銀行や金融機関の職員が金融業務の知識やスキルを測るための試験です。金融機関での業務に必要な専門知識を身につけ、キャリアアップを図るために活用されています。
【試験の目的】
銀行業務の専門知識を体系的に学び、実務能力の向上を目指すことを目的としています。合格すると、その分野に関する一定の知識があることが証明されます。
■主催
銀行業務検定協会
受験資格と難易度
1. 受験資格
銀行業務検定試験には、受験資格の制限はありません。
誰でも受験可能であり、金融機関の職員だけでなく、学生や異業種の人も挑戦できます。
ただし、試験の内容は金融機関の業務に即したものが多いため、銀行・信用金庫・保険会社・証券会社などの金融業界の人が主な受験者です。
2. 難易度
銀行業務検定の難易度は試験の種類や級によって異なります。以下、各級の難易度と合格率の目安をまとめました。
(1)3級:基礎レベル(初心者向け)
- 対象者:新人行員、金融業界初心者
- 難易度:★☆☆☆☆(易しい)
- 出題形式:マークシート(択一式)
- 合格率:50%前後(試験によっては60%以上)
- 特徴:
- 基本的な金融用語、業務知識を問う問題が中心
- テキストをしっかり読めば合格できるレベル
- 金融業界の入門者向け
合格しやすい試験例
- 法務3級
- 財務3級
- 税務3級
- 融資3級
- 外国為替3級
(2)2級:実務レベル(中堅職員向け)
- 対象者:実務経験のある行員、中堅職員
- 難易度:★★★☆☆(やや難しい)
- 出題形式:択一式+記述式の組み合わせ
- 合格率:30%〜50%程度
- 特徴:
- 3級よりも実務に即した内容が増える
- 記述式問題があり、より深い理解が必要
- 業務経験があると有利
合格するには
- 公式テキストを熟読し、過去問を解く
- 実際の業務経験を活かして学ぶ
- 記述式対策として、計算問題や事例問題の演習をする
難易度がやや高い試験例
- 法務2級
- 財務2級
- 税務2級
- 融資2級
- 外国為替2級
(3)1級:専門レベル(管理職向け)
- 対象者:管理職、専門知識を深めたい人
- 難易度:★★★★★(非常に難しい)
- 出題形式:記述式中心(論述や計算問題)
- 合格率:10%〜30%(試験によっては10%以下)
- 特徴:
- かなり専門的な知識が求められる
- 記述式問題が中心で、論理的な説明力が必要
- 計算問題や分析問題が多く、実務経験がないと厳しい
合格するには
- 業務経験を活かしながら深い知識を習得
- 公式テキスト+専門書で学習
- 論述式対策として、要点をまとめる練習をする
- 過去問を徹底的に解く
特に難易度が高い試験
- 融資管理1級
- 財務1級
- 法務1級
- 税務1級
- リスク管理1級
3. 難易度の総評
級 | 難易度 | 合格率 | 試験の特徴 |
---|---|---|---|
3級 | 易しい | 50%前後 | 基礎知識の確認、マークシート式 |
2級 | やや難しい | 30〜50% | 実務的な知識が必要、記述式あり |
1級 | 非常に難しい | 10〜30% | 専門知識が問われ、論述・記述式中心 |
試験内容
1. 法務試験
金融機関の取引に関わる法律知識を問う試験です。預金、貸出、為替、担保、保証、手形・小切手法などが主な範囲となります。
主な試験内容
- 預金・貸出に関する法律
- 企業法務(会社法、商法など)
- 金融取引に関する法律(担保、保証、手形・小切手法)
- コンプライアンス(金融商品取引法、個人情報保護法など)
- 訴訟・契約関連
2. 財務試験
企業の財務分析や決算書の読み取り能力を問う試験です。企業の健全性や信用力を評価するために必要な知識が求められます。
主な試験内容
- 財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の分析
