合格率(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|
1級 | 高い | 約20〜30% | 高度な装飾技術と実務経験が必須 |
2級 | 普通 | 約40〜50% | 実務経験があれば合格可能 |
3級 | 易しい | 約60〜70% | 独学でも対応可能 |
難易度のポイント
1級(難易度:高)
- 試験範囲が広い: イベント会場全体の装飾、ブーケ制作、商業ディスプレイなど
- 技術レベルが高い: プロ向けの高度なアレンジメントや時間制限の厳しい試験
- 合格率が低い: 実務経験が長くても、試験対策が不十分だと不合格になる可能性が高い
2級(難易度:普通)
- 実務経験があれば対応可能: 2年以上の経験がある人は基本的な技術を身につけているため、合格しやすい
- 試験内容は応用レベル: ブーケ制作や装飾技術の基礎をしっかり学習すれば合格圏内
3級(難易度:易しい)
- 初心者でも合格可能: 実技試験は基本的な花束作成やアレンジメントが中心
- 独学での合格も可能: 過去問や実技の練習を積めば、十分対応できる
試験内容
「学科試験」と「実技試験」の2部構成で実施されます。試験は1級・2級・3級の3段階に分かれており、等級ごとに求められる知識や技術レベルが異なります。
試験概要
試験内容 | 試験方式 | 出題形式 | 試験時間 |
---|---|---|---|
学科試験 | 筆記試験 | 多肢選択方式(マークシート) | 約60分 |
実技試験 | 実作業試験 | フラワーアレンジメント・花束作成 | 約60〜120分(級により異なる) |
学科試験の内容
1. 花材や植物の基礎知識
- 各種花材の名称・特徴・取り扱い方法
- 季節ごとの花の特性や耐久性
- 鮮度保持方法と花材の選び方
2. フラワー装飾の技術理論
- アレンジメントや花束の基本構造
- ワイヤリングやテーピング技法
- 支柱の使い方や固定技法
3. 色彩理論とデザインの原則
- 配色の基本理論(補色、類似色、トーンの使い方)
- デザインバランス、空間利用の基本
- イベントやブライダル装飾における色の選択基準
4. 安全衛生と作業管理
- 作業中の安全管理や衛生管理
- 使用工具や器具の取り扱い注意点
5. 関連法規・顧客対応
- 消費者保護関連法(クレーム対応・契約事項)
- 顧客とのコミュニケーションの基本
実技試験の内容
実技試験では、時間内に指定されたテーマのフラワーアレンジメントや装飾物を制作します。完成度、デザイン性、正確さ、作業スピードが評価されます。
等級別実技試験課題
等級 | 主な実技課題 | 試験時間 | 評価ポイント |
---|---|---|---|
3級 | 基本的な花束作成、簡単なアレンジメント | 約60分 | 形状の正確さ、バランス、作業の丁寧さ |
2級 | ブーケ作成、卓上装飾、会場用アレンジメント | 約90分 | デザイン性、花材の選択と配置、技術力 |
1級 | 会場全体の装飾プラン作成、複雑なブーケ制作 | 約120分 | 総合的な装飾技術、創造性、時間管理 |
実技試験の詳細
【3級】 実技内容(初心者向け)
-
課題例:
- 花束の基本形(ラウンドブーケ、トライアンギュラーブーケ)
- 簡単なテーブルアレンジメント
【2級】 実技内容(中級者向け)
-
課題例:
- ブライダル用ブーケ作成
- 会場の卓上装飾やスタンドフラワーの作成
- 壁面装飾や空間利用のデザイン
【1級】 実技内容(上級者向け)
-
課題例:
- 会場全体の装飾プランの提案と実演
- 高度なデザインブーケ(キャスケード、オーバルブーケなど)
- イベント用大規模アレンジメント
評価基準
評価項目 | 内容 |
---|---|
完成度 | 見た目の美しさ、構成のバランス、形状の正確さ |
技術力 | 花材の取り扱い、ワイヤリングやテーピングの正確さ |
時間管理 | 制限時間内に課題を正確に完成させられたか |
創造性 | オリジナリティのあるデザインが反映されているか |
実用性 | 作成物が実際の用途に適しているか |
試験対策
1. 学科試験対策
出題傾向
学科試験は主に以下の分野から出題されます。
- 花材や植物の特徴・取り扱い方法
- フラワー装飾の基本理論(構成、バランス、デザイン原則)
- 工具・資材の使用方法
- 色彩理論と配色技法
- 安全衛生や作業管理
- 関連法規(顧客対応、クレーム処理など)
学科対策方法
1. 過去問題集の活用
- 過去5年分の問題を繰り返し解き、出題パターンを理解します。
- 間違えた問題はノートにまとめて復習し、同じミスを防ぐことが重要です。
2. 用語と花材の暗記
- 花の名称や特徴、旬の時期、耐久性を覚える。
- 資材(オアシス、ワイヤー、テープ)の用途を理解する。
- 暗記カードやアプリを活用し、通勤時間やスキマ時間に反復学習。
3. 色彩理論とデザインの理解
- 補色・類似色・トライアドなど基本的な配色パターンを理解。
