COBOLプログラミング能力認定試験

COBOL(Common Business-Oriented Language)に関するプログラミングスキルを測定する試験です。

COBOLは、主に金融・保険・行政などの基幹システムで使われているプログラミング言語であり、特に企業システムの保守・運用に携わるエンジニアにとって重要なスキル となります。

この試験は、サーティファイ(Certify, Inc.) という団体が実施しており、プログラムの設計・コーディング・デバッグなどの能力を評価します。

主催
サーティファイ ソフトウェア活用能力検定委員会

受験資格と難易度

受験資格

COBOLプログラミング能力認定試験には、受験資格の制限はありません

  • 年齢・学歴・実務経験を問わず、誰でも受験可能
  • どの級からでも受験可能(3級から順番に受ける必要はない)
  • プログラミング初心者でも3級から挑戦可能

ただし、1級は高度なCOBOLの知識と実務経験が必要 になるため、 実務経験者または2級合格者 におすすめです。

難易度の目安

COBOLプログラミング能力認定試験は 1級・2級・3級 の3つのレベルがあり、級が上がるほど 出題範囲が広くなり、難易度も高く なります。

レベル・対象者 試験内容 難易度(★の数)
1級 上級(実務経験者向け) システム設計、アルゴリズム最適化、パフォーマンス改善 ★★★★★(超難関)
2級 中級(COBOLを業務で使うエンジニア向け) プログラム設計、ファイル処理、テーブル処理 ★★★★☆(やや難)
3級 初級(COBOL初心者向け) 基本文法、演算処理、簡単なファイル操作 ★★☆☆☆(普通)

試験内容

COBOLの文法、プログラム設計、ファイル処理、エラー処理 などが問われます。級が上がるにつれ、より実務的なスキルやシステム設計の能力 が求められます。

試験形式

試験は 筆記試験と実技試験(級による) で構成されており、COBOLの理解度やプログラム作成能力を評価します。

試験内容 出題形式 試験時間
1級 システム設計、最適化、アルゴリズム応用 筆記+プログラム設計 90分
2級 プログラム設計、ファイル処理、エラー処理 筆記+実技(コード作成) 90分
3級 基本文法、簡単なデータ処理 筆記試験(選択+記述) 90分

1級・2級は実践的な問題が出題され、実技試験では実際のCOBOLコードを書く必要がある ため、実務経験や練習が必要です。

各級の試験内容詳細

3級(COBOLの基礎)

試験範囲

COBOLの基本的な文法や処理を理解しているかを問われます。

カテゴリ 出題内容
基本文法 IDENTIFICATION DIVISION、DATA DIVISION、PROCEDURE DIVISION の基本
変数とデータ型 PIC(ピクチャ)指定、文字列・数値のデータ型
演算処理 ADD、SUBTRACT、MULTIPLY、DIVIDE などの算術演算
条件分岐 IF文、EVALUATE(多岐分岐)
繰り返し処理 PERFORM(DOループ相当)
ファイル処理 SEQUENTIAL FILEの読み書き

合格基準

  • 60%以上の正答率 で合格
  • COBOLの基本文法を理解していれば独学でも合格可能

2級(COBOLの応用)

試験範囲

COBOLの基本的な文法に加え、プログラム設計やファイル処理が出題されます。

カテゴリ 出題内容
プログラム設計 構造化プログラム設計(トップダウン設計)
データ処理 SORT、MERGE
ファイル処理 INDEXED FILE、RELATIVE FILE の操作
テーブル処理 OCCURS、SEARCH、SEARCH ALL
エラー処理 FILE STATUSの活用、EXCEPTION HANDLING
デバッグ エラーメッセージの解析、コードの修正

合格基準

  • 70%以上の正答率
  • プログラムを実際に書けるスキルが求められる
  • 実務経験があると有利だが、独学でも十分合格可能

1級(COBOLの上級・システム設計)

試験範囲

COBOLのプログラム開発だけでなく、システム全体の設計、パフォーマンス最適化、トラブルシューティング などが求められます。

カテゴリ 出題内容
業務システム設計 COBOLを用いた業務システムの設計
最適化 処理の高速化、メモリ効率化
アルゴリズム 効率的なデータ検索、ファイル処理の最適化
トラブルシューティング 実際のエラーログ解析、バグ修正
システム運用 COBOlシステムの保守・運用方法

合格基準

  • 80%以上の正答率
  • システム全体を考慮した設計スキルが求められる
  • 実務経験なしでは難しく、業務経験があると有利

試験対策

知識問題の対策(筆記試験対策)

