アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS) によって認定された税務専門家で、連邦税(米国の税務)に関する権限を持つ税理士資格 です。
弁護士(Attorney)や公認会計士(CPA)と並び、IRSに対して納税者を代理する権限(Representation Rights)を持ちます。
■主催
米国内国歳入庁
EAとCPA(米国公認会計士)の違い
項目 | EA | CPA |
---|---|---|
認定機関 | IRS | 各州会計委員会 |
主な専門分野 | 税務(Tax) | 会計・監査・税務 |
業務範囲 | 税務申告・税務代理 | 会計、監査、税務、コンサルティング |
州の制限 | なし(全米有効) | 州ごとのライセンス |
目次
受験資格と難易度
1. EA(Enrolled Agent)の受験資格
EA試験(Special Enrollment Examination, SEE)には、特別な受験資格は不要です。
つまり、学歴・職歴・国籍に関係なく誰でも受験可能です。
- 年齢制限なし
- 学歴・職歴の要件なし
- 米国外に住んでいる人も受験可能
- 英語での試験(日本語の試験はなし)
日本に住んでいる人でも受験できるため、米国に移住せずにEA資格を取得することが可能です。
2. 試験の難易度
EA試験の難易度は「米国税法に特化した資格試験」という点で、簿記や会計の知識がなくても合格できる可能性があります。
ただし、試験範囲は広く、英語での受験が必須なので、適切な対策が必要です。
① 合格率
EA試験の合格率(IRS公表データ)は以下の通り
試験科目 | 受験者数 | 合格率(平均) |
---|---|---|
個人税(Individual) | 約20,000人 | 75~85% |
事業税(Business) | 約15,000人 | 65~75% |
税務手続・代表権(Representation, Practices & Procedures) | 約10,000人 | 85~90% |
全科目の平均合格率は70%程度で、米国CPA試験(合格率50%前後)よりも高いです。
ただし、2科目目の「事業税」は難易度が高めなので注意が必要です。
試験内容
1. 個人税(Individuals)
出題数:約100問(MCQ)
試験時間:3.5時間
合格率:75~85%(比較的易しい)
この科目では、個人の所得税(Form 1040) に関する知識が問われます。
米国での個人の税務申告や控除、税額控除(Credits)について深く学びます。
主な試験範囲
-
所得(Income)
- 給与(Wages)、自営業所得(Self-Employment Income)、利子・配当(Interest & Dividends)
- キャピタルゲイン・ロス(Capital Gains & Losses)
- 退職所得(Retirement Income, Social Security Benefits)
- 不動産収入(Rental Income)
-
控除(Deductions)
- 標準控除(Standard Deduction)と項目別控除(Itemized Deductions)
- 医療費、住宅ローン利子、教育費用、慈善寄付(Charitable Contributions)
- 住宅関連控除(Home Office Deduction, Property Taxes)
-
税額控除(Credits)
- 児童税額控除(Child Tax Credit)
- 勤労所得税額控除(Earned Income Credit)
- 教育税額控除(Education Credits)
-
特別な税務状況
- 非居住者(Nonresident Aliens: NRA)や外国所得(Foreign Earned Income Exclusion, Form 2555)
- 扶養控除(Dependent Rules)
- 相続税・贈与税の基本(Estate & Gift Tax)
-
税務申告の基礎
- 申告期限・延長(Filing Deadlines & Extensions)
- 罰則・ペナルティ(IRS Penalties)
- Form 1040と関連フォームの記入方法
2. 事業税(Businesses)
出題数:約100問(MCQ)
試験時間:3.5時間
合格率:65~75%(最も難易度が高い科目)
この科目では、企業の税務(法人税・パートナーシップ税・自営業税) を学びます。特に、法人形態ごとの税務処理が重要になります。
主な試験範囲
-
事業形態と課税
- 個人事業主(Sole Proprietorship、Schedule C)
- パートナーシップ(Partnership、Form 1065)
- C法人(C Corporation、Form 1120)
- S法人(S Corporation、Form 1120S)
-
事業所得・経費
- 事業収入(Business Income)
- 事業関連の経費(Business Deductions: 交通費、交際費、減価償却費)
- 在庫・売上原価(Cost of Goods Sold: COGS)
-
雇用関連の税務
- 雇用税(Employment Taxes)
- 給与税(Payroll Taxes、Form 941, Form 940)
- 自営業税(Self-Employment Tax)
-
減価償却と資産管理
- 減価償却(Depreciation, MACRS)
- セクション179控除(Section 179 Deduction)
-
パートナーシップ・法人の税務申告
- 利益分配と税務(Profit Allocation in Partnerships)
- 法人の二重課税(Double Taxation in C Corporations)
- S法人のパススルー課税(Pass-Through Taxation for S Corporations)
-
IRSの監査と罰則
- 企業税務監査(Business Audit Procedures)
- 税務罰則(IRS Penalties & Compliance)
この科目では、法人やパートナーシップの税務処理の違いを理解することが重要 です。
会計知識があると有利 ですが、税法が中心なので未経験者でも対策可能です。
3. 税務手続・代表権(Representation, Practices & Procedures)
出題数:約100問(MCQ)
試験時間:3.5時間
合格率:85~90%(最も簡単な科目)
この科目では、IRSとの対応方法や税務代理のルール を学びます。EAの権限やIRSの手続きに関する知識が問われます。
主な試験範囲
-
EAの権限と倫理規定
- IRSの税務代理(IRS Representation Rights)
- 権限の範囲(Who Can Represent Taxpayers?)
