日本を訪れる外国人観光客に対して観光案内を行うための観光庁が管轄する国家資格試験です。
専門知識と語学力を活かし、日本の文化・歴史・観光スポットなどを説明する仕事を担います。
目次
受験資格と難易度
1. 受験資格
通訳案内士試験は、年齢・学歴・国籍に関係なく、誰でも受験可能な国家資格試験です。特別な資格や経験は不要で、受験のハードルは低いですが、試験の難易度は高めです。
2. 試験の難易度
通訳案内士試験は国家試験の中でも難関資格のひとつとされており、特に英語科目の競争率が高いことが特徴です。
① 合格率
- 全体の合格率:10〜20%前後
- 筆記試験の合格率:約20〜30%
- 口述試験の合格率:約70〜80%
- 言語ごとに異なり、英語は合格率が最も低い
- 中国語・フランス語・スペイン語は英語より合格率が高め
② 科目別の難易度
科目 | 難易度 | 特徴 |
---|---|---|
外国語(英語・中国語など) | ★★★★☆(高) | 読解・リスニング・記述試験があり、高得点が必要。TOEIC900点以上のレベル。 |
日本地理 | ★★★☆☆(中) | 主要観光地・地形・気候・交通機関に関する知識が必要。暗記量が多い。 |
日本歴史 | ★★★☆☆(中) | 古代から現代までの歴史を幅広く学ぶ。世界遺産や文化財の知識も重要。 |
一般常識 | ★★★☆☆(中) | 政治・経済・観光業界の動向、法律知識も問われる。 |
通訳案内の実務(口述試験) | ★★★★☆(高) | 外国語で観光案内を行う実践的な試験。スピーキング力が求められる。 |
試験内容
1. 試験概要
項目 | 内容 |
---|---|
試験名 | 全国通訳案内士試験 |
試験実施機関 | 日本政府観光局(JNTO) |
試験日程 | 8月(筆記試験)、12月(口述試験) |
受験資格 | 年齢・学歴・国籍不問(誰でも受験可能) |
試験形式 | 筆記試験(4科目)+口述試験 |
試験会場 | 全国主要都市 |
2. 筆記試験(4科目)
筆記試験では、観光案内に必要な知識や外国語能力を問われます。
① 外国語(英語・中国語・フランス語など)
- 試験形式:リーディング、リスニング、記述式(英語)
- レベル:TOEIC 900点以上相当、英検1級レベル
- 試験内容
- 読解問題(観光・文化・歴史に関する文章)
- リスニング問題(観光案内や旅行会話)
- 記述問題(観光ガイドの文章作成)
試験のポイント
- 英語の場合、長文読解・要約・エッセイ形式の問題が出題される。
- TOEIC 900点以上や英検1級などのスコアを持っていると、この試験は免除される。
② 日本地理
- 試験形式:マークシート
- 試験範囲
- 主要な観光地(京都、東京、奈良、広島など)
- 地形・気候(山脈・河川・気候帯など)
- 交通機関(新幹線、空港、フェリー)
- 世界遺産(富士山、厳島神社、姫路城など)
試験のポイント
- 日本の観光名所や地理に関する知識が求められる。
- 実際の観光案内に役立つ内容が出題されるため、旅行ガイドブックを活用すると効果的。
③ 日本歴史
- 試験形式:マークシート
- 試験範囲
- 日本の古代・中世・近世・近代の歴史
- 戦国時代、江戸時代の文化と社会
- 明治維新、戦後の復興
- 文化財、寺社仏閣、伝統文化
試験のポイント
- 歴史の流れを理解し、観光客に分かりやすく説明できる知識が必要。
- 世界遺産や文化財に関する問題が頻出。
④ 一般常識
- 試験形式:マークシート
- 試験範囲
- 日本の政治・経済・社会
- 観光業界の動向
- 外国人観光客の受け入れ政策
- インバウンド市場のトレンド
試験のポイント
- 観光業に関するニュースをチェックすることが重要。
- 日本の政治制度、経済の基本、法律知識も問われる。
3. 口述試験
筆記試験に合格した人だけが受験できます。
- 試験形式:面接
- 試験内容
- 面接官との対話(外国語での自己紹介)
- 観光ガイドの実演(日本の観光地を説明)
- シチュエーション対応(観光客への案内、クレーム対応)
