一級建築士

日本における建築業界で最も権威のある資格の一つであり、建築物の設計、工事監理、建築確認申請など、幅広い業務を行うことができます。

この資格を取得することで、住宅から大規模な商業施設、公共施設まで、あらゆる建築物に関わることが可能になります。

主な役割と業務内容

設計業務

一級建築士は、建物の意匠設計、構造設計、設備設計を行います。これには、建物のデザインだけでなく、機能性や安全性を考慮した設計も含まれます。

工事監理

建築工事が設計図通りに進行しているかを確認します。施工業者と連携し、品質管理や工程管理、安全管理を担当します。

建築確認申請

法律や建築基準法に基づいた確認申請を行います。これにより、建築物が法令に適合しているかを審査し、適切な手続きをサポートします。

その他の業務

  • 耐震診断や耐震改修計画の策定
  • リフォームやリノベーションの提案
  • 都市計画や地域開発プロジェクトへの参加

主催
(財)建築技術教育普及センター

受験資格と難易度

受験資格

一級建築士試験を受験するには、学歴実務経験の両方が必要です。資格要件は以下の通りです。

学歴別の受験資格

大学卒業者(建築系学科)
  • 受験資格: 卒業後、2年以上の建築実務経験が必要
  • : 建築学科を卒業 → 設計事務所で2年以上の勤務経験後、受験可能
専門学校卒業者(建築系・2年以上の課程修了)
  • 受験資格: 卒業後、3年以上の建築実務経験が必要
  • : 建築専門学校卒業 → 現場監理や設計補助で3年以上経験後、受験可能
高等学校卒業者(建築系学科)
  • 受験資格: 卒業後、7年以上の建築実務経験が必要
  • : 高校建築科卒業 → 設計や現場監理で7年以上勤務後、受験可能
その他の学歴(建築学科以外)
  • 条件: 建築実務経験が10年以上必要
  • : 文系学部卒 → 建築関連業務に10年以上従事すれば受験可能

実務経験の範囲

実務経験には以下の業務が含まれます。

  • 設計補助業務
  • 工事監理
  • 建築確認申請業務
  • 建築計画や都市計画関連業務

難易度

一級建築士試験は、日本国内の国家資格の中でも最難関レベルに位置づけられており、合格には専門知識の習得と実務スキルが求められます。

合格率

  • 学科試験の合格率: 約20〜25%
  • 製図試験の合格率: 約35〜45%(学科試験合格者の中での割合)
  • 総合合格率: 約10〜15%

試験内容

学科試験と製図試験(設計製図試験)の2段階で構成されています。学科試験に合格しないと、製図試験を受験できない仕組みです。

試験の概要

  • 第1段階: 学科試験
    建築に関する幅広い知識が問われます。
  • 第2段階: 製図試験
    実務で必要な設計力と図面作成能力を評価します。

学科試験の内容

学科試験は5科目で構成されており、各科目の得点が一定基準に達し、かつ総合点でも基準を超える必要があります。

1. 建築計画

建築物の利用計画や空間構成、建築材料、歴史的建造物に関する知識が問われます。

  • 建築物の用途別計画(住宅、商業施設、公共施設)
  • 空間デザインやバリアフリー設計
  • 建築材料の性質と選定
  • 建築史や著名な建築家の作品

2. 環境・設備

建物の快適性や省エネに関する環境工学の基礎、設備計画の知識が必要です。

  • 空調・換気・照明・給排水設備
  • 熱環境、音環境、光環境の制御
  • 自然エネルギー活用方法
  • 省エネ法規や設備の効率化

3. 建築法規

建築基準法を中心に、関連する法律知識が問われます。

  • 建築基準法の構造・用途制限
  • 防火・避難規定
  • 都市計画法や消防法との関連
  • 確認申請の手続き方法

4. 構造

構造力学や各種構造形式の理解が問われ、計算問題も多く出題されます。

  • 力の釣り合いと構造解析
  • 鉄筋コンクリート構造、鉄骨構造、木造構造の基礎
  • 地震力、風圧力などの外力計算
  • 耐震・耐風・耐火構造の設計基準

5. 施工

建築工事の工程、現場管理、安全管理、施工方法について出題されます。

  • 工程管理や工事の流れ
  • 材料の施工方法や使用上の注意点
  • 安全対策や品質管理
  • コスト管理と積算業務

製図試験(設計製図試験)の内容

試験の概要

  • 試験時間: 約6時間30分
  • 試験形式: 実際に設計図を作成
  • 課題内容: 毎年異なるが、住宅、オフィスビル、福祉施設、商業施設などがテーマ

試験の合格基準

学科試験

  • 総合得点: 125点以上(満点175点)
  • 各科目の足切り: 各科目での最低得点ラインが設定されています。

製図試験

  • 評価基準: 設計の適正性、図面の完成度、法規遵守が重要
  • 採点方式: 基本的に減点方式。重大なミス(法規違反や安全性欠如)は即不合格。

試験対策

全体的な学習計画の立て方

1. 学習スケジュールの作成

  • 学科試験までの期間: 最低でも6か月前からの学習開始が推奨
  • 製図試験までの期間: 学科試験後から約3か月間の集中対策が必要

2. 学習時間の目安

  • 平日: 1〜2時間(通勤時間の活用など)
  • 休日: 4〜6時間(模試や製図練習に重点)