- 州税 vs 連邦税(State vs Federal Tax Authority)
- 倫理規定(Circular 230)
-
IRS監査・税務調査の対応
- IRS監査(Audit Procedures)
- 税務訴訟(Tax Litigation)
- 異議申し立て(Appeals Process)
- 税務解決プログラム(Offer in Compromise, Installment Agreements)
-
税務申告と修正
- 修正申告(Amended Returns, Form 1040X)
- 期限切れ申告(Late Filing & Payment Penalties)
- 罰則とペナルティの回避(Penalty Abatement)
-
税務犯罪・脱税防止
- IRSの調査権限(IRS Enforcement Powers)
- 脱税のリスク(Tax Evasion & Fraud)
- 納税者の権利(Taxpayer Bill of Rights)
この科目は、暗記が中心のため比較的容易 ですが、IRSのプロセスを正しく理解しておく必要があります。
4. EA試験の出題形式
- すべて選択式問題(Multiple Choice Questions: MCQ)
- 試験時間は各科目3.5時間
- 各科目100問程度
- 試験結果は即時通知
- 1科目ずつ受験可能(全科目を一度に受験する必要はない)
試験対策
学習計画の立て方
目標を決める
- 3科目を3~6ヶ月で合格を目指す
- 1科目ずつ受験できるため、難易度の低い科目から受験すると効率的
おすすめの受験順
受験順 | 科目 | 理由 |
---|---|---|
1 | 税務手続(Representation, Practices & Procedures) | 最も簡単で合格しやすい |
2 | 個人税(Individuals) | 知識が身近で学びやすい |
3 | 事業税(Businesses) | 最も難易度が高いため最後に受験 |
税務手続は暗記中心の科目のため、短期間での学習が可能。
個人税は実生活に関わる内容が多いため、事業税の前に学習すると理解しやすくなる。
科目別の試験対策
個人税(Individuals)の対策
重点ポイント
- Form 1040の理解(個人所得税申告)
- 所得(給与、配当、キャピタルゲインなど)
- 控除(標準控除と項目別控除)
- 税額控除(Child Tax Credit、Earned Income Credit)
- 非居住者の税務(Foreign Earned Income Exclusion)
対策方法
- Form 1040とSchedule A, B, C, Dを実際に読んでみる
- 所得税計算の練習問題を解く
- IRSの公式サイトから最新の税制を確認する
事業税(Businesses)の対策
重点ポイント
- 事業形態(Sole Proprietorship, Partnership, C Corporation, S Corporation)
- 法人税の計算(Form 1120, 1120S, 1065)
- 雇用税(Form 941, 940)
- 減価償却(MACRS、Section 179)
- 自営業税(Self-Employment Tax)
対策方法
- 法人・パートナーシップの税務処理の違いを整理
- 減価償却の計算方法を理解
- 過去問や模擬試験を活用
税務手続・代表権(Representation, Practices & Procedures)の対策
重点ポイント
- EAの権限(Circular 230)
- IRSの監査手続(Audit Process)
- 修正申告(Form 1040X)
- IRSペナルティと罰則の種類
- 税務代理と納税者の権利
対策方法
- IRSの公式文書(Circular 230)を読む
- 過去問を解いて、IRSの手続きを暗記
- 税務調査や監査の流れを理解する
効率的な学習方法
参考書・教材を活用
推奨されるEA試験対策教材
- Gleim EA Review
- 模擬試験や解説が充実
- Surgent EA Review
- AIを活用した学習プランが特徴
- Lambers EA Review
- 実践問題が豊富
- Fast Forward Academy
- 初学者向けの教材
いずれもオンライン学習+模擬試験が利用でき、スマートフォンでも学習可能。
IRS公式リソースを活用
- IRSのウェブサイト(www.irs.gov)
- Form 1040, 1120 などの実際の税務フォーム
- IRS発行のガイドライン(Publication 17, 334 など)
IRSの公式資料を読むことで、最新の税制を正しく理解できる。
過去問・模擬試験を活用
- 問題集を繰り返し解く(同じ問題を3回解くと定着率が高い)
- 1科目ごとに模擬試験を受け、合格点(70%以上)を取れるようにする
- 試験本番の時間配分を意識しながら解く
英語対策
EA試験は英語のみで実施されるため、専門用語に慣れることが重要。
対策方法
- IRSの公式サイトを読む(特にFAQやFormの説明)
- 問題集の解説を英語のまま理解する
