日本の中央省庁で幹部候補として働く職員を採用するための試験です。政策の企画・立案や法令の制定に関わる高度な業務に従事することを目的としています。
政策の企画・立案に携わる中核人材を目指す試験で合格すれば、国政の重要な場面で活躍するチャンスが広がります。
■主催
人事院
目次
受験資格と難易度
受験資格
1. 年齢要件
-
大学卒業程度試験
- 受験時点で21歳以上30歳未満の者
- 大学3年生から受験可能(採用は卒業後)
-
院卒者試験
- 受験時点で23歳以上30歳未満の者
- 大学院修了見込みまたは修了者対象
-
社会人枠
- 年齢制限内であれば、社会人経験者も受験可能
2. 学歴要件
- 特に学歴制限はないが、試験内容は大学卒業程度のレベル
- 高卒・専門卒でも条件を満たせば受験可能
3. 国籍要件
- 原則として日本国籍を有する者
- 特定業務では日本国籍が必須
4. その他
- 心身の健康状態が職務遂行に支障がないこと
難易度
1. 合格率
- 合格率: 約10%前後
- 第1次試験(筆記試験)通過率:約20~25%
- 最終合格率:約10%
2. 難易度の理由
- 出題範囲が広い: 基礎能力、専門知識、論文、面接が求められる
- 高度な論理的思考力と表現力が必要
- 専門試験の記述問題が難解
3. 合格までの勉強時間目安
- 未経験者の場合: 約1000~1500時間
- 関連学部出身者の場合: 約800~1000時間
4. 試験別の難易度ポイント
試験種別 | 難易度の理由 |
---|---|
基礎能力試験 | 幅広い範囲の一般知識と高度な論理的思考力が必要 |
専門試験 | 分野別に専門知識が深く問われ、記述問題も多い |
論文試験 | 政策的視点を持った論理的な文章力が求められる |
面接・討議試験 | 志望動機の明確さや政策に関する意見が重要 |
試験内容
第1次試験(筆記試験)と第2次試験(人物試験)の2段階に分かれています。以下に各試験の詳細を解説します。
試験の全体構成
試験段階 | 試験種別 | 主な内容 |
---|---|---|
第1次試験 | 基礎能力試験 | 一般知識・思考力を測る多肢選択問題 |
専門試験(多肢選択式) | 専門知識を問う問題 | |
専門試験(記述式) | 論理的思考力・表現力を問う記述問題 | |
第2次試験 | 人物試験(個別面接) | 志望動機・人物評価を目的とした面接 |
政策討議試験(集団討論) | 政策テーマに基づくグループディスカッション |
第1次試験(筆記試験)の詳細
1. 基礎能力試験(多肢選択式)
目的
基礎的な知識や論理的思考力、文章理解力を評価します。
出題形式・時間
- 試験時間:約2時間20分
- 問題数:約40問
出題分野
分野 | 内容 |
---|---|
言語理解 | 長文読解、文章要約、語彙力 |
数的処理 | 数学的問題解決、確率、割合、推論問題 |
論理的思考 | 論理パズル、条件整理問題 |
資料解釈 | グラフ・統計資料の読み取り |
時事問題 | 国内外の政治・経済・社会問題 |
社会・人文科学 | 歴史、地理、政治、経済学の基礎知識 |
自然科学 | 物理、化学、生物、地学の基礎(高校レベル) |
2. 専門試験(多肢選択式)
目的
専門的な知識の深さと応用力を評価します。
試験区分と主な出題科目
試験区分 | 出題科目 |
---|---|
法律区分 | 憲法、行政法、民法、刑法、国際法 |
経済区分 | ミクロ経済学、マクロ経済学、財政学 |
政治・国際区分 | 政治学、国際関係、公共政策 |
工学区分 | 電気・電子工学、機械工学、土木工学 |
理学区分 | 数学、物理学、化学、生物学 |
情報区分 | 情報処理、プログラミング、ネットワーク |
試験時間・問題数
- 時間:約2時間
- 問題数:約40問
3. 専門試験(記述式)
目的
論理的思考力、分析力、政策立案力を記述形式で評価します。
試験内容
- 出題形式:与えられた課題についての論述問題
- 解答文字数:600~800字程度
第2次試験(人物試験)の詳細
1. 人物試験(個別面接)
目的
志望動機、適性、倫理観、職務理解度を評価します。
試験内容
- 面接官:3~5人
- 時間:約30分
主な質問例
- なぜ国家公務員を目指すのか?
