中小企業診断士

中小企業診断士は、日本における経営コンサルタントの国家資格であり、中小企業の経営課題を診断し、助言を行う専門家です。経営・財務・マーケティング・法務・ITなど幅広い知識が求められるため、「経営の総合医」とも呼ばれています。

難易度:★★★★

受験資格:特になし

主催
(社)中小企業診断協会

受験データ

中小企業診断士試験は、学歴・年齢・実務経験などの制限がなく、誰でも受験可能な国家資格です。

他の士業資格(税理士・公認会計士など)と異なり、特別な資格や経験がなくても受験できるため、社会人・学生・主婦など幅広い層が挑戦できます。

受験資格の詳細

1. 一次試験(マーク式)

受験資格:なし(誰でも受験可能)
必要なもの:試験申込時に受験料を支払うだけ

2. 二次試験(記述式)

受験資格:一次試験の合格者のみ
一次試験合格の有効期間:2年間(例えば、2024年の一次試験に合格した場合、2025年の二次試験まで受験可能)

3. 実務補習・実務従事

受験資格:二次試験の合格者のみ
必要なもの:以下のいずれかを修了すること

  • 実務補習(15日間):中小企業診断協会が実施する研修
  • 実務従事(15日間):企業のコンサルティング業務を実際に行う

実務補習・実務従事を完了すると、中小企業診断士として正式に登録可能

特別な受験免除制度について

以下の条件を満たすと、一次試験の一部科目が免除されます。

1. 他資格による免除

免除科目 対象となる資格
財務・会計 公認会計士・税理士・簿記1級合格者
経営法務 弁護士
経営情報システム 応用情報技術者・ITストラテジスト

2. 科目合格による免除

一次試験は科目合格制を採用

  • 一次試験で60%以上得点した科目は、翌年・翌々年は受験免除
  • 3年間かけて合格を目指すことも可能

試験について

中小企業診断士試験は、**一次試験(マーク式)→二次試験(記述式)→実務補習(または実務従事)**の3段階で構成されています。

一次試験(マーク式・7科目)

試験概要

試験日:毎年8月上旬(2日間)
試験方式マークシート式(多肢選択)
試験時間:各科目60〜90分(1日3〜4科目)
合格基準

  • 総得点の60%以上(420点以上/700点)
  • 各科目40%以上(39点以下は足切り)

科目合格制度あり!
→ 1科目でも合格すれば、翌年・翌々年はその科目の受験が免除される

試験科目(7科目)と出題範囲

科目名 試験時間 配点 内容
① 経済学・経済政策 60分 100点 マクロ・ミクロ経済、需給曲線、金融政策、国際経済など
② 財務・会計 60分 100点 簿記、財務諸表、管理会計、投資判断、CF計算など
③ 企業経営理論 90分 100点 経営戦略、組織論、人事・労務管理、マーケティング
④ 運営管理 90分 100点 生産管理(製造業)、店舗・販売管理(流通業)
⑤ 経営法務 60分 100点 会社法、知的財産権、契約法、独占禁止法など
⑥ 経営情報システム 60分 100点 IT、システム開発、ネットワーク、セキュリティ
⑦ 中小企業経営・政策 60分 100点 中小企業の動向、政府の支援策、補助金制度など

一次試験の難易度

  • 経済学・財務会計は計算問題が多いため、簿記や経済の基礎がないと苦戦しがち
  • 暗記科目(経営法務・中小企業政策)は対策しやすい
  • 企業経営理論と運営管理はボリュームが多いので、早めに対策すべき

おすすめの勉強法

  • 過去問5年分を徹底分析(特に財務・会計)
  • 暗記科目(経営法務・中小企業政策)は直前期に集中学習
  • スキマ時間にスマホで用語チェック(経営情報システムなど)

二次試験(記述式・4科目)

