公害防止管理者

工場内に公害防止に関する専門的知識を有する人的組織の設置を義務付けた「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(法律第107号)」が制定されました。この法律の施行により、公害防止管理者制度は発足したのです。

 

主催
(社)産業環境管理協会

受験資格と難易度

1. 受験資格

公害防止管理者資格試験には受験制限がなく、年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験可能です。
そのため、環境管理業務に携わる社会人や、就職・転職に備えて資格取得を目指す学生にも人気があります。

ただし、試験内容は理系科目や法令知識が中心で、基礎的な物理・化学の理解や公害関連法規への知識が求められるため、理系出身者や実務経験者が有利です。


2. 難易度

公害防止管理者試験の難易度は、選択する分野や区分によって異なります。
特に大気関係第1種水質関係第1種は試験範囲が広く、専門的な内容が多いため難易度が高めです。
一方で、騒音・振動関係は比較的範囲が狭く、他の区分に比べて難易度は低めです。

分野 合格率 難易度 特徴
大気関係(第1種) 約25〜30% 高い 設備管理や化学反応の深い理解が必要
水質関係(第1種) 約30〜35% 高め 排水処理技術と法令知識が問われる
騒音・振動関係 約40〜45% やや低め 比較的範囲が狭く、暗記中心で対応可能
ダイオキシン関係 約20〜25% 高い 専門知識が多く、難易度が高め
粉じん関係 約30% 普通 粉じん制御技術と関連法規の理解が必要

試験内容

試験は、分野ごとに指定された共通科目専門科目で構成されており、筆記試験のみで実施されます。

1. 試験概要

項目 内容
試験形式 筆記試験(選択式・一部記述式)
試験時間 約6〜7時間(午前・午後に分割実施)
試験日程 年1回(10月頃実施)
合格基準 各科目60%以上の正答率
実施機関 公益財団法人 産業環境管理協会
科目免除 合格科目は翌年以降も有効(一定期間内で有効)

2. 試験科目と出題範囲

試験科目は、すべての区分に共通する共通科目と、分野別の専門科目に分かれています。(1)共通科目(全分野で必須)

科目 出題内容
公害総論 公害の基礎知識、公害の種類と原因、環境基準、測定方法の基礎
公害関係法規 環境基本法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法など関連法規の適用範囲と罰則

(2)分野別専門科目

以下の分野から、業務に応じた資格区分を選択して受験します。

大気関係(第1種〜第4種)
科目 出題内容
大気概論 大気汚染のメカニズム、汚染物質の拡散・沈着現象
燃焼理論 燃焼過程、排出ガス中の有害物質発生メカニズム
大気汚染防止技術 集じん装置、脱硫・脱硝装置の構造と操作方法
測定法 排ガス測定方法、機器の取り扱いと分析法
水質関係(第1種〜第4種、特定施設関係)
科目 出題内容
水質概論 水質汚濁の原因物質、浄化過程、水生生物への影響
水処理技術 凝集沈殿、ろ過、活性汚泥法、膜処理技術
排水基準と測定法 水質基準の計算、排水中の有害物質測定法
異常時の対応 排水処理トラブル時の対処法、再発防止策
騒音・振動関係
科目 出題内容
騒音概論 騒音の発生メカニズム、人体・環境への影響
振動概論 振動源の特定、振動対策方法
騒音・振動測定法 測定機器の使い方、基準値判定方法
防止対策技術 遮音・防振装置の種類と施工方法
ダイオキシン関係
科目 出題内容
ダイオキシン類概論 発生源、人体への影響、環境基準
焼却施設管理 排ガス・排水処理技術、運転管理
測定法 排ガス・ばいじん中のダイオキシン測定方法
粉じん関係
科目 出題内容
粉じん発生メカニズム 発生源、粉じんの性質と人体への影響
集じん装置技術 バグフィルター、電気集じん器の原理と管理
測定法 粉じん濃度測定、測定結果の評価

 

試験対策

共通科目と専門科目に分かれており、広範囲の知識計算問題への対応力が求められます。特に大気関係第1種水質関係第1種は難易度が高く、計画的な学習と実務的な知識が重要です。

1. 試験対策の基本方針

(1)学習スケジュールの立て方

  • 学習期間は3〜6か月が目安(未経験者は6か月以上推奨)
  • 週に10〜15時間の学習時間を確保
  • 過去問題を中心に反復練習

(2)効率的な学習ステップ

  1. 公式テキストを1回通読(用語や概要を把握)
  2. 過去問題に挑戦し、出題傾向を把握
  3. 理解不足の分野を重点的に復習
  4. 模擬試験で時間配分の練習

2. 科目別の重点対策ポイント

(1)共通科目(公害総論・公害関係法規)

