国内旅行業務取扱管理者

旅行業法に基づき、日本国内で旅行業務を取り扱うために必要な国家資格です。この資格を持つことで、旅行代理店や旅行関連企業で国内旅行の企画・手配・販売を管理する立場になれます。

旅行業者は法律で一定数の有資格者を配置することが義務付けられているため、旅行業界でのキャリア形成に役立つ資格です。

国内旅行業務取扱管理者の役割

主な業務内容

  • 国内旅行商品の企画や販売
  • 宿泊施設や交通機関の手配
  • 顧客への旅行相談や説明
  • 旅行中のトラブル対応や安全管理
  • 旅行業法に基づいた業務の適正管理

国内旅行に関する業務全般を監督し、顧客に安全で快適な旅行サービスを提供するための重要な役割を担います。

資格取得のメリット

  • 旅行業界での就職・転職に有利:旅行会社や観光関連企業での採用で優遇されることが多いです。
  • 独立開業が可能:旅行業登録に必要な管理者要件を満たすため、自分で旅行業を開業できます。
  • キャリアアップに直結:管理職や責任あるポジションへの昇進が期待できます。
  • 法律知識が身につく:旅行業法や旅行契約に関する知識が、トラブル回避に役立ちます。

主催
(社)全国旅行業協会

受験資格と難易度

受験資格

国内旅行業務取扱管理者試験は、年齢・学歴・実務経験などの制限がなく、誰でも受験可能です。

受験資格の特徴

  • 高校生から社会人まで幅広い層が受験可能
  • 旅行業界未経験者でも受験できる
  • 学歴や職歴に関係なくチャレンジできるため、旅行業界を目指す第一歩として人気

難易度

合格率

国内旅行業務取扱管理者試験の合格率は例年35〜45%程度です。
難易度は「やや難しい」とされますが、しっかりと対策をすれば合格は十分に可能です。

年度 受験者数 合格者数 合格率
2022年 約12,000人 約4,500人 約37.5%
2021年 約11,500人 約4,200人 約36.5%
2020年 約10,800人 約4,000人 約37.0%

※数字は目安です。最新の情報は公式サイトで確認してください。

難易度のポイント

(1) 旅行業法及び関係法令

  • 法律用語が多く、細かい条文や規定が問われるため暗記が重要
  • 旅行業約款の細部まで理解が求められる

難易度: 中〜高(暗記量が多く、条文の正確な理解が必要)

(2) 旅行業約款・旅行実務

  • 約款問題は条文の引っかけ問題が多く注意が必要
  • 宿泊施設、観光地、交通機関の知識が問われる

難易度: 中(出題傾向を把握すれば得点源になる)

(3) 運賃・料金計算

  • JR運賃、航空運賃、宿泊料金などの計算問題が出題
  • 計算の正確性とスピードが求められる

難易度: 高(計算問題が苦手な人は特に難しいと感じる傾向)

試験内容

旅行業に必要な法令知識、旅行実務、運賃・料金計算の3科目で構成されています。各科目ごとに60%以上の得点が必要で、全科目合格で資格取得となります。

1. 旅行業法及び関係法令

出題範囲

旅行業を適正に運営するための法的知識が問われます。細かい条文や規定、法改正部分がよく出題されるため、正確な暗記が重要です。

  • 旅行業法

    • 旅行業の種別(第1種・第2種・第3種・旅行業者代理業)
    • 登録要件や有効期間、変更手続き
    • 営業保証金制度
    • 標識の掲示義務
    • 苦情処理・損害賠償責任
  • 旅行業務取扱管理者に関する規定

    • 配置基準、業務内容、責任範囲
  • 関係法令

    • 労働基準法(添乗員の労働時間管理など)
    • 消費者契約法
    • 個人情報保護法
    • 観光庁関連法規

問題形式と難易度

  • 四肢択一形式
  • 問題数:約15問
  • 難易度:中〜高(条文の細かな違いを問う問題が多く、正確な暗記が必要)

2. 旅行業約款・旅行実務

(1) 旅行業約款

旅行契約の条件や顧客との取り決めに関するルールを学びます。引っかけ問題が多く、用語の理解と条文の正確な知識が求められます。

出題範囲

  • 募集型企画旅行契約約款
  • 受注型企画旅行契約約款
  • 手配旅行契約約款
  • 特別補償規程
  • 渡航手続代行契約約款

(2) 旅行実務

旅行商品の企画・販売・手配に必要な知識が問われます。国内の観光資源や交通機関の運用知識も出題対象です。

出題範囲

  • 国内の主要観光地、文化財、世界遺産
  • 宿泊施設の予約・手配方法
  • 国内交通機関の基礎知識(鉄道、航空、バス、船舶)
  • 旅行保険・安全管理知識
  • 添乗業務(ツアーの進行や緊急対応)

