英語によるコミュニケーション能力を測定する世界的な試験です。特に、ビジネスや日常生活での英語運用能力を評価することを目的としており、多くの企業や大学で英語力の証明として活用されています。
TOEICの試験の種類
TOEICには、以下の3種類の試験があります。
試験名 | 内容 | スコア範囲 | 目的 |
---|---|---|---|
TOEIC Listening & Reading(L&R) | 聞く力・読む力を測る | 10~990点 | 就職・転職・昇進、企業の採用基準、大学の単位認定など |
TOEIC Speaking & Writing(S&W) | 話す力・書く力を測る | 0~200点(各100点) | 英語での実践的な会話力・ライティング能力の評価 |
TOEIC Bridge | 初級者向け(L&R・S&W) | 30~100点 | 英語学習の進捗確認、TOEICの準備 |
一般的に「TOEIC」と言うと、TOEIC L&R(Listening & Reading)を指すことが多く、企業や学校での評価にもこの試験が主に使われます。
受験資格と難易度
受験資格
TOEIC L&Rには特別な受験資格はなく、誰でも受験可能です。
年齢・学歴・職業の制限なし(学生・社会人・シニアまで誰でも受験できる)
英語レベルの制限なし(初心者から上級者まで幅広く受験可能)
受験回数の制限なし(何回でも受験可能、スコアは2年間有効)
対象者:
- 就職・転職活動で英語力を証明したい人
- 企業内の昇進・昇格のためにスコアが必要な人
- 大学の単位認定や卒業要件でTOEICが必要な学生
- 英語力を客観的に測りたい人
TOEICは 英語力をスコア(10~990点)で評価する試験 なので、初心者でも安心して受験できます。
難易度
TOEIC L&Rのスコアと英語レベルの目安
TOEIC L&Rの難易度は 英検2級~1級相当 ですが、スコアごとに英語力の目安が異なります。
スコア | 英語レベル | できることの目安 |
---|---|---|
200~400点 | 英検3級~準2級レベル | 簡単な英会話や短文の読解ができる |
500~600点 | 英検2級レベル | 基本的なビジネス英語や日常会話ができる |
700~800点 | 英検準1級レベル | 英語で仕事ができるレベル(ビジネスメールや会話が可能) |
900点以上 | 英検1級レベル | 高度なビジネス英語が使え、ネイティブに近いレベル |
TOEICの難易度の特徴
-
リスニング(Listening)が先にあり、集中力が必要
- 音声は 1回のみ再生(聞き逃すと解答できない)
- TOEIC特有の ビジネス英語・日常英語 が多く使われる
-
リーディング(Reading)は時間配分が重要
- 75分で100問(長文問題が多く、時間が足りなくなりやすい)
- 語彙・文法の知識が必要だが、長文読解力がカギになる
-
英検とは異なり、スピーキング・ライティングの試験がない
- リスニングとリーディングのみの試験のため、会話や作文の能力は問われない
- そのため、文法や単語の暗記、読解力の向上がスコアアップのポイントになる
TOEIC L&Rの難易度の比較
試験 | 難易度 | 特徴 |
---|---|---|
TOEIC Bridge | 易しい | 英検3級~準2級レベル、英語の基礎力を測る |
TOEIC L&R 400~600点 | 普通 | 英検2級レベル、基本的なビジネス英語ができる |
TOEIC L&R 700点以上 | 難しい | 英検準1級レベル、実務で英語が使える |
TOEIC L&R 900点以上 | 非常に難しい | 英検1級レベル、ネイティブに近いビジネス英語 |
TOEIC L&Rは 満点(990点)を取るのが非常に難しく、900点以上でも高評価される 試験です。
しかし、企業や大学では 600点~800点のスコア でも十分に評価されることが多いです。
試験内容
リスニング(Listening)とリーディング(Reading)の2セクションで構成され、ビジネスや日常生活での英語の理解力を測る試験です。問題はすべてマークシート方式の選択式で、スピーキングやライティングは含まれません。
