古車の適正な査定を行うための専門資格です。中古車業界において、公正な価格評価をするために必要な知識・技術を証明するもので、日本自動車査定協会(JAAI)が認定・運営しています。
資格の種類
中古自動車査定士資格には、以下の2種類があります。
- 小型自動車査定士(乗用車・軽自動車を対象)
- 大型自動車査定士(トラック・バスなどの大型車両を対象)
■主催
(財)日本自動車査定協会
目次
受験資格と難易度
受験資格
中古自動車査定士資格を受験するためには、以下の条件を満たす必要があります。
-
日本自動車査定協会(JAAI)の会員企業に所属していること
- 一般の個人は受験できず、JAAIの会員企業(中古車販売店や買取業者など)の従業員であることが必須。
-
満20歳以上であること
- 未成年は受験不可。
-
自動車業界での実務経験があること
- 具体的な年数の制限はないが、ある程度の業務経験が必要。
-
JAAIが実施する査定士講習を受講すること
- 試験を受ける前に、査定士講習(2日間)が義務付けられている。
試験の難易度
中古自動車査定士資格の難易度は「比較的易しめ」とされているが、しっかりと対策しないと不合格になる可能性もある。
-
合格率は約80~90%
- 受験資格が限られているため、受験者はある程度の業務知識を持っていることが前提となる。
- 試験前の講習で重要なポイントが説明されるため、講習をしっかり理解していれば合格しやすい。
-
筆記試験の難易度
- 出題範囲は「査定基準」「自動車の構造・機能」「査定実務」「関連法規」など。
- 過去問や講習の内容を復習すれば、十分合格を狙える。
-
実技試験の難易度
- 車両の損傷や修復歴を見抜く力が求められる。
- 実務経験が浅いと難しく感じる場合があるが、講習で実技のポイントを学べるため、しっかり復習すれば問題ない。
試験内容
筆記試験 と 実技試験 の2つで構成されています。受験前には 2日間の査定士講習 を受講する必要があり、試験範囲はこの講習で学ぶ内容から出題されます。
1. 筆記試験(約50問)
筆記試験は 四択問題(マークシート)と記述式 で構成され、以下の分野から出題されます。
(1)自動車査定基準
中古車の価値を正確に判断するための基準を学ぶ分野。
- 査定基準の考え方
- 車両の評価方法(減点方式)
- 走行距離・年式・事故歴の影響
- 特別加点・減点のルール
(2)自動車の構造・機能
自動車の基本的な構造を理解し、損傷や修理の判断をするための知識を学ぶ。
- 車の主要部分(エンジン、シャシー、ボディなど)の構造
- 塗装や補修の見分け方
- 事故車の判断基準
(3)査定実務
実際に査定を行う際の流れや注意点についての問題。
- 査定の手順(外装・内装のチェックポイント)
- 事故車・修復歴車の判定基準
- 各部位ごとの評価方法
(4)関係法規
中古車の査定や販売に関わる法律についての出題。
- 道路運送車両法(保安基準・車検制度など)
- 消費者契約法(クーリングオフ、瑕疵担保責任)
- 道路交通法(ナンバー管理、違法改造の判断)
- 中古車流通に関する法規制
2. 実技試験(査定シミュレーション)
実技試験では、実際の車両を見て査定するスキルが問われる。
(1)外装のチェック
- キズ・ヘコミ・サビの有無を確認し、減点する箇所を特定
- 交換・修理されたパーツの判別(塗装の違いや歪みをチェック)
(2)内装のチェック
- シートやダッシュボードの状態(汚れ・破損)を確認
- 事故の影響が見られるかどうか(エアバッグの作動跡など)
(3)機能チェック
- エンジンの動作確認(異音やオイル漏れの有無)
- ライト・ワイパーなどの電装系が正常に作動するか
(4)修復歴の判定
- 事故歴のある車かどうかを判断
- 溶接跡・ボルトのズレなどから修復の有無を確認
3. 試験の合格基準
- 筆記試験 → 100点満点中、概ね70点以上で合格
- 実技試験 → 査定の誤りが一定の範囲内であれば合格
試験の合格率は 80~90% と高めだが、査定実務経験が少ないと実技試験で苦戦することもあるため、事前の勉強と練習が重要。
試験対策
1. 筆記試験の対策
