建築図面製作技能士

建築図面作成における専門性を証明する資格であり、設計や施工の現場で高い評価を得られます。
特に、1級取得者は高度な図面作成スキルを求められ、責任ある立場で活躍可能です。
図面の正確さが建物の品質を左右するため、この資格を取得することで業務の幅が広がり、キャリアアップや収入増加にもつながります。

建築図面製作技能士資格は、技術レベルに応じて以下の等級に分かれます。

1級建築図面製作技能士
  • 高度な建築図面作成スキルが求められる
  • 複雑な構造図や詳細図の作成が可能
2級建築図面製作技能士
  • 実務に即した基本的な図面作成能力を評価
  • 標準的な意匠図や構造図の作成ができる
3級建築図面製作技能士
  • 初心者向けで、基礎的な図面作成スキルを証明
  • 簡単な平面図や立面図の作成が中心

主催
中央職業能力開発協会

受験資格と難易度

受験資格

建築図面製作技能士資格は、1級・2級・3級に分かれており、各級ごとに受験資格が異なります。
上位級ほど実務経験や学歴要件が厳しくなります。

1級建築図面製作技能士

受験資格
  • 実務経験: 原則7年以上の建築図面製作に関する実務経験
  • 学歴緩和: 建築系の学歴を有する場合、必要な実務経験年数が短縮されます
    • 高校の建築学科卒業者:実務経験5年以上
    • 専門学校・短大卒(建築関連):実務経験3年以上
    • 大学建築学科卒業者:実務経験2年以上
受験対象者の例
  • 設計事務所で詳細図や構造図作成に携わっている技術者
  • ゼネコンで施工図や変更図面を担当する技術者

2級建築図面製作技能士

受験資格
  • 実務経験: 2年以上の建築図面作成経験が必要
  • 学歴免除: 以下の場合は実務経験不要
    • 建築系専門学校卒業者
    • 建築学科を修了した短大・大学卒業者
受験対象者の例
  • CADオペレーターとして2年以上働いている方
  • 建築設計補助を担当する若手技術者

3級建築図面製作技能士

受験資格
  • 制限なし: 年齢・実務経験・学歴不問
  • 誰でも受験可能: 建築業界未経験者でも挑戦できる
受験対象者の例
  • 建築を学び始めた学生
  • これから建築業界に入る未経験者

試験内容

試験は「学科試験」と「実技試験」の2部構成で、等級(1級、2級、3級)ごとに難易度や出題内容が異なります。

試験構成

試験形式と時間

試験区分 試験内容 試験時間 合格基準
学科試験 選択式(マークシート) 約1時間 満点の60%以上
実技試験 図面作成(手書きまたはCAD) 約2〜4時間 採点基準を満たすこと

学科試験の内容

学科試験では、建築図面の基礎知識、関連法規、施工・設計に関する問題が出題されます。
等級が上がるほど、出題内容は専門的かつ実務的になります。

主な出題範囲

建築図面に関する基礎知識
  • 平面図、立面図、断面図の構成と役割
  • 縮尺の読み方と記載方法
  • 建築記号・表記法の理解
建築関連法規
  • 建築基準法の図面作成に関わる条項
  • 防火、採光、避難経路に関する規定
  • 建築確認申請に必要な図面内容
設計・施工知識
  • 建物の構造種別(木造、鉄骨造、RC造)の基本
  • 設備配置の基本的考え方
  • 施工図と設計図の違い
材料および構造に関する知識
  • 使用材料の特性と適用箇所
  • 荷重や構造計算の基礎(1級のみ出題範囲に含む)

出題形式

  • 選択問題: 正しい内容を選ぶ形式
  • 図面読解問題: 実際の図面を見て読み取る問題

実技試験の内容

実技試験では、与えられた課題に基づき建築図面を作成します。
等級が上がるほど、図面の複雑さや要求精度が高くなります。

実技試験の形式

  • 手書き試験: 製図用具を用いて正確な図面を作成
  • CAD試験: 指定ソフトで図面を作成(実務でCAD使用が一般的な場合)

1級実技試験の内容

出題傾向
  • 実務レベルの詳細図や複雑な構造図作成が中心
  • 法規に適合した設計図面作成が求められる
作図課題の例
  • 平面詳細図: 内装仕上げや建具位置を含む詳細設計
  • 構造躯体図: 梁・柱の配置、耐力壁の位置
  • 断面詳細図: 床構造や天井裏構造の詳細表現
採点基準
  • 寸法の正確さ
  • 法規遵守の有無
  • 図面の整合性と美しさ
  • 作図手順の適正さ