試験の基本情報
試験時間 | 約120分(リスニング45分 + リーディング75分) |
---|---|
問題数 | 200問(リスニング100問 + リーディング100問) |
試験形式 | マークシート方式(4択問題) |
スコア範囲 | 10~990点(リスニング・リーディング各5~495点) |
実施回数 | 年10回(全国主要都市で開催) |
試験の構成(リスニング+リーディング)
TOEIC L&Rの試験は、リスニング(Listening)とリーディング(Reading)の2つのセクションに分かれています。
セクション | 問題数 | 試験時間 | 内容 |
---|---|---|---|
リスニング(Listening) | 100問 | 約45分 | 音声を聞いて解答 |
リーディング(Reading) | 100問 | 75分 | 文章を読んで解答 |
リスニングセクション(Listening)
試験時間:約45分 / 100問
音声を聞き取り、最も適切な選択肢を選ぶ問題です。音声は1回しか流れないため、集中力が重要です。
リスニングの構成
Part | 問題数 | 内容 |
---|---|---|
Part 1: 写真描写問題 | 6問 | 写真を見て、それを説明する音声を選ぶ |
Part 2: 応答問題 | 25問 | 質問を聞き、最も適切な応答を選ぶ |
Part 3: 会話問題 | 39問 | 2~3人の会話を聞き、内容について答える |
Part 4: 説明文問題 | 30問 | アナウンスや広告を聞き、内容について答える |
(1) Part 1: 写真描写問題(6問)
- 1枚の写真が表示され、それを説明する音声が4つ流れる。
- 最も適切な説明を選ぶ。
- 単語レベルで理解できれば得点しやすいが、動詞の使い方に注意が必要。
(2) Part 2: 応答問題(25問)
- 短い質問や発言を聞き、最も適切な応答を選ぶ。
- 会話の流れを理解し、適切な返答を選ぶ力が求められる。
- ひねった選択肢や間接的な表現に注意。
(3) Part 3: 会話問題(39問)
- 2~3人の会話を聞き、内容に関する3つの質問に答える。
- 会話の流れを理解し、意図や細かい情報を把握する必要がある。
- 図表やスケジュールが出題されることもある。
(4) Part 4: 説明文問題(30問)
- アナウンスや広告などのスピーチを聞き、内容に関する3つの質問に答える。
- ニュース、会社の案内、イベントの告知などがよく出題される。
リーディングセクション(Reading)
試験時間:約75分 / 100問
英語の文章を読み、適切な答えを選ぶ。時間制限が厳しく、速読力が求められる。
リーディングの構成
Part | 問題数 | 内容 |
---|---|---|
Part 5: 短文穴埋め | 30問 | 文法・語彙の問題 |
Part 6: 長文穴埋め | 16問 | 文脈に合う単語やフレーズを選ぶ |
Part 7: 読解問題 | 54問 | メールや広告、記事を読んで質問に答える |
(1) Part 5: 短文穴埋め(30問)
- 単語や文法の知識を問う問題。
- TOEICの基礎問題であり、対策をすれば得点しやすい。
(2) Part 6: 長文穴埋め(16問)
- 短いパッセージ(メールや記事)に空欄があり、適切な単語やフレーズを選ぶ。
- 前後の文脈を理解する力が求められる。
(3) Part 7: 読解問題(54問)
- シングルパッセージ(29問) → 1つの文章を読んで質問に答える。
- ダブルパッセージ(10問) → 2つの関連する文章を読んで質問に答える。
- トリプルパッセージ(15問) → 3つの関連する文章を読んで質問に答える。
- 長文読解が苦手な人には難易度が高いセクション。
試験対策
リスニング対策
(1) 毎日のリスニング練習
・英語のニュース、ポッドキャスト、オンライン教材(例えば、NHKラジオ英会話やBBC Learning English)を活用して、日常的に英語の音声に慣れる。
