気象予報士

気象庁長官の許可を受けて予報業務を行おうとする者(民間の気象会社など業務として天気の予測を行う事業者、正確には予報業務許可事業者といいます)は、現象の予想を気象予報士に行なわせなければならないとされています。

この試験は、その合格者が現象の予想を適確に行うに足る能力を持ち、気象予報士の資格を有することを認定するために行うものです。

主催
(財)気象業務支援センター

受験資格と難易度

1. 受験資格

気象予報士資格には、特別な受験資格はなく、誰でも受験可能です。

  • 年齢: 制限なし
  • 学歴: 不問
  • 実務経験: 不要
  • 国籍: 問わず

このため、高校生から社会人、シニア層まで幅広い受験者が挑戦しています。

2. 試験難易度

気象予報士試験は国家資格の中でも非常に難易度が高いことで知られています。理由としては、専門的な知識に加えて、複雑な実技問題への対応力が求められるからです。

難易度が高い理由

  • 専門知識の広さ: 気象学だけでなく、熱力学や流体力学の基礎も問われます。
  • 実技試験の複雑さ: 実際の気象データを読み取り、予報文を作成する実践的な力が必要。
  • 計算問題の多さ: 学科試験・実技試験ともに物理計算が頻出。
  • 合格基準の厳しさ: 各試験で個別に60%以上の得点が必要。

3. 合格率

試験区分 合格率 難易度評価
学科試験 約20% ★★★☆☆
実技試験 約10% ★★★★☆
総合合格率 約5〜7% ★★★★★
  • 学科試験: 基礎力を問われますが、過去問題を反復することで対応可能。
  • 実技試験: 合格率が低く、実際の予報業務に近い問題で減点が厳しいです。

4. 難易度の比較(他資格との比較)

資格名 合格率 難易度比較
宅地建物取引士 約15% 易しい
気象予報士 約5〜7% 難関
社会保険労務士 約6% 難関
公認会計士(短答式) 約10% 非常に難しい

試験内容

学科試験(2科目)実技試験(1科目) で構成されています。学科試験に合格した後、実技試験に合格することで資格が取得できます。

1. 学科試験の内容

学科試験は以下の 一般知識専門知識 の2科目が出題されます。どちらも 60%以上の得点が合格基準です。

【1. 一般知識(気象学の基礎)】

気象の基本概念や理論を理解しているかが問われます。

出題範囲:
  • 大気の構造と性質:

    • 大気圧、温度変化、湿度の計算
    • 成層圏・対流圏の特性
  • 気象現象の仕組み:

    • 雲の形成と種類
    • 降水・雷・雪の発生メカニズム
  • 熱力学・流体力学の基礎:

    • エネルギー保存則、浮力の計算
    • 風の発生原因と流れの解析
  • 気候変動と地球環境問題:

    • 地球温暖化の影響
    • 異常気象の原因と予測

【2. 専門知識(予報技術)】

予報作成に必要な技術的な知識を問う科目です。

出題範囲:
  • 気象観測の方法:

    • 地上観測・高層観測の仕組み
    • 気象衛星・レーダー観測の活用
  • 数値予報モデルの理解:

    • モデルの構造とデータ処理方法
    • 予測誤差の原因と修正方法
  • 災害気象の予測:

    • 台風・集中豪雨・雷雨の予測方法
    • 地域ごとの災害リスク分析
  • 無線技術や情報伝達手段:

    • 気象通報システムの仕組み
    • 緊急情報の伝達方法

2. 実技試験の内容

実技試験は、実際の気象データや天気図を用いて、予報作成や解説ができるかを評価します。

試験構成:

  • 問題数: 2問
  • 試験時間: 2時間30分
  • 合格基準: 全体で60%以上の得点

実技試験の具体的な問題内容

(1) 天気図解析
  • 過去24時間の天気図を用いた気象現象の解析
  • 前線の位置や移動速度の推定
  • 高気圧・低気圧の動き予測
(2) 予報作成
  • 数値予報データを基に24時間後の天気図作成
  • 降水確率・気温・風速予測
(3) 災害対応シナリオ問題
  • 台風接近時の避難勧告基準の提示
  • 豪雨時の危険区域予測
(4) 解説文作成
  • 気象現象の原因や影響をわかりやすく説明
  • 一般向けに適した用語で文章作成

3. 試験形式と配点

試験区分 内容 配点 合格基準
学科試験 一般知識 50点 30点以上
学科試験 専門知識 50点 30点以上
実技試験 天気図解析・予報作成 100点 60点以上

試験対策

1. 全体的な勉強スケジュール

【勉強期間の目安】

  • 未経験者: 6か月〜1年
  • 理系出身者(物理・地学に強い方): 3〜6か月
  • 再受験者: 2〜4か月(弱点補強中心)

【勉強時間の目安】

  • 総勉強時間: 300〜500時間
  • 1日の勉強時間: 平日1〜2時間、週末3〜5時間

2. 学科試験対策

【一般知識(気象学の基礎)】

出題範囲とポイント
  • 大気の構造、雲の形成、気圧配置
  • 熱力学・流体力学の基本公式
  • 気象現象(降水・雷・台風)の仕組み
対策方法
  • 基本書の精読:
    • 『気象予報士試験 かんたん合格テキスト』などの市販テキストを1冊完璧に。
  • 計算問題の強化:
    • 熱力学や風速計算は毎日1問解いて計算ミスを減らす。
  • 動画教材の活用:
    • YouTubeの気象解説動画で視覚的に理解を深める。