- 財務指標(収益性・安全性・効率性など)の計算・評価
- 企業の資金繰り、キャッシュフロー分析
- 経営分析(企業の収益構造、経営戦略)
- 企業評価とリスク管理
3. 税務試験
法人税・所得税・消費税など、金融機関で必要となる税務知識を問う試験です。融資業務や相続関連業務など、銀行業務に直結する税務の知識も求められます。
主な試験内容
- 法人税(課税所得計算、減価償却、引当金)
- 所得税(給与所得、事業所得、譲渡所得)
- 消費税(課税対象、税率、計算方法)
- 相続税・贈与税(評価方法、税額計算)
- 金融機関の税務業務(融資取引、投資商品の税務)
4. 融資試験
金融機関における融資業務全般についての知識を問う試験です。貸出審査、与信管理、担保・保証、返済計画などが主な範囲となります。
主な試験内容
- 融資制度と融資契約
- 貸出審査(企業の信用力評価、財務分析)
- 担保・保証制度(不動産担保、人的保証、信用保証協会)
- 返済計画の立案(元利均等返済、元金均等返済)
- 不良債権管理(回収方法、法的手続き)
5. 外国為替試験
国際取引に関する金融知識を問う試験で、為替リスクや貿易金融などの実務が範囲に含まれます。
主な試験内容
- 外国為替市場と為替相場の動向
- 貿易金融(信用状、為替手形、ドキュメンタリー・コレクション)
- 外貨預金・外貨送金の仕組み
- 為替リスク管理(為替予約、ヘッジ手法)
- 国際決済システム(SWIFT、国際銀行間取引)
6. デリバティブ・証券業務試験
金融商品の運用やリスク管理に関する専門知識を問う試験です。証券・債券・デリバティブ(金融派生商品)などを扱います。
主な試験内容
- 株式市場と株式投資(PER、PBR、ROE)
- 債券市場(国債、社債、利回り計算)
- デリバティブ取引(先物、オプション、スワップ)
- 投資信託の仕組みと運用方法
- 金融リスク管理(マーケットリスク、信用リスク、流動性リスク)
7. 経営支援(事業性評価・コンサルティング)試験
金融機関が企業の経営支援を行う際に必要な知識を問う試験です。企業の成長戦略や資金調達のアドバイス能力が求められます。
主な試験内容
- 事業性評価(企業の競争力分析、成長性判断)
- 経営計画の立案支援
- 企業の資金調達(銀行融資、社債、株式発行)
- 事業再生支援(債務整理、事業再構築)
- M&A(企業買収・合併の実務)
8. コンプライアンス・リスク管理試験
金融機関における法令遵守(コンプライアンス)とリスク管理の知識を問う試験です。
主な試験内容
- 金融機関の法令遵守(金融商品取引法、個人情報保護法)
- 不正取引防止(マネーロンダリング対策、インサイダー取引防止)
- 内部監査とガバナンス(リスク管理体制)
- クレジットリスク管理(信用リスク評価、融資審査)
- オペレーショナルリスク管理(システム障害、業務ミス対応)
試験の形式と特徴
銀行業務検定試験は、以下のような形式で実施されます。
試験級 | 出題形式 | 試験時間 | 合格基準 |
---|---|---|---|
3級 | マークシート(択一式) | 90分 | 60点以上/100点 |
2級 | 択一式+記述式 | 120分 | 60点以上/100点 |
1級 | 記述式・論述式 | 120分〜150分 | 60点以上/100点 |
試験対策
1. 試験対策の基本方針
① 公式テキストを活用する
銀行業務検定協会が発行する公式テキストは、試験範囲を網羅しており、試験問題の多くがここから出題されます。テキストの内容をしっかり理解することが合格への第一歩です。
② 過去問題を解く
試験問題の傾向を把握し、解答スピードを向上させるために、過去問題の演習が必須です。公式テキストの巻末や協会のサイトで入手できる場合もあります。