- 入省後、どのような業務に携わりたいか?
- 最近関心のある時事問題と自分の考え
2. 政策討議試験(集団討論)
目的
協調性、リーダーシップ、論理的思考、政策理解を評価します。
試験内容
- 受験者6~8人でグループ討議
- 時間:約45分
合格基準と評価方法
試験種別 | 配点比率 | 合格基準 |
---|---|---|
基礎能力試験 | 約25% | 一定の足切り点あり |
専門試験(選択式) | 約30% | 高得点が最終評価に影響 |
専門試験(記述式) | 約20% | 論理性・政策的視点が重視 |
人物試験(面接) | 約15% | 明確な志望動機と適性が評価される |
政策討議試験 | 約10% | 協調性と論理的発言が評価される |
試験対策
試験全体の対策ポイント
1. 学習開始時期と計画
- 目安として1年前から学習を開始
- 6か月前までに基礎力を完成
- 3か月前からは過去問演習と論文練習に集中
2. 時事問題への対応
- 毎日の新聞(例: 日経新聞、朝日新聞)を30分以上読む
- 政府発表資料や白書も確認
3. 過去問題の重要性
- 過去10年分を徹底的に分析・演習
- 出題傾向と頻出テーマを把握する
第1次試験(筆記試験)の対策
1. 基礎能力試験対策
出題分野と対策方法
分野 | 対策方法 |
---|---|
言語理解 | 長文読解問題を毎日1題解き、要約練習を実施 |
数的処理 | 数学的問題集を反復練習、速く正確に解く訓練 |
論理的思考 | 論理パズル・推論問題を週に3回程度実施 |
資料解釈 | 統計資料やグラフ問題を解き、読み取り力を強化 |
時事問題 | ニュースの要約や、政策に関する自分の意見を整理 |
2. 専門試験対策(多肢選択式・記述式)
区分別の対策方法
区分 | 対策方法 |
---|---|
法律区分 | 憲法・民法・行政法の基本書を使用し、条文と判例を確認 |
経済区分 | ミクロ・マクロ経済学の参考書を読み、計算問題を反復練習 |
政治区分 | 政治学・国際関係論の基礎を理解し、過去問で応用練習 |
技術区分 | 専門技術書を用いて基礎理論を理解、過去問で実践練習 |
記述式試験の対策方法
- 論文構成の練習: 序論→本論→結論の3段構成を徹底
- 実際の政策事例を調査し、自分の意見をまとめる
- 模擬論文の添削を受け、改善点を確認
第2次試験(人物試験)の対策
1. 人物試験(個別面接)
対策方法
- 志望動機を明確にする: 「なぜ国家公務員なのか」を具体的に説明
- 自己PRの練習: 自分の強みと職務への関連性を強調
- 模擬面接を実施: 友人や予備校の面接官役と練習
- 最近の時事問題について自分の意見をまとめる
2. 政策討議試験(集団討論)
対策方法
- 討論テーマを予測し、事前に意見をまとめておく
- 複数人での模擬討論を実施
- 相手の意見を聞きつつ、自分の意見も明確に伝える練習
討論時の評価ポイント
項目 | 評価されるポイント |
---|---|
論理的思考力 | 論点を整理し、論理的に主張を展開できるか |
協調性 | 他者の意見を尊重し、建設的に議論できるか |
発言の質 | 具体例を挙げた説得力のある発言ができるか |
リーダーシップ | 議論のまとめ役や方向性を示す姿勢があるか |
取得後に出来ること
試験に合格すると、日本の中央省庁で幹部候補生として採用され、政策立案・企画業務に従事することができます。
将来的には、省庁の幹部や大使館員、地方自治体の幹部職員など、さまざまなキャリアパスが開かれます。
