厚生労働大臣の免許を受けて、医師または歯科医師の指示のもとに、おもに放射線を人体に対して照射することを業務としている者をいう。一般に「X線技師」「レントゲン技師」などとよばれる者の正式名称。
医療用の放射線機器を操作し、病気の診断や治療を行う専門職 でX線、CT、MRI、放射線治療などの装置を使用し、正確な診断や治療を支援します。
目次
診療放射線技師の主な役割
① 画像診断検査
- X線撮影(レントゲン撮影)
- CT(コンピュータ断層撮影)
- MRI(磁気共鳴画像)
- 超音波検査(エコー検査)
② 放射線治療
- がん患者への放射線治療の実施
- 放射線治療計画の作成・線量管理
③ 核医学検査
- PET(陽電子放射断層撮影)・SPECT(単光子放射断層撮影)
- 放射性医薬品を用いた検査
④ 放射線管理
- 医療現場での放射線被ばく管理
- 放射線防護対策
■主催
厚生労働省
受験資格と難易度
1. 受験資格
診療放射線技師国家試験を受験するためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
① 診療放射線技師養成課程を修了する
- 文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した診療放射線技師養成施設(大学・短大・専門学校) で3年以上 の課程を修了すること。
- 2024年4月以降に入学した人は、「学士」または「専門士(診療放射線)」の称号を取得することが必須。
② 海外で診療放射線技師の資格を取得し、厚生労働大臣の認定を受ける
- 日本以外の国で診療放射線技師の資格を取得し、日本の基準に適合すると認められた場合、受験資格が与えられる。
2. 試験の難易度
診療放射線技師国家試験の難易度は中程度~やや高めとされ、基礎から応用までの幅広い知識が求められます。
① 合格率
- 約70~90%(年度によって変動)
- 年度によって難易度にばらつきがある
② 出題範囲と難易度
- 基礎医学(解剖学・生理学・病理学)が重要
- 物理・数学(放射線物理学・医用工学)の理解が必須
- 近年、臨床応用問題(実際の症例を想定した問題)が増加傾向
③ 合格基準
- 総得点の60%以上(年度によって変動)
- 必修問題は80%以上の正答が必要(30問中24問以上)
注意点:試験範囲が広いため、基礎医学・放射線技術・画像診断・放射線管理をバランスよく学習することが重要 です。
試験内容
1. 試験概要
- 試験形式:五肢択一のマークシート方式
- 試験時間:午前・午後の2部構成
- 合格基準
- 必修問題の得点率80%以上(30問中24問以上)
- 総合得点の60%以上
2. 試験科目と出題範囲
① 必修問題(30問)
- 診療放射線技師として必要な基礎知識を問う問題
- 80%以上の正答が必要(30問中24問以上)
主な出題内容
- 診療放射線技師の倫理・職業規範
- 放射線の基礎知識(X線・CT・MRI・核医学)
- 医療安全・放射線防護・感染対策
- 医療法規・診療報酬制度
② 一般問題(170問)
- 基礎医学・放射線技術・画像診断・放射線治療など、広範囲の知識が問われる
1. 基礎医学(解剖学・生理学・病理学など)
- 人体の構造と機能(骨・筋肉・神経・内臓)
- 病理学(がん、炎症、感染症の基礎知識)
2. 放射線物理学・医用工学
- X線・γ線・電子線・陽子線の物理的性質
- 放射線の相互作用と線量測定
- MRI・超音波・核医学機器の原理
3. 画像診断技術
- X線撮影(一般撮影・マンモグラフィー)
- CT(コンピュータ断層撮影)・MRI(磁気共鳴画像)
- 造影検査(バリウム検査・血管造影)
- PET・SPECT(核医学画像診断)
4. 放射線治療技術
- 放射線治療の基本原理
- リニアック(直線加速器)を用いた治療
