クレーンやホイストを用いて荷物を吊り上げる際に、荷物にワイヤーロープやチェーンを掛けたり外したりする作業を指します。
この作業は重量物を安全に移動させるために重要であり、作業中の事故を防ぐために専門的な知識と技術が必要です。
玉掛け技能講習資格は、一定の重量以上の荷物を吊り上げる作業を行うために、法律で取得が義務付けられている資格です。
資格取得の必要性
- 労働安全衛生法に基づく義務
クレーンなどを使用して 1トン以上の荷物 を玉掛け作業する場合、この資格が必須です。 - 安全性向上
荷物の落下や転倒を防ぐために、正しい知識と技術が求められます。 - 就職・転職に有利
建設現場や物流業界での雇用機会が広がります。
■主催
コマツ教習所
目次
受験資格と難易度
受講資格
玉掛け技能講習を受講するための条件は比較的緩やかで、多くの人が挑戦しやすい資格です。
基本的な受講条件
- 年齢制限: 満18歳以上であれば誰でも受講可能
- 学歴・職歴: 特に制限はなし
- 健康状態:
- 作業に支障のない視力・聴力・体力が求められます。
- 高所作業や重い物を扱うため、一定の体力が必要です。
補足事項
- 企業推薦での受講が多い: 建設業や物流業界では、従業員に取得を推奨・支援している場合があります。
- 他の関連資格は不要: 初めての方でも問題なく受講できます。
難易度
玉掛け技能講習は、基本的な知識と実技スキルを習得すれば比較的取得しやすい資格です。
学科試験の難易度
- 合格率: 約90%以上
- 試験内容:
- 力学の基礎(荷重計算や重心の取り方)
- 玉掛け用具の名称と使用方法
- 作業手順および関係法令
- 対策ポイント:
- 講習中に丁寧に解説されるため、事前知識がなくても講義をしっかり聞けば理解可能です。
- 配布されるテキストや問題集で復習をすれば十分合格できます。
実技試験の難易度
- 合格率: 約95%以上
- 試験内容:
- ワイヤーロープやフックの正しい掛け方
- 荷物の安全な吊り上げと降下
- 合図の正しい使用方法
- 対策ポイント:
- 講師の指導に従い、何度も実技練習を行うことが重要です。
- 焦らず確実に作業を行うことが評価されます。
試験内容
講習の修了試験は、講習の最後に 学科試験 と 実技試験 の2部構成で実施されます。どちらも講習内容をしっかり理解していれば合格できる内容です。ここでは各試験の詳細について解説します。
学科試験
試験概要
- 試験形式: 選択式(○×問題や選択肢から選ぶ問題が中心)
- 問題数: 約10~20問
- 制限時間: 約30~60分
- 合格基準: 70%以上の正答率
出題内容
-
玉掛け用具に関する知識
- ワイヤーロープ、フック、シャックルの種類と用途
- 用具の点検方法と使用上の注意
-
力学の基礎知識
- 荷重計算方法
- 重心位置の把握と安定した吊り上げ方法
- 吊り角度と許容荷重の関係
-
クレーンの基本構造と関連知識
- クレーンの種類と機能
- 操作時の注意点
-
作業手順と安全作業法
- 安全な吊り上げと吊り下ろしの手順
- 合図の種類と正しい伝え方
-
関係法令
- 労働安全衛生法における玉掛け作業の規定
- 作業主任者の役割と義務
実技試験
試験概要
- 試験時間: 1人あたり15~30分程度
- 合格基準: 作業手順の正確さと安全確認が評価対象
試験内容
-
玉掛け作業の実践
- 荷物へのロープ掛け、外し作業の実施
- 適切な用具の選択と使用方法
- 吊り角度に合わせたワイヤーロープの掛け方
-
用具の点検・確認作業
- ワイヤーロープの摩耗や破断の確認
- フックやシャックルの変形チェック
-
クレーンへの合図と連携作業
- 吊り上げ・停止・移動などの正しい合図を送る
- クレーンオペレーターとの円滑なコミュニケーション
-
吊り上げと荷物の安定確保
- 吊り上げ中の荷物の揺れを抑える方法
- 荷物のバランス確保と着地時の安全配慮
評価ポイント
- 安全確認の徹底: 作業前後に声出し確認が求められる
- 正しい用具選択: 荷物重量に合った用具を使用できているか
- 手順通りの作業: 焦らず一つひとつの作業を確実に行う
- 合図の正確さ: クレーン操作との連携がスムーズか
試験対策
学科試験対策
1. 効率的な学習計画の作成
- 講習前に基礎知識を確認
- インターネットや参考書で基本的な用語(玉掛け用具の名称、荷重計算)を事前に学ぶと理解が深まります。
- 講習中は積極的にメモを取る
- 講師が強調するポイントは試験に出やすいため、しっかりメモを取りましょう。
2. 重要な学習ポイント
-
力学の基礎
- 荷重計算:荷物の重量とワイヤーの許容荷重を計算できるようにする。
- 重心の位置:荷物が安定して吊れる重心の見つけ方を理解する。
-
玉掛け用具の特徴と使い方
- ワイヤーロープ、フック、シャックルの種類と使用方法を覚える。
- 摩耗や破損の見分け方を理解する。
-
安全作業の基本手順