2級実技試験の内容

出題傾向
  • 基本的な意匠図や構造図の作成
  • 実務でよく使用される図面が課題
作図課題の例
  • 平面図: 窓・ドア位置、設備配置の基本記載
  • 立面図: 屋根形状や外観仕上げの表現
  • 断面図: 建物内部の高さ関係を示す図
採点基準
  • 作図の正確さと寸法の一致
  • 図面上の情報記載の正確さ
  • 必要な建築記号の使用

3級実技試験の内容

出題傾向
  • 基礎的な図面作成課題が中心
  • 初心者向けに簡単な建物や住宅の図面
作図課題の例
  • 簡易平面図: 部屋配置と寸法記載
  • 立面図: 外壁や窓配置の表現
  • 配置図: 敷地と建物の関係性を示す図
採点基準
  • 指示通りの図面作成ができているか
  • 縮尺や寸法表記の正しさ
  • 図面記号の使用可否

実技試験の評価ポイント

評価される主な項目

  • 寸法の正確性: 図面上の寸法が課題要求に適合しているか
  • 図面の読みやすさ: 線種、太さ、記号使用の正確さ
  • 作図スピード: 限られた試験時間内で完成できるか
  • 法規適合: 法規違反がないか(特に1級では重視)

注意すべきポイント

  • 寸法ミス: 重大減点対象
  • 記号間違い: 設備や建具記号の誤用に注意
  • 未完成図面: 完成度が低いと不合格につながる

試験時間と進行の流れ

学科試験

  • 試験時間: 約1時間
  • 問題数: 約30〜50問

実技試験

  • 3級: 約2時間(基本図面のみ)
  • 2級: 約3時間(複数図面作成)
  • 1級: 約4時間(詳細図+構造図など複数課題)

試験の進行例(実技)

  1. 課題確認(10分) – 図面要求事項を読み込む
  2. 下書き作成(30分) – スケッチで図面レイアウト確認
  3. 本作図(2〜3時間) – 清書・寸法記入・記号配置
  4. 最終確認(10分) – 記入漏れ・寸法ミス確認

試験対策

学科試験対策

対策ポイント

  • 過去問題の分析: 出題傾向をつかむことが重要
  • 法規関連の強化: 建築基準法や関連法令の暗記が必須
  • 図面記号と用語の理解: 試験で頻出する建築用語を正確に把握

効果的な学習方法

過去問題演習
  • 10年分の過去問を最低2周実施
  • 間違えた問題は原因を分析し、再度挑戦
法規対策
  • 法令集の使い方を習得
  • 出題頻度の高い条項を重点的に学習
図面読解練習
  • 実際の建築図面を用いて読解力を向上
  • 記号や縮尺の使い方を確認

実技試験対策

実技試験は、与えられた課題を指定時間内に正確かつ美しく仕上げることが求められます。

実技試験での重要ポイント

  • 時間内での完成度: 制限時間内で全ての指示を満たすことが最優先
  • 寸法と縮尺の正確さ: 寸法誤差は大きな減点対象
  • 図面の整合性: 平面図と立面図、断面図が矛盾しないようにする
  • 正しい記号と線種の使用: 設備記号や建具記号の間違いを防ぐ

作図練習のポイント

1級対策
  • 詳細図・構造図作成: 実務レベルの高度な図面を何度も練習
  • 複雑な断面図や仕上げ表の作成: 時間内で完成させる練習を徹底
2級対策
  • 標準的な平面図・立面図作成: 設備や建具の配置を正確に描く練習
  • 基本記号の徹底確認: 出題される建築記号を全てマスター
3級対策
  • 簡単な平面図・立面図の反復練習: 早く正確に描けるように練習
  • 配置図作成の基本: 敷地と建物の関係性を示す練習

CAD試験対策

操作スキル向上のコツ
  • ショートカットキーの習得: 作業効率を大幅に向上
  • レイヤー管理の練習: 図面の整理をしやすくする
  • オブジェクトスナップの活用: 正確な線引きが可能
推奨練習法
  • 実際の過去問題をCADで作成
  • 模擬課題を作り、制限時間内に完成を目指す

模擬試験と過去問題の活用

模擬試験の重要性

  • 実際の試験形式に慣れる: 緊張感を持って取り組む
  • 時間配分の確認: 各工程にかける時間を調整

過去問題の取り組み方

  • 問題を解いた後に採点基準を確認
  • 間違えた箇所は何度も復習
  • 少なくとも過去5年分を反復練習

試験直前の対策

実技試験前

  • 製図用具の確認: 鉛筆、消しゴム、定規などの準備を怠らない
  • CADソフトのバージョン確認: 試験当日のトラブルを防ぐ

学科試験前

  • 用語集を最終確認: 頻出問題を再確認
  • 重要法規の暗記: 直前に見直すことで記憶が定着

合格へのポイントまとめ

学科試験

  • 過去問題の反復練習が最も効果的
  • 法規問題は早めに対策を始める

実技試験

  • 時間内に図面を仕上げる練習を積む
  • 1級は特に詳細図や構造図に力を入れる
  • 線の正確さや記号の使い方を徹底確認

取得後に出来ること

取得すると、建築設計・施工現場において図面作成の専門家として幅広い業務に携わることが可能です。
特に、図面の正確性や作図スピードが求められる実務現場で高く評価され、キャリアアップや収入向上に直結します。