・TOEIC特有のビジネスシーンや日常会話のフレーズに着目し、音声を聞きながら内容を理解する練習を行う。
(2) 過去問題や模擬試験の活用
・公式問題集や市販の模試を使用して、実際の試験と同じ形式に慣れる。
・Part 1(写真描写問題)では、写真を見た瞬間にどの表現が最も適切かを素早く判断する訓練をする。
・Part 2(応答問題)は、短い質問や会話を聞いて、適切な応答を瞬時に選ぶ練習を繰り返す。
・Part 3, 4 の会話や説明文は、全体の流れやキーワードを捉えるために、聞き取りの精度を高める。
(3) シャドーイング・ディクテーション
・音声を聞きながら同時に復唱するシャドーイングや、一文ずつ聞いて書き取るディクテーションを行い、リスニング力と発音、リズムの習得を目指す。
リーディング対策
(1) 語彙力と文法力の強化
・TOEICでよく出題される単語や表現をまとめた単語帳を作成し、定期的に復習する。
・中学~高校レベルの英文法の基礎を再確認し、Part 5(短文穴埋め問題)や Part 6(長文穴埋め問題)に備える。
(2) 速読力の向上
・短文から長文まで、様々な英文を時間を計って読む練習をする。
・TOEICのリーディングセクションは、75分で100問を解く必要があるため、時間配分を意識しながら、読むスピードと正確さを両立させる。
(3) 過去問題・模擬試験の活用
・公式問題集や模試を使って、実際の試験形式に慣れる。
・Part 7(読解問題)の場合、文章全体の構成や段落ごとの要点を迅速に把握する練習が重要。
・問題を解いた後は、間違えた箇所や理解不足の部分を徹底的に復習し、同じミスを繰り返さないようにする。
全体的な試験対策
(1) 模擬試験の定期実施
・本番と同じ形式と時間配分で模擬試験を実施し、試験慣れする。
・模擬試験後は、正答率だけでなく、解答にかかった時間や苦手なパートを分析する。
(2) 弱点の洗い出しと補強
・リスニング・リーディングそれぞれで、自分の苦手分野(例えば、特定の問題形式や長文読解)があれば、その分野に重点を置いた対策を行う。
・学習計画を立て、毎日の学習時間を確保する。
(3) 試験当日の準備
・試験当日は、十分な睡眠を取り、リラックスして臨む。
・問題用紙や回答用紙、筆記用具、時計など、必要なものを前日までに確認する。
・試験中は、特にリーディングセクションで時間配分を意識し、解答に迷った場合は先に進む判断力が求められる。
参考教材・ツール
- 公式TOEIC問題集および市販の模試
- 単語帳(TOEIC頻出単語集)
- オンライン英語学習サイトやアプリ(リスニング、速読練習用)
- 過去問題解説書、解説動画
取得後に出来ること
就職・転職で有利になる
TOEIC L&Rのスコアは、多くの企業が採用時に参考にしており、特に外資系企業・商社・航空業界・グローバル企業では、スコアが重要な評価基準となります。
(1) TOEICスコアが採用基準となる業界・職種
業界・職種 | 目標スコア |
---|---|
一般企業(国内業務) | 500~600点 |
外資系企業 | 700~850点 |
商社・貿易・海外営業 | 750~900点 |
IT・エンジニア(グローバル案件) | 650~850点 |
航空業界(CA・グランドスタッフ) | 600~800点 |
ホテル・観光業 | 600~750点 |
大手メーカー(海外勤務・出張あり) | 700~900点 |
スコア別の評価の目安
500点以上 → 履歴書に記載できるレベル。一般企業で英語の基礎力を証明できる。
600~700点 → 企業の英語基準を満たし、多くの職種で評価される。
800点以上 → グローバル企業や外資系で高評価。英語を実務で使う仕事にも応募可能。
900点以上 → 高度な英語力を証明でき、海外勤務や英語を使う業務の即戦力として期待される。
履歴書への記載例
「TOEIC L&R 750点(2024年取得)」
昇進・昇格の条件になる
多くの企業では、TOEICスコアが昇進・昇格の条件として設定されています。特に、海外出張や海外勤務を希望する場合、一定のスコアが求められることが多いです。
企業のTOEICスコア基準(例)
- 600点以上 → 海外出張・海外研修の選考条件
