潜水士

日本国内で業務として潜水作業を行う際に必要な国家資格です。労働安全衛生法に基づき、潜水作業の安全確保を目的としています。

この資格がないと、商業潜水や建設現場での潜水作業など、業務に関連する潜水作業はできません。

資格の必要性

潜水作業には、圧力変化による健康リスクや水中での事故の危険が伴います。そのため、潜水士資格を取得することで、以下の知識とスキルが身に付きます。

  • 潜水作業の安全管理
  • 潜水生理や潜水病(減圧症)の理解
  • 潜水用具の使用方法
  • 緊急時の対応方法

主催
(財)安全衛生技術試験協会

受験資格と難易度

受験資格

潜水士資格の受験資格には特別な制限がなく、以下の条件を満たせば誰でも受験できます。

  • 年齢制限: なし(ただし、実務では18歳以上が望ましい場合があります)
  • 学歴制限: なし
  • 実務経験: 不要
  • 性別・国籍: 問わない

試験の難易度

難易度の目安

潜水士試験は、業務に必要な知識を問う筆記試験のみで、実技試験はありません。比較的取得しやすい資格とされ、**合格率は約60〜80%**と高めです。

科目別難易度

科目名 難易度 ポイント
潜水業務 易〜中 作業手順と基本用語の理解が重要
潜水生理 減圧症や人体への影響など、用語暗記が必要
潜水用具 機材の種類・使用法の基礎知識で対応可能
関係法令 中〜難 労働安全衛生法の条文理解がカギ

難易度を左右する要素

  1. 法令の理解: 条文の暗記が苦手な場合は難易度が上がる傾向。
  2. 生理学の知識: 減圧症や気体の圧力変化に関する基礎物理の理解が必要。
  3. 過去問対策: 過去問演習を重ねることで問題傾向がつかめ、難易度が大幅に下がる。

試験内容

筆記試験のみで構成され、実技試験はありません。試験は主に以下の4科目で構成されており、各科目の知識がバランスよく問われます。

試験概要

  • 試験形式: 四肢択一式(マークシート方式)
  • 問題数: 全40問(各科目10問程度)
  • 試験時間: 約3時間
  • 合格基準: 各科目で60%以上の正答率が必要(1科目でも基準未達だと不合格)

科目別の詳しい内容

1. 潜水業務

内容概要

潜水作業の方法、手順、安全対策など実務に直結する知識が問われます。

主な出題範囲
  • 潜水作業の種類(自由潜水、ヘルメット潜水、スクーバ潜水など)
  • 潜水作業時の安全手順
  • 潜水作業における緊急時対応
  • 潜水環境に関する基本的な知識

2. 潜水生理

内容概要

人間の身体が水中環境でどのように影響を受けるかについて問われます。潜水士として最も重要な知識が含まれています。

主な出題範囲
  • 減圧症(潜水病)の原因と予防方法
  • 窒素酔い、酸素中毒のリスクと対処法
  • 水圧が人体に及ぼす影響
  • 循環器や呼吸器に関する基本的知識

3. 潜水用具

内容概要

潜水機材の種類、構造、使用方法、メンテナンス方法などが出題されます。用具の適切な取り扱いは安全作業の基本です。

主な出題範囲
  • スクーバ機材(レギュレーター、BCD、シリンダー)の構造と使用法
  • ヘルメット潜水装備の特徴
  • 圧縮空気供給装置の取り扱い
  • 水中通信装置や照明機器の使用方法

4. 関係法令

内容概要

潜水業務に関連する労働安全衛生法や関連規則が問われます。法令科目は暗記要素が多く、特に注意が必要です。

主な出題範囲
  • 労働安全衛生法(潜水作業に関する条文)
  • 労働安全衛生規則
  • 潜水作業計画の作成基準
  • 緊急時の報告義務や安全確保の責任者の役割