問題形式と難易度

  • 四肢択一形式
  • 問題数:約20問
  • 難易度:中(観光地や交通知識は覚えやすいが、約款問題は細部が問われるため注意)

3. 運賃・料金計算

旅行中の移動や宿泊費用の計算問題が出題され、計算スピードと正確さが試されます。全科目の中で最も難易度が高いとされ、しっかりした練習が必要です。

出題範囲

  • JR旅客運賃・料金計算
    • 普通運賃、割引運賃(往復割引・学割など)
    • 特急料金、グリーン料金、乗継割引
  • 国内航空運賃
    • 正規料金、割引運賃の適用条件
  • 貸切バス料金計算
    • 距離・時間計算
  • 宿泊料金計算
    • 1泊2食付き料金、特別プランの割増・割引計算
  • 旅行商品総額の算出

問題形式と難易度

  • 記述式(計算問題)
  • 問題数:約10問
  • 難易度:高(時間管理が重要で、計算ミスが命取りになる)

4. 試験概要まとめ

科目 主な内容 問題形式 問題数 合格基準 難易度
旅行業法及び関係法令 法律・規定の知識 四肢択一 約15問 60%以上 中〜高
旅行業約款・旅行実務 契約内容、旅行手配、観光地知識 四肢択一 約20問 60%以上
運賃・料金計算 交通・宿泊費用計算 記述式 約10問 60%以上

試験対策

1. 全体の学習スケジュールと勉強時間

学習期間の目安

受験者タイプ 推奨学習期間 勉強時間の目安
初心者(旅行業未経験) 4〜6か月前から 150〜200時間
旅行業経験者 3〜4か月前から 100〜150時間
学生や社会人(初挑戦) 5〜6か月前から 180〜220時間

学習スケジュール例(6か月前開始の場合)

期間 学習内容
6〜4か月前 基礎学習:法令・約款の読み込み、観光地・交通知識の習得開始
4〜2か月前 過去問題演習:法令・約款の問題演習、運賃計算の練習開始
2〜1か月前 模擬試験・総復習:弱点補強、時間配分の確認
試験直前 問題集の解き直し、直前対策講座の活用

2. 科目別対策法

(1) 旅行業法及び関係法令対策

対策ポイント
  • 法律用語や条文は「キーワード」を押さえて暗記。
  • 過去問で問われやすい条項を優先的に学習。
  • 法改正情報は最新のものを必ず確認。

おすすめ学習法

  • 単語カード活用:条文の重要語句をカードにまとめ、隙間時間に確認。
  • 過去問5年分の徹底演習:類似問題が頻出するため、繰り返し解いて問題傾向をつかむ。
  • 引っかけ問題対策:問題文の表現の違い(「〜しなければならない」 vs. 「〜できる」)に注意。

(2) 旅行業約款・旅行実務対策

旅行業約款の対策ポイント
  • 取消料や違約料の計算ルールを暗記。
  • 約款の例外規定や特別補償規程を重点的に学習。
旅行実務の対策ポイント
  • 主要観光地・文化財・世界遺産は地図と写真で覚える。
  • 国内交通機関(JR、航空、バス)の利用条件を整理。
おすすめ学習法
  • チェックリスト作成:覚えるべき約款項目や観光地リストを自作。
  • 観光地は動画やガイドブックで視覚的に学習:文字だけより記憶に残りやすい。
  • 取消料・変更料問題は毎日1問解く:計算ルールを体で覚える。

(3) 運賃・料金計算対策

対策ポイント
  • 最も難易度が高い科目。早めに取り組み、毎日計算問題に触れる。
  • JR、航空、バス、宿泊の計算パターンを整理して公式化。
  • 計算ミス防止のため、途中式を必ずメモする習慣をつける。
おすすめ学習法
  • 運賃計算専用ノート作成:間違えた問題と解き方をまとめる。
  • タイマーを使った計算練習:本番を想定し、時間内で解く練習を重ねる。
  • 頻出計算パターンを暗記:例えば、往復割引適用条件や特急料金の算出法など。