法的・業務上の立場強化

設計・施工図作成の責任者になれる

  • 図面作成業務において、責任者として業務を担当できる
  • 図面の適合性確認や修正指示ができる立場に昇格

官公庁や公共工事での評価向上

  • 公共事業の入札条件として有利
  • 建築関連の官公庁案件で技術力を証明できる

安全・法規遵守の確認責任を担える

  • 建築基準法などに基づく図面確認作業を任される
  • 法規適合性チェックや修正指導が可能

実務での業務範囲拡大

建築設計事務所での活躍

設計補助から主担当へ昇格
  • 建築士の補助から脱却し、図面作成の主担当として活躍
  • 意匠設計や構造設計の図面作成を任される
クライアントや施工業者との調整役
  • 設計変更時の図面修正・対応の中心的存在に
  • 実施設計図や施工図の修正作業で主導権を握る

建設会社(ゼネコン)での役割強化

施工図・変更図作成の専門家として活躍
  • 現場施工図の作成・確認業務を担当
  • 設計図と現場施工内容の整合性確認ができる
現場監督との連携強化
  • 施工中の設計変更への迅速な対応が可能
  • 工事現場での図面に関する質疑応答に対応

建築設備会社での活躍

設備図面の作成・修正担当
  • 空調、電気、給排水設備図の作成に携われる
  • 設備設計者との打ち合わせや設計意図の反映が可能
維持管理図書の作成
  • 建物竣工後の維持管理用図面の作成を任される
  • 建物オーナーへの説明や提案に関与

フリーランス・独立開業

図面作成の外注業務を受注
  • 建築事務所や建設会社からの作図依頼が可能
  • フリーランスCADオペレーターとして活躍
独立設計事務所開設(条件付き)
  • 一定の経験を積めば自分の事務所で図面受注が可能
  • 設計士との連携案件で継続的な仕事が期待できる

キャリアアップと報酬向上

収入アップの期待

  • 無資格者に比べて月収・年収が向上
  • 資格手当が支給される企業も多数

昇進・昇格のチャンス

  • チームリーダーや図面作成責任者に昇進
  • 大型プロジェクトや公共事業案件で主任技術者として活躍

活躍できる主な業界と職種

業界 職種 資格取得後にできること
建築設計事務所 図面作成責任者、設計補助 意匠図・構造図の作成、クライアント対応
ゼネコン 施工図担当者、現場監督補佐 施工図作成、設計変更対応、現場での図面指導
設備設計会社 設備図面作成担当 空調・電気・給排水設備図作成、施工業者との調整
不動産・デベロッパー 技術担当者 建築計画段階の図面確認、外注図面のチェック
フリーランス CADオペレーター 複数の事務所から図面作成業務を請負
公共団体・官公庁 技術職員 公共施設の図面審査・設計支援

資格等級別の取得後の違い

1級取得後

  • 大規模建築物の詳細図作成を担当
  • 図面作成チームの責任者に抜擢されやすい
  • 公共工事の案件で主任技術者として活躍

2級取得後

  • 標準的な建築物の意匠図や施工図作成が可能
  • 小規模プロジェクトで図面担当者として参画

3級取得後

  • 基礎的な図面作成業務を担当
  • 実務経験を積みながらスキルアップが目指せる

社会的評価と信頼性向上

クライアントからの信頼強化

  • 有資格者として顧客からの信頼度がアップ
  • 提案資料やプレゼンにおいて図面の説得力が増す

社内での技術指導者として活躍

  • 後輩や部下への図面作成指導が可能
  • 研修担当として社内教育に貢献

建築系資格一覧

一級建築士
二級建築士
木造建築士
構造設計一級建築士
設備設計一級建築士
建築施工管理技士
建築図面製作技能士
土木施工管理技士
ビル経営管理士
不動産鑑定士
測量士
宅地建物取引主任者
管理業務主任者
マンション管理士
土地家屋調査士
玉掛技能講習
環境計量士
管工事施工管理技士
建設機械施工技士
建築設備士
建築業経理士
コンクリート技士
CAD実務キャリア認定制度
CADトレース技能審査
建築CAD検定試験
Autodesk認定試験
3次元CAD利用技術者試験
マンションリフォームマネージャー
ダッソー・システムズ CATIA 認定資格
マンション維持修繕技術者
REセールスパーソンライセンス

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