- 色の心理効果や季節に合ったカラーコーディネートを学習。
4. 法令・安全衛生の確認
- 作業時の安全基準や顧客対応に関する法律問題が出題されます。
- 労働安全衛生法や消費者契約法の基本部分を押さえる。
学科試験のおすすめ勉強スケジュール(3か月計画)
期間 | 内容 | 目標 |
---|---|---|
1か月目 | 基礎知識の習得(花材、資材、用語) | 基本用語と花材名を70%暗記 |
2か月目 | 過去問演習(3年分)・色彩理論の学習 | 正答率70%以上を目指す |
3か月目 | 直前復習・模試問題の解答 | 80%以上の正答率を目標 |
2. 実技試験対策
実技試験のポイント
- 制限時間内での制作スピード
- 完成度(バランス、形状、花材の配置)
- 作業中の丁寧さ(花材・工具の取り扱い)
- 創造性と実用性の両立
実技対策方法
1. 課題内容を把握し、練習メニューを立てる
- 3級: 花束や簡単なアレンジメントを1日1回練習。
- 2級: 卓上装飾やブライダルブーケを時間を計って制作。
- 1級: 会場装飾プランを作成し、複雑な構成の練習に取り組む。
2. 作業スピード向上のための練習
- タイマーを使って制限時間の80%以内で完成を目指す。
- 時間が足りない場合、工程を見直し無駄な動きを削減。
3. デザイン力を養う
- SNSや雑誌で最新の装飾デザインを研究。
- 色彩の組み合わせ練習を繰り返し、季節やテーマに応じたデザイン力を高める。
4. 動画撮影で自己評価
- 自分の作業を録画し、作業の無駄や間違いを客観的にチェック。
- 花材の持ち方やハサミの使い方も見直せる。
実技試験おすすめ練習スケジュール(3か月計画)
期間 | 内容 | 目標 |
---|---|---|
1か月目 | 基本課題の練習(花束・基本アレンジ) | 1課題60分以内で完成 |
2か月目 | 応用課題の制作(ブーケ、卓上装飾) | 制限時間の80%で完成 |
3か月目 | 模試形式で実技練習・動画チェック | 安定して高評価を得られる |
3. 模試・過去問活用のポイント
学科模試の活用法
- 模試は本番同様に時間を計って解答。
- 模試後は必ず復習し、理解不足の部分を即座に補強。
実技模試の活用法
- 実技模試を受講できる講習会やスクールを活用。
- 作業時間を計測し、講師のアドバイスを元に改善。
取得後に出来ること
取得すると、花装飾に関する専門知識と技術が国家資格として証明されます。この資格は、フラワー業界での信頼性を高めるだけでなく、キャリアアップや独立開業、指導者としての活躍にもつながります。
1. フラワーショップでの装飾業務
実務でできること
- 顧客向けの花束やアレンジメント制作
- 誕生日、記念日、開店祝いなどの注文対応
- 店舗ディスプレイの装飾
- 季節ごとの店内装飾やショーウィンドウの飾り付け
- 注文に応じたオーダーメイドフラワーの提案
- 顧客の要望に合わせたデザイン提案が可能
2. ブライダル・イベント装飾への参入
結婚式・イベントでできること
- ブライダルブーケや会場装飾の担当
- 挙式会場、披露宴テーブル、祭壇装飾などのプランニング
- 企業イベントや展示会での花装飾
- 商品展示会、発表会、季節イベントでの装飾業務
- パーティー装飾や式典用の特別アレンジメント制作
3. フラワースクールの開業・講師活動
教育・指導でできること
- 自分のフラワー教室を開設
- 趣味のアレンジメント講座からプロ養成コースまで実施可能
- 専門学校やカルチャーセンターで講師活動
- 初心者向けや資格取得支援の講座を担当
- 出張ワークショップの開催
- 地域イベントや企業研修でのフラワーレッスン提供
4. 独立・起業
自営業としてできること
- フラワーショップの経営
- 花の販売、オーダー制作、定期装花サービスを展開
- オンライン販売事業
- 自作のアレンジメントやドライフラワー商品のネット販売
- 法人向け定期装花契約の提案
- レストランやオフィスへの定期花装飾サービスの提供
5. フラワーデザイン・アーティスト活動
クリエイティブ分野でできること
- テレビ番組・映画のセット装飾
- 撮影現場での美術花制作や空間演出
- アートフラワーやインスタレーション作品の制作
- 展覧会やギャラリーでの作品発表
- オリジナルブランド設立
- 自作のフラワーアクセサリーやインテリア商品の販売
6. インテリア・空間装飾業務
空間デザインでの活用
- ホテル・レストランの常設装花担当
- 空間演出に合わせた季節ごとの花装飾
- モデルルームのインテリアデザイン支援
- 住宅展示場での花を用いた空間演出
7. 資格取得後のその他のメリット
- 顧客やクライアントからの信頼向上
- 国家資格保持者として技術力が評価される
- キャリアアップが可能
- フラワー業界内での昇進や給与アップのチャンスが広がる
- 多業種との連携がしやすくなる
- インテリア業界、イベント企画会社との仕事が増加