溶接作業指導者

溶接技術者の育成や現場での指導を行う専門的な資格です。この資格を取得することで、溶接作業の品質向上や安全管理の推進に寄与することができます。

溶接作業指導者資格の概要

溶接作業指導者資格は、溶接技術者に対する教育・指導を行う能力を認定する資格です。この資格を持つことで、溶接現場での作業指導や教育プログラムの策定、品質管理の推進など、多岐にわたる業務を担当することが可能となります。

主催
(社)日本溶接協会

受験資格と難易度

受験資格

溶接作業指導者資格の受験資格は、主に以下の要件を満たすことが必要とされています。

  • 溶接に関する実務経験:​一定期間の溶接作業の実務経験が求められます。具体的な年数は認定機関によって異なりますが、一般的には数年以上の経験が必要とされます。

  • 関連資格の保有:​溶接技能者資格や溶接管理技術者資格など、関連する資格の取得が受験の前提条件となる場合があります。

詳細な受験資格については、各認定機関の公式ウェブサイトや募集要項を確認することが重要です。

難易度

溶接作業指導者資格の難易度は、以下の点から比較的取得しやすいとされています。

  • 講習の受講:​所定の講習(通常3日間)を受講し、最終日に行われる筆記試験に合格することで資格を取得できます。

  • 合格率:​講習を受講し、筆記試験に合格することで取得可能であり、合格率は比較的高いとされています。

ただし、受験者の実務経験や事前の準備状況によって難易度は変動する可能性があります。

試験内容

3日間の講習会と最終日に実施される筆記試験で構成されています。以下に、各日の講習内容と筆記試験について詳しく説明します。​

講習会の内容

講習会は3日間にわたり実施され、各日のテーマは以下の通りです。

1日目

  • 溶接指導の一般知識、非破壊試験

    • 溶接作業指導者としての役割や責任、基本的な指導方法について学びます。

    • 非破壊試験の種類や方法、溶接部の検査技術についての知識を深めます。

  • 被覆アーク溶接・厚板と高張力鋼の溶接及び切断

    • 被覆アーク溶接の原理や技術、厚板や高張力鋼の溶接および切断方法について学習します。

2日目

  • 半自動アーク溶接・薄板の溶接

    • 半自動アーク溶接の技術や装置の操作方法、薄板の溶接技術について学びます。
  • ティグ溶接・ステンレス鋼の溶接

    • ティグ(TIG)溶接の原理や技術、ステンレス鋼の特性とその溶接方法について学習します。

3日目

  • 溶接における品質管理と作業管理

    • 溶接作業における品質管理の手法や作業管理の方法、効率的な作業の進め方について学びます。
  • 溶接構造物の強度と設計、安全衛生とその管理

    • 溶接構造物の設計や強度計算、安全衛生管理の重要性と具体的な対策について学習します。

筆記試験

講習会の最終日(3日目)の終了後に、筆記試験が実施されます。試験内容は、3日間の講習で学んだ内容から出題されます。具体的な試験科目や出題範囲は以下の通りです。

  • 溶接指導の一般知識

    • 溶接作業指導者の役割、指導方法、倫理観などに関する問題が出題されます。
  • 非破壊試験

    • 非破壊試験の種類、原理、適用方法、結果の評価などについての問題が出題されます。
  • 被覆アーク溶接

    • 被覆アーク溶接の技術、装置の操作方法、適用範囲などに関する問題が出題されます。
  • 厚板と高張力鋼の溶接及び切断

    • 厚板や高張力鋼の特性、それらの溶接および切断方法、注意点などについての問題が出題されます。
  • 半自動アーク溶接

    • 半自動アーク溶接の技術、装置の操作方法、適用範囲などに関する問題が出題されます。
  • 薄板の溶接

    • 薄板の特性、溶接方法、注意点などについての問題が出題されます。
  • ティグ溶接

    • ティグ溶接の技術、装置の操作方法、適用範囲などに関する問題が出題されます。
  • ステンレス鋼の溶接

    • ステンレス鋼の特性、溶接方法、注意点などについての問題が出題されます。
  • 溶接における品質管理と作業管理

    • 品質管理の手法、作業管理の方法、効率的な作業の進め方などについての問題が出題されます。
  • 溶接構造物の強度と設計

    • 溶接構造物の設計方法、強度計算、材料選定などに関する問題が出題されます。
  • 安全衛生とその管理

    • 溶接作業における安全衛生管理の重要性、具体的な対策、法令遵守などについての問題が出題されます。

試験は、講習会で配布されるテキストや資料から出題されるため、講習内容をしっかりと復習することが重要です。

また、試験の合格率は高いとされていますが、確実に合格するためには、講習中の講義を集中して聴講し、理解を深めることが大切です。

試験対策

取得するためには、3日間の講習を受講し、最終日の筆記試験に合格 する必要があります。

試験の合格率は比較的高いですが、確実に合格するためには講習内容をしっかり理解し、効果的な試験対策を行うことが重要です。ここでは、試験対策のポイントを詳しく説明します。

効果的な学習方法

試験対策を効果的に進めるための学習方法を紹介します。

(1) 公式テキストの徹底活用

  • 講習会で 配布されるテキスト が試験問題の基礎となるため、講習後に復習することが最も重要 です。
  • 各章のポイントをノートにまとめ、図解やキーワードを活用 して覚える。