試験対策

1. 試験の全体像と戦略

1.1 試験形式の再確認

科目名 形式 難易度 重点対策
潜水業務 四肢択一式 易~中 基本用語と安全手順の理解
潜水生理 四肢択一式 中~難 減圧症・窒素酔い・気圧変化の理解
潜水用具 四肢択一式 機材の種類と用途の暗記
関係法令 四肢択一式 中~難 労働安全衛生法・安全規則の暗記
  • 試験時間: 約3時間
  • 問題数: 40問(各科目10問程度)
  • 合格基準: 各科目60%以上の正解が必要(1科目でも基準未達なら不合格)

2. 科目別試験対策

2.1 潜水業務(基礎理解)

勉強法
  • 用語を正確に覚える(自由潜水・ヘルメット潜水などの違い)
  • 安全対策の手順を学ぶ
  • 作業中のリスクと緊急対応策を理解
頻出ポイント
  • 潜水作業の種類(スクーバ潜水、ヘルメット潜水、送気式潜水)
  • 潜水作業の安全対策(バディシステム、浮上手順)
  • 緊急時の対応方法(意識不明時の救助手順)

2.2 潜水生理(試験の最難関)

勉強法
  • 減圧症や窒素酔いの原因・症状を整理
  • 圧力変化が人体に及ぼす影響を理解
  • 酸素・窒素・二酸化炭素の関係を覚える
頻出ポイント
  • 減圧症(潜水病) → 「体内の窒素が気泡化する現象」
  • 窒素酔い → 「深度30m以上で発生し、意識障害を起こす」
  • 酸素中毒 → 「高濃度酸素を長時間吸うと発生」
  • 呼吸器・循環器系の影響 → 「水圧による肺の圧縮や血中ガスバランス」

2.3 潜水用具(暗記科目)

勉強法
  • 機材ごとの特徴を整理(スクーバ vs 送気式潜水)
  • 酸素・空気供給装置の仕組みを理解
  • トラブル時の対処法を学ぶ
頻出ポイント
  • スクーバ機材の構成(BCD・レギュレーター・シリンダー)
  • 圧縮空気供給装置の構造
  • 水中通信装置の種類
  • 潜水計器(残圧計・深度計)の読み方

2.4 関係法令(最も暗記が必要な科目)

勉強法
  • 労働安全衛生法の条文を整理
  • 潜水作業の法的規則を覚える
  • 危険予防の法令基準を理解
頻出ポイント
  • 労働安全衛生法(潜水作業関連)
  • 潜水士の責任と義務
  • 緊急時の報告義務(事故発生時の措置)
  • 潜水作業の計画・実施要件

3. 効率的な勉強スケジュール

3.1 学習期間別の勉強計画

学習期間 1日の学習時間 勉強内容
1ヶ月前 1~2時間 基礎テキスト+過去問演習
2週間前 2~3時間 重点科目(潜水生理・関係法令)強化
1週間前 3時間以上 模擬試験で時間配分の確認
前日~試験当日 1時間 直前チェック(法令・減圧症)

3.2 重要な試験対策ポイント

  • 過去問を3回以上解く(出題傾向が固定されている)
  • 暗記カードを作成し、法令や生理学を反復学習
  • 図やイラストを活用し、潜水機材の構造をイメージする
  • 模擬試験で時間配分を確認し、焦らない訓練をする

4. 試験直前・当日の注意点

4.1 前日対策

  • 直前に法令や減圧症の重要ポイントを復習
  • 夜更かしせず、しっかり睡眠をとる

4.2 試験当日の持ち物

  • 受験票
  • 筆記用具(黒鉛筆・消しゴム)
  • 時計(スマートウォッチは不可)
  • 飲み物(リラックス用)

4.3 試験中のポイント

  • 時間配分を意識(各科目30~40分が目安)
  • 悩んだ問題は飛ばし、最後に戻る
  • 見直し時間を確保する(誤記・マークミス防止)