試験のポイント
- 実践的なガイド能力が評価される。
- 日本文化や歴史の知識を外国語で説明する力が求められる。
4. 試験の合格基準
- 各科目70点以上(100点満点)で合格
- 1科目でも不合格なら再受験が必要(科目合格制度なし)
- 口述試験に合格しないと最終的に資格取得はできない
5. 外国語試験の免除制度
外国語試験は、以下のスコアを持っていると免除される。
試験 | 免除基準 |
---|---|
TOEIC | 900点以上 |
英検 | 1級 |
TOEFL iBT | 100点以上 |
中国語検定(HSK) | 5級以上 |
試験対策
1. 全体的な試験対策のポイント
学習スケジュールを立てる
通訳案内士試験は暗記科目と実技科目のバランスが重要です。
- 半年から1年間の計画を立て、段階的に学習する
- 外国語試験の免除がない場合は、外国語の勉強を最優先する
- 地理・歴史・一般常識は過去問を中心に学習する
- 口述試験対策は、筆記試験の合格後から本格的に開始する
過去問を徹底活用
- 公式の過去問を最低3年分解く
- 問題の傾向を把握し、頻出テーマを重点的に学習する
- 間違えた問題はノートにまとめ、復習を繰り返す
参考書・学習教材の活用
- 通訳案内士試験対策用の公式テキストを活用する
- 観光ガイドブックや歴史書も参考にする
- YouTubeやオンライン講座で視覚的に学習する
2. 科目別の試験対策
外国語(英語・中国語・フランス語など)
【試験形式】
- 読解問題(観光・文化・歴史に関する文章)
- リスニング問題(観光案内や旅行会話)
- 記述問題(観光ガイドの文章作成)
【対策】
- 英語の場合はTOEIC900点レベルを目指す
- リスニング対策として、観光英語の音声教材を活用する
- 記述問題は「観光地の紹介」を英語で書く練習をする
- 試験免除を狙うなら、TOEICや英検のスコア取得を検討する
日本地理
【試験範囲】
- 主要な観光地(京都、東京、奈良、広島など)
- 地形・気候・河川・山脈
- 交通機関(新幹線、空港、フェリー)
- 世界遺産(富士山、厳島神社、姫路城など)
【対策】
- 全国の観光地を地図で整理し、視覚的に覚える
- 観光ガイドブックを活用して、現地の魅力を理解する
- 世界遺産の成り立ちや歴史的背景を暗記する
- 模試や過去問を繰り返し解き、試験形式に慣れる
日本歴史
【試験範囲】
- 古代から近代の歴史
- 戦国時代、江戸時代の文化と社会
- 明治維新、戦後の復興
- 文化財、寺社仏閣、伝統文化
【対策】
- 歴史の流れを年表で整理する
- 文化財や寺社仏閣の特徴を表にまとめる
- 重要な歴史イベントや人物に関連した観光地を覚える
- 観光客向けに歴史を説明する練習をする
一般常識
【試験範囲】
- 日本の政治・経済・社会
- 観光業界の動向
- 外国人観光客の受け入れ政策
- インバウンド市場のトレンド
【対策】
- 観光庁・JNTOの最新レポートをチェックする
- ニュースや観光業界の動向を毎日確認する
- 外国人観光客のニーズやトレンドを理解する
- 国際情勢や文化交流のニュースにも注目する
3. 口述試験対策
【試験形式】
- 面接官との対話(外国語での自己紹介)
- 観光ガイドの実演(日本の観光地を説明)
- シチュエーション対応(観光客への案内、クレーム対応)
【対策】
- 観光地の説明をスクリプト化し、暗記と練習を行う
- 英語スピーキングの練習を毎日行い、録音して確認する
- オンライン英会話を活用し、実践的な会話練習をする
- 試験本番を想定し、模擬面接を行う
取得後に出来ること
1. 国家資格としての業務
通訳案内士(全国通訳案内士)は、日本を訪れる外国人観光客に対して観光案内を行う唯一の国家資格です。以下の業務が可能になります。
外国人向け観光ガイド
- 日本国内の観光名所(京都・奈良・東京・北海道など)を案内
- 外国人旅行者に対し、日本の文化・歴史・伝統を説明
- 団体ツアーやプライベートツアーのガイド業務
- 自治体や観光協会主催のイベントでの案内役