試験概要

試験日:毎年10月下旬
試験方式記述式(論述中心)
試験時間:各科目80分
合格基準

  • 総得点の60%以上(240点以上/400点)
  • 科目ごとの足切りなし

一次試験合格者のみ受験可能

試験科目(4科目)と出題内容

科目名 内容
① 事例Ⅰ(組織・人事) 企業の組織設計、人事制度、企業文化など
② 事例Ⅱ(マーケティング・流通) 市場調査、商品戦略、販促戦略、ブランド戦略
③ 事例Ⅲ(生産・技術) 生産管理、品質管理、製造プロセス改善
④ 事例Ⅳ(財務・会計) 財務諸表分析、投資判断、資金調達、管理会計

二次試験のポイント

  • 過去問を徹底的に分析(出題パターンを知る)
  • ロジカルな文章作成力を鍛える(分かりやすい解答を書く)
  • 事例Ⅳ(財務・会計)が鬼門なので、財務の計算力を上げる

口述試験(面接形式)

試験日:毎年12月中旬
試験時間:約10分(面接官2人)
形式:二次試験のケース(事例Ⅰ〜Ⅳ)に基づく口頭試問
合格率:ほぼ100%(落ちるのはごく少数)

普通に答えられれば合格できる!(二次試験に受かったらほぼ安心)

実務補習・実務従事(15日間)

実務補習(中小企業診断協会が実施)

  • 15日間の企業診断演習(5日×3回 or 15日連続)
  • 指導員(ベテラン診断士)のもとで実際に企業を診断し、改善提案を作成

実務従事(独自に実施)

  • 企業のコンサル業務を15日間行う(支援機関や企業と契約)

実務補習・実務従事を修了すると、正式に「中小企業診断士」として登録可能!

合格率と試験の難易度

試験 合格率
一次試験 20〜30%(科目合格者含む)
二次試験 約18%
最終合格率(全体) 4〜7%(難関資格!)

特に二次試験が難関! 記述式のため、合格には「論理的な文章力」と「実務的な分析力」が必要

試験の費用

費用 金額
一次試験 13,000円
二次試験 17,200円
実務補習(15日コース) 約25万円

資格取得には合計30万円以上かかることも! 独学ならコストを抑えられるが、スクール利用も選択肢

試験対策

中小企業診断士試験は**一次試験(マーク式)+二次試験(記述式)**の構成で、総合的な経営知識と実践的な分析力が求められる難関試験です。正しい戦略で学習すれば独学でも合格可能なため、効率的な勉強方法を紹介します。

一次試験の対策(マーク式・7科目)

一次試験の攻略ポイント

  • 過去問を5年分解く(最も効果的な勉強法)
  • 苦手科目の足切りを防ぐ(各科目40%以上が必須)
  • 科目の優先度を決める(配点の高い科目を重視)
  • 暗記科目(法務・政策)は後回しでもOK

科目別の攻略法

科目名 難易度 勉強時間の目安 勉強法
経済学・経済政策 100時間 グラフ・計算問題が多いので、基礎から学ぶ。過去問演習がカギ
財務・会計 120時間 簿記2級レベルの計算力が必要。計算問題を毎日解く
企業経営理論 80時間 過去問でパターンを覚える。マーケティング分野は得点源
運営管理 100時間 生産管理・店舗管理をバランスよく勉強。過去問とテキストを並行
経営法務 50時間 会社法・知財がメイン。暗記が中心なのでスキマ時間を活用
経営情報システム 50時間 IT用語を暗記。基本情報技術者試験のレベル
中小企業経営・政策 40時間 白書や補助金制度を暗記。最新情報に注意

おすすめの学習順番

  1. 財務・会計 → 経済学・経済政策(基礎を固める)
  2. 企業経営理論・運営管理(出題範囲が広いので早めに)
  3. 暗記系(法務・情報・政策)は直前期に詰め込む

一次試験のおすすめ勉強法

  • 過去問5年分を繰り返し解く(最重要)
  • 問題集は「スピード問題集」が鉄板
  • 通勤・移動中に暗記系(経営法務・情報システム)を詰め込む
  • 財務・会計は毎日計算練習(電卓必須)
  • 苦手科目は直前期に集中補強(特に40%未満になりそうな科目)

二次試験の対策(記述式・4事例)

