日本国内で行われる簿記の資格試験の一つで日本商工会議所(いわゆる「日商簿記」)の簿記検定と並び、経理や会計の基礎知識を測る試験として知られています。
全経簿記検定は、初学者から上級者まで幅広く対応した試験制度になっています。主に以下の級が設定されています。
1. 簿記能力検定の級構成
- 上級(会計士・税理士試験の登竜門)
- 1級(高度な経理業務レベル)
- 2級(商業簿記・工業簿記の実務レベル)
- 3級(基本的な経理事務のレベル)
- 4級(簿記の入門レベル)
特に**「上級」は税理士試験の受験資格**にも認定されており、日商簿記1級と並んで難易度の高い試験とされています。
■主催
(社)全国経理教育協会
目次
受験資格と難易度
1. 受験資格
全経簿記能力検定には、受験資格の制限はありません。
誰でも受験可能で、年齢・学歴・職歴などの条件はありません。
そのため、高校生や大学生、社会人、経理未経験者でも挑戦しやすい資格です。
2. 難易度の比較
全経簿記検定の各級の難易度を、出題範囲や合格率とともに説明します。
級 | 難易度 | 出題範囲 | 合格率(目安) |
---|---|---|---|
4級 | ★☆☆☆☆(入門) | 簿記の基本的な仕訳や帳簿記入 | 80~90% |
3級 | ★★☆☆☆(基礎) | 小規模企業の経理処理(商業簿記) | 70~80% |
2級 | ★★★☆☆(実務レベル) | 商業簿記+工業簿記(製造業の経理) | 50~70% |
1級 | ★★★★☆(高度な経理業務) | 財務諸表・企業会計基準・税務会計 | 30~50% |
上級 | ★★★★★(最難関・税理士受験資格) | 財務諸表分析・会計学・管理会計 | 10~20% |
3. 各級の詳細と難易度の目安
4級(入門レベル)
- 初学者向け。簿記の基本概念や仕訳を学ぶ。
- 商業簿記の基礎(現金・預金・仕訳帳・勘定記入)を扱う。
- 合格率は80~90%と高めで、比較的簡単。
3級(基礎レベル)
- 簿記の基本をしっかり身につけるレベル。
- 小規模企業の経理業務を想定した商業簿記が中心。
- 仕訳・試算表・精算表・決算書作成が出題される。
- 日商簿記3級よりやや簡単とされ、合格率は70~80%。
2級(実務レベル)
- 企業の経理担当者として働けるレベル。
- 商業簿記(企業会計)+工業簿記(製造業の原価計算)を学ぶ。
- 日商簿記2級よりも計算量や問題の難易度がやや低いが、十分な実務能力を問われる。
- 合格率は50~70%程度。
1級(高度な実務レベル)
- 中規模~大企業の経理・会計に対応できる知識を問う。
- 商業簿記・工業簿記・会計学・原価計算を学ぶ。
- 日商簿記1級と比較すると、難易度はやや低いが、出題範囲は広い。
- 合格率は30~50%と難関。
上級(最難関・税理士試験の受験資格)
- 簿記の最高峰レベル。財務会計・管理会計・税務会計まで含む。
- 合格すると税理士試験の受験資格を得られる。
- 難易度は日商簿記1級と同等かそれ以上。
- 合格率は10~20%と非常に低く、高度な理解が必要。
4. 日商簿記との難易度比較
比較 | 全経簿記 | 日商簿記 |
---|---|---|
4級 | 初学者向け(簡単) | なし |
3級 | 比較的簡単、合格率高め | やや難しい、合格率50%前後 |
2級 | 日商より簡単、合格率高め | 計算量が多く、難易度が高い |
1級 | 日商1級よりやや簡単 | 難関資格(合格率10%前後) |
上級 | 日商1級と同等orそれ以上(税理士受験資格あり) | なし |
5. どの級を受けるべき?
