特許翻訳のスキルを測る試験で、特許や知的財産関連の文書を翻訳する能力を評価する検定です。日本知的財産翻訳協会(NIPTA:National Intellectual Property Translation Association)が実施しており、特許翻訳者としての実力を証明できる資格です。
■主催
特定非営利活動法人(NPO)日本知的財産翻訳協会(NIPTA)
目次
受験資格と難易度
受験資格
知的財産翻訳検定には特別な受験資格はなく、誰でも受験可能です。
- 年齢・学歴・職業の制限なし
- 翻訳未経験者でも受験可能(特に5級・4級)
- 1級・2級は高度な翻訳スキルと特許の専門知識が必要
ただし、上級レベル(1級・2級)は特許翻訳の実務経験がないと難しく、一定の学習や実務経験を積んでから受験することが推奨されます。
難易度(級ごとのレベル)
級 | レベル | 難易度 | 目安 |
---|---|---|---|
1級 | 最上級 | 非常に難しい | プロの特許翻訳者として即戦力 |
2級 | 上級 | 難しい | 特許翻訳の実務経験者向け |
3級 | 中級 | やや難しい | 特許翻訳の基礎ができている |
4級 | 初級 | 比較的易しい | 特許翻訳を学び始めた人向け |
5級 | 入門 | 初心者向け | 特許の基礎知識を学ぶ段階 |
1級(最上級レベル)
- プロの特許翻訳者として即戦力となるレベル
- 翻訳の正確性だけでなく、特許の専門知識や業界用語の理解も求められる
- 特許明細書の複雑な表現や法的な側面も考慮した翻訳が必要
- 合格率は非常に低く、特許翻訳の実務経験がないと合格は難しい
2級(上級レベル)
- 特許翻訳の実務経験者向けのレベル
- 正確な訳出とともに、自然な文章に仕上げる能力が求められる
- 特許法や技術分野に関する理解が必要
- 企業や翻訳会社で特許翻訳の仕事をするための基礎が身につく
3級(中級レベル)
- 特許翻訳の基礎ができているレベル
- 文法や語彙力に加え、特許明細書の構成や書き方を理解することが求められる
- 実務未経験者でも学習すれば合格可能
4級(初級レベル)
- 特許翻訳を学び始めた人向けのレベル
- 特許明細書の基本的な構成や、翻訳の基礎ルールを理解していることが求められる
- 誤訳や不適切な訳を見抜く力を養う
5級(入門レベル)
- 特許の基礎知識を問うレベル
- 特許翻訳の学習を始めたばかりの人向け
- 文法や語彙の基礎を確認しながら、特許文書の特徴を理解することが重要
試験内容
翻訳問題と知識問題の2つのセクションで構成されており、特許明細書の翻訳能力と知的財産の基礎知識が問われます。
試験の構成
(1) 翻訳問題(英日・日英)
特許明細書や知的財産関連文書の一部を翻訳する問題です。
- 英日翻訳(英語 → 日本語)
- 日英翻訳(日本語 → 英語)(上位級のみ)
翻訳の正確性だけでなく、特許独特の表現や用語の統一が評価されます。
(2) 知識問題(特許法・特許翻訳に関する知識)
- 特許明細書の基本構成(発明の名称、背景技術、課題、解決手段 など)
- 特許翻訳のルール(直訳・意訳の使い分け、定型表現 など)
- 特許制度の基礎(日本・米国・欧州の特許制度の違い など)
上位級(1級・2級)では、より専門的な内容が出題されるため、特許翻訳の実務経験や特許法の知識が必要になります。
級ごとの試験内容と出題レベル
級 | 翻訳問題 | 知識問題 | 難易度 |
---|---|---|---|
1級(最上級) | 特許明細書の高度な翻訳(英日・日英) | 特許法・翻訳技術の専門知識 | 非常に難しい |
2級(上級) | 実務レベルの翻訳(英日・日英) | 特許明細書のルール・特許制度の基礎 | 難しい |
3級(中級) | 特許明細書の基本的な翻訳(英日) | 特許翻訳の基本ルール・頻出用語 | やや難しい |
4級(初級) | 短文の翻訳(英日) | 特許明細書の構成・基本用語 | 比較的易しい |
5級(入門) | なし(選択式問題のみ) | 知的財産の基礎・特許用語 | 初心者向け |
1級・2級では日英翻訳も課されるため、高度な英語力と特許翻訳の専門知識が求められます。
試験の詳細(級別)
5級(入門レベル)
- 試験時間: 60分
- 試験形式: 選択式
- 内容:
- 知的財産の基礎知識
- 特許用語の意味(claims, prior art など)
- 簡単な特許翻訳のルール
4級(初級レベル)
- 試験時間: 90分
- 試験形式: 翻訳問題(英日)+知識問題(選択式)
- 内容:
