建築物の構造に関する高度な専門知識と技術を有し、特に安全性や耐震性に関わる構造設計業務を担当できる国家資格です。
この資格は、一級建築士の上位資格であり、特に大規模建築物や特殊建築物の設計時に、構造計算適合性判定が必要な建物の構造設計や確認業務を担います。
資格の位置づけ
- 一級建築士資格が前提条件であり、その上で構造設計に関する専門能力を証明
- 特に大規模施設(学校、病院、高層ビル等)の構造設計を行う際に必須
- 構造計算適合性判定を受ける必要がある建築物では、構造設計一級建築士が関与することが法令で義務づけられている
目次
受験資格と難易度
受験資格
構造設計一級建築士試験を受験するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
1. 一級建築士資格の保有
- 有効な一級建築士資格を取得していること
- 一級建築士資格がない場合、受験できません。
2. 実務経験
以下のいずれかの実務経験が必要です。
実務経験内容 | 必要年数 |
---|---|
構造設計に関する実務経験 | 2年以上 |
構造設計の補助業務経験 | 3年以上 |
実務経験の範囲
- 建築物の構造計算書作成
- 耐震設計および補強設計業務
- 構造計算適合性判定に関する業務
- 荷重計算、構造部材の選定・解析業務難易度
構造設計一級建築士試験は、一級建築士よりも専門性が高く、難易度も上がります。
合格には、構造力学の深い理解、実務的な構造設計スキル、法規知識が必要です。
試験区分 | 合格率 | 難易度評価 |
---|---|---|
学科試験 | 約25〜30% | 高い |
設計製図試験 | 約15〜20% | 非常に高い |
総合合格率 | 約10〜15% | 難関資格レベル |
難易度の特徴
学科試験
- 構造力学の計算問題が最難関
- 法規の細かい条文知識が必要
- 耐震・免震・制振構造の理論問題が出題
設計製図試験
- 実務経験が問われる課題設定
- 短時間での荷重計算・部材選定が必須
- 設計条件を正確に反映した図面完成が求められる
試験内容
試験概要
試験区分 | 試験形式 | 試験時間 | 出題内容 |
---|---|---|---|
学科試験 | 択一式・記述式 | 約3時間 | 構造力学・構造設計法・法規 |
設計製図試験 | 図面作成・計算問題 | 約6時間 | 構造設計課題の作成 |
1. 学科試験の詳細
学科試験では、建築構造の理論・計算・法規に関する知識が問われます。
出題科目
1. 構造力学
出題範囲:
- 荷重計算: 静荷重・動荷重の基礎
- 応力・ひずみ計算: モーメント、せん断力、軸力
- 構造解析: 静定・不静定構造、トラス、ラーメン構造
- 材料力学: 鉄骨・コンクリートの強度計算
- 振動解析: 地震応答スペクトル、共振現象
2. 構造設計法
出題範囲:
- 鉄筋コンクリート構造(RC造): 配筋計画、柱・梁・スラブ設計
- 鉄骨構造(S造): 部材選定、接合部設計、座屈計算
- 木造構造: 仕口・接合部、壁量計算
- 耐震設計: 耐震等級、免震・制振構造の特徴
- 基礎構造: 直接基礎・杭基礎の設計計算
3. 建築構造に関する法規
出題範囲:
- 建築基準法(構造関係)
- 構造安全性の基準
- 許容応力度計算・保有水平耐力計算
- 構造計算適合性判定の手続き
- 建築士法・国土交通省告示関連
2. 設計製図試験の詳細
設計製図試験では、大規模建築物の構造設計図を作成し、計算能力と設計実務の適用力を試されます。
試験内容
- 建築物の構造計画
- 架構計画(ラーメン構造・ブレース構造など)
- 柱・梁・スラブ・基礎の配置計画
- 構造計算
- 荷重伝達の流れを考慮した部材選定
- 各部材の応力度計算
- 耐震設計
- 水平荷重に対する安全性評価
- 免震・制振の設計手法
- 構造計算適合性判定を考慮した図面作成
- 許容応力度計算に基づく設計
- 計算結果に基づいた寸法選定
試験形式
- 手書き製図(A2サイズ)
- 制限時間:約6時間
- 評価基準:
- 構造設計の合理性
- 安全性・耐震性の確保
- 法令遵守
- 図面の完成度(線の正確さ、情報の明確性)
試験対策
学科試験対策
1. 構造力学対策
重点ポイント
- 荷重計算、断面力計算、応力度計算をマスター
- モーメント・せん断力の基本公式を暗記
- 地震・風荷重の計算パターンを覚える
学習方法
- 毎日1問は計算問題を解く
- 公式暗記カードを作り、繰り返し確認
- トラス・ラーメン構造の部材力計算に慣れる
- 問題を解いた後は必ず計算過程を振り返り確認
2. 構造設計法対策
重点ポイント
- 鉄骨造、鉄筋コンクリート造、木造の設計手順の理解
- 耐震・制震・免震構造の違いを整理
- 部材選定基準と架構計画の立案力を強化
学習方法
- 構造種別ごとに設計フローを図解でまとめる
- 実務経験を活かし、過去案件を振り返りながら学習
- 週2回は設計法の演習問題に取り組む
3. 法規対策
重点ポイント
- 建築基準法の構造関連条文を暗記
- 構造計算適合性判定に関する知識習得
学習方法
- 法規集にマーカーで重要箇所を整理
- 週に1度は法規問題を20問解く
- 実務で扱う法規適用事例を確認して実感を深める
設計製図試験対策
1. 製図スピード向上
