日本において無線設備の操作や管理を行うために必要な国家資格です。無線通信の種類や用途に応じて、さまざまな資格が存在し、それぞれに取得要件や業務範囲が異なります。
無線従事者資格の種類
無線従事者資格は大きく分けて以下のようなカテゴリがあります。
1. 無線通信士系資格
主に船舶・航空機・国際通信などで無線通信を行う場合に必要です。
- 第一級海上無線通信士
- 国際航海に従事する船舶や無線設備の保守・操作を担当。
- 第二級海上無線通信士
- 国内航海用の船舶無線通信に従事。
- 第三級海上無線通信士
- 短距離通信を行う船舶で使用。
- 航空無線通信士
- 航空機の無線通信や航空管制に対応。
無線技術士系資格
無線設備の設計や保守管理を行うための資格です。
- 第一級陸上無線技術士
- 大規模な無線設備(テレビ・ラジオ局、中継局、携帯基地局)の設計・管理。
- 第二級陸上無線技術士
- 中規模な無線設備の設計や保守に従事。
- 第三級陸上無線技術士
- 小規模無線設備の運用管理。
3. アマチュア無線技士
個人で趣味として無線を使用する場合に必要です。
- 第一級アマチュア無線技士
- 高出力無線設備の操作が可能。
- 第二級アマチュア無線技士
- 中出力までの無線設備を操作。
- 第三級アマチュア無線技士
- 基本的な無線通信が可能。
- 第四級アマチュア無線技士
- 入門レベルで簡単な通信が対象。
4. その他の資格
- 陸上特殊無線技士(第一級・第二級・第三級)
- 携帯基地局や公共無線の保守。
- 海上特殊無線技士(第一級・第二級・第三級)
- 小型船舶の無線通信を担当。
- 航空特殊無線技士
- 空港施設での無線通信に対応。
■主催
(財)日本無線協会
目次
受験資格と難易度
1. 無線通信士系資格
第一級海上無線通信士
- 受験資格: 年齢や学歴などの制限はなし(誰でも受験可能)
- 難易度: ★★★★★(非常に難しい)
- 無線工学、電気通信術(モールス符号含む)、英語試験が含まれ、高度な知識が必要。
- 合格率: 約20〜30%
第二級海上無線通信士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★★★☆(難しい)
- 第一級より範囲は狭いが、無線技術や法規の理解が必須。
- 合格率: 約30〜40%
第三級海上無線通信士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★★☆☆(中程度)
- 実務向けで、比較的基本的な知識が問われる。
- 合格率: 約50〜60%
航空無線通信士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★★★☆(難しい)
- 航空無線の専門知識と英語力が問われる。
- 合格率: 約30〜40%
2. 無線技術士系資格
第一級陸上無線技術士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★★★★(非常に難しい)
- 高度な無線工学、通信理論の深い理解が必要。
- 合格率: 約10〜20%
第二級陸上無線技術士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★★★☆(難しい)
- 第一級よりは範囲が狭いが、無線関連の実務知識が必要。
- 合格率: 約30〜40%
第三級陸上無線技術士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★☆☆☆(やや易しい)
- 基本的な無線設備の知識で合格可能。
- 合格率: 約60〜70%
3. アマチュア無線技士
第一級アマチュア無線技士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★★★☆(難しい)
- 電気工学や無線技術の深い知識が求められる。
- 合格率: 約20〜30%
第二級アマチュア無線技士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★★☆☆(中程度)
- 合格率: 約40〜50%
第三級アマチュア無線技士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★☆☆☆(やや易しい)
