一般社団法人不動産証券化協会(ARES:Association for Real Estate Securitization)**が認定する資格です。
不動産証券化に関する専門的な知識を習得し、実務で活用できるプロフェッショナルを育成することを目的としています。
【ARES Certified Master(ACM)とは?】
ARESが実施する「不動産証券化マスター」育成プログラムを修了し、一定の知識・スキルを持つと認められた人に与えられる資格です。
特に、不動産ファンド、REIT、アセットマネジメント、ストラクチャードファイナンス、投資銀行業務などに携わる人々にとって、専門性の証明となります。
■主催
(社)不動産証券化協会
受験資格と難易度
1. 受験資格
ARES Certified Master(ACM)の受験資格に特別な制限はなく、誰でも受講・受験可能です。ただし、以下のような背景があると受講・試験対策がスムーズになります。
(1) 公式な受験資格
- 不動産証券化マスター講座を修了すること
→ 受験するためには、ARESが提供する「不動産証券化マスター講座」を全カリキュラム受講しなければならない。 - 法人単位での申し込みが一般的(個人でも受講可能)
→ 企業が社員のスキル向上のために申し込むケースが多い。 - 特定の学歴・職歴要件はなし
→ 不動産業界や金融業界の実務経験がなくても受講できるが、実務経験者の方が有利。
(2) 受講推奨対象
ARESは以下のような人に対して本資格の取得を推奨しています。
- 不動産ファンド業界(アセットマネジメント、プロパティマネジメント)
- J-REIT運用会社や投資銀行の不動産部門
- 金融機関(銀行、証券会社、保険会社)の不動産投資関連部門
- デベロッパー、不動産コンサルティング会社の投資・企画部門
- 公認会計士、税理士、弁護士などの専門職で不動産証券化関連業務に携わる人
2. 難易度
(1) 難易度の目安
ARES Certified Masterの試験は、中~高難易度の資格試験とされています。
特に、不動産証券化、J-REIT、ストラクチャードファイナンスの知識が必要となるため、金融・不動産業界未経験者にはハードルが高いです。
試験の難易度を他の資格と比較すると以下のようなイメージです:
資格 | 難易度(目安) |
---|---|
宅地建物取引士(宅建) | ★★★☆☆(中程度) |
不動産証券化協会認定マスター | ★★★★☆(やや難しい) |
不動産鑑定士 | ★★★★★(難関) |
CFA(チャータード・ファイナンシャル・アナリスト) | ★★★★★(超難関) |
- 宅建よりは専門的な知識が必要であり、実務知識がないと難しい。
- CFAや不動産鑑定士ほどの難易度ではないが、金融・不動産の専門用語や計算があるため、初学者には厳しい。
(2) 試験の内容と難しさ
ARES Certified Masterの試験は以下のような分野から出題されます。
試験範囲 | 内容 | 難易度(5段階評価) |
---|---|---|
不動産証券化の基礎 | SPV(特別目的会社)、TMK、投資スキームなど | ★★★☆☆ |
不動産投資市場 | J-REIT、私募ファンド、不動産市場の動向 | ★★★★☆ |
アセットマネジメント | 投資運用、ファンドマネジメント手法 | ★★★★☆ |
ストラクチャードファイナンス | LTV(ローン・トゥ・バリュー)、DSCR(債務返済能力指標)など | ★★★★☆ |
法律・規制 | 金融商品取引法、不動産特定共同事業法など | ★★★☆☆ |
不動産評価・投資分析 | DCF法、収益還元法、NOI(純営業収益)計算 | ★★★★★ |
- 計算問題や投資分析が含まれるため、金融知識が必要。
- J-REITや不動産ファンドの仕組みを理解していないと厳しい。
- 法律・規制分野もあるため、広範囲な学習が求められる。
(3) 合格率
ARES Certified Masterの公式な合格率は非公開ですが、過去の受講者の情報から推定すると**約50~60%**程度と言われています。
つまり、受講すれば誰でも受かるわけではなく、事前の学習が必要です。
- 金融・不動産の実務経験者なら合格しやすい(経験があると、問題文の内容を実務と結びつけやすい)
- 初心者は事前に金融・不動産の基礎を学ぶ必要あり
- 講座を真面目に受け、試験対策をすれば十分合格できるレベル
