愛玩動物看護師

家庭動物を看護する専門技術者として、動物医療の発展とともに生まれました。現時点では、ヒトの医療における看護師のように、法令に基づいて与えられる資格呼称ではありません。

かつては民間資格でしたが、2022年に「愛玩動物看護師法」が施行され、国家資格「愛玩動物看護師」が誕生しました。この資格は、獣医師のサポート役として、医療行為の一部を担うことができる専門職です。

主催
日本動物看護学会

受験資格と難易度

受験資格

原則:指定養成校の卒業が必要

  • 文部科学省・農林水産省が指定した養成所(専門学校・大学など)を卒業していることが受験の必須条件です。

  • 養成校では、3年間または4年間かけて専門カリキュラムと臨地実習を修了する必要があります。

経過措置(※2023年度~2028年度まで)

すでに動物看護の実務経験がある人に限り、一定の実務経験と講習の修了で受験可能です。

  • 民間の動物看護師資格を持ち、動物病院などで実務経験3年以上あること
  • 認定講習会を受講し、修了試験に合格すること

難易度

合格率(最新データ)

  • 2023年度(第1回国家試験):合格率 87.0%
  • 2024年度(第2回国家試験):合格率 89.8%

試験形式

  • 筆記試験のみ(選択式マークシート)
  • 合計150問前後(午前・午後で実施)
  • 合格基準:総得点の約60%前後(年度によって調整あり)

難易度の特徴

  • 難問・奇問はほとんど出ないが、幅広い知識と確実な理解が求められる
  • 医療知識・解剖生理・薬理・感染症など、獣医学に近い内容も含まれる
  • 養成校での授業・実習をしっかりこなしていれば、合格は十分に狙えるレベル

試験内容

試験の概要

試験形式

  • 筆記試験(マークシート方式)

  • 選択式(4肢択一)

  • 午前・午後に分かれて実施

  • 試験時間:約5時間(休憩を含む)

問題数・配点

  • 総問題数:約150問前後(年度により若干の変動あり)

  • 配点:1問1点(合計150点)

  • 合格基準:おおむね60%(90点以上)※ただし、特定科目に基準あり


出題科目と内容(最新の国家試験出題基準より)

国家試験は以下の3領域に分かれています。


① 基礎動物看護学

動物の構造と機能

  • 解剖学(臓器・骨格・筋肉・神経など)

  • 生理学(呼吸・循環・消化・内分泌など)

  • 発生・成長・老化に関する基礎知識

動物の行動学としつけ

  • 動物の行動パターン

  • 問題行動の原因と対応方法

動物の栄養と食事

  • 栄養素の種類と役割

  • ライフステージ別の食事管理

  • 食事関連疾患


② 臨床動物看護学

看護の基本技術

  • 動物の保定方法

  • 検査補助(採血・尿検査・便検査など)

  • 投薬・注射の補助

  • 術前・術後ケア、入院動物の看護

臨床検査・画像診断

  • 血液検査、尿検査、便検査、細胞診

  • X線・超音波・内視鏡の基本

疾病の基礎知識

  • 消化器、呼吸器、循環器、皮膚、泌尿器などの代表的な疾患と看護

救急・集中治療

  • 応急処置・ショック・心肺蘇生法(CPR)

  • 酸素吸入や点滴管理


③ 動物と人の関係・法制度

動物愛護と倫理

  • 動物福祉の基本概念

  • 動物に対する倫理的配慮と職業倫理

関係法規

  • 愛玩動物看護師法

  • 獣医師法・動物愛護法・感染症法など

公衆衛生と感染症

  • 人獣共通感染症(狂犬病・トキソプラズマなど)

  • 院内感染対策・消毒法・予防接種


過去の出題傾向(参考)

分野 出題割合の目安
基礎動物看護学 約30%
臨床動物看護学 約50%
法律・公衆衛生など 約20%

※この割合は年度によって変動する場合があります。

試験対策

試験対策の基本戦略

養成校の授業・実習を大切にする

  • 国家試験の内容は養成校のカリキュラムと直結しています
  • 授業中の出題ポイントや図表は試験でよく出るため、ノート整理は重要です
  • 実習で経験した処置や対応も、具体例として記憶に残りやすくなります