二次試験の攻略ポイント

  • 一次試験の知識だけでは受からない
  • 「書く力(論理的思考)」が必須
  • 過去問を10年分分析(解答の型を学ぶ)
  • 事例Ⅳ(財務・会計)が鬼門。計算力が鍵

事例別の攻略法

事例 内容 攻略法
事例Ⅰ(組織・人事) 企業の組織設計、人事戦略 フレームワーク(SWOT分析、バーナード理論など)を活用
事例Ⅱ(マーケティング・流通) 販売戦略、ブランド戦略 4P分析、STP分析、顧客ニーズを意識
事例Ⅲ(生産・技術) 生産管理、品質管理 ボトルネック解消、トヨタ生産方式の知識
事例Ⅳ(財務・会計) 財務分析、投資判断 計算問題が多く、一次試験の財務・会計の応用力が必要

二次試験のおすすめ勉強法

  • 過去問10年分を解き、解答の型を覚える(最重要)
  • 事例Ⅳ(財務・会計)の計算を毎日練習する
  • 予備校の模範解答を参考に「ロジカルな文章作成力」を鍛える
  • フレームワーク(SWOT、4P分析など)を使いこなす

二次試験の勉強は「書く練習」が最重要。答案を書くことを習慣化するのが合格のカギ。

試験までの学習スケジュール

6か月間で合格を目指す場合

期間 目標
1〜2か月目 一次試験の基礎固め(財務・会計、経済学)
3〜4か月目 一次試験の問題演習(過去問・スピード問題集)
5か月目 一次試験の総仕上げ+暗記科目の詰め込み
6か月目 一次試験突破後、すぐに二次試験の論述対策開始

独学 vs 予備校(どっちがいい?)

学習方法 費用 特徴
独学 5万〜10万円 市販のテキスト・問題集で勉強。コストを抑えられるが自己管理が重要
通信講座 10万〜20万円 映像講義で学べる。独学よりも理解しやすい
通学(予備校) 30万〜50万円 プロの講師の指導が受けられるが、費用が高い

独学でも合格可能。ただし、二次試験は独学が難しいので、通信講座や模試を活用するのがベスト。

まとめ

  • 一次試験は「過去問5年分+スピード問題集」で突破
  • 二次試験は「過去問10年分+論述練習」で合格を狙う
  • 計算系(財務・会計、事例Ⅳ)は毎日練習が必須
  • 独学でも合格可能だが、二次試験は対策が必要

もし「どこから始めたらいいかわからない」という場合は、まず一次試験の過去問を1年分解いてみるのがおすすめ。それで苦手分野を把握し、効率よく勉強を進めよう。

業務内容

中小企業診断士は、日本唯一の経営コンサルタントの国家資格であり、中小企業の経営課題を解決する専門家です。主に、経営戦略の策定、財務・会計の改善、マーケティング支援、生産性向上、IT導入支援など、多岐にわたる業務を行います。

主な業務内容

1. 経営コンサルティング

中小企業の経営者が抱える問題を分析し、適切な解決策を提案します。
具体例

  • 経営戦略の立案(成長戦略、新規事業開発)
  • 企業の強み・弱みの分析(SWOT分析、3C分析)
  • 組織改革や人事制度の改善
  • 事業承継のサポート

2. 財務・会計支援

企業の財務状況を分析し、資金繰りや利益改善のアドバイスを行います。
具体例

  • 財務諸表(B/S、P/L)の分析
  • 資金調達のサポート(融資、補助金、助成金活用)
  • コスト削減の提案(固定費・変動費の見直し)
  • 予算管理・キャッシュフローの改善

3. マーケティング・販路開拓支援

企業の売上拡大を目的に、マーケティング戦略を策定します。
具体例

  • 市場調査・ターゲット分析(STP分析、4P分析)
  • SNS・Webマーケティングの導入支援
  • 販売戦略の策定(価格設定、プロモーション戦略)
  • 顧客管理・リピート率向上のアドバイス

