旅行業法に基づく国家資格で、旅行業において最も権威のある資格の一つです。この資格を取得すると、国内外を問わずすべての旅行業務の管理・監督ができます。
旅行会社や旅行代理店においては、法律により一定数の旅行業務取扱管理者を配置することが義務付けられています。
取得するメリット
- 国内・海外旅行の企画・販売が可能
- 旅行会社の管理職や責任者として活躍できる
- 旅行業界でのキャリアアップや転職に有利
- 個人旅行業の開業が可能
■主催
(社)日本旅行業協会
受験資格と難易度
受験資格
総合旅行業務取扱管理者試験には特別な受験資格はありません。
以下の通り、年齢・学歴・職歴に制限はなく、誰でも受験できます。
受験資格のポイント
- 年齢制限: なし
- 学歴制限: なし
- 職歴制限: なし
- 国籍制限: なし(外国籍でも受験可能)
例外事項
- 旅行業界の経験がなくても受験可能。
- 国内旅行業務取扱管理者資格の取得有無に関係なく、直接受験できる。
難易度と合格率
難易度の目安
総合旅行業務取扱管理者試験は、旅行業関連の国家資格の中で最も難易度が高いとされています。理由は以下の通りです。
- 試験範囲が広い: 国内・海外旅行の知識が必要。
- 法律問題が複雑: 旅行業法や関係法令の理解が不可欠。
- 運賃計算問題の難しさ: 国内外の航空運賃や鉄道運賃計算が出題される。
- 観光地理の暗記量: 国内外の観光地・文化遺産に関する詳細知識が求められる。
合格率の推移
- 合格率: 約15%~20%程度
- 特徴:
- 毎年2万人前後が受験し、約3,000人が合格。
- 国内旅行業務取扱管理者に比べて合格率が低い。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2021年 | 約20,000人 | 約3,500人 | 約17.5% |
2022年 | 約19,500人 | 約3,200人 | 約16.4% |
2023年 | 約18,700人 | 約3,100人 | 約16.6% |
試験内容
試験は以下の3科目に分かれており、各科目で一定の得点を獲得する必要があります。
試験概要
科目 | 内容 | 出題形式 | 時間 |
---|---|---|---|
1. 旅行業法および関係法令 | 旅行業法、標準旅行業約款、関連法令 | マークシート・記述式 | 約90分 |
2. 旅行業務取扱実務 | 予約・手配、料金計算、手続き実務 | マークシート・計算問題 | 約90分 |
3. 国内・海外旅行実務(地理含む) | 国内・海外の観光地理、文化、交通機関 | マークシート | 約90分 |
旅行業法および関係法令
出題範囲
-
旅行業法:
- 旅行業の登録要件
- 旅行業者と旅行者の権利・義務
- 営業保証金・保証社員制度
- 旅行業者の業務範囲
-
標準旅行業約款:
- 募集型企画旅行契約
- 受注型企画旅行契約
- 手配旅行契約の内容
-
関係法令:
- 消費者契約法
- 個人情報保護法
- 景品表示法
問題形式
- マークシート選択問題(〇×形式、複数選択問題)
- 記述問題(法律用語や契約に関する説明)
旅行業務取扱実務
出題範囲
-
運送機関の運賃・料金計算:
- 国内外の航空運賃(IATA運賃計算含む)
- 鉄道・船舶の料金体系
-
宿泊施設の料金計算:
- 宿泊料・食事料・サービス料の計算
- 割引・追加料金計算
-
予約・手配実務:
- 航空券・ホテルの予約手続き
- 顧客への確認事項と注意点
-
危機管理:
- 海外旅行時の緊急対応
- 保険加入に関する知識
問題形式
- マークシート問題: 実務に関する選択問題
- 計算問題: 運賃・料金計算問題(計算用紙持ち込み可)
国内・海外旅行実務(観光地理含む)
出題範囲
-
国内観光地理:
- 日本全国の主要観光地、世界遺産、温泉地
- 伝統文化や地域特産品
-
海外観光地理:
- 世界各国の観光スポット、文化、宗教行事
- 国際空港コード、主要都市の地理
-
旅行手続き:
- パスポート申請手続き
- 各国のビザ要件・入国制限
-
国際航空運送協会(IATA)関連知識:
- 空港コード(例: NRT=成田、LHR=ロンドン)
- 航空路線網と接続時間の計算
問題形式
- マークシート選択問題:
- 「この観光地がある国は?」などの地理問題
- 出入国手続きに関する正誤判定問題
合格基準
- 各科目で満点の60%以上が合格基準です。
- 1科目でも基準未満なら不合格(科目合格制はありません)。
試験対策
試験の特徴と重要ポイント
- 広範な試験範囲: 法律、実務、国内・海外観光地理の3科目で構成。
- 難関科目: 特に運賃計算と海外観光地理が受験生の鬼門。
- 出題形式: マークシート中心だが、記述・計算問題も含まれる。
- 合格基準: 各科目で60%以上の得点が必要。
効果的な学習ステップ
ステップ1:試験範囲の全体把握(最初の2週間)
- 過去問を1年分解いて問題の傾向を把握。
- 科目ごとの出題パターンを確認。
ステップ2:基礎知識の定着(1か月目)