過去問・模擬試験を繰り返す

  • 実際の出題形式に慣れるためには、過去問演習が最も効果的
  • 模試や予想問題を解いて、出題傾向や自分の弱点を把握
  • わからなかった問題は、テキストに戻って解説→再確認

科目別対策ポイント

解剖・生理(基礎動物看護学)

  • 図を使って学習すると効果的(骨格、臓器、血流など)
  • 消化器・循環器・神経系など、臓器ごとの役割と連携を整理

臨床看護・技術(臨床動物看護学)

  • 保定法・採血・投薬・注射の流れと注意点を確認
  • 術後管理・入院看護の手順、異常の早期発見のポイントを整理

感染症・公衆衛生

  • 狂犬病・パルボウイルスなど、人獣共通感染症とその予防法を暗記
  • 感染予防対策(消毒、手洗い、器具の取り扱い)も頻出

法律・倫理

  • 「愛玩動物看護師法」「獣医師法」「動物愛護管理法」の目的・業務範囲・罰則を押さえる
  • 業務独占資格としての立場や、法的責任の範囲も重要

おすすめの勉強法

1. 1日30分でも継続

  • 毎日短時間でもいいので、継続して知識を積み重ねることが合格のカギ

2. 暗記より「理解」で覚える

  • 看護は実践的な知識が問われるため、用語だけでなく背景や理由も覚える

3. 模試・小テストで実力チェック

  • 自分で定期的に模試や小テストを実施して、理解度を確認
  • できなかったところは、すぐに復習して弱点補強

取得後に出来ること

資格取得後にできること

獣医療の一部を合法的に行える

法律に基づき、愛玩動物看護師だけができる「特定行為」を実施できます。

  • 採血
  • マイクロチップの挿入
  • カテーテルの挿入(条件あり)
  • 薬剤の投与補助(獣医師の指示のもと)

※これらは、獣医師の指示のもとで実施される「獣医療補助行為」であり、愛玩動物看護師の国家資格保持者に限定されています。

活躍の場

動物病院

  • 国家資格取得により、より専門的な看護業務に携わることが可能になります。
  • 医療チームの一員として、診療の質を支える中心的な存在となります。

動物保護施設・保健所

  • 保護動物の健康管理や、譲渡活動の支援などに関わることができます。
  • 公共の場での動物医療や教育活動でも信頼される人材に。

ペット関連企業

  • ペットフードや動物用医薬品、医療機器関連企業での製品開発・監修・営業支援にも活かせます。
  • 動物病院向け商品・サービスを扱う企業で、専門知識を活かした活躍が可能。

教育・研究分野

  • 養成校や専門学校などで講師として指導する道も。
  • 大学や研究機関で、動物看護・行動学・栄養学などの研究補助職として働く人もいます。

できる業務の広がり(他資格との違い)

資格名 医療行為 活動分野 信頼性
愛玩動物看護師(国家資格) 一部可(法律で明記) 医療、教育、企業など広範囲 高い(法的裏付けあり)
民間動物看護師資格 不可(医療行為はできない) 主に補助的役割 中程度(名称使用可)

就職・転職面でのメリット

国家資格による信頼性アップ

  • 採用側(動物病院・企業)から見て、「安心して業務を任せられる」存在として評価されます。
  • 正社員登用やキャリアアップの機会も広がります。

賃金・待遇面の向上傾向

  • 資格手当や昇給の対象になることもあり、将来的には待遇改善の流れも期待されています。

資格取得後のスキルアップ例

専門分野に特化

  • 麻酔看護、集中治療、リハビリテーション、行動療法などに進む人もいます。
  • 研修会や学会に参加することで、より高度なスキルを習得可能です。

動物福祉・災害救助などへの参加

  • 災害時のペット救護や、動物福祉活動に専門的な立場から貢献できるようになります。

その他資格一覧

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