樹木の健康状態を診断し、必要に応じて治療・保護を行う専門家のことです。
近年、都市化が進む中で街路樹や公園の木々の管理がより重要になっており、また神社仏閣のご神木や歴史的価値のある古木などの保全にも樹木医の技術が求められています。
樹木医は、樹木の生理や病気、害虫被害などを見極め、それに応じた適切な対処を行うことで、木々の健全な生育と自然環境の維持に貢献します。
■主催
(財)日本緑化センター
受験資格と難易度
受験資格(概要)
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実務経験7年以上(大学等の専門教育を含むことも可能)
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造園業、林業、植物管理業務などでの実務経験。
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大学や専門学校で、造園学、林学、植物病理学などを学んだ期間は最大4年間まで実務経験としてカウントされます。
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業務内容の証明
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勤務先の証明や職務内容の詳細な記録など、実際に樹木の診断や管理に携わっていたことを示す書類の提出が必要です。
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年齢制限
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明確な年齢制限は設けられていませんが、経験年数を積む必要があるため、ある程度の社会人経験が前提となります。
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難易度
樹木医試験は、専門的かつ実践的な知識と経験が求められるため、決して簡単ではありません。
難易度のポイント
合格率は毎年20~30%程度
- これは応募者の中で「実際に合格する人の割合」であり、競争率が高いことを意味します。
試験内容が幅広い
- 植物生理学
- 植物病理学(病害虫、ウイルス、菌など)
- 土壌学・肥料学
- 環境保全、都市緑化
- 法律や文化財保護に関する知識 など
筆記試験+研修あり
- 筆記試験に合格しても終わりではなく、約2週間の集中研修があります。
- 実技や現場対応力も問われるため、机上の知識だけでは不十分です。
試験内容
【樹木医試験の構成】
樹木医試験は、以下の2つのステップで構成されています。
① 筆記試験(学科)
② 実地研修(約2週間)
【筆記試験の出題分野】
筆記試験では、次の6分野から幅広く出題されます。
1. 樹木の生理・生態
- 樹木の構造(根・幹・葉など)
- 光合成、呼吸、蒸散、水分や養分の吸収
- 年輪、成長の仕組み
2. 樹木の病害虫・生理障害
- 代表的な病気(てんぐ巣病、根腐れ病など)
- 害虫(カミキリムシ、マツノマダラカミキリ等)
- 生理障害(塩害、乾燥、酸素不足など)
- 病因の特定と防除方法
3. 診断および治療技術
- 空洞診断(打音・抵抗測定)
- 剪定、切断後の処理
- 空洞充填、巻き癒合促進処理
- 樹勢回復(土壌改良、施肥など)
4. 土壌・植栽基盤の管理
- 土壌の性質(pH、透水性、保水性など)
- 都市における植栽環境の問題と対策
- 樹木が健康に育つための基盤整備
5. 法律・文化財保護
- 自然公園法、都市緑地法、文化財保護法など
- 名木・古木・ご神木などの保護対策
- 許可申請や管理体制に関する知識
6. 社会と緑化の知識
- 都市緑化の意義、緑の基本計画
- 環境保全、景観形成と樹木の役割
- 気候変動や災害リスクと緑化対策
【実地研修の内容】
筆記試験合格後は、研修(約2週間)に参加し、知識と実技を身につけます。
主な内容:
- 樹木の現地診断と評価方法
- 治療処置の実習(剪定、土壌処理など)
- 名木や文化財樹木の保護事例
- グループ討議と発表
- 研修修了時の確認テストあり
※研修の成績と態度も資格認定に影響します。
試験対策
出題範囲の把握
まずは日本緑化センターの「樹木医研修テキスト」で、試験範囲を明確にします。出題分野は次の6つです。
- 樹木の生理・生態
- 病害虫・生理障害
- 診断と治療技術
- 土壌・植栽基盤
- 法律・文化財保護
- 社会と緑化に関する知識
使用教材の選定
- 樹木医研修テキスト(日本緑化センター)
- 樹木医学、植物病理学の基礎書
- 造園施工管理技士の参考書(基礎知識に有効)
弱点分野の強化
- 実務経験者 → 法令・文化財関連を重点的に
- 行政職など → 診断や治療の技術面を補強
経験の言語化(記述問題対策)
- 現場対応の実例を「状況→判断→処置→結果」で整理
- 過去の作業記録を振り返って自分の判断理由を明確にする
時事・政策への対応
- 緑の基本計画、SDGs、気候変動、都市緑化政策を確認
- 環境白書、地方自治体の緑化計画資料などを参考にする
模擬問題・外部学習機会の活用
- 過去問は非公開のため、関連講座や勉強会に参加
- 樹木医補向け講習、自治体やNPOのセミナーが有効
学習スケジュールの立て方
- 出願から試験まで3か月程度
- 週10時間の学習を3〜6か月継続すると合格圏内
実地研修の備え
- 診断実習、グループ討議、修了テストあり
- 普段から「なぜこの処置を選んだか」を意識して記録
関連資格で基礎固め
- 樹木医補(登竜門的な資格)
- 造園施工管理技士
- 森林インストラクター
- 環境再生医
取得後に出来ること
樹木医として認定されると、樹木の専門家として多様な分野で活躍できます。診断・治療だけでなく、公共事業や環境教育にも関わることが可能です。
樹木の診断・治療業務
- 街路樹、公園樹、保存樹などの診断
- 病害虫や枯死の原因調査
- 空洞・倒木リスクの判定と処置
- 剪定、土壌改良、施肥などの治療提案と実施
名木・古木・文化財樹木の保全
- 神社や寺院のご神木・古木の診断と保護
- 文化財指定樹木の保全計画の立案
- 樹齢調査、樹勢維持のための環境整備
行政・公共事業への協力
- 自治体の緑化施策や公園計画への技術協力
- 都市緑地の安全管理、保全方針の策定
- 災害後の倒木調査や緊急対応の診断業務
民間でのコンサルティング活動
- 造園・土木業者への技術指導
- 開発地における既存樹木の保存アドバイス
- 企業緑化、商業施設の植栽管理への提案
地域活動・環境教育
- 市民向けの樹木観察会・講習会の講師
- 小中学校での自然学習や環境教育支援
- NPOや地域団体との緑地保全活動への参加
樹木医資格の信頼性と活用
- 名刺や公式プロフィールへの記載で信頼性向上
- 公共事業の入札要件に樹木医資格が指定されることもあり
- 自営業として独立・開業する際にも強い武器になる
活躍できる主なフィールド
- 造園会社、緑地管理会社
- 自治体(緑化部門、非常勤職員、専門委託)
- 建設コンサルタント、設計事務所
- NPO、市民団体
- フリーランスの樹木医(独立診断士)
その他資格一覧
準備中