(1)試験範囲を把握する

筆記試験では、COBOLの基本構文やプログラム設計、ファイル処理、エラー処理 について問われます。

カテゴリ 出題範囲
基本文法 IDENTIFICATION DIVISION、DATA DIVISION、PROCEDURE DIVISION
データ型・変数 PIC(ピクチャ)指定、数値・文字列のデータ型
演算処理 ADD、SUBTRACT、MULTIPLY、DIVIDE
条件分岐 IF、EVALUATE
ループ処理 PERFORM
ファイル処理 SEQUENTIAL FILE、INDEXED FILE、RELATIVE FILE
エラー処理 FILE STATUS、EXCEPTION HANDLING
プログラム設計 トップダウン設計、構造化プログラミング

特に 2級・1級ではファイル処理とプログラム設計が重要なポイント になります。

(2)過去問・問題集を解く

  • サーティファイの公式サイト で過去問題をダウンロードして解く
  • COBOLの学習書籍 で練習問題を解く(例:「新・標準COBOL入門」)

(3)参考書・学習サイトを活用

  • COBOLの入門書
    • 『新・標準COBOL入門』
    • 『COBOLプログラミング基礎と応用』
  • オンライン学習サイト
    • IBM COBOLチュートリアル
    • UdemyのCOBOL講座

(4)COBOLのエラーメッセージに慣れる

筆記試験では、エラーメッセージの意味や対処法 を問われることがあります。

  • COBOLのエラーメッセージ一覧 を確認する
  • 実際にエラーを発生させて修正する練習をする

実技試験の対策(プログラミング練習)

2級・1級では、実際にCOBOLのプログラムを作成する問題 が出題されます。

(1)COBOLの開発環境を準備する

試験対策のために、COBOLを実際に動かせる環境を準備 しましょう。

① 無料で使えるCOBOL開発環境

  • GnuCOBOL(旧OpenCOBOL)
    • 無料で使えるCOBOLコンパイラ
    • 公式サイト
  • オンラインCOBOLコンパイラ
    • replit(COBOL環境あり)
    • インストール不要でブラウザ上で実行できる

② Windowsユーザー向けの環境

  • Visual COBOL(Micro Focus) の無料トライアルを活用
  • IBM COBOL for Windows をインストール

(2)プログラミング問題を解く

試験に出題されやすいパターンを重点的に練習する。

① 3級向け

  • 基本的なCOBOLプログラムを作成する
    • 画面にメッセージを表示する
    • 数値計算
    • 条件分岐
    • 繰り返し処理

② 2級向け

  • データの処理
    • SEQUENTIAL FILEの読み書き
    • INDEXED FILEの作成・検索
  • テーブル処理
  • エラー処理

③ 1級向け

  • 業務システムの設計
    • トップダウン設計を考慮したプログラム作成
  • パフォーマンス改善
    • プログラムの最適化(無駄な処理の削減)
    • 処理の高速化(効率的な検索アルゴリズム)
  • システムトラブル対応
    • 既存プログラムのバグ修正
    • エラーログの解析と対策の提案

取得後に出来ること

就職・転職に有利になる

(1)COBOLエンジニアとしてのアピールができる

COBOLは、銀行・保険・公共機関の基幹システム で今も広く使われており、COBOLエンジニアの需要は高い です。しかし、COBOLエンジニアの数は減少しているため、資格を持っていることで希少価値が上がり、就職や転職で有利になります

取得後に狙える職種

職種 必要なP検の級 仕事内容
COBOLプログラマー 3級以上 COBOLプログラムの開発・テスト
COBOLシステムエンジニア 2級以上 システムの設計・運用・保守
社内SE(COBOL保守担当) 2級以上 企業内の基幹システムの保守・改修
ITコンサルタント(COBOL移行支援) 1級 企業のCOBOLシステムのモダナイズ支援

(2)転職市場で評価される

COBOLの知識を証明できる資格は少なく、COBOLプログラミング能力認定試験を持っていると、未経験者でもCOBOLエンジニアの採用に有利 になります。

特に、以下のような企業では、COBOL技術者を積極的に採用 しています。

  • 銀行・保険会社(基幹システムの開発・保守)
  • 自治体・政府機関(住民情報システム、税務システム)
  • 大手製造業(生産管理システム)
  • SIer(システムインテグレーター)(COBOLの開発案件を請け負う企業)

転職活動でのアピールポイント

  • 「COBOLプログラミング能力認定試験2級を取得し、実務レベルのプログラム開発が可能です」
  • 「COBOLのファイル処理やエラー処理に関する知識を持ち、COBOLシステムの保守・運用ができます」