【専門知識(予報技術)】

出題範囲とポイント
  • 数値予報モデルの使い方
  • 気象衛星やレーダー観測の利用法
  • 災害気象の予測技術
対策方法
  • 気象庁HPの活用:
    • 日常的に天気図や衛星画像を確認し、実務感覚を養う。
  • 過去問題演習:
    • 過去10年分の問題を解いて出題傾向を把握。
  • 模擬問題の反復練習:
    • 書店や予備校の問題集を繰り返し解く。

3. 実技試験対策

実技試験は最難関であり、天気図解析予報作成気象解説文の作成が求められます。

【試験範囲と内容】

  • 天気図から翌日の天気を予測
  • 数値データから降水量・気温・風向きの予測
  • 一般向けのわかりやすい解説文作成

【実技試験の対策方法】

1. 天気図の作成練習
  • 毎日、天気図を手で描く練習を実施。
  • 気象庁の週間天気図で実際のデータを確認。
2. 予報作成の訓練
  • 数値予報資料を用いて自分で予報を立てる。
  • 模擬問題で、降水や風速の精度向上を意識。
3. 文章表現の練習
  • 解説文は「専門用語を避け、一般向けの説明」を意識。
  • 実際のニュース解説を参考に、短くわかりやすい文章を練習。

4. おすすめの勉強法と教材

勉強方法 内容 おすすめ教材
基礎固め テキストで気象学の基本を学習 『気象予報士試験 かんたん合格テキスト』
過去問演習 過去10年分を繰り返し解く 気象業務支援センターの過去問集
実技試験対策 天気図作成、予報文作成 『気象予報士 実技試験の攻略法』
映像学習 視覚的に理解を深める YouTube「気象予報士講座」
模擬試験 試験形式に慣れる 通信講座や予備校の模試

5. よくある失敗とその対策

よくある失敗 対策方法
計算ミスが多い 日常的に計算練習を実施。途中式を省略しない。
時間が足りなくなる(実技試験) 模擬試験で時間を計り、時間配分を習得。
天気図の読み違い 毎日天気図を確認してパターンを覚える。
解説文がわかりにくい ニュース解説を真似して、短く簡潔に書く練習。
暗記だけで理解不足 理解重視で学び、実際に予報を立てて確認。

取得後に出来ること

取得すると、気象情報の専門家として多方面での活躍が可能になります。資格保持者は、法律に基づいて天気予報や気象解説を業務として行える唯一の存在です。

1. 業務でできること

【1. 気象予報関連業務】

  • テレビ・ラジオの気象キャスター:

    • 天気予報番組での解説やコメント提供
    • 災害時の緊急気象情報の発信
  • 新聞・ウェブメディアの気象コラム執筆:

    • 季節の天候解説記事や災害警戒情報の執筆
  • 民間気象会社での予報作業:

    • 天気図解析、数値予報モデルの解析
    • クライアント向けの詳細な気象レポート作成

【2. 防災・リスク管理業務】

  • 自治体・公共機関での防災業務:

    • 地域住民向けの防災講座開催
    • 災害発生時の気象リスク評価
  • 企業での気象リスクマネジメント:

    • 建設業界での作業計画の天候リスク分析
    • 運輸・物流業界での安全運行計画作成

【3. 専門技術・研究分野】

  • 大学や研究機関での気象研究:

    • 気象現象のメカニズム研究
    • 地球温暖化や異常気象の予測モデル開発
  • 気象関連商品の開発・技術支援:

    • 天候に影響される農業・漁業向けのアドバイス提供
    • 気象データを用いたマーケティング支援

2. 趣味・個人活動でできること

  • 個人のブログやSNSでの天気解説:

    • 日常の天気情報をわかりやすく発信
    • フォロワーからの信頼度向上や副収入の可能性
  • 防災啓発活動への参加:

    • 地域イベントでの講演や防災訓練指導
    • 子ども向けの天気に関する教育活動

3. 資格取得後のキャリアパス

活用方法 活躍フィールド 備考
気象キャスター メディア業界 コミュニケーション能力が重要
企業の気象担当 建設、物流、農業、航空業界 産業別に気象情報の応用が可能
防災アドバイザー 自治体・官公庁 災害時の緊急対応能力が求められる
研究職 大学・研究機関 大学院進学で研究職の道も広がる
フリーランス 執筆、講演、オンライン講座 自由な働き方が可能

4. 取得後のメリット

  • 社会的信頼の向上:
    資格取得者としてメディア出演や講演の機会が増加。

  • 収入の増加:
    フリーランスでの天気解説業務や講師業務で副収入獲得。

  • 災害時の貢献:
    地域防災や緊急時に人命救助に役立つ情報提供が可能。

  • 趣味の充実:
    登山や釣りなど天候に影響される趣味がより安全・快適に。

5. 関連資格・ステップアップ

資格取得後、さらに専門性を高めたい場合は以下の資格取得も視野に入れられます。

  • 防災士: 防災に関する知識を広げ、自治体や企業での活動に役立つ。
  • 海技士(気象科): 船舶運航に必要な専門的な気象知識を取得可能。
  • 環境計量士: 環境計測に関する知識を深め、気象データの精度向上に貢献。

6. 実際の活躍例

  • テレビの有名キャスター:
    気象予報士としてニュース番組で活躍。

  • 企業の気象コンサルタント:
    建設現場での作業安全性向上に貢献。

  • フリーランスの講師:
    オンライン講座で全国の受講者に知識提供。

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