保育士

乳幼児(0歳~6歳)や児童を保育し、心身の発達を支援する専門職 であり、国家資格 で保育所や児童福祉施設などで、子どもの成長に必要な環境を整え、安全で健やかな発達を促します。

取得するには、以下の2つの方法 があります。

① 指定の養成校(大学・短大・専門学校)を卒業する(資格試験なしで取得)

  • 文部科学省・厚生労働省指定の保育士養成課程がある大学・短大・専門学校 で、所定のカリキュラムを修了すれば、資格試験を受けずに保育士資格を取得可能。
  • 保育実習を含むカリキュラムを履修することが必須。

② 保育士試験に合格する(一般受験)

  • 保育士試験を受験し、合格することで資格を取得する方法。
  • 受験資格を満たせば、養成校を卒業していなくても取得可能。
  • 試験は筆記試験(全9科目)と実技試験(2科目)で構成される。

受験資格と難易度

1. 保育士試験の受験資格

保育士試験を受験するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

① 学歴要件(文部科学省・厚生労働省が定める基準)

学歴 受験資格
大学・短大卒業(学部不問) 受験可能
専門学校卒業(2年以上、62単位以上取得) 受験可能
高卒(指定の専門科目を履修) 受験可能
高卒(通常の課程) 児童福祉施設などで2年以上(2,880時間)勤務が必要
中卒 児童福祉施設などで5年以上(7,200時間)勤務が必要
  • 学部不問のため、どの学科を卒業していても大学・短大卒なら受験可能。
  • 高卒の場合、児童福祉施設での実務経験が求められるため、ハードルがやや高め。

② 実務経験要件(学歴要件を満たさない場合)

  • 高卒で児童福祉施設などで2年以上(2,880時間)の勤務経験があれば受験可能。
  • 中卒の場合、5年以上(7,200時間)の勤務経験が必要。

※児童福祉施設とは、保育園・乳児院・児童養護施設・障害児施設 などが該当。

2. 保育士試験の難易度

保育士試験の難易度は中程度 とされ、特に 筆記試験9科目を一度に合格するのが難しい といわれています。ただし、科目合格制(3年間有効) のため、計画的に学習すれば合格しやすい試験です。

① 合格率

  • 合格率:約20~30%(年度によって変動)
  • 一度に全科目合格する人は少なく、複数年かけて合格を目指す人が多い。
  • 筆記試験の合格率は約15~25%、実技試験は約60~70%。

② 試験の難易度

  • 筆記試験は9科目あり、広範囲の知識が必要。
  • 社会福祉・教育原理などの暗記系科目が多く、計画的な学習が求められる。
  • 実技試験は音楽・造形・言語の中から2科目を選択し、実践力が問われる。
  • 過去問演習をしっかり行えば、独学でも合格可能なレベル。

③ 科目合格制の活用

  • 筆記試験は科目合格制(3年間有効) のため、一度に9科目合格する必要はない。
  • 数回に分けて受験し、少しずつ合格を積み上げる方法が有効。

試験内容

1. 試験概要

試験区分 内容 合格基準
筆記試験 保育原理、教育原理・社会的養護、子ども家庭福祉、社会福祉、保育の心理学、子どもの保健、子どもの食と栄養、保育実習理論 9科目すべて100点中60点以上(科目合格制・3年間有効)
実技試験 言語・造形・音楽から2科目を選択 50点中30点以上

2. 筆記試験(9科目)の詳細

① 保育原理

  • 保育の基本理念・目的(保育所保育指針・幼児教育要領)
  • 保育士の役割・倫理
  • 児童福祉施設の種類と機能

② 教育原理・社会的養護

  • 教育の基本原則(学校教育法・生涯学習)
  • 教育思想家(ルソー・ペスタロッチ・フレーベル)
  • 社会的養護の意義と役割(児童養護施設・乳児院など)

③ 子ども家庭福祉

  • 児童福祉法・母子保健法・児童虐待防止法
  • 子育て支援制度(児童手当・育児休業制度)
  • ひとり親家庭・障害児支援

④ 社会福祉

  • 社会保障制度(年金・医療・介護保険)
  • 生活保護制度・地域福祉の取り組み
  • 障害者福祉・高齢者福祉の基礎知識

⑤ 保育の心理学

  • 子どもの発達(身体・知能・言語・社会性)
  • 発達理論(ピアジェ・エリクソン・ヴィゴツキー)
  • 愛着形成と母子関係(ボウルビィ)

⑥ 子どもの保健

  • 乳幼児の発達と健康管理
  • 感染症・予防接種・応急処置
  • 事故防止・安全対策

⑦ 子どもの食と栄養

  • 乳幼児の栄養と食事
  • 離乳食・幼児食の基礎知識
  • アレルギー対応・食育

⑧ 保育実習理論

  • 音楽・造形・言語表現の基礎
  • 保育計画・指導案の作成
  • 保育の記録・連絡帳の書き方

3. 実技試験(3科目のうち2科目選択)

筆記試験合格者は、以下の3つの中から2科目を選択して受験します。

実技科目 内容
言語表現(お話の朗読) 3歳児向けに3分間の物語を暗唱・朗読 「おおきなかぶ」「3びきのこぶた」など
造形(絵画制作) 保育の場面をテーマにした絵を描く 「子どもが遊んでいる様子」など
音楽(弾き歌い) ピアノ・ギター・アコーディオンで童謡を演奏 「どんぐりころころ」「チューリップ」など

