管工事施工管理技士

建物の設備工事において施工計画、品質管理、安全管理、工程管理を担う国家資格です。
この資格を取得すると、空調設備工事や給排水衛生設備工事などの現場で責任者として施工管理業務に従事できます。

所管官庁

  • 国土交通省が所管
  • 一般財団法人全国建設研修センター(JACIC)が試験実施

等級区分

管工事施工管理技士は、1級2級に分かれており、担当できる工事規模や業務範囲に違いがあります。

等級 担当できる業務範囲 特徴
1級 大規模工事・監理技術者、主任技術者 公共事業や大規模民間工事で責任者になれる
2級 小規模・中規模工事の主任技術者 中小規模工事の現場で施工管理が可能

管工事とは

管工事は、建物内外の配管設備に関わる工事全般を指します。
主な対象設備は以下の通りです。

  • 給水・給湯・排水設備工事
  • 空調設備工事(冷暖房設備や換気設備)
  • ガス配管設備工事
  • 消火設備工事

主催
(財)全国建設研修センター

受験資格と難易度

受験資格

1級管工事施工管理技士の受験資格

1級を受験するには、一定の実務経験が必要です。学歴や保有資格により実務経験年数が異なります。

最終学歴・資格 必要な実務経験年数
大学(建築・土木・管工事関連学科卒) 3年以上
短大・高専・専門学校(建設・設備関連学科卒) 5年以上
高校(建設関連学科卒) 10年以上
学歴不問(実務経験のみ) 15年以上
2級管工事施工管理技士取得者 実務経験3年以上

ポイント

  • 建設・設備関連学科の卒業者は、実務経験が短縮されます。
  • 2級取得後に3年以上の実務経験で1級受験が可能です。
  • 学歴がない場合は、15年以上の実務経験が必要です。

2級管工事施工管理技士の受験資格

2級は、比較的受験しやすく、実務経験が浅くても受験可能です。

最終学歴・資格 必要な実務経験年数
大学(建設・設備関連学科卒) 実務経験不要
短大・高専・専門学校(建設・設備関連学科卒) 実務経験不要
高校(建設関連学科卒) 実務経験2年以上
学歴不問(実務経験のみ) 実務経験3年以上

ポイント

  • 建設・設備系の学科を卒業していれば、実務経験がなくても受験可能です。
  • 実務経験のみでの受験も可能ですが、経験年数の要件を満たす必要があります。

難易度

管工事施工管理技士試験は、学科試験実地試験の2部構成です。
等級が上がるほど試験範囲が広がり、難易度が高くなります。

1級管工事施工管理技士の難易度

試験区分 合格率
学科試験 約40〜50%
実地試験 約30〜40%
総合合格率 約25〜35%

特徴

  • 学科試験:

    • 施工管理全般、法規、機械設備、配管に関する専門的な知識が問われます。
    • 幅広い出題範囲で、計算問題や法規問題も含まれます。
  • 実地試験:

    • 実務経験に基づいた記述問題が中心。
    • 施工計画や工程管理、品質・安全管理に関する実務的な知識が問われます。

難しさの要因

  • 出題範囲が広く、実務経験が浅いと記述問題で苦戦します。
  • 学科・実地ともに深い理解と実務力が求められます。

2級管工事施工管理技士の難易度

試験区分 合格率
学科試験 約50〜60%
実地試験 約45〜55%
総合合格率 約40〜50%

特徴

  • 学科試験:

    • 施工管理の基礎知識が中心で、現場経験者や建設系学科卒業者には比較的簡単です。
    • 法規や設備の基本構造を理解していれば高得点が狙えます。
  • 実地試験:

    • 実務経験があると記述問題で優位に立てます。
    • 施工計画や工事中の問題解決方法が問われますが、1級ほど複雑ではありません。

難しさの要因

  • 未経験者は施工フローの理解に時間がかかります。
  • 記述問題で具体的な実務経験を挙げられないと減点されます。

難易度比較(1級 vs 2級)

項目 1級管工事施工管理技士 2級管工事施工管理技士
出題範囲 広く、専門的で実務的 基礎中心で実務経験問う
実務経験記述 高度な課題解決力が必要 基礎的な経験説明で対応可能
学科問題の難易度 深い専門知識を問う問題 基礎知識の問題が中心
合格率 約25〜35% 約40〜50%
推奨学習時間 300〜500時間 150〜250時間

