一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が認定する資格で、CADの操作スキルや実務能力を証明する資格です。
建築・土木・機械・インテリア・製造業など、CADを活用する幅広い業界で役立ちます。
目次
資格の種類とレベル
CAD実務キャリア認定制度には、2つのレベルがあります。
CADトレース技士補(初級)
- 対象:CAD初心者、基本操作を学びたい人
- 内容:2次元CADの基本操作(作図・編集・レイヤ管理 など)
- 合格基準:60%以上の得点
- 難易度:初級(基礎的な操作ができれば合格可能)
CADトレース技士(上級)
- 対象:実務経験者、CADを使った業務に携わっている人
- 内容:より高度なCADスキル(JIS製図、図面作成、レイアウト設計 など)
- 合格基準:70%以上の得点
- 難易度:中級~上級(実務レベルのスキルが求められる)
受験資格と難易度
受験資格
CAD実務キャリア認定制度の試験には受験資格の制限がなく、誰でも受験可能です。
特に以下のような人におすすめの資格です。
- 建築・土木・機械設計の業界を目指す人
- CADオペレーターや設計補助の仕事に就きたい人
- 既にCADを使用しているが、スキルを証明したい人
- 転職・キャリアアップのために資格を取得したい人
学歴や実務経験がなくても受験可能なので、初心者から経験者まで幅広い人が挑戦できます。
難易度と合格率
資格には「CADトレース技士補(初級)」と「CADトレース技士(上級)」の2種類があり、難易度が異なります。
資格名 | 合格率 | 難易度 |
---|---|---|
CADトレース技士補(初級) | 60~70% | 易しい(初心者向け) |
CADトレース技士(上級) | 40~50% | 普通~やや難しい(実務経験があると有利) |
CADトレース技士補(初級)の難易度
- **合格率は60~70%**と比較的高く、初心者でも合格しやすい。
- 基礎的なCAD操作や製図のルールが理解できればOK。
- 独学でも十分合格可能。
CADトレース技士(上級)の難易度
- **合格率は40~50%**とやや難しい。
- JIS製図の知識や実務レベルのCADスキルが必要。
- CADの基本操作だけでなく、図面の正確性やルールの理解が求められる。
- 実務経験者が有利だが、過去問対策をすれば独学でも合格可能。
試験内容
試験形式と概要
試験区分 | 試験形式 | 試験時間 | 出題内容 |
---|---|---|---|
筆記試験 | 選択式(マークシート)+ 記述式 | 60分 | CADの基礎知識、製図規則、JIS規格など |
実技試験 | PCによる作図試験 | 90分 | CADソフトを使用して図面作成 |
CADトレース技士補(初級)の試験内容
筆記試験(基礎知識)
- CADの基本概念(CADとは何か、用途、メリット)
- 製図の基礎(尺度、線種、寸法記入ルール)
- JIS製図規格の基礎(線の種類、寸法公差、断面図のルール)
- CADソフトの基本操作(画層管理、作図コマンド、編集コマンド)
実技試験(基本的な図面作成)
- 直線・円・多角形・ハッチングの作図
- 簡単な部品図の作成(JIS規格に基づく)
- 寸法記入・レイヤー設定・尺度変更
- 指示された修正作業(線の変更・寸法の修正など)
CADトレース技士(上級)の試験内容
筆記試験(実務レベルの知識)
- CADの応用(3D CAD、データ互換性、DXF/DWG形式)
- 詳細製図(機械製図・建築製図・土木製図の応用知識)
- JIS製図規格の応用(寸法公差、幾何公差、表面粗さ記号)
- CADによるデータ管理(レイヤ管理、属性情報の設定)
実技試験(実務レベルの作図)
- 指定された図面をもとに部品図・平面図・断面図を作成
- 詳細寸法の記入(JIS規格に基づく)
- 図面の最適化(レイヤ設定、尺度の統一、文字サイズ調整)
- 修正指示に従い、図面の一部を変更
試験対策
公式テキストと過去問を活用する
CAD実務キャリア認定制度の試験では、JIS製図規則やCADソフトの操作方法が問われるため、以下の教材を活用すると効率的に学習できます。
- 「CADトレース技士試験 公式テキスト」(ACSP発行)
- JIS規格に基づいた製図のルールや基礎知識が学べる。