合格後の主な進路
1. 中央省庁への採用
合格者は、以下のような中央省庁に採用されます。
主な配属先 | 主な業務内容 |
---|---|
内閣府 | 総合的な政策調整、国家戦略の策定 |
外務省 | 国際交渉、外交政策立案、在外公館勤務 |
財務省 | 予算編成、財政政策、税制改革 |
厚生労働省 | 社会保障、労働政策、医療制度改革 |
国土交通省 | インフラ整備、都市計画、交通政策 |
経済産業省 | 産業政策、貿易交渉、エネルギー政策 |
環境省 | 環境保護政策、気候変動対策 |
文部科学省 | 教育政策、科学技術振興 |
防衛省 | 防衛計画の策定、国際安全保障対応 |
取得後にできる主な業務
1. 政策立案・企画業務
- 社会課題の調査・分析: 少子高齢化、環境問題、経済政策など
- 法案作成・改正業務: 実際の法律文書の作成や修正
- 政策評価・実施: 施策が目標達成しているかを検証
2. 国会対応・議員サポート
- 国会質疑の準備
- 議員向け説明資料の作成
- 議会審議への対応
3. 国際業務(外務省・経済産業省など)
- 海外との交渉や国際会議への出席
- 在外公館勤務での外交活動
- 国際協定や条約の策定支援
4. 地方出向や民間企業との連携
- 地方自治体への出向による地域政策支援
- 官民連携プロジェクトへの参加
- 経済成長や地方創生に向けた施策推進
キャリアパスと昇進ルート
1. 初任時(係員・主任級)
- 主な業務: 法案作成補助、調査業務、会議資料作成
- 期間: 採用後約3~5年
2. 中堅時(課長補佐・係長級)
- 主な業務: 政策立案の主担当、若手職員の指導
- 期間: 採用後約7~10年
3. 管理職(課長・参事官級)
- 主な業務: 省庁内の組織運営、予算管理、政策決定の責任者
- 期間: 採用後約15~20年
4. 幹部職(局長・事務次官級)
- 主な業務: 国の政策全体を取りまとめる立場
- 期間: 採用後20年以上
合格後のメリット
メリット | 内容 |
---|---|
高い職務権限 | 国の中枢で重要な政策決定に関与できる |
安定した雇用環境 | 国家公務員としての安定した身分保障 |
幅広いキャリアパス | 海外勤務、地方出向、民間との連携が可能 |
社会貢献度の高さ | 国民生活に直接影響する重要な業務に携われる |
スキルアップの機会 | 専門知識や国際交渉力を現場で磨ける |
年収・待遇
1. 初任給(2024年度目安)
- 院卒者: 月額約26万円
- 大卒者: 月額約23万円
2. 昇進後の年収モデル
ポジション | 年収目安 |
---|---|
係員 | 約400万円 |
課長補佐 | 約600万円 |
課長 | 約800万円 |
局長 | 約1200万円以上 |
事務次官 | 約2000万円以上 |
3. 福利厚生
- 社会保険完備
- 退職金制度
- 公務員宿舎の利用可
- 育児・介護休暇制度
合格後の活躍フィールド
分野 | 主な役割 |
---|---|
経済政策 | 税制改革、企業支援策の立案 |
社会保障 | 医療・年金制度の改善 |
外交・安全保障 | 国際交渉、外交政策立案 |
環境保護 | 温暖化対策、再生可能エネルギー推進 |
教育政策 | 学習指導要領の作成、教育環境の改善 |
おすすめの講習、教材
教材
講座
公務員系資格一覧
国家公務員総合職試験(旧Ⅰ種試験)
国家公務員一般職試験(旧Ⅱ種試験)
国家公務員初級試験(旧Ⅲ種試験)
地方公務員
国会議員政策担当秘書資格試験
外務省専門職員
警察官
消防官