試験内容

学科試験実地試験の2部構成で行われます。

  • 学科試験: 施工管理の基本知識を問う選択式(マークシート形式)
  • 実地試験: 実務経験をもとにした記述式試験

1級と2級で試験の構成は共通していますが、1級はより高度な専門知識や実務経験が求められます。

学科試験の内容

試験概要

  • 試験形式: 選択式(マークシート方式)
  • 試験時間: 約4時間(1級)、約3時間(2級)
  • 合格基準: 60%以上の得点

出題科目と範囲

施工管理法

目的: 工事の効率的な進行と安全を確保するための知識を問う

出題内容:

  • 工程管理:
    • ネットワーク工程表の作成
    • クリティカルパスの算定
    • 工程遅延時の対応方法
  • 品質管理:
    • 配管施工の精度管理
    • 使用材料の品質確認
  • 安全管理:
    • 労働災害防止策
    • 高所作業・溶接作業時の安全対策
  • 原価管理:
    • 工事費用算出方法
    • 材料・人件費の適正管理
法規

目的: 施工現場で必要な法律知識の確認

出題内容:

  • 建設業法:
    • 技術者配置要件
    • 契約に関する基本ルール
  • 労働安全衛生法:
    • 作業主任者の配置基準
    • 安全衛生管理体制
  • 消防法・建築基準法:
    • 消火設備の設置基準
    • 建物に関わる配管設置ルール
配管工学

目的: 配管設備に関する基礎理論や構造の知識を問う

出題内容:

  • 配管材料の種類と特性
  • 継手・バルブの機能と使用箇所
  • 流体力学の基礎:
    • 配管内の流速・圧力損失計算
  • 腐食防止対策と断熱方法
設備工学

目的: 空調・給排水・ガス設備など建物設備全般の知識を評価

出題内容:

  • 空調設備:
    • 冷暖房方式の特徴
    • 換気計画の基本理論
  • 給排水設備:
    • 給水・排水系統の構成
    • ポンプ選定と設置基準
  • ガス設備:
    • 配管施工基準
    • ガス漏れ防止対策
計算問題

目的: 工事計画・設備設計に必要な計算力を確認

出題内容:

  • 配管内の圧力損失計算
  • ポンプの揚程計算
  • 燃料使用量および作業時間の算定
  • 空調負荷計算

実地試験の内容

試験概要

  • 試験形式: 記述式
  • 試験時間: 約3時間
  • 合格基準: 採点基準を満たすこと

出題構成

  • 実務経験記述問題: 自身の実務経験を基にした記述問題
  • 施工管理応用問題: 施工計画、品質・安全管理、原価管理に関する応用問題

実務経験記述問題

出題内容
  • 工事概要の説明:
    • 工事名、施工場所、建物用途、規模、工期
  • 担当業務内容:
    • 施工計画立案に関わる業務
    • 工程・品質・安全管理の実施内容
  • 問題発生時の対応:
    • 発生した課題とその解決方法
採点基準
  • 具体性: 抽象的な表現を避け、具体的な数値・事例を含める
  • 論理性: 工事の流れを順序立てて記載
  • 問題解決力: トラブルへの対応策が明確で実務に基づいているか

施工管理応用問題

出題内容と例題
工程管理問題
  • 提示された工程表の問題点を指摘し、改善策を提案
  • 工期短縮のための具体的な計画変更案の提示
品質管理問題
  • 配管施工における品質確保方法を説明
  • 材料検査や施工時の検査手順を記載
安全管理問題
  • 配管工事中の危険箇所特定と安全対策
  • 高所作業時の安全装置使用方法
原価管理問題
  • 工事費用削減のための具体的な提案
  • 資材ロス削減のための管理方法
採点基準
  • 現実性: 実務で実現可能な内容になっているか
  • 応用力: 問題に対して適切な対応が示されているか
  • 安全意識: 安全第一の視点が盛り込まれているか