初心者や高校生 → 4級・3級
経理職を目指す社会人・学生 → 2級以上
企業の経理部門や管理職 → 1級以上
税理士試験を受けたい人 → 上級
「日商簿記が難しすぎる」と感じる場合、全経簿記で基礎を固めるのもおすすめです。特に上級は税理士試験の受験資格が得られる点で、日商簿記1級よりも実務的な価値が高いと言えます。
試験内容
4級(入門レベル)
試験範囲
- 簿記の基本概念
- 簿記一巡(取引の記録から決算までの流れ)
- 簿記の帳簿記入方法(仕訳・勘定記入)
- 主要簿(総勘定元帳)と補助簿の役割
- 貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の基礎
出題内容
- 簿記の仕組み(取引の二重仕訳)
- 主要勘定科目(現金・売掛金・買掛金・費用・収益など)
- 簿記の基礎的な計算
- 小規模な仕訳問題
試験時間・配点
- 試験時間:50分
- 満点:100点(70点以上で合格)
合格率80~90%程度
初めて簿記を学ぶ人向け
3級(基礎レベル)
試験範囲
- 企業会計の基本(商業簿記)
- 仕訳と試算表の作成
- 帳簿の記入方法
- 決算手続き(精算表の作成)
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の作成と理解
- 伝票会計(簡単な仕訳処理)
出題内容
- 第1問:仕訳問題(10問程度)
- 第2問:帳簿記入・試算表・補助簿の問題
- 第3問:決算整理仕訳や精算表の作成
- 第4問:財務諸表の作成
試験時間・配点
- 試験時間:60分
- 満点:100点(70点以上で合格)
合格率70~80%程度
個人事業や小規模企業の経理担当者向け
2級(実務レベル)
試験範囲
商業簿記
- 企業の会計処理(現金・売掛金・買掛金・貸倒引当金・減価償却など)
- 収益・費用の認識と決算整理
- 財務諸表の作成(B/S・P/L)
- 企業の決算手続き
- 株式・社債の会計処理
工業簿記
- 製造業の会計処理(原価計算)
- 材料費・労務費・経費の計算
- 個別原価計算・部門別計算・標準原価計算
- 直接原価計算と損益分岐点分析
出題内容
- 第1問:仕訳問題(商業簿記)
- 第2問:帳簿記入・財務諸表・決算整理
- 第3問:商業簿記の応用(本支店会計・連結会計)
- 第4問:工業簿記の計算問題
- 第5問:工業簿記の仕訳・原価計算問題
試験時間・配点
- 試験時間:90分
- 満点:100点(70点以上で合格)
合格率50~70%程度
中小企業の経理担当者に必要な知識レベル
1級(高度な実務レベル)
試験範囲
商業簿記・会計学
- 株式発行・社債発行・企業結合・連結会計
- 外貨建取引・リース会計・税効果会計
- 企業会計基準と財務諸表の分析
工業簿記・原価計算
- 総合原価計算・標準原価計算・直接原価計算
- 予算実績差異分析・意思決定会計
- CVP分析(損益分岐点分析)
出題内容
- 第1問:仕訳問題(高度な商業簿記)
- 第2問:会計理論・財務諸表分析
- 第3問:工業簿記の計算問題
- 第4問:管理会計・原価計算の応用問題
試験時間・配点
- 試験時間:120分
- 満点:100点(70点以上で合格)
合格率30~50%程度
大企業の経理・財務部門向け
上級(税理士受験資格取得レベル)
試験範囲
商業簿記・会計学
- 連結会計・外貨換算会計・税効果会計・キャッシュフロー計算書
- 企業会計基準の適用
- 財務諸表分析と経営指標
工業簿記・原価計算・管理会計
- 予算管理・差異分析・意思決定会計
- 部門別計算・原価管理・資本予算
税務会計
- 法人税・所得税・消費税の計算と申告手続き
- 税務会計の基礎知識
出題内容
- 第1問:商業簿記の高度な仕訳
- 第2問:会計学(会計基準・財務諸表分析)
- 第3問:工業簿記・原価計算の実践問題
- 第4問:管理会計・税務会計の応用
試験時間・配点
- 試験時間:180分(3時間)
- 満点:100点(70点以上で合格)
合格率10~20%程度
合格者は税理士試験の受験資格を取得可能
まとめ
級 | 試験範囲 | 難易度 | 合格率 |
---|---|---|---|
4級 | 簿記の基礎 | ★☆☆☆☆ | 80~90% |
3級 | 商業簿記の基本 | ★★☆☆☆ | 70~80% |
2級 | 商業簿記+工業簿記 | ★★★☆☆ | 50~70% |
1級 | 企業会計・原価計算 | ★★★★☆ | 30~50% |