学科試験対策

ポイント

  • 過去問題の徹底演習: 過去10年分を繰り返し解く
  • 暗記と理解のバランス: 法規は暗記中心、構造や施工は理解が重要
  • 模擬試験で実力確認: 時間配分と解答スピードを身につける

科目別対策

建築計画
  • 過去問で頻出テーマを特定
  • 建築史や有名建築物の特徴をまとめる
  • バリアフリーやユニバーサルデザインも重点的に
環境・設備
  • 熱環境、音環境、照明の計算問題に慣れる
  • 設備機器の基本構造と省エネ基準の理解
建築法規
  • 最重要科目:必ず最新の法改正をチェック
  • 法令集の引き方をスピーディーに習得
  • 模試や問題集で法規問題に多く触れる
構造
  • 力の釣り合いやモーメント計算の練習
  • 各種構造形式の特徴と使用用途の把握
  • 過去問で計算問題を反復練習
施工
  • 工程管理や品質管理の流れを整理
  • 各種工法の長所・短所を比較理解
  • 安全基準や現場監理の基本事項を暗記

製図試験(設計製図試験)対策

ポイント

  • 速く正確な図面作成能力が必須
  • 与えられた課題の条件を正確に読み解くことが重要
  • 構造・設備・法規の整合性を常に意識

よくあるミスと対策

ミス 対策方法
法規違反(建ぺい率、容積率超過) 計画段階で容積・面積を逐次確認
動線計画の不備 動線チェックシートを活用
設備や構造記号の誤り 記号一覧表を作成し事前確認
時間不足で図面未完成 模擬試験で制限時間内の作成を徹底練習

推奨学習ツールと教材

参考書・問題集

  • 総合資格学院の過去問題集
  • 日建学院の予想問題集
  • 法令集(建築基準法関係): 最新版を常備

オンライン講座

  • YouTubeの解説動画で苦手分野を補強
  • 有料講座(資格スクール)で模試や質問サポート活用

学習アプリ

  • 暗記用アプリ: 法規や計画分野の知識定着に有効
  • 計算問題特化アプリ: 構造問題対策におすすめ

取得後に出来ること

取得すると、建築設計、工事監理、法的申請業務などの幅広い業務が可能になり、建築業界でのキャリアの選択肢が大きく広がります。以下では、資格取得後にできることを分野別に詳しく解説します。

設計業務

あらゆる規模の建築物の設計が可能

一級建築士は、日本国内におけるすべての建築物の設計ができます。

  • 戸建住宅から超高層ビル病院学校商業施設など、規模や用途に制限はありません。
  • 特に延べ面積500㎡を超える建物高さ13mを超える建築物の設計は一級建築士でなければ行えません。

インテリアデザインやリノベーション設計

  • 内装設計や改修工事の提案・実施が可能
  • 建物の機能向上やデザイン改善を行える

工事監理業務

設計図通りに建設が行われているか確認

  • 建設現場での品質管理、工程管理、安全管理を担当
  • 設計図に基づいた適正な工事が行われているかを監視

トラブル対応

  • 工事中に発生する問題への対応や、現場関係者との調整役も務める

法的申請・確認業務

建築確認申請の代理提出

  • 建築基準法に基づく申請手続きを代行可能
  • 建築主を代理して役所や確認検査機関への申請ができる

法規遵守のアドバイス

  • クライアントに対して、建築に関わる法律や規制について適切な助言が可能

キャリアの選択肢

独立・開業

  • 一級建築士事務所を開設可能
  • 自らクライアントを獲得し、設計や監理業務を請け負える
  • 独立後は、プロジェクトの自由度が高まり、自身のデザインを反映した建築が実現できる

企業・団体でのキャリア

  • 大手建設会社や設計事務所への就職や転職が有利
  • 以下の分野での活躍が可能
    • ゼネコン: 大規模建築物の設計・施工管理
    • ハウスメーカー: 戸建住宅の設計や商品開発
    • 不動産会社: 建物の企画や管理業務
    • 行政機関: 建築確認審査や都市計画の担当

教育・講師業

  • 建築専門学校や大学での講師として教育に従事可能

その他の可能性

公共事業や国際的なプロジェクトへの参加

  • 官公庁発注の公共施設の設計に関われる
  • 海外でのプロジェクト参加も可能(海外資格が必要な場合もあり)

コンサルティング業務

  • 建築企画や都市開発のコンサルタントとしてアドバイス提供
  • 耐震診断省エネ計画の立案が可能

おすすめの講習、教材

教材

 講座

建築系資格一覧

一級建築士
二級建築士
木造建築士
構造設計一級建築士
設備設計一級建築士
建築施工管理技士
建築図面製作技能士
土木施工管理技士
ビル経営管理士
不動産鑑定士
測量士
宅地建物取引主任者
管理業務主任者
マンション管理士
土地家屋調査士
玉掛技能講習
環境計量士
管工事施工管理技士
建設機械施工技士
建築設備士
建築業経理士
コンクリート技士
CAD実務キャリア認定制度
CADトレース技能審査
建築CAD検定試験
Autodesk認定試験
3次元CAD利用技術者試験
マンションリフォームマネージャー
ダッソー・システムズ CATIA 認定資格
マンション維持修繕技術者
REセールスパーソンライセンス

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)