- 合格率: 約70〜80%
第四級アマチュア無線技士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★☆☆☆☆(非常に易しい)
- 最も簡単で、初心者向け。
- 合格率: 約90%以上
4. 陸上・海上・航空特殊無線技士
第一級陸上特殊無線技士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★★☆☆(中程度)
- 合格率: 約50%
第三級海上特殊無線技士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★☆☆☆(やや易しい)
- 合格率: 約80%
航空特殊無線技士
- 受験資格: 制限なし
- 難易度: ★★☆☆☆(やや易しい)
- 合格率: 約70〜80%
受験資格まとめ
資格種別 | 受験資格 | 難易度 | 合格率(目安) |
---|---|---|---|
第一級海上無線通信士 | 制限なし | ★★★★★ | 約20〜30% |
第二級海上無線通信士 | 制限なし | ★★★★☆ | 約30〜40% |
第一級陸上無線技術士 | 制限なし | ★★★★★ | 約10〜20% |
第二級陸上無線技術士 | 制限なし | ★★★★☆ | 約30〜40% |
第一級アマチュア無線技士 | 制限なし | ★★★★☆ | 約20〜30% |
第四級アマチュア無線技士 | 制限なし | ★☆☆☆☆ | 約90%以上 |
第一級陸上特殊無線技士 | 制限なし | ★★★☆☆ | 約50% |
航空特殊無線技士 | 制限なし | ★★☆☆☆ | 約70〜80% |
試験内容
1. 試験科目の共通項目
(1) 無線工学
無線通信の原理や技術に関する内容です。
- 電磁気学の基礎
- 回路理論(直流・交流回路、フィルタ回路など)
- 無線設備の構成と動作原理
- アンテナと伝搬(電波の伝わり方、反射・屈折・減衰)
- 変調・復調技術(AM, FM, SSB, デジタル変調など)
- 無線機器の測定方法
(2) 法規
無線の運用に関する法律や規則を学びます。
- 電波法および関連法令
- 無線局運用規則
- 無線設備の技術基準
- 無線通信に関する国際条約(必要な場合のみ)
- 違反時の罰則規定
(3) 通信術(特定資格のみ)
モールス符号の送受信能力や通信手順が問われます(無線通信士系資格に限る)。
- 国際モールス信号の解読
- 符号の送信速度(20字/分程度)
- 無線通信における実務的な符号交換
(4) 英語(特定資格のみ)
海上・航空関係の資格では通信に必要な英語力も評価されます。
- 航空・海上無線で使用される英語通信文の理解
- 実務的な英語の指示文読解
2. 資格別の試験内容詳細
第一級海上無線通信士
- 無線工学: 高度な回路理論、無線設備の設計・運用
- 法規: 国際通信関連法規、国内無線法
- 通信術: モールス符号の実技(聴取・送信)
- 英語: 通信に必要な基礎英語(航海用語含む)
第二級陸上無線技術士
- 無線工学: 中規模無線設備の構成・保守
- 法規: 国内の電波法関連規定
- ※通信術・英語は不要
第一級陸上無線技術士
- 無線工学
- マイクロ波伝搬、デジタル通信技術
- 無線中継・衛星通信技術
- 法規
- 放送局運営に関わる法的知識
- 特徴: 無線技術の最高難易度
アマチュア無線技士(第四級の場合)
- 無線工学: 基本用語、簡単な回路知識
- 法規: 初心者向けの電波法規則
- 特徴: 暗記中心で比較的易しい
3. 試験形式と出題傾向
資格種別 | 科目 | 出題形式 | 問題数 | 試験時間 |
---|---|---|---|---|
第一級海上無線通信士 | 無線工学・法規等 | 選択+記述・実技 | 約50問 | 各科目60分 |
第一級陸上無線技術士 | 無線工学・法規 | 選択+計算問題 | 約60問 | 各科目90分 |
第四級アマチュア無線技士 | 無線工学・法規 | 選択式(4択) | 各科目20問 | 各科目30分 |
4. 難易度別の試験対策
-
上級資格(第一級・第二級)
- 計算問題(無線工学)が多く、公式暗記や過去問演習が重要。
