技術士

日本における高度な専門技術者を認定する国家資格で、科学技術に関する高度な知識・経験を持ち、専門的な技術サービスを提供できることを証明するものです。

技術士法に基づき、文部科学省が所管し、日本技術士会が関連業務を担っています。

1. 技術士資格の概要

技術士資格は、特定の技術分野において問題解決能力やマネジメント能力を持つ技術者に与えられます。取得者は、技術士として専門知識を活かして企業や公共事業で技術コンサルタントとして活動できます。

2. 技術士の区分と部門

技術士資格は、以下の2段階に分かれています。

  • 技術士補:基礎的な知識を有する段階(一次試験合格者が対象)。技術士の指導のもとで実務経験を積むことができます。
  • 技術士:高度な技術力と実務経験を持ち、独立して技術サービスを提供できる段階(二次試験合格が必要)。

部門の種類

技術士資格は、21の技術部門に分かれており、代表的なものには以下があります。

  • 機械部門
  • 電気電子部門
  • 建設部門
  • 環境部門
  • 情報工学部門
  • 農業部門

主催
(社)日本技術士会

受験資格と難易度

技術士資格は一次試験(技術士補)と二次試験(技術士)に分かれており、それぞれの受験資格は異なります。

1. 一次試験(技術士補)の受験資格

一次試験の受験資格は、比較的緩やかで、以下の条件を満たしていれば誰でも受験可能です。

  • 年齢・学歴制限なし
  • 高校生や大学生でも受験可能
  • 技術系以外の学歴でも受験は可能

実務経験がなくても受験できるため、将来技術士を目指す学生や初級技術者にとっては早期取得が有利です。

2. 二次試験(技術士)の受験資格

二次試験は、実務経験が必要で、以下のいずれかを満たす必要があります。

条件 内容
(1) 一次試験合格者 合格後、4年以上の実務経験が必要。
(2) 技術士補登録者 登録後、4年以上の実務経験が必要。
(3) 指定学科修了者 指定された大学・高専の技術系課程修了後、7年以上の実務経験が必要。
(4) 高度な実務経験者 11年以上の実務経験があれば一次試験免除で直接二次試験受験が可能。
  • 実務経験の内容は、技術的課題の解決や設計、管理業務が求められ、単純作業や補助作業はカウントされません。
  • 実務経験は二次試験の申込時に業務経歴書として提出する必要があります。

技術士試験の難易度

1. 一次試験の難易度

  • 合格率:30%〜50%程度
  • 試験内容:基礎科学、適性試験、専門科目
  • 特徴:基礎知識が中心であり、計画的に勉強すれば独学でも合格可能です。

ポイント

専門科目の範囲が広いため、過去問題の演習が重要です。

2. 二次試験の難易度

  • 合格率:10%〜15%程度(部門によって異なる)
  • 試験内容
    • 筆記試験:技術的課題解決能力、応用力
    • 口頭試験:業務経験の深掘り、倫理観、技術士としての自覚
  • 難易度の理由
    • 技術知識だけでなく、課題解決能力マネジメント力が問われる
    • 実務経験を具体的に説明する必要があり、経験の深さが試される
    • 口頭試験では厳しい質問を受けることもあり、十分な準備が必要
  • 筆記試験の突破が最大の関門であり、対策不足では高確率で不合格になります。
  • 論文の書き方やプレゼン能力も問われるため、模擬試験や面接練習が効果的です。

試験内容

1. 一次試験(技術士補資格取得)

試験の目的

  • 技術者として必要な基礎知識、適性、および専門知識を評価
  • 将来的に二次試験を受験するための基礎力確認

試験構成

科目 出題形式 内容の概要 配点 時間
基礎科目 五肢択一(マーク式) 基礎科学、数学、情報処理、データ解析など 30点 1時間
適性科目 五肢択一(マーク式) 倫理観、技術者の職務適性、法規知識 15点 30分
専門科目 五肢択一(マーク式) 選択部門の専門知識・技術 50点 2時間

各科目の詳細説明

(1) 基礎科目
  • 内容
    • 数学(微積分、線形代数、確率・統計)
    • 物理・化学の基礎知識
    • 情報処理技術(アルゴリズム、ネットワーク基礎)
    • データ解析(回帰分析、相関係数)
(2) 適性科目
  • 内容
    • 技術者倫理(社会的責任、情報漏洩防止)
    • 技術者の職業倫理と法規(技術士法、安全管理法規)
    • 環境配慮と持続可能性の知識
(3) 専門科目
  • 内容
    • 選択した技術部門に関する深い知識を問う
    • 例(建設部門の場合):構造力学、施工管理、環境対策
    • 例(情報工学部門の場合):プログラミング、システム設計、AI技術

2. 二次試験(技術士資格取得)

試験の目的
  • 専門技術者として課題解決能力、応用力、倫理観を評価
  • 実務経験の活用力とマネジメント能力の有無を確認
試験構成
科目 出題形式 内容の概要 時間
筆記試験 記述式・論文形式 専門知識、課題解決能力、実務経験の論述 3〜4時間
口頭試験 面接形式 業務経験、倫理観、技術士としての自覚 20〜30分
(1) 筆記試験の詳細