科目 対策ポイント 学習方法
公害総論 公害の種類・原因・影響を理解 環境問題の背景を整理し、図表を活用
公害関係法規 数字・罰則規定・届出期間を暗記 頻出法令を表にまとめ、毎日復習

(2)専門科目

分野 重点ポイント 効果的な対策法
大気関係 燃焼理論、排ガス処理装置の仕組みを理解 処理装置の構造を図で確認し、計算問題を反復練習
水質関係 排水処理技術、異常時対応が重要 活性汚泥法や膜処理の原理を図解で学習
騒音・振動関係 測定法と防止対策を暗記 測定機器の特徴や騒音規制値を覚える
ダイオキシン関係 測定方法や焼却施設管理が中心 過去問題で数値基準と管理手順を確認
粉じん関係 集じん装置と測定法を理解 集じん原理を図で学習し、計算問題を解く

3. 計算問題対策

(1)よく出る計算問題の種類

  • 燃焼計算(燃料の消費量、排ガス量算出)
  • 濃度計算(排水・排ガス中の有害物質濃度)
  • 流量計算(処理設備の設計流量や運転条件)

(2)対策方法

  • 公式をノートにまとめて毎日確認
  • 問題を繰り返し解き、解答手順を覚える
  • ケアレスミス防止のため途中計算も丁寧に記載

4. 法令問題対策

(1)頻出テーマ

  • 届出期限(例: 設備設置の60日前)
  • 排出基準値
  • 罰則規定(罰金・改善命令)

(2)効率的な覚え方

  • 法令条文を表にして比較
  • スマホのメモ機能に登録してスキマ時間に確認
  • 過去問題で数字の出題傾向を把握

取得後に出来ること

取得すると、事業所や工場における大気汚染・水質汚濁・騒音・振動・粉じん・ダイオキシン類の防止業務を担当できるようになります。

労働安全衛生法および公害防止管理者等に関する法律に基づき、一定規模以上の特定工場では有資格者の選任が義務付けられているため、資格保有者は企業にとって重要な存在です。

1. 資格取得後にできる主な業務

(1)公害防止管理業務

  • 排出ガス・排水の管理および監視
    • 排出基準の遵守状況確認
    • 測定データの記録・分析
  • 騒音・振動の監視と抑制対策の実施
  • 公害防止設備の運転管理・メンテナンス

(2)環境保全計画の立案・実施

  • 公害防止計画の作成と実施管理
  • 排出削減・省エネルギー対策の提案
  • 異常時(設備故障・事故発生時)の緊急対応計画作成

(3)行政対応・報告業務

  • 地方自治体や国への報告書作成・提出
  • 監査・検査時の対応と改善提案
  • 関連法規改正時の企業対応計画の立案

(4)従業員教育・指導

  • 作業員への環境保全教育の実施
  • 設備管理マニュアルの作成と現場指導
  • 法令遵守に関する研修会の開催

2. 活躍できる職場・業界

業界 主な業務内容
製造業(鉄鋼・化学・自動車) 生産過程での排出物管理、公害対策実施
エネルギー業界 発電所や石油精製所での排ガス・排水管理
建設業 騒音・振動管理、現場での環境影響評価
食品・医薬品工場 排水処理設備の運転管理と基準遵守
環境コンサルタント会社 企業向けの環境改善提案、測定業務
官公庁・地方自治体 事業所への指導、住民からの公害相談対応

3. 資格取得後のメリット

  • 職場での重要ポジションを担える
  • 転職・就職時に有利で需要が高い
  • 資格手当や年収アップが期待できる
  • キャリアアップや管理職昇進に有利
  • 社会貢献性が高く、企業の環境意識向上に貢献できる

4. 資格取得後のキャリアパス

ステップ1: 公害防止管理者 → 環境管理責任者

  • 工場や事業所の環境管理を統括
  • チームを指導し、環境基準遵守を徹底

ステップ2: 関連資格取得で業務範囲拡大

  • エネルギー管理士(省エネ対策担当)
  • 危険物取扱者(化学物質管理が可能)
  • 作業環境測定士(職場環境測定対応が可能)

ステップ3: 環境コンサルタントや行政職へ転職

  • 公害防止計画の策定・実施を支援
  • 官公庁での環境政策推進担当

5. 資格取得後に求められる心構え

  • 法令遵守を最優先に業務を遂行
  • 現場での異常をいち早く察知し対応できる能力を磨く
  • 常に最新の環境技術や規制情報を学習
  • 関係者と連携し、職場全体で公害防止に取り組む姿勢を持つ

工業系資格一覧

技術士
ガス溶接技能者
公害防止管理者
ボイラー技士
ボイラー整備士
ボイラー溶接士
ガス溶接作業主任者
ボイラー取扱技能講習
溶接作業指導者
溶接管理技術者
アルミニウム溶接技能者評価試験

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