- 法規は細かい規則が問われるため条文暗記必須。
-
初級資格(第三級・第四級)
- 過去問の反復で合格可能。
- 法規科目は用語の意味を理解しつつ暗記。
5. 合格基準
- 無線工学・法規: 各科目で 60%以上 の得点が必要
- 通信術・英語(該当者のみ): 70%以上 の正答率を要求
試験対策
1. 試験対策の全体戦略
(1) 試験概要の把握
- まずは自分が受験する資格の試験科目、問題形式、配点、合格基準を確認します。
- 出題範囲の公式ガイドラインや過去問題集を入手して、全体像を把握しましょう。
(2) 学習計画の作成
- 目標試験日から逆算してスケジュールを立てる
- 週単位で学習内容を分割
- 無線工学、法規、通信術(該当する場合)ごとに曜日を割り振ると効率的です。
2. 科目別の具体的な対策方法
(1) 無線工学対策
基礎理解(初期段階)
- 無線の基本用語を理解する(周波数、波長、電圧、電流など)。
- 電気回路の基本法則(オームの法則、キルヒホッフの法則)をマスターする。
応用力養成(中期段階)
- 変調・復調、伝搬特性、アンテナ理論の問題に取り組む。
- 計算問題の攻略
- 問題文から数値を整理して公式を当てはめる練習を繰り返す。
- よく出題される公式(電力計算、dB計算、周波数変換)を暗記。
実践演習(直前期)
- 過去問5年分を最低3回繰り返す。
- 解けなかった問題は必ず解説を読み込み、類題を解く。
(2) 法規対策
初期段階
- 電波法の目的や無線局運用規則の基本事項を暗記。
- 重要ポイント
- 無線設備の免許要件
- 使用できる周波数帯域
- 違反行為と罰則
中期段階
- 問題集を使い、選択肢問題で正しい選択肢を素早く見極める訓練をする。
- 似たような条文の違いをノートにまとめておくと記憶定着に有効。
直前期
- 過去問の法規部分を繰り返し解く。
- 模擬試験形式で時間を計りながら実施 → 時間配分の練習が重要。
(3) 通信術対策(該当資格者向け)
モールス符号の覚え方
- 1日10分の短時間練習を毎日継続する。
- スマホアプリやオンライン練習ツールを活用してリズムを掴む。
受信練習
- 実際の符号を聞きながら手書きで受信練習。
- 徐々に符号速度を上げて、試験速度(20字/分以上)に慣れる。
送信練習
- 符号を声に出して読むか、専用の練習用機器を使用。
- 送信速度は受信以上に問われるため、タイミング重視で練習。
(4) 英語対策(海上・航空無線通信士向け)
基礎学習
- 航空・海上用語をまとめたリストを作成して暗記。
- 通信に使われる基本的なフレーズを毎日復唱。
実践練習
- 過去問の英文読解問題を繰り返し解き、正確に意味を取る訓練をする。
- 実際の無線通信例を聞いて、内容を理解できるか確認。
3. 過去問活用法
- 最低3年分は解くことが推奨
- 最初は時間無制限で解いて理解を深める
- 慣れてきたら制限時間内で解答し、本番に近い緊張感を持つ
- 間違えた問題は「なぜ間違えたのか」を分析して同じミスを防ぐ
4. 効果的な勉強ツール
ツール | 内容 |
---|---|
市販の問題集 | 資格別に特化した問題と解説があり定番。 |
スマホアプリ | モールス符号練習や法規の暗記に有効。 |
オンライン講座 | 動画で解説を視聴でき、理解が深まる。 |
過去問題ダウンロード | 総務省や各種資格団体サイトで入手可能。 |
取得後に出来ること
取得すると、職業的な通信操作から趣味の無線交信、災害時の緊急通信支援まで、幅広い場面で無線設備の操作が可能になります。
- 技術系職場でのキャリアアップを目指す人には、陸上無線技術士や無線通信士が特に有利。
- 趣味やボランティア活動で役立てたい場合は、アマチュア無線技士が最適。
無線従事者資格取得後にできること
おすすめの講習、教材
教材
講座
通信・電気系資格一覧
電気主任技術者
電気工事施行管理技士
電気工事士
電気通信主任技術者
ウェブデザイン技能検定
WEBデザイナー検定
無線従事者
情報配線施工技能検定
工事担任者(ネットワーク接続技術者)
WEBクリエイター能力認定試験
ホームページ制作能力認定試験
WEB検定
JWDA WEBデザイン検定
アドビ認定プロフェッショナル(ACP)