4. 合格基準

  • 筆記試験:各科目100点満点中60点以上(科目合格制、3年間有効)
  • 実技試験:50点満点中30点以上

試験対策

2. 筆記試験(9科目)の対策

① 基礎固め(6~4ヶ月前)

  • 教科書・参考書を読み込み、重要ポイントを整理
  • 法律・制度(児童福祉法、保育所保育指針など)はノートにまとめる
  • 幼児心理学・発達理論は図や表を使って整理

② 過去問演習(3~2ヶ月前)

  • 最低5年分の過去問を解く
  • 頻出テーマを把握し、重点的に学習
  • 間違えた問題をノートにまとめ、弱点を可視化

③ 模擬試験で実践力をつける(1ヶ月前~)

  • 時間を計って模試形式で解く
  • 間違えた問題を復習し、最後まで克服する

3. 実技試験の対策

① 言語表現(お話の朗読)

  • 3歳児向けの話を3分以内でまとめ、滑舌よく話す練習
  • 「おおきなかぶ」「3びきのこぶた」などの定番話を準備
  • 録音して聞き返し、表情や抑揚を意識

② 造形(絵画制作)

  • 「子どもが遊んでいる様子」「保育の一場面」をテーマに描く練習
  • クレヨンや色鉛筆を使用し、短時間で仕上げる訓練
  • 人物の表情・動きを生き生きと描く工夫をする

③ 音楽(弾き歌い)

  • 童謡「どんぐりころころ」「チューリップ」などを練習
  • ピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかを使用し、スムーズに弾けるようにする
  • 歌詞を暗記し、子どもと一緒に楽しく歌える雰囲気を作る

4. おすすめの教材・勉強法

① 教科書・参考書

  • 「保育士完全合格テキスト」シリーズ(中央法規出版)
  • 「保育士試験対策問題集」(ユーキャン)

② 過去問・問題集

  • 厚生労働省の公式過去問サイト
  • 「保育士国家試験 過去問題5年分解説」(中央法規)

③ スマホアプリ・オンライン学習

  • 保育士試験対策アプリ(過去問演習に便利)
  • YouTubeの保育士試験講義動画(視覚的に理解しやすい)

取得後に出来ること

1. 保育施設での勤務

① 保育園(認可・認可外)

  • 0歳~6歳の子どもを対象に保育・生活指導を行う。
  • 食事・睡眠・遊び・学習などの活動を通して成長をサポート。
  • 認可保育園、企業主導型保育園、院内保育など働く環境が多様。

② 幼保連携型認定こども園

  • 保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を活かせる施設。
  • 教育と保育の両面から子どもをサポート。

③ 企業内保育(企業主導型保育)

  • 会社が設置する保育施設で、社員の子どもを保育。
  • 一般的な保育園よりも定員が少なく、比較的落ち着いた環境。

④ 病児保育

  • 病気や体調不良の子どもを預かる保育施設で勤務。
  • 保育士+看護師が連携しながら、適切なケアを提供。

2. 児童福祉施設での勤務

① 児童養護施設

  • 親と暮らせない子どもたちの生活を支援する施設。
  • 保育だけでなく、学習支援・心のケアも担当。

② 乳児院

  • 0歳~2歳の乳児を預かる施設で、ミルク・オムツ替え・睡眠管理を行う。
  • 保育士と看護師が連携しながら、乳児の成長をサポート。

③ 障害児施設(児童発達支援センター)

  • 発達障害や知的障害を持つ子どもに対し、個別支援を行う。
  • 保育士として、遊びや日常生活のサポートを担当。

④ 母子生活支援施設

  • シングルマザーとその子どもが生活する施設で支援を行う。
  • 保育業務のほか、母親の自立支援も担当することがある。

3. 教育・子ども支援分野での活躍

① ベビーシッター

  • 家庭で個別に保育を行う仕事。
  • 保育園に預けられない子どものケアを担当。

② 児童館・学童保育指導員

  • 小学生向けの放課後支援を行う。
  • 遊びや学習支援を通じて、子どもの成長をサポート。

③ 保育士養成校の講師

  • 保育士資格取得を目指す学生に対し、保育実技や理論を指導。
  • 長年の保育経験を活かして教育分野で活躍。

4. 企業・教育関連業界での活躍

① 教材・絵本の開発

  • 幼児向けの知育玩具・絵本・保育教材の制作に携わる。
  • 子どもの発達に合わせたコンテンツを企画・開発。

② 幼児教育プログラムの開発

  • 民間教育機関や学習塾で、幼児向けの教育プログラムを作成。
  • 英語・音楽・体操などの幼児向け教室で指導することも可能。

③ NPO・国際支援活動

  • 国内外の子ども支援団体で、保育や教育のサポートを行う。
  • 発展途上国の幼児教育支援プロジェクトに参加することも可能。

5. キャリアアップ・資格の活用

① 保育士+幼稚園教諭免許

  • 幼稚園でも働けるようになり、仕事の幅が広がる。
  • 幼保連携型認定こども園での勤務が可能。

② 主任保育士・園長への昇進

  • 保育園での経験を積み、主任保育士や園長として園の運営に関わることができる。

③ 保育士+専門資格の取得

  • 発達障害児支援の専門資格を取得し、特別支援分野で活躍。
  • チャイルドマインダー(家庭保育専門)資格を取得し、独立開業も可能。

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