- 基本的な特許明細書の翻訳
- 簡単な技術用語の翻訳
- 特許明細書の構成(発明の概要、課題、解決手段 など)
3級(中級レベル)
- 試験時間: 120分
- 試験形式: 翻訳問題(英日)+知識問題(記述式・選択式)
- 内容:
- 特許明細書の翻訳(英日)
- 専門用語の使い方(発明、実施例、特許請求の範囲 など)
- 誤訳を修正する問題
2級(上級レベル)
- 試験時間: 150分
- 試験形式: 翻訳問題(英日・日英)+知識問題(記述式)
- 内容:
- 実務レベルの特許明細書の翻訳
- 特許法の基礎(日本・米国・欧州の違い)
- 翻訳の品質向上に関する問題(リサーチ、表現の統一 など)
1級(最上級レベル)
- 試験時間: 180分
- 試験形式: 翻訳問題(英日・日英)+知識問題(記述式・論述)
- 内容:
- 高度な特許明細書の翻訳
- 特許法と翻訳技術の応用問題
- 翻訳の正確性・表現力・専門知識を総合的に評価
試験対策
級別の試験対策
5級(入門レベル)対策
- 知的財産の基礎を学ぶ(特許、意匠、商標の違いを理解する)
- 特許庁の公式サイトで特許制度の基本を確認する
- 基本的な特許用語を覚える(claims, prior art, embodiments など)
4級(初級レベル)対策
- 特許明細書の構成(発明の名称、背景技術、課題、解決手段 など)を理解する
- 基本的な技術英語を学ぶ(特許でよく使われる表現に慣れる)
- 短い特許文書を訳す練習をする
3級(中級レベル)対策
- 特許翻訳のルールを学ぶ(直訳と意訳のバランス、定型表現 など)
- 誤訳を減らすための練習をする(特許用語の正確な訳出を意識)
- 翻訳の品質を上げるために、表現の統一を心がける
2級(上級レベル)対策
- 英日・日英両方の翻訳に対応できるようにする
- 特許法の基礎を理解し、特許制度の違いを学ぶ
- 特許明細書の長文翻訳に慣れる(契約書や技術文書の翻訳も練習)
1級(最上級レベル)対策
- 特許翻訳の実務経験を積む(翻訳会社のトライアルを受けるのも有効)
- 高度な技術文書の翻訳に慣れる(特許庁の公開公報を活用)
- 正確性と一貫性を重視した翻訳を行う
実践的な学習方法
(1) 特許明細書の構成を理解する
特許明細書には独特の構成や表現があるため、次のような項目を意識して学習するとよい。
- 【発明の名称】→ 簡潔で明確な表現を使う
- 【背景技術】→ 関連技術との違いを明確にする
- 【課題】→ 何を解決する発明なのかを明確にする
- 【解決手段】→ 技術的な内容を正確に訳す
(2) 翻訳の演習を行う
- 実際の特許明細書を翻訳する練習をする
- 英日・日英両方の翻訳に慣れる
- 直訳ではなく、技術的な内容を正しく伝える意訳のバランスを考える
(3) 用語集を作成する
特許翻訳では、一貫した用語の使用が求められるため、頻出用語のリストを作成して学習すると効果的。
- 同じ単語を異なる訳語にしない(例: “embodiment” → 「実施例」で統一)
- 技術用語の対訳リストを作成する(特に日英翻訳時に役立つ)
(4) 特許法の基礎知識を学ぶ
- 日本・米国・欧州の特許制度の違いを理解する
- 特許翻訳でよく使われる法的表現を学ぶ
(5) 過去問や模擬試験を活用する
- 公式の過去問題を解いて、試験形式に慣れる
- 制限時間を設けて、実際の試験と同じ条件で演習する
模擬試験を解く際のポイント:
- 時間配分を意識する(長文翻訳は時間がかかるため、ペース配分を考える)
- 誤訳を減らすために見直しを徹底する
- 試験本番と同じ条件で解く(辞書の使用可否を確認し、実際の試験と同じ環境を再現する)
取得後に出来ること
翻訳の仕事に活かせる
(1) フリーランス特許翻訳者として活動
2級以上を取得すると、フリーランス翻訳者としての信頼性が高まり、特許翻訳の仕事を受注しやすくなります。
- 翻訳会社のトライアルに挑戦できる(特許翻訳専門の会社では、2級以上を評価する場合が多い)
- クラウドソーシングサイトで案件を獲得できる(ランサーズ、クラウドワークス、Upwork など)
- 特許庁や企業の知財部門の翻訳業務を請け負うことができる
(2) 翻訳会社への就職・登録
特許翻訳を専門とする翻訳会社では、知的財産翻訳検定の2級以上を評価する場合があるため、就職や業務委託契約に有利になります。
- 特許翻訳専門の翻訳会社(サン・フレア、十印、クリムゾンインタラクティブ など)での登録がしやすくなる
- 翻訳業務を中心とする企業での採用において、資格がアピール材料になる
(3) 副業として特許翻訳を始める