- 700点以上 → 管理職・マネージャー昇進の条件
- 800点以上 → 海外駐在員・海外プロジェクト担当者の条件
また、企業によっては**TOEICスコアに応じた報奨金(インセンティブ)**を支給する制度を設けている場合もあります。
大学の単位認定・卒業要件に活用
大学や専門学校では、TOEICスコアを英語の単位認定や卒業要件として活用するケースが増えています。
- TOEIC 500~600点以上で英語の単位認定
- 国際系学部では、700点以上が卒業要件となることもある
- 留学プログラムの選考基準としてTOEICスコアを使用
例:
- 早稲田大学 → 国際教養学部の入学・卒業要件としてTOEICスコアを活用
- 明治大学 → TOEICスコア600点以上で英語の単位認定
- 一橋大学 → 留学プログラムの応募条件にTOEICスコアを採用
海外留学・ワーキングホリデーの英語力証明として活用
TOEICスコアは、留学やワーキングホリデーの申請時に英語力を証明するために使用できます。
- 短期留学・交換留学の応募条件としてTOEICスコアが求められる
- ワーキングホリデービザの申請時に、英語力の証明として活用できる
- TOEFLやIELTSよりも受験しやすく、代替試験として使用できる場合もある
※ ただし、アメリカやカナダの大学ではTOEFLやIELTSの方が重視されるため、TOEICだけでは十分でない場合もある。
仕事での英語コミュニケーションに活かせる
TOEICの勉強を通じて、以下のような実務的な英語力が向上します。
- ビジネス英語(メール・会話・会議のリスニング)
- 海外の顧客や取引先とのやり取り
- 英文資料や契約書の読解力向上
- 英語でのプレゼンテーションや電話対応
TOEIC 700点以上あれば、英語を使う仕事の対応がスムーズにできるレベルになるため、キャリアの選択肢が広がる。
海外旅行や日常生活で役立つ
TOEIC L&Rの学習を通じて、英語のリスニング力や読解力が向上するため、海外旅行や日常生活での英語コミュニケーションがスムーズにできるようになります。
- 空港・ホテル・レストランでの英語対応がスムーズになる
- 英語の標識や案内を素早く理解できる
- 海外の映画やニュースを聞き取れるようになる
TOEICの勉強を続けることで、英語を使うことに対する抵抗感が減り、日常的に英語を活用する習慣が身につく。
取得後のおすすめステップ
(1) TOEIC 600点未満の人 → まずは700点以上を目指す
・公式問題集や単語帳を活用し、語彙力・リスニング力を強化する
・リーディングのスピードを上げるために、速読の練習をする
(2) TOEIC 700~800点の人 → スピーキング&ライティング(S&W)試験に挑戦する
・スコアが高くても話せないと仕事で困るため、S&W試験を受験し、英語のアウトプット力を向上させる
(3) TOEIC 900点以上の人 → 実務での英語活用を強化する
・英語での会議、プレゼン、ビジネスメールのスキルを磨く
・オンライン英会話や海外研修に参加し、実際に英語を使う機会を増やす
おすすめの講習、教材
教材
講座
語学系資格一覧
通訳案内士
翻訳実務士資格
JTFほんやく検定
知的財産翻訳検定
TOEIC Bridge
TOEIC
TOEIC Speaking & Writing
ケンブリッジESOL英語検定試験
TOPEC
工業英語能力検定試験
SST(スタンダードスピーキングテスト)
TSST
TEP TEST
TOEFL
ACT
SAT
GRE
GMAT
IELTS
全養協日本語教師検定
J-SHINE(小学校英語指導者資格)
日本語教育能力検定試験
中国語検定
ビジネス中国語検定
スコア式ビジネス中国語検定試験
新HSK(漢語水平考試)
世界韓国語認証試験(KLPT)
インドネシア語技能検定試験
タイ語検定試験(TAEC)
ハングル能力検定
実用タイ語検定試験
実用イタリア語検定
スペイン語技能検定
DELE(スペイン文部省認定証)
ドイツ語技能検定試験
フランス語能力認定試験(TEF)
実用フランス語技能検定
ロシア語能力検定
観光英語検定試験