試験内容
1. 試験概要
- 試験方式:択一式(マークシート方式)+記述式
- 試験時間:120分
- 試験科目:
- 不動産証券化の概要
- 不動産市場・投資分析
- アセットマネジメント・ファンド運用
- ストラクチャードファイナンス
- 法律・規制
- 合格基準:非公開(目安として60~70%以上の正答率が必要)
- 出題数:非公開(概ね50~60問程度と推測)
2. 試験科目の詳細
不動産証券化の概要
【主な出題範囲】
- 不動産証券化の基本概念
- SPV(特別目的会社)とTMK(特定目的会社)
- 不動産証券化のスキーム(TMKスキーム、GK-TKスキーム など)
- J-REIT(上場不動産投資信託)と私募REITの違い
- 不動産ファンドの仕組み
【ポイント】
- SPVやTMKの役割・特徴を理解する
- GK-TKスキームの流れを把握する
- J-REITのメリット・デメリットを整理する
不動産市場・投資分析
【主な出題範囲】
- 不動産市場の動向
- 不動産投資指標(NOI、キャップレート、LTVなど)
- 不動産の評価手法(DCF法、収益還元法、直接還元法)
- 不動産のリスク分析(市場リスク、流動性リスク、信用リスク)
【ポイント】
- NOI(純営業収益)= 総収入 − 運営費 の計算は必須
- キャップレート(還元利回り)= NOI ÷ 物件価格
- DCF法(割引キャッシュフロー法)の計算をマスターする
- LTV(Loan to Value)= 借入金 ÷ 不動産価格 の計算を覚える
アセットマネジメント・ファンド運用
【主な出題範囲】
- アセットマネージャーの役割
- J-REITの運用戦略
- 私募ファンドの投資戦略
- 物件の取得・売却プロセス
- 不動産ファンドの資金調達
【ポイント】
- J-REITの投資戦略(コア型、バリューアッド型、オポチュニスティック型)を理解
- アセットマネージャーとプロパティマネージャーの違いを整理
- 不動産ファンドの資金調達手法(エクイティ vs デット)を理解
- キャッシュフロー管理(賃貸収入、運営費、リファイナンス)の流れを整理
ストラクチャードファイナンス
【主な出題範囲】
- 不動産投資ファンドの資金調達(デット vs エクイティ)
- 証券化商品のリスク評価
- メザニンローン・シニアローンの違い
- DSCR(債務返済比率)・ICR(利息カバレッジ比率)の計算
- 不動産担保ローン(CMBS)の仕組み
【ポイント】
- メザニンローン(劣後債)とシニアローン(優先債)の違いを理解
- DSCR(Debt Service Coverage Ratio)= NOI ÷ 元利返済額
- ICR(Interest Coverage Ratio)= NOI ÷ 支払利息
- キャッシュフローの流れ(投資→運用→回収)を理解
法律・規制
【主な出題範囲】
- 金融商品取引法と不動産証券化
- 不動産特定共同事業法
- 投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)
- J-REITの規制
- 投資家保護制度
【ポイント】
- 金融商品取引法における「適格機関投資家」制度を理解
- 不動産特定共同事業法の適用範囲を整理
- 投資信託法(投信法)に基づくJ-REITの規制
- 投資家保護の仕組み(内部監査、情報開示制度)を理解
試験対策
1. 必要な学習時間の目安
- 金融・不動産の実務経験者:50~100時間
- 未経験者(初心者):150~200時間以上
2. 効果的な勉強法
公式テキスト・講義内容を徹底理解
ARESの「不動産証券化マスター講座」の内容がそのまま試験に出るため、講義内容を完全に理解することが最重要です。
- 公式テキストを最低3回は読む
- 重要な用語をノートにまとめる
- 試験範囲の体系を把握しながら整理する
基本用語を理解する
試験では専門用語が多く登場するため、用語を正確に理解することが必要です。
用語 | 意味 |
---|---|
NOI(純営業収益) | 総収入 – 運営費 |
キャップレート(還元利回り) | NOI ÷ 物件価格 |
LTV(Loan to Value) | 借入金 ÷ 不動産価格 |
DSCR(Debt Service Coverage Ratio) | NOI ÷ 元利返済額 |