1級・2級試験内容の違い

項目 1級管工事施工管理技士 2級管工事施工管理技士
学科出題範囲 専門的で広範囲 基礎中心
実地試験記述内容 高度な課題解決力が必要 基本的な現場経験の記述で可
計算問題の難易度 応用計算を含む 基礎計算が中心
試験時間 学科4時間 / 実地3時間 学科3時間 / 実地2.5時間
難易度 高い やや低め

試験対策

学科試験対策

過去問題の反復練習

  • 10年分の過去問を最低2周解く
  • 問題の解答後、解説を確認し理解を深める
  • 間違えた問題はノートにまとめ、再度復習

重要科目の重点学習

施工管理法
  • 工程表作成、クリティカルパス計算問題を重点的に練習
  • 工程遅延時の対応策や施工計画の立案を理解
法規
  • 建設業法や労働安全衛生法の頻出部分を暗記
  • 特に技術者配置要件や契約関連の問題を重点的に学習
設備・配管工学
  • 配管材料の種類や特性、使用箇所の確認
  • 空調・給排水設備の基本構造や施工手順を理解

計算問題対策

  • 毎日1問の計算問題に取り組む
  • 圧力損失計算、揚程計算、作業時間算出を中心に練習
  • 計算ミス防止のため、基礎的な公式を確認し暗記

おすすめ学習ツール

  • 過去問題集: 模擬試験形式で本番さながらの練習
  • 暗記カード: 重要法規や数値の暗記に活用
  • スマホアプリ: 移動中の用語確認や法規の復習用

実地試験対策

実務経験記述の対策

経験の棚卸し
  • 過去の現場で担当した業務内容を時系列で整理
  • 工事概要、担当業務、問題発生時の対応を書き出す
記述練習
  • 実際の問題に取り組み、200〜400字以内で文章作成
  • 具体例や数値を盛り込み、わかりやすく記述
添削の活用
  • 上司や同僚に読んでもらい、実務的なアドバイスをもらう
  • 専門の添削サービスを利用して文章の質を向上

施工管理応用問題対策

工程管理問題
  • ネットワーク工程表作成問題を繰り返し解く
  • 工程短縮案や遅延対策の具体的な解答例を作成
品質管理問題
  • 配管施工の品質確保方法や材料検査手順を学習
  • 施工中の不具合発見時の対応策を整理
安全管理問題
  • 高所作業や狭所作業の安全対策を明確にする
  • 過去の災害事例から効果的な対策を学ぶ
原価管理問題
  • 工事費用の算出方法を習得
  • 材料ロス削減や作業効率化の方法をまとめる

模擬試験の活用方法

実施のメリット

  • 本番形式に慣れ、緊張感を軽減
  • 時間配分の確認と問題処理能力向上
  • 自己採点で弱点を発見し、重点的に復習

実施タイミング

  • 学科試験: 本番2か月前から月2回実施
  • 実地試験: 本番1か月前から毎週実施

よくある失敗とその回避策

失敗例 原因 回避策
実地試験で記述が抽象的 実務経験の整理不足 経験を詳細に記録し、具体的な事例を使った記述練習を行う
学科試験で時間切れ 計算問題に時間を取られる 計算問題を毎日解き、素早く正確に解けるようにする
法規問題の誤答が多い 暗記不足 重要法規の暗記カードを活用し、隙間時間で復習
応用問題での失点 過去問依存 出題傾向を分析し、応用問題にも対応できるようにする

合格へのポイントまとめ

学科試験

  • 過去問題演習を徹底し、施工管理法と法規を重点的に学習
  • 毎日計算問題を解き、スピードと正確さを向上
  • 用語や数値の暗記で正答率をアップ

実地試験

  • 実務経験を活かし、具体的かつ論理的な記述を心がける
  • 模擬問題を解き、施工計画や管理手順を習得
  • 添削を通じて改善点を見つけ、文章力を向上

取得後に出来ること

取得すると、建物の配管設備に関する工事の責任者として幅広い業務に従事できます。

特に、施工計画の作成から現場管理、安全・品質・工程・原価管理まで多岐にわたり、キャリアアップや収入向上につながります。

現場での主な役割と権限

主任技術者・監理技術者としての就任

1級取得者
  • 大規模工事や公共工事での監理技術者に就任可能
  • 発注者や元請との技術的な打ち合わせを担当
  • 下請業者への指導と現場全体の統括
2級取得者
  • 小・中規模工事の主任技術者として活躍
  • 戸建住宅や中規模施設での配管工事を単独で担当
  • 工事進行管理や作業員への技術指導