- 強度変調放射線治療(IMRT)・陽子線治療
5. 放射線防護・管理
- 医療従事者と患者の被ばく防護
- 放射線測定(線量計・個人線量モニタリング)
- 放射線に関する法律・基準(電離放射線障害防止法)
6. 医療法規・制度・倫理
- 診療放射線技師法・医療法
- チーム医療における診療放射線技師の役割
- 医療安全・個人情報保護(インフォームドコンセント)
3. 合格基準
- 総合点の60%以上 の正答が必要(年度によって変動)
- 必修問題は80%以上の正答(30問中24問以上)
試験対策
1. 効果的な学習方法
① 基礎固め(6~4ヶ月前)
- 教科書・参考書を読み込み、重要ポイントを整理
- 放射線物理・解剖学・生理学・画像診断技術を重点的に学習
- 計算問題の対策を行う
- 放射線物理・線量測定・X線装置の計算問題を理解する
② 過去問演習(3~2ヶ月前)
- 最低5年分の過去問を解く
- 「なぜこの答えになるのか?」を理解しながら学習
- 頻出問題を重点的に対策
- 繰り返し出題されるテーマを優先
- 間違えた問題をノートにまとめる
- 弱点を可視化し、集中的に復習
③ 実践力をつける(1ヶ月前~)
- 時間を計って模試形式で演習
- 本番と同じ環境で解く
- 間違えた問題をリスト化し、最後まで克服する
2. 必修問題対策(合格ライン80%以上)
- 基礎医学(解剖・生理・病理)を重点的に学習
- 放射線の安全管理・医療法規を整理
- 倫理・法律問題は一問一答形式で対策
3. おすすめの教材・勉強法
① 教科書・参考書
- 「標準診療放射線技術学」シリーズ(医学書院)
- 「診療放射線技師国家試験対策テキスト」(医歯薬出版)
② 過去問・問題集
- 厚生労働省の公式過去問サイト
- 「診療放射線技師国家試験 過去問題5年分解説」(中央法規)
③ スマホアプリ・オンライン学習
- 診療放射線技師国家試験対策アプリ(過去問演習に便利)
- YouTubeの放射線技術講義動画(視覚的に理解しやすい)
取得後に出来ること
1. 医療分野での活躍
① 病院・クリニックでの画像診断業務
- X線撮影(レントゲン撮影)
- CT(コンピュータ断層撮影)・MRI(磁気共鳴画像)
- マンモグラフィー(乳がん検診)
- 造影検査(バリウム検査・血管造影)
② 放射線治療
- がん治療のための放射線照射
- リニアック(直線加速器)による放射線治療
- 陽子線・重粒子線治療の実施
③ 核医学検査
- PET(陽電子放射断層撮影)・SPECT(単光子放射断層撮影)
- 放射性医薬品を用いた検査
④ 放射線管理
- 医療従事者と患者の被ばく防護
- 放射線機器の適正管理と保守
2. 健診・福祉分野での活躍
① 健診センター
- 企業や自治体の健康診断業務(胸部X線・胃透視など)
- がん検診(CT・マンモグラフィー)
② 介護施設・在宅医療
- 訪問診療でのポータブルX線撮影
- 高齢者向けの肺がん・骨粗しょう症検診
3. 研究・教育分野での活躍
① 大学・専門学校の教員
- 診療放射線技師養成校での講義・実習指導
- 放射線医療の研究・技術開発
② 研究機関
- 放射線治療・画像診断の新技術開発
- 医用工学分野での研究活動
4. 企業・行政分野での活躍
① 医療機器メーカー
- X線・CT・MRI装置の開発・販売
- 放射線測定器・線量管理システムの開発
② 行政機関・公務員
- 厚生労働省・放射線関連の規制機関での業務
- 医療機器の安全性評価・管理業務
5. キャリアアップ・資格の活用
① 認定資格の取得
- 放射線治療専門技師・マンモグラフィ認定技師などの専門資格を取得
- 超音波検査士・X線CT認定技師としてのスキル向上
② 大学院進学・研究
- 修士・博士号を取得し、教育・研究職として活躍
- 医療技術の開発・新しい診断技術の研究