知的財産翻訳検定を取得することで、副業として特許翻訳の仕事を始めることも可能になります。
- 在宅で翻訳案件を受け、安定した収入を得る
- 本業と両立しながら特許翻訳のスキルを伸ばし、将来的にフリーランスとして独立を目指す
知的財産関連の仕事に活かせる
(1) 企業の知財部門での業務に役立つ
特許翻訳の知識は、翻訳業務だけでなく、企業の知的財産部門や特許事務所での業務にも活用できます。
- メーカーの知財部門で、海外特許の翻訳・管理業務を担当
- 弁理士・特許技術者として、特許明細書の作成や翻訳を行う
- 知財関連のコンサルティング業務で、特許文書の翻訳・解釈を行う
(2) 特許事務所での翻訳業務
知的財産翻訳検定を取得することで、特許事務所の翻訳業務に応募しやすくなります。
- 外国出願の特許明細書の翻訳業務を担当
- 特許審査や係争対応のための資料翻訳を行う
キャリアアップやスキルアップにつながる
(1) より高度な翻訳資格の取得につなげる
知的財産翻訳検定を取得した後、さらに上級の翻訳資格や関連資格を目指すことができます。
- JTFほんやく検定(1級・2級) → 一般的な実務翻訳スキルを証明
- 翻訳者資格試験(JTA) → 翻訳の総合的なスキルを測る試験
- 弁理士試験 → 知財業務の専門家としての資格を取得し、キャリアの幅を広げる
(2) CATツール(翻訳支援ツール)を活用した翻訳に挑戦
プロの翻訳者は、Trados、MemoQ、Memsource などのCATツールを活用しています。知的財産翻訳検定を取得した後、これらのツールの使用方法を習得することで、より専門的な翻訳業務に対応できるようになります。
(3) 技術分野の専門性を深める
特許翻訳は、機械・電気・化学・バイオ・ITなどの専門分野に特化しているため、特定の技術分野の知識を深めることで、高単価な案件を受注しやすくなります。
- 化学・バイオ特許翻訳 → 製薬・医薬業界での翻訳業務に活かせる
- IT・ソフトウェア特許翻訳 → AI・IoT関連の特許案件に対応できる
履歴書や職務経歴書に記載できる
知的財産翻訳検定は、翻訳業界や知財業界で認知されている資格のため、履歴書や職務経歴書に記載できる資格です。
- 特許翻訳の仕事に応募する際のアピールポイントになる
- 企業の海外部門や貿易関係の仕事で評価されることがある
翻訳スクールや講師の仕事につながる
知的財産翻訳検定の1級を取得すると、翻訳スクールの講師や、翻訳の指導者として活動することも可能です。
- 翻訳学校やオンライン講座で講師を務める
- 翻訳の添削や指導の仕事を受ける
取得後の具体的なステップ
(1) 翻訳の実務経験を積む
資格を取得したら、実際の翻訳案件をこなして経験を積むことが重要です。
- クラウドソーシングサイトで特許翻訳案件を受注する
- 翻訳会社のトライアルを受けて実務経験を積む
(2) CATツールのスキルを身につける
特許翻訳では、翻訳支援ツール(CATツール)を活用することが一般的です。
- TradosやMemoQの操作を学び、実務で活かす
(3) 得意分野を決めて専門性を高める
特許翻訳は分野ごとに専門知識が求められるため、特定の分野を深く学ぶことが重要です。
- 電気・機械・化学・医薬・IT などの技術分野に特化する
語学系資格一覧
通訳案内士
翻訳実務士資格
JTFほんやく検定
知的財産翻訳検定
TOEIC Bridge
TOEIC
TOEIC Speaking & Writing
ケンブリッジESOL英語検定試験
TOPEC
工業英語能力検定試験
SST(スタンダードスピーキングテスト)
TSST
TEP TEST
TOEFL
ACT
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GMAT
IELTS
全養協日本語教師検定
J-SHINE(小学校英語指導者資格)
日本語教育能力検定試験
中国語検定
ビジネス中国語検定
スコア式ビジネス中国語検定試験
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世界韓国語認証試験(KLPT)
インドネシア語技能検定試験
タイ語検定試験(TAEC)
ハングル能力検定
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実用イタリア語検定
スペイン語技能検定
DELE(スペイン文部省認定証)
ドイツ語技能検定試験
フランス語能力認定試験(TEF)
実用フランス語技能検定
ロシア語能力検定
観光英語検定試験