筆記試験は3つの大問から構成されます。

大問1:専門知識問題(選択問題)
  • 内容:選択部門に関する専門的な知識や応用力
  • 例題(建設部門):「鋼構造物の耐震設計における留意点を述べよ」
  • 評価ポイント:用語の正確さ、理論の理解度
大問2:課題解決問題(必須問題)
  • 内容
    • 実務上で発生し得る技術的課題を提示
    • 解決策を技術的根拠に基づいて論述
大問3:業務経歴論文(必須問題)
  • 内容
    • 自身の実務経験から1つの課題を選び、業務遂行の過程と成果を論述
  • 構成例
    • 課題設定:実務上の問題点の説明
    • 課題解決手法:選んだ手法の理由、比較検討
    • 実施結果:得られた効果、課題の残存部分
(2) 口頭試験の詳細

目的

  • 技術士としての自覚や倫理観、コミュニケーション能力の確認

試験内容

質問内容 具体例
業務経歴の説明 「業務経歴論文の内容を3分で説明してください」
課題解決力の確認 「なぜその解決方法を選びましたか?」
倫理観・責任感 「もし安全問題が発生した場合、どう対応しますか?」
技術士としての意識 「技術士としてどのように社会に貢献しますか?」

 

試験対策

1. 一次試験(技術士補)対策

1.1 基礎科目対策

出題範囲
  • 数学(微積分、確率統計、線形代数)
  • 物理・化学(高校レベル)
  • 情報処理(アルゴリズム、データ処理)
  • データ解析(回帰分析、ヒストグラム解釈)
対策法
  • 高校レベルの問題集を解く:苦手分野を早期に把握
  • 過去問演習:繰り返し解いて問題形式に慣れる
  • YouTubeや無料講座活用:動画で視覚的に理解
  • データ問題はExcelで実践:実務でも役立つ

1.2 適性科目対策

出題範囲
  • 技術者倫理
  • 法規(技術士法、環境関連法)
  • 安全衛生管理
対策法
  • ケーススタディを読む:実際の技術者不祥事例で学ぶ
  • 公式ガイドライン熟読:技術士法や倫理規定を理解
  • 模擬問題で対応力強化:即答力向上を意識

1.3 専門科目対策

出題範囲

選択部門ごとの技術的知識(例:建設部門なら構造力学、施工計画)

対策法
  • 過去5年分の問題分析:出題頻度が高い分野を重点的に学習
  • 専門書で理論強化:苦手分野は基本から復習
  • 実務経験と関連付けて学ぶ:理解が深まり記憶が定着

2. 二次試験(技術士)対策

2.1 筆記試験対策

筆記試験の構成
  • 専門知識問題(知識の深さと応用力)
  • 課題解決問題(実務での問題解決能力)
  • 業務経歴論文(経験の深さと課題設定力)
2.1.1 専門知識問題対策
  • 最新技術トピックスを調査:技術雑誌・学会誌を定期チェック
  • 公式参考書・専門書で補強:理論の根拠をしっかり押さえる
  • 模擬問題で時間管理練習:時間内に記述できる力を養成
2.1.2 課題解決問題対策
出題パターン
  • 現場で起こる技術的問題の特定
  • 複数の解決策の比較検討
  • リスクマネジメントの提案
対策法
  1. 課題設定能力を磨く

    • 自身の実務経験から問題点をピックアップ
    • なぜ問題が発生したか背景を明確に
  2. 解決策提示の練習

    • メリット・デメリット比較表を作成
    • 実現性や費用対効果も考慮
  3. 論理的な文章構成

    • 導入→課題提示→解決策→効果→結論 の流れで構成
    • 各段落で1つの主張に絞ると明確になる
2.1.3 業務経歴論文対策
目的
  • 自分の実務経験を技術士として客観的に評価できるか
対策法
  • 実務経験の棚卸し

    • どんな課題に直面したか?
    • どのように自ら関わり、解決に導いたか?
    • 得られた効果や反省点は何か?
  • 文章の見直しポイント

    • 第三者が読んでも理解できるか
    • 技術用語を適切に使っているか
    • 結論が曖昧になっていないか
2.2 口頭試験対策
試験のポイント
  • 実務経験の詳細確認
  • 技術士としての倫理観や責任感の確認

取得後に出来ること

1. 高度な技術コンサルティングの実施

技術士は、企業や公共機関に対して高度な技術的助言やコンサルティングを提供できます。

  • 新規事業開発の技術支援
  • 製品の品質向上や生産性改善
  • 環境保全対策やリスクアセスメント

2. 官公庁や公共事業での技術的評価・審査

公共事業の入札やプロジェクトにおいて、技術提案書の審査員として関わることができます。

  • 建設工事の技術審査
  • インフラ整備における技術的評価
  • 環境アセスメントの評価委員としての活動

3. 独立開業やフリーランスとしての活動

技術士資格を活かして独立し、技術コンサルタント会社を設立することも可能です。

  • 特定分野での専門コンサルタント業務
  • 外部企業との技術連携支援
  • 海外プロジェクトでの技術提供

4. 社内での昇進やキャリアアップ

企業内で技術士資格を取得すると、次のようなキャリアアップが期待されます。

  • 技術部門の管理職や責任者への昇進
  • 技術開発プロジェクトのリーダー任命
  • 社内外での信頼性向上

5. 公的な証明としての信頼性確保

技術士は国家資格であり、技術力と倫理観が保証されます。

  • 顧客やクライアントとの信頼構築
  • プロジェクト参加時の競争優位性向上

6. 教育・研修活動への参画

専門知識を活かして後進の育成や社内研修の講師としても活動可能です。

  • 大学や専門学校での非常勤講師
  • 技術研修の講師としての登壇
  • 技術士会での教育活動への参加

7. 国際的な活動

日本の技術士資格は、海外の技術者資格(例えばAPECエンジニア、IPEA国際エンジニア)との相互承認があります。

  • 国際プロジェクトでの技術支援
  • 海外企業との共同開発への参画

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