③ 出題形式に慣れる
- 3級 → マークシート形式(択一式)
- 2級 → 択一式+記述式
- 1級 → 記述式・論述式
3級は選択肢の中から解答を選ぶ形式ですが、2級以上は記述式が含まれるため、より深い理解と論理的な説明力が求められます。
2. 級別の対策ポイント
(1)3級対策
試験の特徴
- 難易度が低めで、基礎知識の確認が中心
- 公式テキストをしっかり読めば合格可能
- 計算問題は少なく、暗記中心
対策ポイント
- 公式テキストの重要語句を暗記(基本用語を理解)
- 過去問を繰り返し解く(同じパターンの問題が出ることが多い)
- 計算問題がある場合は、公式をしっかり覚える
(2)2級対策
試験の特徴
- 実務レベルの問題が出題される
- 記述式問題があり、簡単な計算問題も出る
- 単なる暗記ではなく、応用力が求められる
対策ポイント
- 公式テキストを熟読し、要点を整理する
- 過去問を記述式で解く練習をする(説明力が必要)
- 計算問題に慣れる(財務・税務・融資試験では特に重要)
- 事例問題の分析力をつける(実務的な視点で考える)
記述式問題対策
- 答えを簡潔にまとめる練習をする(長文より要点を押さえることが重要)
- 具体例を使って説明できるようにする(例:「貸借対照表の◯◯からこの企業の財務状況を分析できる」)
(3)1級対策
試験の特徴
- 高度な専門知識が求められる
- 記述式・論述式が中心
- 実務経験があると有利
対策ポイント
- 公式テキストだけでなく、専門書も活用する
- 業務経験を活かして学ぶ(実際の事例を想定しながら勉強)
- 論述式の回答練習をする(採点基準を意識し、論理的に説明する)
論述式問題対策
- 問題文の要求を的確に読み取り、的確に回答する
- 重要ポイントを整理して、簡潔に説明できるようにする
- 過去問を使って制限時間内に解答を書く練習をする
3. 分野別の学習法
(1)法務試験対策
- 法律の条文を理解する(特に預金・貸出・担保・保証の部分)
- 事例問題に慣れる(具体的なケーススタディを想定)
- 判例をチェックする(実務でよく出る法律知識を深める)
(2)財務試験対策
- 財務諸表の読み方をマスターする(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)
- 財務指標の計算練習をする(ROE・ROA・自己資本比率など)
- 実際の企業の財務分析をしてみる(新聞・ネットで公開されている決算書を活用)
(3)税務試験対策
- 法人税・所得税・消費税の基本を押さえる(控除・税率・計算方法を暗記)
- 計算問題を繰り返し解く(実務で使う計算式に慣れる)
- 税務改正情報を確認する(最新の税制変更に注意)
(4)融資試験対策
- 融資の審査基準を理解する(企業の信用評価・担保の種類)
- 貸出の実務フローを把握する(審査・契約・回収・リスク管理)
- 不良債権の管理方法を学ぶ(貸倒引当金・回収手続き)
(5)外国為替試験対策
- 基本的な為替の仕組みを理解する(為替レートの決まり方)
- 貿易金融の実務を把握する(信用状・ドキュメンタリー・コレクション)
- リスク管理の方法を学ぶ(ヘッジ取引・デリバティブ活用)
取得後に出来ること
1. 金融業界でのキャリアアップ
(1)昇進・昇格の要件として活用
- 銀行・信用金庫・証券会社などの金融機関では、昇進や昇格の条件として評価されることがある
- 特に 2級以上 を取得すると、主任・係長クラスへの昇進 に有利
- 1級 を取得すると、管理職(課長・支店長)候補としての評価が高まる
(2)業務の専門性向上
- 法務・財務・融資・税務などの専門分野の知識が深まり、業務の幅が広がる
- 取得した資格を活かして、企業へのコンサルティング業務 や 高度な融資判断 が可能