上級 | 会計・税務・管理会計 | ★★★★★ | 10~20% |
初学者は4級や3級から
企業の経理を目指すなら2級以上
税理士試験を目指すなら上級
試験対策
基本的な試験対策のポイント
-
出題範囲を正しく理解する
- 各級の試験範囲を確認し、重点的に学習する内容を決める。
- 過去問や公式ガイドを参考に、頻出分野を押さえる。
-
テキストと問題集を活用
- 簿記の基礎を理解するための教材を選ぶ。
- 仕訳や財務諸表の作成を繰り返し解く。
-
過去問演習を行う
- 本試験の形式に慣れるために、時間を計って過去問を解く。
- 間違えた問題の原因を分析し、弱点を補強する。
-
仕訳問題を毎日練習
- どの級でも仕訳は重要な基礎。
- 毎日10問以上の仕訳問題を解くことで、実践力を養う。
-
試験時間の管理
- 本番を想定して模擬試験を実施し、時間配分の感覚を掴む。
- 難問に時間をかけすぎず、解ける問題から処理する。
各級の試験対策
4級(入門レベル)
学習ポイント
- 簿記の基本的な仕組みを理解する。
- 簿記の基礎知識(資産・負債・純資産・費用・収益)を整理する。
- 仕訳と試算表の作成を中心に学習する。
具体的な対策
- 簿記の基本用語を暗記する。
- 仕訳の基本パターンを覚える。
- シンプルな計算問題を解き、試算表を作る練習をする。
おすすめ教材
- 基礎的な簿記テキスト
- 仕訳練習用ドリル
3級(基礎レベル)
学習ポイント
- 仕訳をスピーディーに処理できるようにする。
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の作成に慣れる。
- 精算表の作成方法を理解する。
具体的な対策
- 仕訳問題を徹底的に解く(1日20問以上)。
- 試算表や財務諸表を作る練習をする。
- 過去問を最低3回以上解く。
おすすめ教材
- 過去問集(3~5年分)
- 財務諸表作成の演習問題集
2級(実務レベル)
学習ポイント
- 商業簿記と工業簿記の両方をしっかり学ぶ。
- 決算整理仕訳を重点的に学習する。
- 工業簿記の計算問題(原価計算など)をマスターする。
具体的な対策
- 仕訳のバリエーションを広げ、応用問題に対応できるようにする。
- 連結会計や本支店会計など、特殊な取引を理解する。
- 工業簿記の原価計算の基礎をしっかり学ぶ。
おすすめ教材
- 商業簿記・工業簿記の公式テキスト
- 過去問(最低5年分)
- 工業簿記の計算問題集
1級(高度な実務レベル)
学習ポイント
- 企業会計基準に基づいた会計処理を理解する。
- 財務諸表の分析と管理会計の基礎を学ぶ。
- 原価計算や意思決定会計の問題を解けるようにする。
具体的な対策
- 企業会計基準の理解を深め、理論問題に対応する。
- 会計学の基本的な考え方を整理する。
- 工業簿記・管理会計の問題を繰り返し解く。
おすすめ教材
- 財務諸表分析の解説書
- 過去問演習(最低5回分)
- 管理会計の計算問題集
上級(税理士受験資格取得レベル)
学習ポイント
- 会計基準や税務会計の知識を深める。
- 連結会計・外貨換算・キャッシュフロー計算書など高度な会計処理を理解する。
- 企業の経営分析や管理会計の応用問題を解けるようにする。
具体的な対策
- 財務諸表分析の計算問題を実践する。
- 法人税・消費税の基礎を理解し、税務会計の問題に対応する。
- 実践的な模試を解き、試験時間の管理を徹底する。
おすすめ教材
- 財務諸表分析・会計学の専門書
- 税務会計の解説書
- 上級レベルの過去問集(最低5回分)
まとめ
級 | 学習ポイント | 主要対策 |
---|---|---|
4級 | 簿記の基礎理解 | 仕訳練習・試算表作成 |
3級 | 商業簿記の基礎 | 仕訳の徹底・財務諸表作成 |
2級 | 商業簿記+工業簿記 | 連結会計・原価計算の強化 |
1級 | 高度な会計処理 | 企業会計基準・管理会計の理解 |
上級 | 会計+税務+管理会計 | 財務諸表分析・税務会計の実践 |
どの級でも、仕訳を毎日練習し、過去問演習を繰り返すことが合格の鍵です。
取得後に出来ること
4級(入門レベル)取得後にできること
業務内容
- 簿記の基本を理解し、簡単な仕訳や帳簿記入ができる。
- 現金や預金の管理、伝票整理などの補助業務ができる。
就職・キャリア
- 簿記初心者として、経理アシスタント業務に挑戦できる。
- さらに上の級(3級以上)を目指すための基礎を固める。
