設備設計一級建築士

建築物の設備設計(空調、衛生、電気設備など)に関する高度な知識と技術を有することを証明する国家資格です。主に大規模建築物の設備設計に携わるために必要な資格であり、建築基準法に基づき一定規模以上の建物ではこの資格を持つ者が設備設計の確認を行うことが義務付けられています。

資格の役割

設備設計一級建築士は、建物の安全性、快適性、省エネルギー性を確保するために以下の業務を担当します。

設備設計の確認

建物の用途や規模に応じて、適切な設備計画がなされているか確認します。

  • 空調設備の計画
  • 給排水衛生設備の計画
  • 電気設備の計画

法令遵守の確認

建築基準法や関連する設備に関する法令に適合しているかをチェックします。

設備設計図書の作成

施工者が正確に施工できるように、詳細な設計図書を作成します。

主催
(財)建築技術教育普及センター

受験資格と難易度

受験資格

設備設計一級建築士試験を受験するためには、以下の条件を満たす必要があります。

1. 一級建築士の資格取得者

設備設計一級建築士試験を受けるには、まず一級建築士の資格を有していることが必須条件です。これは、設備設計が建築物全体の理解を前提としているためです。

2. 実務経験

一級建築士取得後に、設備設計に関する実務経験が2年以上必要です。
実務経験として認められる業務は以下の通りです。

  • 空調・換気・排煙設備の設計
  • 給排水衛生設備の設計
  • 電気設備の設計
  • 設備計画の立案および設備設計の確認業務

この実務経験は、実務経歴証明書などで証明する必要があります。

3. 実務講習の受講(場合による)

一部の場合では、事前に実務講習を受講し、その修了が受験資格として求められることがあります。

試験の難易度

設備設計一級建築士試験の難易度は比較的高いとされていますが、適切な準備を行えば合格は十分に可能です。

合格率

過去のデータでは、合格率は約20%前後となっており、決して簡単な試験ではありません。

  • 合格率が低い要因としては、試験範囲の広さと専門性の高さが挙げられます。
  • 実務経験が前提の試験であるため、実務を通じて理解を深めた受験者でも油断は禁物です。

試験の難しさの理由

  • 広範な試験範囲: 設備計画、法規、設計、施工管理、維持管理など、幅広い知識が求められます。
  • 専門用語や計算問題: 設備特有の計算問題や技術的な用語が多く出題されます。
  • 実務に即した問題: 実際の設計現場での課題解決能力が問われます。

試験内容

試験概要

試験方式

  • 形式: 記述式および選択式(マークシート方式)の筆記試験
  • 試験時間: 約3〜4時間(年度により変動あり)
  • 合格基準: 総得点で60%以上が一般的

試験科目構成

  • 設備計画および設計に関する事項
  • 法規に関する事項
  • 施工管理および維持管理に関する事項
  • 設計図書の作成および読み取り
  • 実務に基づく総合問題

試験科目と詳細内容

設備計画および設計に関する事項

設備計画や設計の基本から応用まで、幅広い知識が問われます。

空調・換気・排煙設備
  • 空調方式の選定(全空気方式、空冷・水冷システムなど)
  • 熱負荷計算(冷暖房負荷の算出)
  • 換気計画(換気量計算、排煙設備の設計)
給排水・衛生設備
  • 給水・給湯設備設計(圧力計算、ポンプ容量選定)
  • 排水通気設備(配管勾配、排水管径算定)
  • 衛生器具配置(効率的なレイアウトと設備計画)
電気設備
  • 照明設計(照度計算、照明器具選定)
  • 電源・コンセント計画(負荷計算、回路設計)
  • 非常用電源・避雷設備の計画

法規に関する事項

建築設備設計に関連する法規の理解が必要です。

建築基準法および関連法規
  • 設備に関する建築基準法適用条項
  • 防火区画・非常用設備に関する規定
消防法関連
  • 消火設備(スプリンクラー設計基準)
  • 火災報知器および避難誘導設備の法的要件
環境関連法規
  • 建築物省エネルギー法の適用範囲
  • 環境負荷低減に関する最新規定