ICR(Interest Coverage Ratio) | NOI ÷ 支払利息 |
SPV(特別目的会社) | 証券化のために設立される会社 |
TMK(特定目的会社) | 日本における証券化用法人 |
J-REIT | 上場不動産投資信託 |
GK-TKスキーム | 投資家が匿名組合契約を通じて合同会社(GK)に投資するスキーム |
- ノートに整理して、何度も繰り返し確認
- 問題集や実務資料を活用しながら、用語の使われ方を理解する
計算問題をマスターする
試験では不動産投資分析に関する計算問題が出題されるため、以下の計算に慣れておく必要があります。
- NOI(純営業収益)= 総収入 – 運営費
- キャップレート(還元利回り)= NOI ÷ 物件価格
- LTV(ローン・トゥ・バリュー)= 借入金 ÷ 不動産価格
- DSCR(債務返済比率)= NOI ÷ 元利返済額
- DCF法(割引キャッシュフロー法)を活用した物件評価
- 実際の試験では数値が与えられ、計算して答える問題が出る
- 公式を暗記するだけでなく、実際に問題を解いて理解を深める
法律・規制の整理
不動産証券化に関連する法律が試験に出題されるため、主要な法規制を整理しておくことが重要です。
法律・規制 | 内容 |
---|---|
金融商品取引法 | J-REIT・不動産ファンドの規制 |
不動産特定共同事業法 | 小口化不動産投資のルール |
投資信託法(投信法) | J-REITに関する規制 |
宅地建物取引業法 | 不動産業務のルール |
会社法 | SPVの設立や運営に関する法律 |
- それぞれの法律が適用されるケースを理解する
- J-REITの規制や投資家保護の仕組みを整理する
過去問・模擬試験を活用
ARES Certified Masterの公式過去問はほぼ公開されていませんが、J-REITや不動産ファンドに関連する問題集を活用できます。
- 金融・不動産系の資格試験問題を活用(宅建、不動産鑑定士、証券アナリストなど)
- ARESの講義で出題される問題を繰り返し解く
- 模擬試験を受けて時間配分を確認する
3. 科目ごとの対策ポイント
不動産証券化の概要
- SPV、TMK、GK-TKスキームの仕組みを理解
- J-REITと私募ファンドの違いを整理
不動産市場・投資分析
- NOI、キャップレート、LTVの計算を徹底
- DCF法の計算を何度も練習
アセットマネジメント・ファンド運用
- J-REITの投資戦略(コア型、バリューアッド型、オポチュニスティック型)を整理
- アセットマネージャーとプロパティマネージャーの役割を理解
ストラクチャードファイナンス
- メザニンローン・シニアローンの違いを整理
- DSCR・ICRの計算問題を繰り返し解く
法律・規制
- 金融商品取引法、不動産特定共同事業法の適用範囲を整理
- 投資家保護の仕組みを理解
取得後に出来ること
1. キャリアアップ・転職に有利
ARES Certified Masterの資格は、不動産証券化に関する専門知識を持つ証明となるため、以下のような業界・職種で高く評価されます。
転職・昇進で有利になる職種
- 不動産ファンド(アセットマネージャー、ファンドマネージャー)
- J-REIT運用会社(投資運用業務、物件取得担当)
- 金融機関(銀行・証券会社の不動産投資部門、ストラクチャードファイナンス部門)
- デベロッパー(資産運用、プロジェクトファイナンス担当)
- 不動産コンサルティング会社(投資アドバイザリー業務)
- 公認会計士・税理士・弁護士(不動産証券化のアドバイザリー業務)
転職市場での評価
- 「J-REIT」「不動産ファンド」「証券化不動産」関連の求人でプラス評価
- 金融機関の不動産投資関連部署での採用に有利
- アセットマネジメント会社では取得が推奨される資格の一つ
2. 不動産証券化の実務に携われる
資格取得により、以下のような実務スキルが身につき、不動産証券化業務に携わることが可能になります。
不動産ファンドの組成・運用
- J-REITや私募ファンドの組成・運営
- 物件の取得・売却戦略の策定
- 不動産ファンドの投資分析・リスク管理
ストラクチャードファイナンス業務
- TMKやGK-TKスキームを活用した資金調達
- 不動産証券化スキームの構築
- メザニンファイナンス・シニアローンの活用
投資分析・資産評価
- DCF法(割引キャッシュフロー法)による物件評価