- 旅行業法と標準旅行業約款を優先的に学習。
- 地理問題は国内→海外の順に取り組む。
ステップ3:問題演習と実戦練習(2~4か月目)
- 運賃計算は週に3回以上、過去問を解く。
- 時間を計って模試形式で実施。
ステップ4:直前期の総復習(試験前1か月)
- 間違えた問題を重点的に復習。
- 模試で8割以上を目指す。
科目別対策方法
旅行業法および関係法令
出題傾向
- 法律の条文を問う問題や実務適用問題が多い。
- 標準旅行業約款は毎年出題される。
効果的な対策
- 法令集で繰り返し読み込み:
- 特に契約解除条件や賠償責任に注目。
- 条文の暗記よりも“適用方法”を理解:
- 事例問題での正誤判断が多いため、実例で学習。
- 過去5年分の問題を反復練習:
- 法改正部分が出やすいので最新情報に注意。
旅行業務取扱実務(運賃・料金計算含む)
出題傾向
- 運賃計算: 国内外の航空運賃、鉄道・船舶運賃計算。
- 手配実務: 予約方法、確認書類作成、顧客対応問題。
- 危機管理: 海外旅行時のトラブル対処法。
効果的な対策
- 運賃計算の攻略法:
- IATA運賃表を使って問題を週3回以上演習。
- 「割引条件」「ストップオーバー」の計算問題を重点的に。
- 宿泊・食事料金の計算練習:
- 子供割引や団体割引計算を徹底的に練習。
- 危機管理問題はテキストの事例学習を活用:
- 旅行保険適用条件を理解。
国内・海外旅行実務(観光地理含む)
出題傾向
- 国内外の観光地、世界遺産、空港コード問題が中心。
- ビザ要件や出入国手続きも出題。
効果的な対策
- 国内地理: 温泉地や伝統文化に関連する問題を暗記カードで覚える。
- 海外地理:
- 空港コード(IATAコード)暗記が必須。
- 例: NRT=成田、LAX=ロサンゼルス、CDG=パリ。
- ヨーロッパ・アジアの主要観光地は重点的に。
- 旅行手続き: 各国の入国条件やビザ必要国をリスト化して覚える。
取得後に出来ること
取得すると、旅行業法に基づき、国内・海外を問わずすべての旅行業務の管理・監督が可能になります。この資格は旅行会社や旅行代理店で必須の資格であり、旅行業を営むには各営業所に最低1名の配置が法律で義務付けられています。
1. 国内・海外旅行商品の企画・販売
できること
- 国内旅行商品の企画・販売
- パッケージツアーの企画、販売、運営が可能です。
- 海外旅行商品の企画・販売
- 海外旅行ツアーや個人旅行プランの販売ができます。
- オーダーメイド旅行の手配
- 顧客の要望に応じた特別な旅行プランの作成・手配が可能です。
メリット
- 法律上、海外旅行を取り扱うには総合旅行業務取扱管理者が必須のため、海外旅行を取り扱う旅行会社で重宝されます。
- 国内旅行のみを扱う資格(国内旅行業務取扱管理者)に比べ、業務範囲が広くなります。
2. 旅行会社や旅行代理店での管理者としての勤務
管理者としての役割
- 旅行業務全般の監督・管理
- 営業所の旅行業務を適法かつ円滑に進めるための監督を行います。
- 社員教育・研修の実施
- 法律や手続きに関する指導や社員向け研修を担当。
- 顧客トラブルの対応・解決
- クレーム処理や緊急時の対応も管理者の責任範囲です。
メリット
- 旅行会社内での昇進や管理職への登用に有利です。
- 旅行業者としての信頼性向上に寄与します。
3. 旅行業の独立開業
開業可能な業態
- 旅行代理店の開設
- 個人で旅行代理店を開業し、国内外の旅行商品を取り扱えます。
- インターネット専門旅行業の立ち上げ
- オンラインでの旅行手配業務や相談窓口を運営可能です。
必要条件
- 営業所ごとに旅行業務取扱管理者の設置が必須
- 規模や取り扱う旅行商品に応じて、国土交通省への登録申請が必要です。
4. 出張手配・団体旅行の企画業務
- 企業や団体向けの出張手配業務
- 航空券、ホテル、交通手段の一括手配が可能です。
- 学校や企業の団体旅行の企画・運営
- 社員旅行、修学旅行、研修旅行の計画・手配ができます。
5. クルーズ、テーマ別ツアーなどの専門ツアー企画
- 高付加価値旅行商品の提供
- クルーズツアーや世界遺産巡りなど、専門性の高いツアーを企画可能です。
- スポーツ観戦、音楽フェス参加ツアーなどの特別企画
- ニッチな需要に対応できる旅行商品を開発・販売できます。
6. 観光関連事業への進出
- 地域観光振興事業のサポート
- 地域自治体と連携して観光誘致やイベントツアーの企画に参画。
- 観光コンサルタントとしての活動
- 観光業者や地方自治体へのアドバイス業務が可能です。
7. 外国人旅行者向けのサービス提供
- インバウンド旅行の企画・運営
- 日本を訪れる外国人向けの旅行商品を企画・販売。
- 多言語対応ツアーの企画
- 海外からの観光客を対象にした多言語対応ツアーの提供が可能です。
8. フリーランスとしての活動
- 旅行コーディネーターやツアープランナーとして独立
- 個人事業主としてフリーで活動可能です。
- 旅行関連メディアでの執筆や講演活動
- 資格を活かして旅行情報の発信や講師業を行えます。