2. 業務スキルの向上
(1)実務での活用
- 法務試験合格者 → 融資契約・担保設定・コンプライアンス業務に強くなる
- 財務試験合格者 → 企業の財務状況を正確に分析し、的確な融資判断ができる
- 税務試験合格者 → 法人税・所得税の知識を活かし、企業や個人の税務相談に対応できる
- 外国為替試験合格者 → 海外送金・貿易金融の実務に精通し、国際取引を担当できる
(2)営業力の強化
- 経営支援や事業性評価の知識を活かして、法人営業での提案力が向上
- 融資や財務の知識を活用し、企業への資金調達支援や経営アドバイスが可能
3. 他の金融資格との相乗効果
銀行業務検定試験で得た知識は、以下のような資格取得にも役立ちます。
関連資格 | 活用できる銀行業務検定の知識 |
---|---|
ファイナンシャル・プランナー(FP) | 財務・税務・リスク管理の知識が役立つ |
宅地建物取引士(宅建) | 法務(担保・不動産融資)の知識が活かせる |
中小企業診断士 | 財務・経営支援の知識が活用できる |
証券アナリスト | 証券・デリバティブ関連の知識が基礎になる |
貸金業務取扱主任者 | 融資・貸出業務に関する知識が活かせる |
銀行業務検定試験の取得を通じて、これらの資格取得の基礎が固まり、さらに高度な専門資格へステップアップしやすくなる。
4. 転職・キャリアチェンジの可能性
(1)銀行・信用金庫・証券会社への転職
- 金融業界未経験者でも、銀行業務検定を取得しておくと採用で有利
- 特に 3級や2級を持っていると、金融業務の基礎知識があることをアピールできる
- 財務・税務・融資の知識は、銀行の法人営業部門や融資審査部門で評価される
(2)コンサルティング業務への転職
- 企業の財務状況を分析し、経営改善を提案できるスキルが身につく
- 税務・財務の知識を活かして、会計事務所や税理士事務所での業務にも応用できる
(3)金融商品販売(保険・証券・投資)の分野への応用
- 銀行や証券会社での資産運用業務にも活かせる
- 証券・デリバティブの知識があると、証券会社や投資顧問会社での業務に役立つ
5. 企業支援・コンサルティング分野での活躍
(1)事業性評価・経営支援業務
- 融資判断の際に企業の財務分析を行い、適切な提案ができる
- 企業の経営課題を分析し、改善提案をするスキルが身につく
(2)中小企業向けのコンサルティング
- 金融機関に勤めながら、中小企業の資金繰りや事業再生の相談に対応できる
- 銀行を退職後も、金融コンサルタントとして独立する道もある
財務・経営系資格一覧
公認会計士
税理士
中小企業診断士
簿記検定
ファイナンシャル・プランニング技能士
証券アナリスト
簿記能力検定
建設業経理検定
経営士
ファイナンシャル・プランナー
実用数学技能検定
DCプランナー
DCアドバイザー
マーケティング・ビジネス実務検定
MBA
不動産証券化協会認定マスター
モーゲージプランナー
銀行業務検定試験
BATIC(国際会計検定)
CPA(米国公認会計士)
米国公認管理会計士
米国税理士(EA)
PMP試験
CISA(公認情報システム監査人)
CIRP(サーティファイド・IRプランナー)
シニアリスクコンサルタント
ITコーディネータ資格認定制度
ファイナンシャル・リスクマネージャ
アクチュアリー資格試験
二種外務員資格試験
CIA(公認内部監査人)
CFA(CFA協会認定証券アナリスト)
ホスピタリティ検定試験
イベント業務管理者
ファシリティマネージャー
PRプランナー資格認定制度
プロジェクトマネジメント資格
VEリーダー認定試験
販売士検定
セールススキル検定試験
セールスレップ資格認定制度
販路コーディネータ資格認定制度
交渉アナリスト
CISM(公認情報セキュリティマネージャー)