歯科医師の指示のもと、歯や口腔(こうくう)の健康を維持するための専門的なケアを行う国家資格 です。
主に予防処置・診療補助・保健指導 の3つの業務を担当し、虫歯や歯周病の予防、口腔衛生管理、患者への指導などを行います。
■主催
(財)歯科医療研修振興財団
(社)日本歯科衛生士会
厚生労働省
目次
受験資格と難易度
1. 受験資格
歯科衛生士国家試験を受験するためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
① 歯科衛生士養成課程を修了する
- 文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した歯科衛生士養成施設(大学・短大・専門学校) で3年以上 の課程を修了すること。
- 2024年4月以降に入学した人は、「学士」または「専門士(歯科衛生)」の称号を取得することが必須。
② 海外で歯科衛生士の資格を取得し、厚生労働大臣の認定を受ける
- 日本以外の国で歯科衛生士の資格を取得し、日本の基準に適合すると認められた場合、受験資格が与えられる。
2. 試験の難易度
歯科衛生士国家試験の難易度は比較的低めで、しっかりと対策すれば合格しやすい試験とされています。
① 合格率
- 約90~95%(年度によって変動)
- 医療系国家資格の中では合格率が高い
② 出題範囲と難易度
- 基礎医学(解剖学・生理学・口腔解剖学)が重要
- 歯科予防処置・診療補助・保健指導の知識が必須
- 応用問題(実際の臨床ケースを想定した問題)が出題される
③ 合格基準
- 総得点の60%以上(年度によって変動)
- 必修問題は80%以上の正答が必要(30問中24問以上)
注意点:試験範囲が広いため、基礎医学・歯科予防・診療補助・公衆衛生の知識をバランスよく学習することが重要 です。
試験内容
1. 試験概要
- 試験形式:五肢択一のマークシート方式
- 試験時間:午前・午後の2部構成
- 合格基準
- 必修問題の得点率80%以上(30問中24問以上)
- 総合得点の60%以上
2. 試験科目と出題範囲
① 必修問題(30問)
- 歯科衛生士として必要な基礎知識を問う問題
- 80%以上の正答が必要(30問中24問以上)
主な出題内容
- 歯科衛生士の基本理念・倫理
- 歯・口腔・顎の解剖・生理・病理
- 口腔衛生管理の基本
- 感染予防・滅菌消毒の基礎知識
- 医療安全・医療倫理・関連法規
② 一般問題(170問)
- 基礎医学・臨床歯科医学・歯科衛生業務など、広範囲の知識が問われる
1. 基礎医学(解剖学・生理学・病理学など)
- 口腔の構造と機能(歯・歯周組織・顎関節)
- 口腔解剖学(歯の名称・形態・萌出時期)
- 口腔生理学(唾液・咀嚼・嚥下・味覚)
- 微生物学・病理学(虫歯・歯周病の原因菌、炎症のメカニズム)
2. 歯科予防処置
- スケーリング(歯石・プラークの除去)
- フッ素塗布の方法と効果
- シーラント処置(虫歯予防)
- 口腔衛生指導(歯ブラシ・補助清掃用具の使用方法)
3. 歯科診療補助
- 歯科治療の流れ(虫歯治療・歯周治療・補綴・小児歯科)
- バキューム操作・器具の準備・滅菌消毒の手順
- 歯科材料の種類と用途(印象材・セメント・レジン)
- 歯科用X線撮影の補助と安全管理
4. 歯科保健指導
- ライフステージごとの口腔ケア(妊婦・小児・高齢者)
- 食生活と口腔の健康(虫歯予防・栄養指導)
- 介護・訪問歯科診療における口腔ケア(誤嚥性肺炎予防)
5. 医療制度・法律・倫理
- 歯科衛生士法・医療法・介護保険制度
- チーム医療における歯科衛生士の役割
- 医療安全・インフォームドコンセント・個人情報保護
3. 合格基準
- 総合点の60%以上 の正答が必要(年度によって変動)
- 必修問題は80%以上の正答(30問中24問以上)
試験対策
1. 効果的な学習方法
① 基礎固め(6~4ヶ月前)
- 教科書・参考書を読み込み、重要ポイントを整理
- 解剖学・生理学・病理学・歯科衛生学を重点的に学習
- リハビリテーションの理論を理解する
- 予防処置・診療補助・保健指導の基礎知識を整理
- 医療制度・法律はまとめノートを作る
- 歯科衛生士法・医療法・介護保険法など
② 過去問演習(3~2ヶ月前)
- 最低5年分の過去問を解く
- 「なぜこの答えになるのか?」を理解しながら学習
- 頻出問題を重点的に対策
- 繰り返し出題されるテーマを優先
- 間違えた問題をノートにまとめる
- 弱点を可視化し、集中的に復習
③ 実践力をつける(1ヶ月前~)
- 時間を計って模試形式で演習
- 本番と同じ環境で解く
- 間違えた問題をリスト化し、最後まで克服する
2. 必修問題対策(合格ライン80%以上)
- 基礎医学(解剖・生理・病理)を重点的に学習
- 歯科予防処置・診療補助・保健指導の基礎知識を整理
- 法律・倫理問題は一問一答形式で対策
3. おすすめの教材・勉強法
① 教科書・参考書
- 「標準歯科衛生士学」シリーズ(医学書院)
- 「歯科衛生士国家試験対策テキスト」(医歯薬出版)
② 過去問・問題集
- 厚生労働省の公式過去問サイト
- 「歯科衛生士国家試験 過去問題5年分解説」(中央法規)
③ スマホアプリ・オンライン学習
- 歯科衛生士国家試験対策アプリ(過去問演習に便利)
- YouTubeの歯科衛生士向け講義動画(視覚的に理解しやすい)
取得後に出来ること
1. 医療分野での活躍
① 歯科医院・病院での歯科衛生業務
- 歯石やプラーク(歯垢)の除去(スケーリング)
- フッ素塗布やシーラント処置による虫歯予防
- 歯科医師の診療補助(器具準備・バキューム操作)
- 口腔内の型取り(印象採得)の補助
② 口腔外科・矯正歯科でのサポート
- インプラント手術や矯正治療の補助
- 矯正装置の管理・歯磨き指導
③ 訪問歯科・在宅医療
- 高齢者や障害者の口腔ケア
- 介護施設での歯科診療補助
- 誤嚥性肺炎予防のための口腔マッサージ
2. 福祉・介護分野での活躍
① 介護施設・高齢者施設
- 高齢者の口腔機能の維持・改善
- 義歯(入れ歯)の清掃・管理
- 摂食・嚥下機能訓練のサポート
② 障害者支援
- 障害を持つ方のためのオーラルケア
- 口腔衛生管理の指導
3. 教育・公衆衛生分野での活躍
① 学校・保健センターでの指導
- 乳幼児・小学生向けの歯科保健指導
- 正しい歯磨き指導・食生活アドバイス
② 歯科衛生士養成校の教員
- 歯科衛生士養成課程の指導・講義
- 臨床実習の指導
4. 企業・研究分野での活躍
① 歯科関連企業
- 歯科材料・口腔ケア製品の開発・販売
- 医療機器メーカーでの技術サポート
② 研究機関
- 口腔衛生に関する研究
- 歯科疾患予防のための調査・データ分析
5. キャリアアップ・資格の活用
① 認定歯科衛生士・専門歯科衛生士
- より専門的なスキルを習得し、特定分野でのスペシャリストとして活躍
② 大学院進学・研究職
- 口腔保健や歯科衛生学の研究
- 教育機関での講師・研究員