施工管理および維持管理に関する事項

施工現場での実務知識および維持管理計画が求められます。

施工管理
  • 工程管理(スケジュール策定、リスクマネジメント)
  • 品質・安全管理(安全基準、施工品質確保手法)
維持管理
  • 設備点検・定期検査の計画
  • 設備長寿命化のための維持管理技術
  • 省エネルギー運用と改善策

設計図書の作成および読み取り

設備設計に必要な図書作成能力と読解力を問われます。

設計図書作成
  • 設備設計図(系統図、配管図)の作成手法
  • 仕様書および計算書のまとめ方
図面読解
  • 配管系統図、空調系統図の読み取り
  • 設備配置図の確認ポイント

実務に基づく総合問題

実際のプロジェクトに近いケーススタディ形式で出題されます。

ケーススタディ
  • 与えられた条件に基づいた設備計画立案
  • 設備設計の課題抽出と改善提案
総合設計問題
  • 法規遵守を考慮した設備計画の作成
  • 問題解決型設問への対応

試験の特徴と難易度のポイント

難易度の要因

  • 広範な出題範囲: 設備全般にわたる知識が必要
  • 計算問題の多さ: 熱負荷計算や配管径計算が頻出
  • 法規問題の細かさ: 正確な法令理解が重要

合格率

  • 平均合格率: 約20%前後
  • 難易度: 実務経験があっても十分な学習が必要

勉強時間の目安

  • 一般的な学習時間: 約300〜500時間
  • 実務経験者: 少ない学習時間でも合格可能
  • 未経験者: 基礎からの理解に時間を要する

試験対策

科目別対策ポイント

設備計画および設計の対策

学習ポイント
  • 空調・換気・排煙設備: 熱負荷計算や換気量計算の公式を正確に覚える
  • 給排水衛生設備: 配管設計の基準や圧力損失計算を理解する
  • 電気設備: 照明設計と電力負荷計算を実務を通じて学ぶ
対策方法
  • 実務図面を活用し、系統図や詳細図の読み取り練習を行う
  • 設備機器の選定理由を説明できるようにする

法規の対策

学習ポイント
  • 建築基準法: 設備関連条項を優先して学習
  • 消防法: 消火設備、避難設備の基準を正確に理解
  • 省エネ法: 最新の基準と適用条件を確認
対策方法
  • 法令集の活用: 実際の法令集を使い、条文の検索スピードを向上
  • ケース問題練習: 条文適用の実例問題に取り組む

施工管理および維持管理の対策

学習ポイント
  • 施工計画: 工程管理表の読み方を理解
  • 品質・安全管理: 施工中のリスク管理方法を学ぶ
  • 維持管理: 設備点検基準や長寿命化対策を整理
対策方法
  • 現場経験があれば、施工計画書や管理表を実際に確認
  • 過去の事故例を学び、安全対策の重要性を把握

設計図書の作成および読み取りの対策

学習ポイント
  • 設備図面の作成手順を理解
  • 仕様書や計算書の正しい書き方を学ぶ
対策方法
  • 実際のプロジェクト資料を用いて図面作成演習を行う
  • 配管系統図や空調機械配置図の確認問題を解く

実務に基づく総合問題の対策

学習ポイント
  • 設備計画における問題点抽出と改善提案力を養う
  • 法令遵守を意識した設計計画が立てられるようにする
対策方法
  • ケーススタディ: 想定プロジェクトの設計演習を実施
  • 過去問分析: 近年の総合問題を分析し、出題傾向を把握