通訳・翻訳業務
- 観光ガイド業務だけでなく、企業の通訳・翻訳としても活動可能
- 商談や国際会議での通訳
- 観光関連のパンフレットやWebサイトの翻訳
- 文化イベントや国際交流プログラムの通訳
2. 具体的な仕事の種類
① フリーランス通訳案内士
-
仕事のスタイル
- 自分で顧客を獲得し、独立して働く
- 旅行会社や通訳派遣会社と契約し、仕事を受注
- インバウンドツアー専門のWebサイトに登録して仕事を探す
-
収入の目安
- 1回のガイド料:15,000円~30,000円(4~8時間)
- 繁忙期には月収50~100万円も可能
-
メリット
- 自由な働き方ができる
- 実力次第で高収入が狙える
-
デメリット
- 安定した収入を得るには営業力が必要
- 繁忙期と閑散期の収入差が大きい
② 旅行会社・観光関連企業に就職
-
旅行会社のインバウンド部門でツアー企画・ガイド業務
-
観光協会や自治体の観光課で外国人向けのイベント運営
-
ホテルや旅館の外国人対応スタッフとして勤務
-
収入の目安
- 旅行会社勤務:年収400~600万円
- 観光関連企業:年収350~500万円
-
メリット
- 安定した収入と仕事が確保できる
- 福利厚生が充実
-
デメリット
- ガイド業務よりもオフィスワーク中心の仕事が多い
- 柔軟な働き方は難しい場合がある
③ 通訳・翻訳業界での活躍
-
商談・会議の通訳
-
観光パンフレットやWebサイトの翻訳
-
YouTube・SNS向けのコンテンツ翻訳
-
国際展示会やイベントの通訳
-
収入の目安
- フリーランス通訳者:時給5,000~15,000円
- 翻訳者(1文字あたり):3~10円(専門性により変動)
-
メリット
- 旅行業以外の分野でも活躍できる
- 通訳案内士の資格をアピールすると仕事が得やすい
-
デメリット
- 通訳・翻訳専門の資格やスキルが必要な場合がある
- 安定した仕事を得るには実績が必要
3. その他の活躍の場
① 観光関連の講師・セミナー講師
- 通訳案内士試験の講師として教える
- 企業研修や自治体向けのインバウンド講座を担当
② 文化イベント・国際交流のサポート
- 外国人向けの日本文化体験イベント(茶道・書道・武道など)でのガイド
- 国際交流プログラムのコーディネーター
③ ツアープランナー・旅行コンサルタント
- 外国人観光客向けのオリジナルツアーを企画
- 地方自治体や観光協会と連携し、地域観光の活性化に貢献
4. 通訳案内士資格を活かすためのポイント
① 語学力の向上
- 通訳案内士資格を持っていても、流暢な会話力が求められる
- 英会話スクールやオンライン英会話でスピーキング力を強化
- 専門用語や観光英語を習得する
② SNSやWebを活用した自己ブランディング
- 自身のブログやSNSで活動を発信し、仕事の依頼を受けやすくする
- インバウンド向けのYouTubeチャンネルを運営し、集客につなげる
③ 他の資格と組み合わせる
- 旅行業務取扱管理者(旅行会社勤務を目指すなら有利)
- TOEICや通訳技能検定(通訳・翻訳の仕事を増やすために有効)
- 日本文化関連の資格(茶道・華道・着付けなどで観光客向けの体験型サービスを提供)
おすすめの講習、教材
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語学系資格一覧
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翻訳実務士資格
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インドネシア語技能検定試験
タイ語検定試験(TAEC)
ハングル能力検定
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実用イタリア語検定
スペイン語技能検定
DELE(スペイン文部省認定証)
ドイツ語技能検定試験
フランス語能力認定試験(TEF)
実用フランス語技能検定
ロシア語能力検定
観光英語検定試験