取得後に担当できる主な業務

1. 施工計画の立案

  • 工事工程表の作成
  • 配管材料や機器の選定と手配
  • 効率的な作業手順の計画立案

2. 現場管理

  • 工程管理: 工期の遅延を防ぎ、スムーズな進行を実現
  • 品質管理: 使用材料の確認、施工精度の保持
  • 安全管理: 労働災害防止のための指導・監督

3. コスト・資材管理

  • 工事予算の算出とコストコントロール
  • 資材発注や在庫管理の最適化

4. クライアント・関係者との調整

  • 設計変更に伴う打ち合わせ
  • 工事中の報告や完成後の引き渡し調整

活躍できる業界と職種

業界 職種 資格取得後にできること
設備工事会社 施工管理技士、現場代理人 配管・空調設備工事の現場統括
建設会社 管工事担当技術者 大規模建築物の配管設備管理
設備設計事務所 設備設計補助、技術支援 設計図確認や施工現場での設計変更対応
公共団体・官公庁 工事監督員、技術職員 公共施設の設備工事監督
フリーランス 施工管理技術者 独立して設備工事の管理業務を請負

キャリアアップと報酬面の向上

昇進・昇格のチャンス

  • 現場責任者や技術部門の管理職への昇進が可能
  • 技術部長やプロジェクトマネージャーなど上位ポジションに抜擢されやすい

収入アップ

  • 資格手当が支給される企業が多数
  • 月額5,000〜30,000円程度の手当がつくことが一般的
  • 年収が50万円〜100万円以上アップすることも

公共工事への参画と評価向上

  • 公共工事の入札で会社の評価が向上
  • 技術者配置要件を満たすことで、案件受注の幅が広がる

独立・フリーランスでの活躍

独立後の業務内容

  • 設備工事の施工管理を個人で請負可能
  • 複数の建設会社や設備会社からの受注が期待できる

自社設立と請負工事

  • 一定の条件を満たせば、建設業許可を取得して自社を設立可能
  • 元請けとして設備工事を直接請負い、案件ごとの利益率を向上させられる

収入面でのメリット

  • 高単価の案件を受注できるようになり、年収が大幅に増加
  • フリーランスとして自由な働き方が可能

公共工事でのメリット

公共事業への参画

  • 1級取得者は監理技術者として公共工事に配置必須
  • 公共施設やインフラ設備の大規模工事に参加できる

入札時の評価向上

  • 有資格者が在籍している企業は、技術評価点が加算され入札競争で有利

資格等級ごとの取得後の違い

項目 1級管工事施工管理技士 2級管工事施工管理技士
対象工事規模 制限なし 小・中規模工事
監理技術者就任 可能 不可
主任技術者就任 可能 可能
公共工事参画 大規模案件に参加可能 小規模案件での管理が中心
キャリアの広がり 大規模施設や公共事業で活躍 中小規模施設での現場経験積み上げに最適

社会的評価と信頼性向上

技術力の証明

  • 有資格者としての信頼性が高まり、クライアントとの打ち合わせで技術的な説得力が増す

社内評価の向上

  • 若手技術者の育成や社内研修の講師として活躍
  • 昇進・昇格の対象になりやすい

クライアントとの関係強化

  • 発注者からの技術相談や設計変更時のアドバイザーとして活躍

資格取得後のキャリアパス

キャリア段階 取得後の役割 実務でできること
2級取得直後 小規模工事の主任技術者 給排水・空調設備の現場管理
2級取得後経験を積む 中規模現場の現場責任者 工事全体の進行管理や工程調整
1級取得直後 大規模施設の主任技術者 公共工事や高層ビルの設備工事管理
1級取得後 監理技術者、技術部長 大規模工事全体の監理、若手技術者の育成
独立・フリーランス 設備工事会社設立 元請として案件受注、事業経営へのステップアップ

おすすめの講習、教材

教材

 講座

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