葬祭ディレクター技能審査

厚生労働省認定の「技能審査制度」に基づいて実施される民間資格で、葬儀業務の知識・技能を一定水準以上持っていることを証明するための資格です。

主催は一般社団法人 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)で、葬儀業界で最も広く認知されている資格のひとつです。

主催
全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)

受験資格と難易度

受験資格

葬祭ディレクター技能審査は、葬儀業に携わる実務経験者向けの資格です。
未経験の方は受験できません。

1級の受験資格

  • 葬儀業務に 通算5年以上の実務経験があること
  • または、2級資格を取得後、2年以上の実務経験があること

より複雑で高度な葬儀業務(社葬、大規模葬など)を取り扱えるレベルを求められます。

2級の受験資格

  • 葬儀業務に 通算2年以上の実務経験があること
  • 主に、一般家庭規模の葬儀を中心に担当できる人向けの基礎的な技能審査

※実務経験には、葬儀の施行、会場設営、司会、接客などの業務が含まれます。

難易度

試験は筆記試験・実技試験・面接試験の3部構成で、等級により難易度が異なります。

1級の難易度

  • 難易度:高め
  • 合格率:約40~50%(年度や会場により変動あり)
  • 出題範囲が広く、複数宗派の作法や大規模葬の対応力、応用的判断力などが求められます
  • 実技試験でもナレーションの表現力や進行の的確さが問われる

2級の難易度

  • 難易度:やや易しめ~中程度
  • 合格率:約60~70%
  • 基本的な葬儀の知識・技能がしっかり身についていれば合格可能
  • 日頃の業務に真面目に取り組んでいる方であれば、十分に対応できる内容

試験内容

試験の全体構成

葬祭ディレクター技能審査は、以下の3つの試験に分かれています。

  • 筆記試験
  • 実技試験(設営・ナレーション・記述)
  • 面接試験(応対・マナー・判断力)

等級(1級・2級)によって求められる知識・技能の深さが異なります。

筆記試験の内容

葬祭に関する基礎知識から法律、宗教、接遇まで幅広く出題されます。

主な出題範囲

  • 葬儀の基礎知識(仏式・神式・キリスト教式など)
  • 宗教・宗派ごとの違いと作法
  • 火葬・埋葬に関する法規(墓地埋葬法など)
  • 衛生管理(遺体の処置、感染症対策など)
  • 葬祭用品、施設、霊柩車の種類
  • 接遇マナーと言葉遣い
  • 倫理・コンプライアンス(個人情報の取り扱い、誠実性)

試験形式

  • 選択式と記述式の混合
  • 試験時間:約60分
  • 実務に基づいた実践的な問題が中心

実技試験の内容

実務現場での対応力や技能を確認するため、3つの形式で実施されます。

設営試験(枕飾りの設営)

  • 指定された宗派の枕飾りを時間内に正しく設営
  • 道具の配置、整然とした所作、細部の正確性が問われる
  • 所作の丁寧さや作業スピードも評価対象

ナレーション試験(司会進行)

  • 模擬の式典でナレーション(司会文)を読み上げる
  • 滑舌・声量・間の取り方・感情表現が重視される
  • 落ち着いた声と聞き取りやすさがポイント

筆記による実技試験(記述)

  • 葬儀の進行手順、トラブル対応、運営方法に関する記述問題
  • 1級は応用的な判断力が必要
  • 2級は基本的な知識と流れの理解が問われる

面接試験の内容

受験者の接遇力、判断力、人間性を評価する口頭試問です。

評価項目

  • あいさつや立ち居振る舞い
  • 適切な敬語・表現の使い方
  • 問題への対応力(例:クレーム処理)
  • お客様対応時の落ち着きや誠実さ

試験対策

試験対策の基本方針

葬祭ディレクター技能審査は、実務に基づいた試験のため、現場経験の積み重ねと基礎知識の確認が最も重要です。

2級は基礎力、1級は応用力・表現力・判断力が求められます。それぞれの試験区分に応じた対策が必要です。

筆記試験の対策

筆記試験は幅広い分野から出題されますが、出題傾向は一定です。

対策ポイント

  • 教本や公式テキストで基本知識を整理する
  • 宗教別の作法や流れを比較しながら覚える
  • 法律(墓地埋葬法など)や衛生管理についての概要を押さえる
  • 模擬問題・過去問を活用して繰り返し解く

効果的な勉強法

  • 表や図で宗派ごとの違いをまとめる
  • 実際の式の流れを頭の中でシミュレーションする
  • 過去問を時間を測って解き、本番を想定した練習をする

実技試験の対策

実技は「設営」「ナレーション」「記述式(実務想定)」の3部構成です。現場での動作がそのまま評価につながります。

設営試験の対策

  • 枕飾りや祭壇の設営を繰り返し練習する
  • 道具の配置順、向き、高さなど細部まで注意する
  • 作業中の姿勢や手の使い方も評価対象となる

ナレーション試験の対策

  • 台本(司会文)を何度も音読して練習する
  • 声の大きさ、間の取り方、滑舌に注意
  • 録音して自分の声を客観的に聞くことで改善点が見える

記述式(実務想定)の対策

  • 式進行の段取りを正確に説明できるよう整理する
  • トラブル発生時の対応手順をイメージしておく
  • 記述練習で、短く的確に答える練習をする

面接試験の対策

面接では、応対の姿勢・マナー・判断力が問われます。

対策ポイント

  • 礼儀正しい言葉遣いと落ち着いた態度を身につける
  • クレームや予期せぬ状況への対応をロールプレイで練習する
  • 面接官の質問に簡潔に答える練習を繰り返す

取得後に出来ること

資格取得後にできること

葬祭ディレクター技能審査資格を取得すると、葬儀業務のスペシャリストとして、
現場での信頼性が高まり、就職・転職・昇進・社内教育など多方面で活躍の幅が広がります。

現場での評価・信頼性の向上

  • 有資格者として、遺族・参列者からの信頼を得やすくなる
  • 会社内での責任あるポジション(式典責任者など)を任されやすくなる
  • 同僚や後輩からの指導役としての立場が期待される

昇進・待遇面での優遇

  • 資格手当や昇給の対象となる会社も多い
  • 管理職・主任・リーダーなど、社内キャリアパスに有利
  • 実力に加えて「資格による裏付け」があることで人事評価が高まる

転職・就職での強みになる

  • 葬儀業界への転職活動で履歴書に明確な実務力を示せる
  • 互助会・仏具店・霊園会社など関連業種への転職でも高評価
  • 経験年数だけでなく「第三者による技能評価」を証明できる

社内教育や講師としての活躍

  • 新人研修やマナー研修の講師として社内で活躍できる
  • 組合や業界団体での技術指導・後進育成にもつながる
  • 地域のセミナーや終活イベントでの講師依頼も期待できる

地域活動・終活支援への展開

  • 終活アドバイザーやセレモニーコーディネーターとして地域活動に参加可能
  • 高齢者施設や自治体主催の講座での講師活動
  • 介護・福祉分野との連携にも発展

1級と2級の活用イメージの違い

等級 主な活用シーン
2級 一般的な葬儀の現場責任者、スタッフ指導者などに活用
1級 大規模葬・社葬の総責任者、社内教育担当、管理職など

フリーランスとしての展開も可能

  • 地域の葬儀社と提携して、司会や進行の外部スタッフとして活動
  • 終活関連ビジネスやセレモニー事業の独立開業
  • 宗教者や士業とのネットワークを活かした多職種連携の構築

その他資格一覧

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