給与アップ・キャリアアップにつながる

COBOLエンジニアの平均年収は500万円~800万円 で、金融・保険業界では高収入を得られる可能性が高い です。

(1)資格手当がもらえる可能性

企業によっては、COBOLの資格取得者に対して資格手当を支給 する場合があります。

  • IT企業や金融機関では、COBOL技術者を評価する制度がある
  • 資格取得によって昇給や昇格のチャンスが増える

(2)COBOL保守・運用から上流工程へ

COBOLエンジニアとして経験を積むことで、プロジェクトマネージャーやITコンサルタント にステップアップすることが可能です。

  • プログラマー(3級レベル)システムエンジニア(2級レベル)プロジェクトマネージャー(1級レベル)
  • COBOLの保守・運用COBOLのモダナイズ(Javaなどへの移行)

COBOLの知識を持つITコンサルタントは、年収1000万円以上の案件もある ため、高収入を目指すこともできます。

フリーランス・副業としても活かせる

(1)COBOL案件のフリーランス市場

COBOLは、フリーランス市場でも案件数が多く、特に保守・運用の案件 が豊富です。
COBOLエンジニアのフリーランス案件の単価例

  • COBOLプログラマー(3級レベル):月40万円~60万円
  • COBOLシステムエンジニア(2級レベル):月60万円~80万円
  • COBOLプロジェクトマネージャー(1級レベル):月80万円~100万円以上

COBOLのシステムは長期的に運用されるため、安定した案件が多く、長期間の契約が結べる のもメリットです。

(2)COBOLの移行案件(モダナイズ)

近年、多くの企業がCOBOLシステムをJavaやPythonなどの最新技術に移行 しようとしています。そのため、COBOLの知識を持ったエンジニアがJavaなどを学び、移行プロジェクトに関わることで市場価値が上がります

COBOL資格+JavaやPythonの知識があれば、COBOLからモダン言語への移行案件に関われる ため、より高単価の案件を受注できる可能性があります。

他のIT資格へのステップアップ

COBOLプログラミング能力認定試験を取得した後、さらに上位のIT資格に挑戦することでキャリアの幅を広げる ことができます。

資格名 内容 COBOLとの関連性
ITパスポート試験(iパス) ITの基礎知識を学ぶ COBOlの基本概念を補完
基本情報技術者試験(FE) ITエンジニア向けの国家資格 アルゴリズム・データ構造の理解が深まる
応用情報技術者試験(AP) システム設計・開発の知識 COBOlシステムの上流工程に進むために有利
オラクルマスター・Java Silver Javaのプログラミングスキル COBOlシステムのモダナイズ案件に活かせる

特に「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」を取得することで、システム全体の設計やプロジェクトマネジメントスキルを習得 し、さらに上級のCOBOLエンジニアやITコンサルタントを目指せます。

コンピューター系資格一覧

応用情報技術者試験
基本情報技術者
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験
システム監査技術者
ITサービスマネージャ試験
ITパスポート試験
ネットワークスペシャリスト試験
プロジェクトマネージャ
情報処理安全確保支援士試験(RISS)
データベーススペシャリスト試験
Accessビジネスデータベース技能認定試験
Excel表計算処理技能認定試験
Word文書処理技能認定試験
PowerPointプレゼンテーション技能認定試験
Javaプログラミング能力認定試験
COBOLプログラミング能力認定試験
パソコン検定(P検)
C言語プログラミング能力認定試験
情報処理技術者能力認定試験
VisualBasicプログラミング能力認定試験
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
VBAエキスパート
IC3
ワードプロセッサ技能認定試験
パソコン技能検定Ⅱ種試験
EC(電子商取引)実践能力検定
OracleApplication認定コンサルタント
CAD利用技術者試験
ORACLE MASTER(オラクルマスター)
会計ソフト実務能力試験
Server+
A+
コンピュータサービス技能評価試験
J検(情報検定)
Linux+
Network+
UBA能力検定
マイクロソフト認定トレーナー(MCT)
マイクロソフト認定資格プログラム
Linux技術者認定試験
情報セキュリティ検定試験
UMLモデリング技能認定試験
Oracle Certified Java Programmer(OCJP)
CGエンジニア検定
画像処理エンジニア検定
シスコ技術者認定
インターネット検定 .com Master
Cisco技術者認定資格(CCIE)
Turbo-CE/Pro/CI
CIW
RHCE(Red Hat認定エンジニア)
Oracle Solaris 11 System Administrator
PostgreSQL CE
情報ネットワーク施工プロフェッショナル(INIP)
Zend PHP 5 Certification
商PC検定試験

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