取得後に出来ること

取得すると、業務として潜水作業に従事できるようになります。これは、労働安全衛生法に基づき、仕事で水中作業を行う場合に必須の資格です。

趣味でのスキューバダイビングには必要ありませんが、建設現場や調査業務での水中作業を行うには、この資格がないと働けません。

1. 主な活躍分野と業務内容

1.1 建設・インフラ関連

潜水士は、建設現場での水中作業に不可欠です。特に、港湾やダム、橋梁の建設や補修作業で活躍します。

具体的な業務例
  • 港湾施設の建設・保守

    • 防波堤や護岸の設置作業
    • 桟橋の補修作業
  • ダムや水門の点検・修理

    • ダムの水中構造物の調査
    • 水門の開閉装置の点検
  • 橋脚の水中工事

    • 橋梁基礎部分の溶接や削岩作業
    • 橋脚の劣化部分の補修

1.2 水中溶接・切断作業

建設現場では、金属構造物の溶接や切断作業が求められることが多く、潜水士資格が必要です。

具体的な業務例
  • 船舶の船底やスクリューの修理
  • 海底パイプラインの接合作業
  • 水中構造物の切断作業

1.3 船舶関連業務

港での船舶メンテナンスや沈船調査などでも、潜水士のスキルが求められます。

具体的な業務例
  • 船体清掃やスクリューの点検・補修
  • 船底の損傷検査
  • 海難事故時の沈船引き上げ作業

1.4 水中調査・探査業務

海洋開発や環境調査、海底資源の探査にも潜水士は欠かせません。

具体的な業務例
  • 海洋環境モニタリング
  • 海底地形の測量
  • 魚礁や人工リーフの設置・調査

1.5 消防・警察の特殊業務

災害現場や水難事故の現場では、消防や警察の潜水士が救助・捜索に従事しています。

具体的な業務例
  • 水難救助活動
  • 河川や海での遺体捜索
  • 災害時の水中捜索活動

1.6 映像・メディア関連業務

テレビや映画の水中撮影、ドキュメンタリー制作でも潜水士の技術が必要な場合があります。

具体的な業務例
  • 水中撮影補助
  • 海洋生物の撮影調査
  • 水族館での清掃やショーサポート

2. 潜水士の活用事例

活用分野 具体的な仕事 活躍する現場
建設業 橋脚基礎工事、護岸補修 港湾施設、橋梁現場
船舶保守 船底清掃、スクリュー修理 造船所、港湾
環境調査 海洋生物調査、海底測量 海洋開発プロジェクト
災害救助 水難事故捜索、沈船引き上げ 消防、海上保安庁
メディア業界 ドキュメンタリー水中撮影 放送局、映画制作現場
水族館関連 水槽内清掃、展示物設置 水族館

3. 潜水士資格取得後のキャリアパス

3.1 専門性を高める進路

  • 高気圧作業主任者資格: 潜水後の減圧作業を指導する立場になれる
  • 水中溶接技術資格: 工事現場での需要が高く、給与アップも期待
  • 潜水調査士資格: 環境調査や海洋開発分野でキャリアアップ

3.2 高収入が期待できる職種

  • 水中溶接工: 危険手当が付くことが多く、平均給与が高い
  • 船舶メンテナンス: 定期的な作業需要があり、安定収入が可能
  • 海底ケーブル敷設作業: 海外での作業もあり、報酬が高いケース多数

4. 潜水士の年収と待遇

4.1 平均年収

  • 初年度年収: 約350万円〜450万円
  • 経験3年以上: 約500万円〜700万円
  • 特殊作業従事者(水中溶接・海底作業): 800万円以上も可能

4.2 待遇・福利厚生

  • 危険手当や特別手当が付くことが多い
  • 大手建設会社勤務なら社会保険・福利厚生が充実
  • 国際案件に参加すると、短期間で高収入を得られることも

5. 潜水士資格取得後の注意点

  • 健康管理が重要: 潜水作業には定期的な健康診断が必須。
  • 継続的な技術習得: 技術向上のため、定期的な講習や研修に参加する必要がある。
  • 危険回避意識を持つ: 潜水作業は常にリスクが伴うため、最新の安全知識を維持

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