4. 生産性向上・業務改善

企業の業務効率を高め、コスト削減や生産性向上を支援します。
具体例

  • 製造業の生産管理改善(ボトルネックの特定、トヨタ生産方式の導入)
  • 小売業・サービス業の業務フロー改善
  • 在庫管理・物流システムの最適化
  • ITツール・システム導入支援(ERP、CRM、RPA)

5. IT導入・DX推進支援

デジタル技術を活用して企業の競争力を向上させる支援を行います。
具体例

  • ITシステム導入(会計ソフト、販売管理システム、ECサイト)
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の策定
  • クラウド活用、AI・IoTの導入支援

6. 事業再生・経営改善

業績不振の企業に対して、再生計画を策定し、立て直しを図ります。
具体例

  • 企業再生計画の立案(債務整理、リストラ支援)
  • 経営改善計画の策定と実行支援
  • M&A(企業買収・売却)サポート

7. 補助金・助成金申請サポート

中小企業向けの補助金・助成金の活用を支援します。
具体例

  • 小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金の申請支援
  • 地方自治体の補助金活用アドバイス
  • 申請書の作成代行、事業計画書の策定

8. 研修・セミナー講師

企業向けの研修や、自治体・商工会議所などで講師を務めることもあります。
具体例

  • 経営戦略・マーケティング研修
  • 財務・会計の基礎講座
  • IT導入・DX推進セミナー

中小企業診断士の働き方

1. 独立開業(コンサルタント)

  • 中小企業診断士として独立し、企業の経営支援を行う
  • 自らコンサルティング業務を請け負い、収益を得る
  • 商工会議所や金融機関からの案件を受注することも可能

2. 企業内診断士(会社員)

  • 企業の経営企画部、財務部、マーケティング部門などで活躍
  • コンサルティングファーム、金融機関、商社などで経営支援業務を行う
  • 会社の経営改善やDX推進を担う

3. 公的機関・支援機関での活動

  • 商工会議所、中小企業庁、自治体の経営支援機関でアドバイザーを務める
  • 地域振興や中小企業支援プロジェクトに参加する

4. 他士業との連携

  • 税理士、社労士、行政書士、弁護士と協力し、総合的な経営支援を行う
  • M&Aや事業承継支援を専門とすることも可能

中小企業診断士の年収・収入モデル

働き方 年収の目安 備考
企業内診断士(会社員) 600万〜1,000万円 企業の経営企画、コンサルティング部門で活躍
独立診断士(コンサルタント) 500万〜1,500万円 案件獲得次第で大きく変動
公的機関(商工会議所、自治体) 500万〜800万円 安定した収入だが高収入は難しい
セミナー講師・研修業務 1回あたり3万〜20万円 企業研修やセミナー講師として活躍

独立診断士として成功すれば年収1,500万円以上も可能。一方で、案件獲得が課題になるため、ネットワーク構築や営業力が求められる。

おすすめの講習、教材

教材

 講座

財務・経営系資格一覧

公認会計士
税理士
中小企業診断士
簿記検定
ファイナンシャル・プランニング技能士
証券アナリスト
簿記能力検定
建設業経理検定
経営士
ファイナンシャル・プランナー
実用数学技能検定
DCプランナー
DCアドバイザー
マーケティング・ビジネス実務検定
MBA
不動産証券化協会認定マスター
モーゲージプランナー
銀行業務検定試験
BATIC(国際会計検定)
CPA(米国公認会計士)
米国公認管理会計士
米国税理士(EA)
PMP試験
CISA(公認情報システム監査人)
CIRP(サーティファイド・IRプランナー)
シニアリスクコンサルタント
ITコーディネータ資格認定制度
ファイナンシャル・リスクマネージャ
アクチュアリー資格試験
二種外務員資格試験
CIA(公認内部監査人)
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
ホスピタリティ検定試験
イベント業務管理者
ファシリティマネージャー
PRプランナー資格認定制度
プロジェクトマネジメント資格
VEリーダー認定試験
販売士検定
セールススキル検定試験
セールスレップ資格認定制度
販路コーディネータ資格認定制度
交渉アナリスト
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)

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