- 荷物を吊る前後の安全確認項目を暗記する。
- クレーン操作中の注意点を理解する。
-
関係法令
- 労働安全衛生法で定められた玉掛け作業に関する規定を確認。
3. 学科試験の勉強方法
- 過去問題の反復練習
- 過去の修了試験問題を入手し、何度も解くことで出題傾向を把握。
- 模擬試験の活用
- 模試を受けて試験形式に慣れ、時間配分の感覚を掴む。
- 講習で配布されるテキストを徹底復習
- 試験に直結する内容が多いため、テキストの重要箇所にマーカーを引いて復習する。
4. 学科試験のポイント
- 試験直前に再確認
- 力学計算の公式、用具の特徴、安全確認手順を最終確認。
- 試験中は焦らず慎重に
- 選択問題は慎重に読み、引っかけ問題に注意。
- 分からない問題は後回しに
- 時間配分を意識して、確実に解ける問題から進める。
実技試験対策
1. 実技講習中の心構え
- 講師のデモンストレーションをしっかり観察
- 動作の順序や安全確認のポイントを見逃さない。
- 積極的に質問する
- 分からないことがあれば遠慮せず講師に確認。
2. 実技で評価されるポイント
- 安全確認の徹底
- 作業前後に「よし!」と声出し確認を必ず実施。
- 正しい用具の選択
- 荷物の重量に合ったワイヤーロープとフックを選べているか。
- 作業手順の正確さ
- 焦らず、指示通りの順序で作業を行う。
- 合図の明確さ
- クレーン操作時の指示は大きな声とわかりやすい動作で行う。
3. 実技練習方法
- 何度も反復練習
- 荷物の掛け方・外し方を体で覚えるまで繰り返す。
- 合図練習
- クレーン操作担当者と連携し、正しい合図を出せるようにする。
- 吊り上げ中の荷物の安定確保
- 荷物が揺れたときの対処法を習得する。
取得後に出来ること
取得すると、クレーン作業における 荷物の吊り上げ作業 が法的に認められ、建設・物流・製造業界などで活躍の場が広がります。
1. 法的に認められた玉掛け作業の実施
玉掛け資格が必要な作業
- 1トン以上の荷物を吊り上げる作業
- クレーンを使用して重量物を吊り上げたり移動させたりする場合。
- クレーンへの荷掛け・荷外し作業
- ワイヤーロープやチェーンを荷物に取り付け、安定させる作業。
- 作業中の安全確認と合図
- クレーンオペレーターへの適切な指示・合図を担当。
取得後に可能な具体的作業
- 建築現場での鉄骨や建材の吊り上げ作業
- 工場での重機や大型部品の移動
- 港湾や物流センターでのコンテナ積み下ろし作業
- クレーン作業時の作業主任者補助
2. 就職・転職で有利になる職場
活躍できる業種・職種
- 建設業界: 建築資材の搬入・設置作業
- 物流業界: コンテナや大型貨物の積み下ろし作業
- 製造業界: 大型部品や機械の移動・設置
- 港湾作業: 船舶への貨物積載・荷下ろし作業
- 鉄鋼業・造船業: 重量物の搬送や設置業務
就職・転職のメリット
- 即戦力として評価されやすい
- 現場で即戦力となるため、未経験からの転職にも有利。
- 給与アップ・手当の支給
- 資格保有者には現場手当や資格手当が支給される企業が多い。
- 転職市場での需要が高い
- 建設業界や物流業界では常に需要があり、安定した職に就きやすい。
3. キャリアアップの可能性
上位資格・関連資格の取得
- クレーン運転士免許
- 玉掛け資格と併せて取得することで、クレーン操作から荷掛けまで一貫した作業が可能。
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 小型クレーンの操作ができるようになり、業務の幅が広がる。
- 高所作業車運転技能講習
- 高所作業での玉掛け作業が安全に行えるようになる。
将来的なキャリアパス
- 現場作業リーダー・監督者への昇進
- 経験を積めば、作業現場の管理や安全管理業務を担当。
- 玉掛け作業主任者への就任
- 玉掛け資格と実務経験があれば、主任者として現場の安全を管理。
- 独立・開業
- 経験を積んでフリーランスの作業員や建設関連の事業を立ち上げることも可能。
4. 玉掛け資格取得後のメリット
収入面でのメリット
- 資格手当の支給: 月5,000~10,000円程度の資格手当を支給する企業が多い。
- 現場手当や危険手当が上乗せされる場合もある。
安定性と将来性
- 常に需要があるスキル: 建設や物流がある限り需要がなくならない。
- 業界の幅広い選択肢: さまざまな業界で資格を活かせる。
スキルアップと自己成長
- 安全意識の向上: 安全管理能力が高まり、現場での信頼が厚くなる。
- 専門技術の習得: 玉掛け作業を通じて現場スキルが向上。
自動車系資格一覧
自動車運転
大型自動車免許
事業用操縦士
クレーン・デリック・移動式クレーン運転士
フォークリフト運転技能講習
車両系建設機械運転技能講習
高所作業車運転技能講習
運行管理者
玉掛け技能講習
自動車整備士
中古自動車査定士