筆記試験では「査定基準・自動車の構造・査定実務・関係法規」の4分野から出題されます。
(1)公式テキストをしっかり読み込む
試験は 日本自動車査定協会(JAAI)の公式テキスト から出題されるため、まずはこのテキストを熟読しましょう。査定士講習を受講すると、講習で使用する公式テキストが配布されるので、これを中心に勉強すれば十分対応できます。
(2)過去問・模擬問題を解く
JAAIが提供する模擬問題や過去問を繰り返し解くことが重要です。特に「査定基準」と「法規」は、問題の出され方に慣れておくと本番でスムーズに解答できます。
(3)出題傾向を押さえる
- 査定基準(減点方式、走行距離や年式による影響など)
- 自動車の構造(エンジン、シャシー、電装系の基本知識)
- 修復歴の判断基準
- 関係法規(道路運送車両法・消費者契約法・中古車取引関連法)
特に査定基準と法規関連は細かい知識が問われるため、暗記だけでなく理解することが大切です。
2. 実技試験の対策
実技試験は「実際の車両を査定し、損傷や修復歴を適切に判断できるか」がポイントです。
(1)実際に車を見て練習する
- 中古車販売店や自社の査定業務で、実際の車両を見ながら傷や修復歴をチェックする練習をする。
- できるだけ多くの車両を観察し、ボディや内装の状態を判別できるようにする。
- 事故車の見分け方(ボルトのズレ、溶接跡、塗装の違いなど)を重点的に学ぶ。
(2)先輩査定士や上司にアドバイスをもらう
経験者の視点でどこをチェックするべきかを学ぶと、より実践的な知識が身につきます。査定の基準や修復歴の見抜き方などを詳しく聞いておきましょう。
(3)講習での実技練習をしっかり行う
試験前の査定士講習では、実際の車両を使った査定の実習があります。この機会にしっかりとチェックポイントを覚え、講師に質問をして理解を深めることが大切です。
取得後に出来ること
取得すると、中古車業界での業務の幅が広がり、キャリアアップの可能性が高まります。主に以下のようなことができるようになります。
1. 中古車の正式な査定ができる
日本自動車査定協会(JAAI)認定の査定士として、中古車の査定業務を行うことが可能になります。
- 車の状態を適正に評価し、適正な買取価格を提示できる。
- 査定業務を行う際に、査定士証を提示することで信頼性が向上する。
- JAAIの査定基準に基づいた公正な査定を行うことが求められる。
2. 買取・販売業務での信頼度が向上する
査定士資格を持っていることで、顧客や企業からの信頼度が向上し、スムーズな取引ができるようになります。
- 中古車販売店や買取専門店での営業職・査定担当としての価値が高まる。
- 顧客への説明がより説得力を持ち、商談の成約率が上がる。
- 不適切な査定を防ぐことができ、クレームリスクが減少する。
3. 中古車オークションへの出品・落札ができる
査定士資格を持つことで、一部の中古車オークションでの出品・落札の権利を得られる場合があります。
- オークション会場に車を出品する際に、査定士のチェックが求められることが多い。
- 適正な車両評価ができるため、落札時のリスクを減らせる。
4. 転職やキャリアアップに有利になる
中古車業界では、査定士資格を持っていると転職や昇進に有利になります。
- 大手中古車販売店(ガリバー、ビッグモーター、ネクステージなど)や買取専門店での評価が高まる。
- 自動車ディーラーの中古車部門やオートリース会社でも評価される。
- 独立して買取ビジネスを始める際の強みになる。
5. 独立・開業の可能性が広がる
中古車査定の知識を活かして、中古車買取専門店や販売店を開業することも可能です。
- 適正な査定ができることで、買取・販売の利益率を最大化できる。
- 個人でオークション代行業を行う際にも役立つ。
- 信頼性の高い査定ができることで、顧客からの信用を得やすい。
自動車系資格一覧
自動車運転
大型自動車免許
事業用操縦士
クレーン・デリック・移動式クレーン運転士
フォークリフト運転技能講習
車両系建設機械運転技能講習
高所作業車運転技能講習
運行管理者
玉掛け技能講習
自動車整備士
中古自動車査定士