- 税務用語リストを作成し、暗記する
- 例)
- Deduction(控除)
- Credit(税額控除)
- Depreciation(減価償却)
- Audit(監査)
- 例)
試験当日の注意点
受験の流れ
- 試験センター(Prometric)で受験
- 持ち物:写真付き身分証明書(パスポートなど)
- 試験結果は即時通知
時間配分のコツ
時間 | 解答の目安 |
---|---|
最初の1時間 | 30問を解く |
次の1.5時間 | 50問を解く |
最後の1時間 | 見直し |
1問あたり2分以内で解くことを意識すると、見直し時間を確保できる。
取得後に出来ること
税務代理(IRS Representation)
EAは、IRSに対して納税者を代理する権利を持っています。これは、弁護士(Attorney)や米国公認会計士(CPA)と同じ権限であり、全米どこでも適用されます。
具体的な業務
- IRSの税務調査(Audit)の代理
- IRSへの異議申し立て(Appeals)
- 税務債務の交渉(Offer in Compromise, Installment Agreements)
- 修正申告(Amended Returns, Form 1040X)の対応
納税者の立場に立って、IRSとの交渉やトラブル対応を行うことが可能です。
米国税務申告(Tax Preparation)
EAは、個人や法人の税務申告業務を行うことができます。
対応できる税務申告
- 個人所得税申告(Form 1040)
- 法人税申告(Form 1120, 1120S)
- パートナーシップ税申告(Form 1065)
- 自営業税(Self-Employment Tax, Schedule C)
- 相続税・贈与税申告(Form 706, Form 709)
- 非居住者の税務申告(Form 1040NR)
特に、外国人の米国税務や、米国企業の国際税務に関わる業務はEAの強みとなります。
税務コンサルティング(Tax Advisory)
EAは、クライアントに対して**税務相談(Tax Advisory)**を提供できます。
主なコンサルティング業務
- 節税対策の提案(Tax Planning)
- 法人設立時の税務アドバイス(LLC, C Corporation, S Corporation)
- 海外在住者の米国税務(Foreign Tax Credit, FBAR, FATCA)
- 米国進出企業の税務サポート(海外企業の米国法人設立、税制対応)
- 税務リスク管理(Tax Compliance & Risk Management)
特に、日系企業の米国進出サポートや、海外在住日本人の税務アドバイザリーに活躍の機会があります。
独立開業・リモートワーク
EAは、独立して税務サービスを提供することも可能です。
また、オンラインで米国税務を扱うことができるため、リモートワークにも適した資格です。
独立開業のメリット
- 全米どこでも活動可能(州に縛られない)
- クライアントは個人・法人のどちらでも対応可能
- 米国外に住んでいても米国税務業務ができる
- リモートでの税務サポートが可能
日本に住みながら、米国に住むクライアント向けの税務申告代行やコンサルティングを行うことも可能です。
EA取得後のキャリアパス
EA資格を活かして、以下のようなキャリアを築くことができます。
税理士・税務コンサルタント
- 税務申告業務(個人・法人)
- 国際税務コンサルティング
- 独立開業・リモートワーク
企業の税務担当者
- 米国企業の社内税務部門
- 日系企業の米国税務対応
- 外資系企業の税務コンプライアンス担当
税務会計事務所・CPAファーム勤務
- 会計事務所での税務業務
- EAの資格を活かしたIRS対応業務
EAは、特に税務分野での専門性を高めたい人にとって有利な資格です。
財務・経営系資格一覧
公認会計士
税理士
中小企業診断士
簿記検定
ファイナンシャル・プランニング技能士
証券アナリスト
簿記能力検定
建設業経理検定
経営士
ファイナンシャル・プランナー
実用数学技能検定
DCプランナー
DCアドバイザー
マーケティング・ビジネス実務検定
MBA
不動産証券化協会認定マスター
モーゲージプランナー
銀行業務検定試験
BATIC(国際会計検定)
CPA(米国公認会計士)
米国公認管理会計士
米国税理士(EA)
PMP試験
CISA(公認情報システム監査人)
CIRP(サーティファイド・IRプランナー)
シニアリスクコンサルタント
ITコーディネータ資格認定制度
ファイナンシャル・リスクマネージャ
アクチュアリー資格試験
二種外務員資格試験
CIA(公認内部監査人)
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
ホスピタリティ検定試験
イベント業務管理者
ファシリティマネージャー
PRプランナー資格認定制度
プロジェクトマネジメント資格
VEリーダー認定試験
販売士検定
セールススキル検定試験
セールスレップ資格認定制度
販路コーディネータ資格認定制度
交渉アナリスト
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)