(2) 過去問題を活用

  • 過去の試験問題を入手し、繰り返し解く
  • 頻出問題を特定し、重点的に学習
  • 正解・不正解の理由を確認し、知識を定着

(3) 模擬試験を実施

  • 1回 30~60分で模擬試験を実施 し、試験の形式に慣れる
  • 時間制限を設けて本番と同じ環境で練習
  • 間違えた問題は必ず復習し、類似問題を解く

(4) 実務経験を活かした学習

  • 日常業務と関連付けて理解する と知識の定着が早い
  • 現場での作業を思い出しながら「なぜこの方法が適切なのか?」を考えながら学習
  • 可能であれば 職場の経験者と議論 し、実際のケーススタディを学ぶ

取得後に出来ること

取得すると、溶接技術者の指導・教育、現場の品質管理、安全管理、教育プログラムの運営 など、幅広い業務を担当できるようになります。

特に、企業内での技術指導や教育、溶接作業の最適化に関与できるため、キャリアアップや昇進のチャンスが広がります。

1. 溶接技術者の指導・教育

この資格を取得すると、新人技術者や経験の浅い溶接工の指導者として活躍 することができます。

(1) 社内教育の担当

  • 新入社員・若手溶接工への技術指導
    • 溶接技術の基本(TIG、MIG、アーク溶接など)の指導
    • 材料の特性や適切な溶接条件の選定
    • 実技訓練の指導、フィードバックの提供
  • 社内研修・講習の企画
    • 定期的な技能向上講習の開催
    • 溶接技術試験(JIS Z 3811など)の合格支援
    • 実際の業務に即した教育カリキュラムの作成
  • 教育プログラムの策定
    • 技能評価制度の導入(各作業者の技術レベルに応じた教育)
    • 溶接トレーニングの計画(模擬試験や実技テストの実施)

企業内で技術者育成を担当し、品質向上に貢献できる。

2. 溶接作業の品質管理

  • 溶接品質の向上
    • 現場での溶接作業の指導を行い、欠陥の少ない高品質な溶接を実現
    • 適切な溶接パラメータ(電流・電圧・シールドガスなど)の設定指導
    • 溶接部の検査・評価(曲げ試験、非破壊検査の結果確認)
  • 溶接欠陥の対策
    • ピット・ブローホール・クラックなどの溶接欠陥を防ぐ方法を指導
    • 材料の選定や適切な溶接姿勢の指導
    • 実際の不良事例を基に、現場で改善策を立案
  • ISO・JIS規格に基づいた品質保証
    • JIS Z 3811(溶接技能者評価試験)の基準を満たす品質管理
    • ISO 9606(国際溶接技能資格)への適合性チェック

品質管理部門と連携し、溶接作業の信頼性を向上させる役割を担う。

3. 溶接作業の安全管理

  • 作業環境の改善
    • 溶接ヒューム・有害ガスへの対策指導
    • 防護具(マスク、手袋、エプロン)の適切な使用指導
    • 火災・感電リスクの軽減策の導入
  • 安全教育の実施
    • 作業員に対する労働安全衛生法に基づく教育
    • 溶接設備の定期点検・保守の実施
    • 事故・トラブル発生時の対応マニュアル作成

職場の安全性を向上させ、労働災害のリスクを軽減する役割を果たす。

4. 企業内の昇進・キャリアアップ

溶接作業指導者資格を取得することで、企業内での昇進や管理職へのステップアップが可能になる。

  • 職長・リーダー職への昇格
    • 現場の溶接責任者として、技術者の指導や工程管理を担当
    • 溶接品質向上のための改善提案を行う
  • 品質管理責任者(QC)
    • 溶接部品の品質保証、不良率の低減
    • 溶接検査・非破壊検査(UT・RT・MT)の監督
  • 溶接施工管理技士(国家資格)の取得が有利
    • 建設業界での施工管理技士(溶接分野)のキャリアに進む際に有利
    • 建築・造船・プラント業界での管理職にステップアップ

管理職候補として、給与アップや役職昇進の可能性が広がる。

5. フリーランス・独立開業

  • 溶接指導の専門家として独立
    • 企業向けの溶接技術コンサルタント
    • 溶接トレーニングセンターの開設
    • 溶接技能試験対策の講師として活動
  • 溶接技術者の派遣・請負業
    • 自動車・航空機・造船・建築分野でのフリーランス溶接管理者
    • 高単価の業務契約(時給3,000円以上の案件もあり)

溶接技術の専門家として、独立して活躍することも可能。

6. 他の上位資格へのステップアップ

溶接作業指導者資格を取得した後、さらに高度な資格を取得することで、より専門性の高い業務に携わることが可能になる。

  • 溶接管理技術者資格(WES 8103)
    • 溶接工程の監督、溶接作業の最適化・品質保証
    • 溶接施工管理業務の責任者としてキャリアアップ
  • 非破壊検査技術者(NDT資格)
    • 超音波探傷試験(UT)
    • X線透過試験(RT)
    • 溶接部の欠陥検査、品質保証の専門家として活躍
  • 国際溶接技術者資格(IWE・IWT)
    • IWE(International Welding Engineer):国際溶接技術者
    • IWT(International Welding Technologist):国際溶接技術士
    • 海外の溶接プロジェクトにも関われるキャリアを築く

資格を活かして、より高度な溶接技術の専門職を目指すことが可能。

工業系資格一覧

技術士
ガス溶接技能者
公害防止管理者
ボイラー技士
ボイラー整備士
ボイラー溶接士
ガス溶接作業主任者
ボイラー取扱技能講習
溶接作業指導者
溶接管理技術者
アルミニウム溶接技能者評価試験

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