学習方法
- 週1回の模擬試験(6時間)で時間配分練習
- 荷重計算から図面作成まで一貫して実施
- 早描き練習でスピードと正確さを両立
2. 荷重計算と部材選定の実践
学習方法
- 柱・梁・スラブの断面選定練習を反復
- 基礎計算と架構計画の関係を理解する
- 計算結果をもとに即座に図面へ反映させる訓練
3. 模範解答との比較と自己修正
- 模擬課題後に模範解答と比較し、ミスを特定
- 次回製図課題で改善点を反映
- 完成図面の線の太さ・見やすさにも注意
使用教材と学習ツール
- 過去問題集(10年分): 出題傾向分析用
- 構造力学公式集・暗記カード: 日常学習用
- 模擬試験問題集: 時間管理と実戦力強化用
- 動画教材(計算解説・製図演習): 視覚的理解促進
取得後に出来ること
取得すると、建築物の構造設計における高度な専門業務を担うことができます。特に、大規模建築物や特殊建築物の構造設計や構造計算適合性判定に関与できるようになります。
取得後は、建築物の安全性を確保する構造設計の責任者として、幅広い分野で活躍することが可能です。
1. 大規模建築物・特殊建築物の構造設計
構造設計一級建築士は、法律で定められた構造計算適合性判定が必要な建物の構造設計を担当できます。
対象となる建築物
- 高層ビルや商業施設
- 病院、学校、公共施設
- 大規模マンションやオフィスビル
- 倉庫、工場などの産業施設
業務内容
- 荷重計算や構造計算書作成
- 柱、梁、スラブ、基礎の断面設計
- 耐震、制震、免震設計の立案
- 建築物の安全性や構造安定性の検証
2. 構造計算適合性判定の対応業務
構造設計一級建築士は、構造計算適合性判定に関連する申請や技術的対応が可能です。
主な業務内容
- 構造計算適合性判定の申請書作成と修正対応
- 審査機関や行政との技術的な折衝
- 建築主への構造安全性に関する説明
- 判定結果に基づく設計修正と再提出
この業務により、公共事業や大型建築プロジェクトに関与する機会が増えます。
3. 耐震診断・耐震補強設計
既存建築物の耐震診断や補強設計が可能になります。
主な業務内容
- 耐震診断報告書の作成
- 建物の耐震性能評価と改修提案
- 耐震補強設計と施工監理
- 災害復旧時の被害評価と再建計画支援
耐震関連業務は、老朽化建物の安全確保や災害時の迅速な対応に必要とされる重要な分野です。
4. 独立開業・構造設計事務所の設立
資格取得後は、構造設計事務所を開設して独立することが可能です。
独立後にできること
- 自社で直接案件を受注
- 公共事業や大手ゼネコンからの構造設計依頼の受託
- 耐震診断や補強設計の専門コンサルタント業務
- 特殊建築物や大規模開発プロジェクトへの参画
独立開業により、専門性を活かして多様なクライアントに対応でき、自由な働き方と高収入を実現できます。
5. 企業・公共機関でのキャリアアップ
構造設計一級建築士は、建築関連企業や公共機関での重要ポジションに就くことができます。
活躍できる職場
- ゼネコンの構造設計部門
- 大手設計事務所での構造設計責任者
- 地方自治体や国土交通省での建築審査担当
- 建築確認検査機関での構造適合性審査業務
資格を持つことで、管理職や技術指導者としての評価が高まり、キャリアアップが期待できます。
6. 建築技術コンサルティング
専門性を活かして、建築技術に関するアドバイザーとしても活躍できます。
コンサルティング業務内容
- 大規模開発プロジェクトへの構造安全性に関する助言
- 建築主や施工会社への構造改善提案
- 建築紛争や法的トラブル時の技術的証言・鑑定業務
- 新技術や構造材料の導入サポート
建築分野の高度な専門家として、企業や行政機関からの信頼を得ることができます。
7. 年収とキャリアの展望
構造設計一級建築士は、専門性の高さから収入面でも有利です。
勤務形態 | 年収目安 | 特徴 |
---|---|---|
ゼネコン勤務 | 800〜1,200万円 | 大規模プロジェクトで高収入が期待できる |
設計事務所勤務 | 700〜900万円 | 専門職として安定した収入 |
独立開業 | 1,000万円以上 | 高単価案件で収入の上限が広がる |
公共機関勤務 | 600〜850万円 | 安定性と社会的貢献度が高い |
8. 構造設計一級建築士取得後のメリット
- 大規模・特殊建築物の構造設計が可能
- 公共事業や大規模開発プロジェクトに参画できる
- 耐震診断・補強設計で社会貢献ができる
- 独立開業により高収入・自由な働き方を実現できる
- 企業での評価が向上し、昇進や転職で有利
建築系資格一覧
一級建築士
二級建築士
木造建築士
構造設計一級建築士
設備設計一級建築士
建築施工管理技士
建築図面製作技能士
土木施工管理技士
ビル経営管理士
不動産鑑定士
測量士
宅地建物取引主任者
管理業務主任者
マンション管理士
土地家屋調査士
玉掛技能講習
環境計量士
管工事施工管理技士
建設機械施工技士
建築設備士
建築業経理士
コンクリート技士
CAD実務キャリア認定制度
CADトレース技能審査
建築CAD検定試験
Autodesk認定試験
3次元CAD利用技術者試験
マンションリフォームマネージャー
ダッソー・システムズ CATIA 認定資格
マンション維持修繕技術者
REセールスパーソンライセンス