3. 効率的な勉強法のコツ

(1) 過去問題を最大限活用

  • 直近5年分の過去問を最低3周する。
  • 問題を解くだけでなく、間違えた問題の原因分析が重要。

(2) 模擬試験で時間感覚を養う

  • 試験形式で模擬試験を実施し、試験3週間前までに本番形式で2回以上練習。
  • 試験時間(3時間)を意識して解くことで、本番の焦りを防止。

(3) グループ学習や講座の活用

  • 独学が不安な場合は、通信講座や通学講座で効率アップ。
  • 模擬面接や相談会に参加して疑問を解消。

(4) 暗記科目と計算問題を交互に学習

  • 長時間同じ科目を学ぶより、暗記+計算の組み合わせで集中力維持。
  • 例: 1時間目→法令学習、2時間目→運賃計算、休憩後→旅行実務

取得後に出来ること

日本国内で旅行業を営むために必要な国家資格です。取得後は旅行会社での管理職業務や独立開業など、幅広いキャリアパスが開けます。

法律で旅行業者には有資格者の配置が義務付けられているため、業界での需要が高く、転職やキャリアアップに大きなメリットがあります。

1. 旅行業界での主な業務

(1) 旅行業務の管理者としての勤務

旅行会社や代理店において、国内旅行に関する業務全般を監督・管理できます。

  • 募集型企画旅行や受注型企画旅行の管理
  • 契約内容の確認と適正な取引の監督
  • 旅行中のトラブル対応や緊急時の顧客サポート
  • 旅行商品の安全性確認やリスク管理

(2) 旅行商品の企画・販売

  • 国内ツアーの企画、旅行プランの作成
  • 顧客ニーズに合わせたオーダーメイド旅行の提案
  • 新規旅行商品の開発やマーケティング戦略の立案

(3) カウンセリング・接客業務

  • 個人や団体客への旅行相談・プラン提案
  • 予約・手配業務の説明および契約書面の交付
  • 旅行保険やオプショナルツアーの案内

2. 資格取得後のキャリアパス

(1) 旅行会社でのキャリアアップ

  • 営業担当から管理職への昇進がしやすくなる
  • 店舗責任者や支店長などのポジションを目指せる
  • 海外旅行業務取扱管理者とのダブルライセンスでさらに業務範囲が拡大

(2) 独立・起業

  • 自身で旅行業を開業し、国内旅行専門の代理店運営が可能
  • 地域密着型の旅行サービスや特定ジャンル(温泉旅行、食文化ツアー等)に特化した企画が可能

(3) 地方自治体・観光協会での活躍

  • 観光振興を目的としたイベント企画やプロモーション活動に従事
  • 地域資源を活かした旅行商品の開発支援

(4) 教育機関での指導者としての活動

  • 観光系専門学校や大学での非常勤講師として指導
  • 社内研修や観光業界向けの研修講師として活躍

3. 公共・関連施設での活用場面

  • 観光案内所での勤務:旅行者への情報提供やルート案内
  • テーマパークや観光施設での企画担当:イベント企画・実施
  • 宿泊施設との提携業務:宿泊パッケージ商品の企画・販売

4. 資格取得のメリット

メリット 内容
就職・転職で有利 旅行業界で必須資格として高評価。特に管理職や企画職で有利。
キャリアアップ 旅行会社での昇進や新たな業務へのチャレンジが可能。
独立・起業が可能 自身で旅行会社を開業し、自由に商品を企画・販売できる。
幅広い業務への対応 カウンセリング、手配、企画、管理など多岐にわたる業務が担当可能。
業界内での信頼向上 顧客や取引先からの信頼を得やすく、リピーターの増加に貢献。

5. 国内旅行業務取扱管理者と海外旅行業務取扱管理者の違い

項目 国内旅行業務取扱管理者 総合旅行業務取扱管理者
対象範囲 国内旅行のみ 国内・海外旅行両方
業務範囲 国内ツアー企画、手配、販売 国内・海外の旅行企画・販売管理
難易度 やや難しい 難しい
メリット 国内旅行特化の業務に強み 業務範囲が広く、高い市場価値

国内旅行業務取扱管理者は国内旅行に特化した資格のため、国内旅行を専門に扱う企業や個人事業で特に重宝されます。総合旅行業務取扱管理者とのダブルライセンス取得で、さらにキャリアの幅が広がります。

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