- NOI(純営業収益)、LTV、DSCRの計算・分析
- キャッシュフローのモデリング
法律・規制対応
- 金融商品取引法・不動産特定共同事業法の理解
- J-REITの法規制対応・ガバナンス管理
- 投資家向け開示資料の作成
3. 資格取得者限定のネットワークに参加
ARES Certified Masterを取得すると、不動産証券化協会(ARES)が主催するセミナーや交流会に参加可能になります。
- 不動産投資・ファンド業界の最新動向を学べるセミナー
- 資格取得者同士のネットワーク形成
- J-REIT運用会社、アセットマネジメント会社の人脈を広げられる
- 求人情報や業界ニュースの共有
4. 取得が求められる・推奨される業界・企業
ARES Certified Masterは、以下の業界や企業での評価が高く、取得が推奨される資格の一つです。
不動産金融業界
- 不動産ファンド運用会社(AM会社)
- J-REIT運用会社
- プライベートエクイティファンド
- デベロッパー(資産運用部門)
- 不動産投資顧問会社
金融機関
- メガバンク・信託銀行の不動産投資部門
- 証券会社のREIT・不動産投資関連業務
- 保険会社の不動産投資担当
- ノンバンク(不動産担保ローン、CMBS)
コンサルティング・専門職
- 不動産投資アドバイザリー会社
- 公認会計士・税理士(不動産証券化関連業務)
- 弁護士(不動産投資スキームの法務アドバイス)
5. 給与・年収アップの可能性
ARES Certified Masterの取得により、不動産ファンドやJ-REIT運用会社、金融機関での評価が上がり、給与・年収のアップにつながる可能性があります。
給与レンジ(目安)
職種 | 年収(資格取得前) | 年収(資格取得後) |
---|---|---|
不動産アセットマネージャー | 500万~700万円 | 700万~1,000万円 |
J-REIT運用会社(投資運用) | 600万~900万円 | 800万~1,200万円 |
不動産ファンド(投資担当) | 700万~1,000万円 | 900万~1,500万円 |
ストラクチャードファイナンス(銀行・証券) | 800万~1,200万円 | 1,000万~1,800万円 |
- 不動産ファンド・金融機関では取得者を優遇するケースが多い
- 管理職への昇進要件として評価されることもある
- 外資系金融機関では不動産投資の専門資格として評価されやすい
6. 独立・起業の可能性
ARES Certified Masterを取得すると、不動産投資・ファンド運営に関する知識が深まるため、以下のような独立・起業の道も開けます。
独立・起業の例
-
不動産投資顧問会社の設立
-
J-REIT・不動産ファンドへの投資アドバイザリー業務
-
不動産証券化を活用した資産運用ビジネス
-
小口化不動産投資スキームの構築
-
資格取得後にコンサルティング業務に転向する人も多い
-
金融機関で経験を積み、不動産投資会社を設立するケースも増えている
財務・経営系資格一覧
公認会計士
税理士
中小企業診断士
簿記検定
ファイナンシャル・プランニング技能士
証券アナリスト
簿記能力検定
建設業経理検定
経営士
ファイナンシャル・プランナー
実用数学技能検定
DCプランナー
DCアドバイザー
マーケティング・ビジネス実務検定
MBA
不動産証券化協会認定マスター
モーゲージプランナー
銀行業務検定試験
BATIC(国際会計検定)
CPA(米国公認会計士)
米国公認管理会計士
米国税理士(EA)
PMP試験
CISA(公認情報システム監査人)
CIRP(サーティファイド・IRプランナー)
シニアリスクコンサルタント
ITコーディネータ資格認定制度
ファイナンシャル・リスクマネージャ
アクチュアリー資格試験
二種外務員資格試験
CIA(公認内部監査人)
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
ホスピタリティ検定試験
イベント業務管理者
ファシリティマネージャー
PRプランナー資格認定制度
プロジェクトマネジメント資格
VEリーダー認定試験
販売士検定
セールススキル検定試験
セールスレップ資格認定制度
販路コーディネータ資格認定制度
交渉アナリスト
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)