- 過去問題集(筆記・実技対策)
- 実際の試験形式に慣れるため、3~5年分の過去問を解く。
JIS製図の知識を深める
筆記試験では、JIS規格に基づいた製図のルールが出題されます。
特に以下のポイントを重点的に学習しましょう。
- 線の種類と用途(実線・破線・一点鎖線 など)
- 寸法記入のルール(基準寸法、寸法補助記号 など)
- 尺度と図面の見方(1:1、1:2 などの縮尺)
- 断面図とハッチングの表現方法
- 寸法公差と幾何公差の基礎知識
参考資料として、JIS B 0001(機械製図)やJIS A 0203(建築製図)を確認すると理解が深まります。
実技試験対策として作図スキルを磨く
実技試験では、指示された図面を制限時間内に正確に作成する能力が求められます。
- AutoCADやJw_cadを使用し、基本操作を確実に習得する。
- レイヤー管理や寸法記入の設定を適切に行う。
- 過去問の作図問題を時間を測りながら解く。
- 試験の流れを想定し、制限時間内に図面を完成させる練習をする。
模擬試験を実施する
試験前の1ヶ月間は、本番と同じ時間配分で模擬試験を実施し、実際の試験環境に慣れておくことが重要です。
- 筆記試験対策
- 過去問を時間を測って解き、7割以上正解できるようにする。
- 実技試験対策
- 制限時間内に図面を作成できるかチェックし、時間配分を意識する。
取得後に出来ること
活躍できる職種・業務
1. CADオペレーター(建築・土木・機械)
CADソフトを使って設計図面を作成する業務を担当できます。
- 建築CADオペレーター:住宅・ビル・マンションなどの設計図の作成補助
- 土木CADオペレーター:道路・橋梁・ダムなどのインフラ関連の図面作成
- 機械CADオペレーター:機械部品や製品設計のための製図作成
2. 設計補助(アシスタント業務)
設計者のサポート役として、CADを使って図面を作成・修正する業務を担当できます。
- 設計士やエンジニアの指示に基づき、CADデータを作成・編集
- 設計資料やプレゼン資料の作成
3. 製造業・工場での設計業務
製造業では、CADを活用して製品の設計や生産管理を行う業務に携わることができます。
- 3D CADを使った部品設計や試作設計
- 製造現場での生産プロセスの最適化
4. 建設・土木会社での施工図作成
建築・土木業界では、施工計画を立てるためにCADを活用します。
- 現場監督が使用する施工図の作成
- 施工管理業務のサポート(図面管理・数量計算)
5. インテリア・空間デザイン業界
CADのスキルを活かして、インテリア設計や空間デザインの分野で活躍できます。
- 内装設計のためのCAD図面作成
- 店舗やオフィスのレイアウト設計
資格取得のメリット
1. 転職・就職に有利
- CADスキルを証明できるため、建築・土木・機械設計業界での採用時に評価されやすい。
- 未経験でも、資格を持っていることで基礎知識があることをアピールできる。
2. 資格手当や昇給の可能性
- 企業によっては、CAD資格を取得すると資格手当(5,000円~20,000円/月)が支給される。
- 会社内での評価が上がり、昇給や昇進のチャンスが広がる。
3. フリーランス・副業の選択肢が広がる
- CADオペレーターは、在宅ワークやフリーランスの仕事も可能。
- クラウドソーシングサイトで図面作成の仕事を受注できる。
4. 上位資格へのステップアップが可能
- CADトレース技士補(初級)を取得後、CADトレース技士(上級)を目指せる。
- 建築CAD検定、機械設計技術者試験、3D CAD資格など、より高度な資格へ挑戦できる。
建築系資格一覧
一級建築士
二級建築士
木造建築士
構造設計一級建築士
設備設計一級建築士
建築施工管理技士
建築図面製作技能士
土木施工管理技士
ビル経営管理士
不動産鑑定士
測量士
宅地建物取引主任者
管理業務主任者
マンション管理士
土地家屋調査士
玉掛技能講習
環境計量士
管工事施工管理技士
建設機械施工技士
建築設備士
建築業経理士
コンクリート技士
CAD実務キャリア認定制度
CADトレース技能審査
建築CAD検定試験
Autodesk認定試験
3次元CAD利用技術者試験
マンションリフォームマネージャー
ダッソー・システムズ CATIA 認定資格
マンション維持修繕技術者
REセールスパーソンライセンス