活用できる職種
- 事務職(一般事務・経理補助)
- 小規模事業の会計補助
3級(基礎レベル)取得後にできること
業務内容
- 小規模企業の経理担当として、基本的な帳簿作成ができる。
- 仕訳や試算表作成、精算表作成、財務諸表の作成ができる。
- 企業の売上や経費の管理、決算補助ができる。
就職・キャリア
- 中小企業の経理担当者としての仕事に応募できる。
- 個人事業主やフリーランスが、自分で帳簿を管理できる。
活用できる職種
- 経理・財務アシスタント
- 事務職(総務・営業事務)
- 小規模企業の会計担当
2級(実務レベル)取得後にできること
業務内容
- 企業の経理部門で実務を担当できる。
- 商業簿記と工業簿記を理解し、製造業の経理もできる。
- 企業の決算業務に関与し、財務諸表を作成できる。
- 給与計算や税務申告のサポートができる。
就職・キャリア
- 経理・財務部門での採用に有利になる。
- 会計事務所や税理士事務所の補助スタッフとして働ける。
- 企業の経理責任者や管理職を目指せる。
活用できる職種
- 経理・財務担当
- 会計事務所スタッフ
- 管理部門(総務・人事)
1級(高度な実務レベル)取得後にできること
業務内容
- 中~大企業の経理担当者として、決算・財務管理を行う。
- 企業会計基準に基づいた財務諸表の作成・分析ができる。
- 予算管理や経営分析を行い、経営者の意思決定をサポートできる。
- 連結会計、税務申告、管理会計業務ができる。
就職・キャリア
- 上場企業や大企業の経理・財務部門で働ける。
- 経理部長や財務管理職としてキャリアアップできる。
- 税理士や公認会計士を目指す基礎ができる。
活用できる職種
- 経理・財務マネージャー
- 経営企画・管理部門
- 会計コンサルタント
上級(税理士受験資格取得レベル)取得後にできること
業務内容
- 企業の財務戦略や経営計画に携われる。
- 財務諸表分析や経営判断の支援を行う。
- 連結会計や税務会計のプロフェッショナルとして活躍できる。
- 会計事務所や税理士事務所で実務を担当できる。
就職・キャリア
- 税理士試験の受験資格を得られる。
- 会計・税務の専門職としてキャリアアップできる。
- 企業のCFO(最高財務責任者)や経営幹部を目指せる。
活用できる職種
- 税理士(試験合格後)
- 会計コンサルタント
- CFO(最高財務責任者)
取得後のキャリアアップの選択肢
級 | 取得後のキャリア | できること |
---|---|---|
4級 | 事務職・経理補助 | 簡単な仕訳や帳簿記入 |
3級 | 小規模企業の経理 | 試算表・財務諸表作成 |
2級 | 企業の経理担当 | 決算・財務管理・工業簿記 |
1級 | 経理・財務管理職 | 経営分析・連結会計 |
上級 | 税理士・CFO | 税務・経営戦略・財務分析 |
全経簿記の資格は、級が上がるにつれて実務での活用範囲が広がります。
企業の経理職を目指すなら 2級以上、経営管理や税務を扱うなら 1級以上、税理士を目指すなら 上級 の取得が有利です。
財務・経営系資格一覧
公認会計士
税理士
中小企業診断士
簿記検定
ファイナンシャル・プランニング技能士
証券アナリスト
簿記能力検定
建設業経理検定
経営士
ファイナンシャル・プランナー
実用数学技能検定
DCプランナー
DCアドバイザー
マーケティング・ビジネス実務検定
MBA
不動産証券化協会認定マスター
モーゲージプランナー
銀行業務検定試験
BATIC(国際会計検定)
CPA(米国公認会計士)
米国公認管理会計士
米国税理士(EA)
PMP試験
CISA(公認情報システム監査人)
CIRP(サーティファイド・IRプランナー)
シニアリスクコンサルタント
ITコーディネータ資格認定制度
ファイナンシャル・リスクマネージャ
アクチュアリー資格試験
二種外務員資格試験
CIA(公認内部監査人)
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
ホスピタリティ検定試験
イベント業務管理者
ファシリティマネージャー
PRプランナー資格認定制度
プロジェクトマネジメント資格
VEリーダー認定試験
販売士検定
セールススキル検定試験
セールスレップ資格認定制度
販路コーディネータ資格認定制度
交渉アナリスト
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)