効率的な学習方法

過去問題の活用

  • 過去5〜10年分の問題を解き、出題傾向を把握
  • 間違えた問題は、解説を熟読し再度解き直す

模擬試験の実施

  • 実際の試験時間を設定し、本番を想定した演習を実施
  • 模試後は弱点を特定し、重点的に復習

学習ツールの活用

  • 公式テキスト: 試験範囲の網羅に最適
  • 問題集: 分野別に問題を解き、知識の定着を図る
  • オンライン講座: 移動時間や隙間時間を有効活用

実務経験の活かし方

設計業務での知識整理

  • 日常業務での疑問点を試験勉強に活用
  • 実際に携わった設備設計事例を振り返り、設計意図を説明できるようにする

現場経験からの学び

  • 現場巡回で設備施工のポイントを確認
  • 維持管理担当者から、運用上の課題をヒアリング

取得後に出来ること

取得すると、建築設備設計において専門的かつ重要な役割を担うことができます。特に、大規模建築物の設備設計業務においては、法律上の責任者として業務を行えるため、キャリアや業務の幅が大きく広がります。

法的に認められる業務範囲

一定規模以上の建築物の設備設計責任者になれる

  • 建築基準法に基づく義務:
    延べ面積2,000㎡を超える建築物の設備設計では、設備設計一級建築士による設計および確認が法的に義務付けられています。
  • 確認申請書類への記名・押印が可能:
    設備設計図書の作成・提出時に責任者として署名できるようになります。

設備設計図書の適合性判定ができる

  • 設備設計における法規遵守の確認および適合性判定業務が可能になります。

実務で担うことができる役割

設備設計プロジェクトのリーダー

  • 設計全体の統括:
    空調、給排水衛生、電気設備を含めたトータルな設備計画の立案および実行。
  • クライアントとの折衝:
    発注者や建築主と設備仕様やコストについて直接協議可能。
  • プロジェクトマネジメント:
    設計から施工、維持管理までの全体スケジュールや品質管理のリーダーシップを担います。

設計・施工者との調整業務

  • 構造・意匠設計者との連携:
    設備スペースや建築構造との調和を考慮した調整が可能。
  • 施工業者との打ち合わせ:
    現場での設備施工に関する指示や設計変更への対応ができます。

キャリアアップと資格取得後のメリット

専門性を活かしたキャリア形成

  • 設計事務所やゼネコンでの昇進:
    設備設計部門の管理職や技術指導者として活躍できます。
  • 独立開業:
    自身の設計事務所を開業し、独立して案件を受注できます。

報酬アップと業務機会の拡大

  • 収入面の向上:
    設備設計一級建築士を持つことで、非保有者に比べて報酬が上がる傾向があります。
  • 大規模案件への参画:
    公共施設や商業施設、高層ビルなどの大規模プロジェクトへの参画が可能。

法的責任の範囲拡大

  • 設計ミス防止や法的適合性の確認業務で、建築主からの信頼性が高まります。

活躍できる主な業界と職種

建築設計事務所

  • 設備設計の専門家として、意匠・構造設計者と協働。
  • 設備設計の責任者として確認申請業務を担当。

ゼネコン(総合建設会社)

  • 施工管理部門での設備工事の監督業務。
  • 設計・施工一貫型プロジェクトでの設備計画立案。

建築設備会社

  • 設備機器メーカーやメンテナンス会社での技術支援。
  • 維持管理計画の立案や省エネルギー対策の提案。

官公庁や公共機関

  • 公共建築物の設備計画や改修計画の技術審査。
  • 建築設備に関する技術基準策定への関与。

設備設計一級建築士の独自の強み

設備全般のトータルコーディネートが可能

  • 空調、給排水、電気、消防など複数設備の統合設計ができる。

法規遵守と省エネ設計の両立ができる

  • 最新の省エネルギー基準を取り入れた設計が可能。
  • 建築基準法や消防法への適合性確認を自ら実施。

設計段階から維持管理までの一貫した提案ができる

  • 設計だけでなく、建物の長期的な維持管理まで考慮した計画立案ができる。

建築系資格一覧

一級建築士
二級建築士
木造建築士
構造設計一級建築士
設備設計一級建築士
建築施工管理技士
建築図面製作技能士
土木施工管理技士
ビル経営管理士
不動産鑑定士
測量士
宅地建物取引主任者
管理業務主任者
マンション管理士
土地家屋調査士
玉掛技能講習
環境計量士
管工事施工管理技士
建設機械施工技士
建築設備士
建築業経理士
コンクリート技士
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